1.雑誌に発表されたまま、一度も単行本に収められていない作品
2.単行本に収録されたものの、まだ文庫化されていない作品
3.文庫化されたが現在品切れのため、書店で入手できない作品
これらの作品が《阿佐田哲也コレクション》として07年10月から隔月刊行されているが、この作品はその第2弾で、前記3.に該当する(単行本は82年、文庫本は85年にそれぞれ講談社から発売)。
様々な経歴を持つ勝負師達の生き様を描いた長篇作品。ルーレット、競輪、競馬、賭けゴルフetc。数多くの種目が登場するが、最終的にはノミ屋(達)と一人の老ギャンブラーの一騎打ちが作品のハイライトとなっている。
阿佐田哲也には、同じように多くのギャンブル種目が登場しつつも最終的にはノミ屋と車券師の一騎打ちの姿を描いた「麻雀狂時代」という作品があるのだが、この作品で描かれた勝負師達の凄味、ギャンブラーとしての矜持をかけた闘いの凄まじさと比較すると、この作品は全体的に「薄味」で物足りなかった感がある。
「麻雀放浪記」をはじめ、阿佐田哲也名義で発表された作品の多くは、角川書店が文庫化しているので、初めて著者の小説を読む方はこちらの方がお奨めだ。この《阿佐田哲也コレクション》はコアなファン向けの企画なのだと思う。
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阿佐田哲也コレクション2 ばいにんぶるーす〔小学館文庫〕 (小学館文庫 あ 10-2 阿佐田哲也コレクション 2) 文庫 – 2007/12/4
阿佐田 哲也
(著)
競輪に惚れ込んで、生きる道を変えた元バンドマンのロッカ。非合法で天下を取りたいと願う非情なノミ屋・和合。元厚生省のお役人・立花。出所間もない大物老ギャンブラー・鉄五郎……。“フリーランサー”として生きる勝負師たちの壮絶な人生模様。競輪、ルーレット、チンチロリン、手本引き、闘犬、さらには“誰が死ぬか”まで、あらゆるギャンブルが登場する。何をおいても賭け続ける男たちの、果てしなき戦いの譜。
- 本の長さ457ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2007/12/4
- ISBN-104094082352
- ISBN-13978-4094082357
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2007/12/4)
- 発売日 : 2007/12/4
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 457ページ
- ISBN-10 : 4094082352
- ISBN-13 : 978-4094082357
- Amazon 売れ筋ランキング: - 316,437位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2008年1月12日に日本でレビュー済み
2008年4月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作品が連載された時期(81年〜82年)を考えると、既に各所で指摘されている通り、初期の作品に見られるような烈しさは影を潜めている。がしかし、登場人物が次々と形を変え様々なバクチに身を投じていく姿は、やはり読んでいて痛烈だ。
この作品は、元バンドマンの若者、ヤクザ者のノミ屋、老ギャンブラーの三人が物語の核をなしているのだが、本の終盤でかなりしつこく筆者の持論(勝ちすぎはいけない、九勝六敗くらいがいい)が老ギャンブラーの口を借りて訥々とバンドマンに語られる。老人には、既に一線を退いた筆者の姿が多分に投影されていることに気づかされる。
確かに筆者自身の姿と作中人物ががダブる作品は過去にもたくさん読んできたけれども、今回は少し違う気がする。突っ走りすぎる若者はバクチで生きていこうとしていた頃の筆者の姿に被るし、ソツなく殺されないノミ屋は麻雀から足を洗い少し遠くから戦いを眺めている頃の筆者の姿に重なってくる。もちろん老ギャンブラーは執筆時の筆者。つまり自分自身を三人(三つの年代の人物)に分けてそれぞれ登場させたのではないかと、読後にふと感じさせられる。
小学館文庫の再刊によって今回このような形で読むことができ、個人的には非常に(再刊されたものに限って言えば今のところ一番)満足している。
この作品は、元バンドマンの若者、ヤクザ者のノミ屋、老ギャンブラーの三人が物語の核をなしているのだが、本の終盤でかなりしつこく筆者の持論(勝ちすぎはいけない、九勝六敗くらいがいい)が老ギャンブラーの口を借りて訥々とバンドマンに語られる。老人には、既に一線を退いた筆者の姿が多分に投影されていることに気づかされる。
確かに筆者自身の姿と作中人物ががダブる作品は過去にもたくさん読んできたけれども、今回は少し違う気がする。突っ走りすぎる若者はバクチで生きていこうとしていた頃の筆者の姿に被るし、ソツなく殺されないノミ屋は麻雀から足を洗い少し遠くから戦いを眺めている頃の筆者の姿に重なってくる。もちろん老ギャンブラーは執筆時の筆者。つまり自分自身を三人(三つの年代の人物)に分けてそれぞれ登場させたのではないかと、読後にふと感じさせられる。
小学館文庫の再刊によって今回このような形で読むことができ、個人的には非常に(再刊されたものに限って言えば今のところ一番)満足している。