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あおい (小学館文庫 に 17-1) 文庫 – 2007/6/6

3.9 5つ星のうち3.9 62個の評価

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27才スナック勤務の「あたし」と、おなかにへたくそな地図を彫っている3才年下のダメ学生・カザマくんは同棲して4か月。ゆったりとしたリズムにどっぷりと浸かった生活をしていた「あたし」は、ある日、妊娠していることに気づく。そして、気がつけば、長野のペンションへの短期バイトを決め、そのバイト先からも逃げ出し、深夜、山のなかで大の字になって寝っころがってしまう。そのとき、「あたし」の視野に、あるものが飛び込んでくる。

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2007/6/6)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/6/6
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 208ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4094081739
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4094081732
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 62個の評価

著者について

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西 加奈子
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2007年10月23日に日本でレビュー済み
なんか、バシッときた。
表紙も、なんか赤じゃない赤が似合ってるし、
「あおい」っていうタイトルも、ぴったりだし。
それが手書き風?手書きなのもいい。
物語の内容をこういう所できっちり・ぴったし表現してくれるのって、なかなかないですよね。
西さんの、ほとんど?全部そう。
しずくは自分で表紙描いたって聞いたけど、これもかな?
そうだから、図書館派のわたしでも家に本置いておきたくなる。
表紙見ただけで、読んだ時の気持ち思い出させてくれるから。

なんかね、いろんなワードが、すごいの。
「それを、そういう風に表現するのって、新しい。」
って思う。なんか、納得できるんだ。
あたりまえのこと、今まで言い尽くされてきたことを、こういう風に説明?見解?するんだぁーって。
時代は変わる。人生や愛は変わらない。でも、言葉も変化していくものだから。うん。。
表現できないけど、すごく新鮮。

で、ところどころででてくる、
「あんたのことが、すきすぎるのよ」みたいな心の奥の奥のずーっと奥から染み出してくるような思いを、『ふっ』っと出してくるところがまた素敵。

よわっちょろい人間が、その弱さを受け入れて生きてる感じ。生きてく感じ。
とにかく、新鮮でした。だいすき。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年5月4日に日本でレビュー済み
作者のデビュー作のようです。テヘラン生まれの大阪育ちという経歴からなのか、独特の世界観に感じられました。ただ、この作風はどこかで誰か別の作家さんでも読んだような。なんか誰かの作風に似ていますよね。
「あおい」の序文と呼べるような書き出しのところが、とてもみずみずしい文体です。あおいは子供の名前だったんですね。私も長女が生まれたときに漢字一文字にしようと思って、”葵”はその候補の一つでした。
「サムのこと」は作者の実体験なのでしょうか?ラストがいいですね。あの終わり方はとても新人作家さんの終わり方とは思えません。ひとつ難点があります。プロレスを見に行ってサムに絡まれるシーンの会話文で、「なあアリ」とありますが、猪木の話の後なのでモハメッド・アリのことかと勘違いしました。これは主人公が有本なのでアリと呼ばれていたから、サムが有本に呼びかけているシーンだと解るまでに、時間がかかりました。読者の誤解のないように書くべきでは、と思います。
もう一つ細かい指摘で恐縮ですが、会話文の「 」内、最後に”。”がつきますが、必要ないですよね。この辺も作家になって日が浅い感じで、なんか初々しいです。
この作家の代表作、「サラバ!」を読んでいないので、今回は星3つにとどめました。
2022年9月29日に日本でレビュー済み
デビュー作を含む短編集。

「あおい」は、年下カレシと同棲中のアルバイター27歳の物語である。真っ正直ゆえに不器用な女子と腹に地図のタトゥーを入れた捉え所のない学生。二人の日常は実に微笑ましい。同棲四ヶ月、主人公の妊娠が分かって…、という展開だ。不安に押しつぶされそうになりながら、「こんな好きになった人、おらん。」とひとりつぶやく主人公の大阪弁にぐっとくる。デビュー作から可笑しくてせつない西加奈子節炸裂である。

