1998年の単行本の文庫化。
著者は「日本人であること」とか、「民主主義」とかいったものに疑問を覚え、さまざまに取材をしては問題を提出している文筆家。本書も、ラジオ体操というものに全体主義の匂いを感じて準備されたようだが、実際には全体主義的傾向とはまったく逆の事実が浮かび上がってきたというもの。非常に痛快かつ説得的で、最高に面白い。
現代でも、早朝の放送に合わせ、毎日ラジオ体操にいそしむ老人たちがいる。その数およそ1000万人。これは戦前の全体主義の名残ではないのか。高橋氏は疑いを抱き、老人たちにインタビューしてまわり、またラジオ体操の歴史を克明に調べ上げた。その結果として明らかになったのは、ラジオ体操がむしろ軍国主義には取り込まれない、体操のための体操であったという事実である。ラジオ体操は身体の規律化の道具ではなかったのである。
こうした事実が、ラジオ体操をつくった人々へのインタビューや調査から浮かび上がり、また現在のラジオ体操老人の意識へと重ね合わされていく。ユーモアたっぷりの語り口調はラジオ体操というテーマと絶妙にマッチして、時のたつのを忘れ読みふけってしまった。
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素晴らしきラジオ体操 (小学館文庫 Y た- 12-1) 文庫 – 2002/8/1
高橋 秀実
(著)
日本人の身体に刻み込まれたラジオ体操の動きとリズム。6分26秒のドラマに秘められた謎を追った面白本。
音楽を聞けば、自然と体が動き出す、「ラジオ体操」。夏休みの風物詩としても定着していますが、なぜ、日本人に親しまれるようになったのか、意外と知られていません。著者は、三年の歳月をかけて、ラジオ体操の誕生から現代までの変遷を貴重な証言を元に追跡。また、毎日、ラジオ体操を続けている「ラジオ体操人」にインタビューを敢行します。本書はそこから「昭和」という時代と日本人の素顔を見事に描き出すユニークな文化論です。
音楽を聞けば、自然と体が動き出す、「ラジオ体操」。夏休みの風物詩としても定着していますが、なぜ、日本人に親しまれるようになったのか、意外と知られていません。著者は、三年の歳月をかけて、ラジオ体操の誕生から現代までの変遷を貴重な証言を元に追跡。また、毎日、ラジオ体操を続けている「ラジオ体操人」にインタビューを敢行します。本書はそこから「昭和」という時代と日本人の素顔を見事に描き出すユニークな文化論です。
- 本の長さ264ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2002/8/1
- ISBN-104094181016
- ISBN-13978-4094181012
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2002/8/1)
- 発売日 : 2002/8/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 264ページ
- ISBN-10 : 4094181016
- ISBN-13 : 978-4094181012
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,073,513位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2020年9月28日に日本でレビュー済み
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コロナ禍の中で、ラジオ体操が見直されています。このルポは、面白いです。
2013年11月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ラジオ体操の沿革というか背景をも知ることができてよかったです。ラジオ体操だけでなく、この本も素晴らしいです。
2016年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本人には当たり前のラジオ体操。子供と老人がやるもので、戦後から始まったものと勝手に思っていました。しかし意外にもそのルーツから説き起こしていきます。こんなにラジオ体操には劇的なドラマがあったんだと驚かされました。とても読みやすいしおもしろい。ラジオ体操が今までと違ったものに見えること請け合いです。こんな本があっただろうか。
2014年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
詳しすぎて、詳しく知りたい人には良いかもしれませんが、さらっと知りたい時間のない人には人には読むのが大変かな?
2009年7月31日に日本でレビュー済み
「なぜ毎日ラジオ体操をするのか」
「ラジオ体操だから」
ここを読んだ時に、本書を買ってよかったと思いました。
「ラジオ体操はやるものである」というテーゼの根拠のなさに、まったく気がついていなかった自分に気がついたからです。
全部まじめにやっても大した運動にならないのに、なぜかやれば体にいい、と刷り込まれていたラジオ体操。
小学校の低学年から「やるもの」と決まっていて、何の疑問も持たずに律儀にこなし、大人になって自分はやらなくなっても、子供にはやはり「やるもの」として夏休みになると律儀に行かせていました。
作者の疑問は、このラジオ体操が、かつての軍国主義の名残ではないかというもの。
しかし調査をしていくと、それとはまったく反対の真実が浮かび上がってくる。
そして現在のラジオ体操が成立するまでの、長く、深く、静かな戦いが、我々の前に明らかにされていきます。
あたりまえに存在するものの裏に、こんなに様々な事実がかくされていたなんて!
日本人なら一読の価値はあり、です。
「ラジオ体操だから」
ここを読んだ時に、本書を買ってよかったと思いました。
「ラジオ体操はやるものである」というテーゼの根拠のなさに、まったく気がついていなかった自分に気がついたからです。
全部まじめにやっても大した運動にならないのに、なぜかやれば体にいい、と刷り込まれていたラジオ体操。
小学校の低学年から「やるもの」と決まっていて、何の疑問も持たずに律儀にこなし、大人になって自分はやらなくなっても、子供にはやはり「やるもの」として夏休みになると律儀に行かせていました。
作者の疑問は、このラジオ体操が、かつての軍国主義の名残ではないかというもの。
しかし調査をしていくと、それとはまったく反対の真実が浮かび上がってくる。
そして現在のラジオ体操が成立するまでの、長く、深く、静かな戦いが、我々の前に明らかにされていきます。
あたりまえに存在するものの裏に、こんなに様々な事実がかくされていたなんて!
日本人なら一読の価値はあり、です。
2013年9月11日に日本でレビュー済み
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改めて見直したところも有り
ラジオ体操している方は一度参考にすべき
ラジオ体操している方は一度参考にすべき
2003年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者は海外のとある新興宗教団体で,
全体の動きがばらばらなのが気になってならなかったことから,
日本人の全体性をラジオ体操から解き明かそうとします。
戦前,戦中,戦後のそれぞれでラジオ体操に対する理由付けがころころ変わるところなど,さもありなんでした。
面白い本ですが,作者の視線も何となく楽しげで好感がもてますが,
まぁそこはラジオ体操,熱狂的にはまりはしません。
全体の動きがばらばらなのが気になってならなかったことから,
日本人の全体性をラジオ体操から解き明かそうとします。
戦前,戦中,戦後のそれぞれでラジオ体操に対する理由付けがころころ変わるところなど,さもありなんでした。
面白い本ですが,作者の視線も何となく楽しげで好感がもてますが,
まぁそこはラジオ体操,熱狂的にはまりはしません。