「サムのこと」は、事故死した友の通夜の出来事。集まったトンガリキャラたちに惹かれる。その他、お別れの夜に思う事「空心町深夜2時」。
2006年2月15日に日本でレビュー済み
なんていうんだろう、独特の世界観。

よくいるようなだるい若い子のおはなしかと思っていたら、消えない傷、みたいなものも出てくる。切ない。

けっこうへヴィーな面もあるんだけど、関西弁と独特の文体とで不思議にさらりと語ってしまっているのが魅力的。

あおい のなかではとくに『みいちゃん』が素敵。

サムのこと は喪失感、みたいなものを感じた。

はっきりとしたものではない、日常に伴う出来事をすごくきれいに、というか、現実的に?なんていうんだろうか、等身大のままを書き出しているところがすごくいい。

登場人物がほんとうに同じ世界に生きていて、どこかでぐでぐで暮らしているんだろうなあ、なんて思ってしまう。

読むと日常がなあんとなく丸くたいせつに思えてくるかんじ。このまんまでもわるくはないか、うん、しあわせだな、そんなふうに。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2005年6月24日に日本でレビュー済み
この本は『あおい』と『サムのこと』の2つの物語が収録されています。
あおいは、主人公のさっちゃんと彼氏のカザマ君の物語。
私はこの本に5つ星を付けましたが、この物語の凄いと思った所はさっちゃんの心の動きを実に人間らしく表現出来ている所です。
この本を読んでるとさっちゃんの気持ちがストレートにひしひしと伝わって来ます。
さっちゃんのカザマ君に対する気持ちだとか、さっちゃんが心の中に抱えてるもの。
一人きりになるとふいに「カザマ君」って口にするさっちゃん。
さっちゃんはいつもカザマ君の事想ってて、ほんとカザマ君の事が好きで好きでたまらないんだって思います。
見ていてどこか心が安らぐ物語。それが『あおい』です。
『サムのこと』はサムと、サムの友達5人の物語。
物語はいきなりサムの通夜から始まります。
こちらも見所はサムを取り巻く5人の仲間達の心の変化。
それぞれがそれぞれにサムの葬儀で何かを感じ、そしてまた日常へ戻っていく。
とても静かな物語で、私は5人が感じた事を的確に表現する事は出来ませんが、なんとなく分かります。
それはきっと私が5人と同じようにサムの死から感じる物があったからだと思います。
『あおい』にしても『サムのこと』にしてもとても人間らしい部分が表現されている話で、私はこの本を読んで、嬉しい涙でも無く、悲しい涙でも無く、心が満たされるようなそんな涙を流しました。
あおいは静かに心が満たされる1冊です。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何だかスッキリしなかった。
2008年12月19日に日本でレビュー済み
著者の名前は以前から耳にしていたが、最近、新聞でインタビューされているのを読んで、何事も包み隠さない感じに新鮮さを覚えて、よし読んでみようという気になり手にしたのが本書である。

デビュー作ということで、若々しさが全編に漂っている。青春時代は、いろんな人が周りに現れ、刺激を受け、成長してゆくものであるが、表題作「あおい」には本当に個性的な人がたくさん登場する。テレビならピー音で消されそうな言葉も臆することなく表現されており、それが何よりも気持ちよい。青春時代はこうでなきゃと思う次第である。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み終わってから気付きました。
これ、西加奈子さんのデビュー作なんですね。
色々読んだ後だと物足りなさを感じますが、やっぱり独特の言い回しが天才的に面白い。

言葉のチョイスがいちいちセンスいい。みいちゃんの着てるTシャツの柄とか。

でも、話自体は煮え切らない感があったので(あえてそこが良いのかもしれませんが、好みの問題です)、星は3つとなりました。

主人公の妊娠のせいか、長い長いPMSの様な情緒不安定を垣間見てるような気分になりました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート