勝手な自分のイメージですが、ライトノベルというのはもっとハチャメチャでコミカルなものと勘違いしておりましたので、そのイメージとは一風違った印象の、少しストレンジな異色作と思いました。文章はとても端正で読みやすく、展開もミステリー的に後引く感じで読めます。多少ハードボイルド(?)で風変わりな趣向がお好きなら、合うかなあと。
ひとくちにいうと、人間の性(さが)というものを描いた話なのかなあと…。あと、善悪正義平等不平等とか関係なく進んでいく現実の世界ってものの淡々とした有様というか…そういうものを描いているような。
自分の浅ましさや醜さなど一生認識することもなく、さも善人のように生きているヒドい人間が世の中をうまく渡り歩いてしまったりもするし、まあ努力した人が成功することもあるし失敗することもあるし、それぞれどうなるかなんてわかんないんですが、世の中って意地悪で皮肉なもんだよね〜みたいな、「いるよなあ…こういう人」「あるよなあ…こういうの」という場面がたくさんありました。
私もこの作品の主人公の水葉のように、どちらかというと他人と接触するのが苦手で、周囲に気を遣いながら処世術を身につけていった中学生だったので、その頃の社会と自分との距離への戸惑い感覚などを読んでいて思い出しました。
あと、いじめられっ子の遼介が書いたという「僕は誰を、どんな人を友達と呼べばいいのか分からない。呼んでいいのかも分からない。…」という小論文の一節も、いまだ解けてない謎ではあるので(まあ今更そんなに気にして生きてませんが)考えさせられました。
あとは、ディームス先生や、要という如何わしげな職業の男(自称フリーランサー)などの大人キャラが特に魅力的で味わい深いです。その人らの持ち物など本筋と関係のないところで、著者の趣向が伺えるようなマニアックな事象が所見されます。
最後も期待してたような殺戮的展開(?)はないのですが、落ち着いた終わり方ではあったし、主人公の少女の独白にかすかな希望を味わえたかなあという感じです。
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ストレンジボイス (ガガガ文庫 え 1-1) 文庫 – 2010/1/19
日々希に虐められすぎて不登校になっていた遼介が、卒業式にやって来るらしい。
日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。
他人のすべてを知りたいという欲求にあらがえない私は遼介の部屋を訪ねる。そこで出会った遼介は、
赤の他人と見紛うばかりに鍛えあげた体で、禍々しい形に削りだしたバットを私に突きつけた。
「全員殴り殺してやる」。私は、心待ちにしている。遼介が復讐を遂げに現れる瞬間を───。
癒やされることのない心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル!!
日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。
他人のすべてを知りたいという欲求にあらがえない私は遼介の部屋を訪ねる。そこで出会った遼介は、
赤の他人と見紛うばかりに鍛えあげた体で、禍々しい形に削りだしたバットを私に突きつけた。
「全員殴り殺してやる」。私は、心待ちにしている。遼介が復讐を遂げに現れる瞬間を───。
癒やされることのない心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル!!
- 本の長さ248ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2010/1/19
- ISBN-104094511857
- ISBN-13978-4094511857
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2010/1/19)
- 発売日 : 2010/1/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 248ページ
- ISBN-10 : 4094511857
- ISBN-13 : 978-4094511857
- Amazon 売れ筋ランキング: - 384,312位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2011年2月23日に日本でレビュー済み
オチがない上に
宣伝文句と全然違う
結局誰も殺されないし、
最後もしらけた
宣伝文句と全然違う
結局誰も殺されないし、
最後もしらけた
2010年11月28日に日本でレビュー済み
3人の少年と、1人の少女の話。
この作品には、のび太もジャイアンもスネ夫もいますが、
ドラえもんはいません。(しずちゃんが主人公)
敢えて言うなら、先生がドラえもんでしょうか。投げやりですが。
成長した彼らが、自己のあり方からブレーキを外してグロテスクなまでに増大させたら、
こんな現実が待っているのかも知れないと、
そんな事を思わせる作品でした。
主人公達を包む環境は砂漠のように荒廃した人間関係で、
救いもないですが、ことさらに悪意に満ちているわけでもなく、
「そうなるからそうなるんだ。これは大人の事情だ」
と言わんばかりに、突き放した現実だけがあります。
のび太はイジめられても泣きつく相手はいないし、
ジャイアンは教室の中ではボスでいられても、教室の外にでれば剣呑なガキでしかありません。
スネ夫はのび太がいなくなれば次の餌食は自分でしかないわけで。
ドラえもんが描かれた時代と、今の時代で、
何が違うのか。
それが、この作品を読むと少し判る気がします。
科学が切り開く明るい未来を予期できるか、
それが、二つの時代の違いだという気がします。
だから、『先生』は未来への夢を語る代わりに、しずちゃんにこの時代の生き残り方を教えたのだと思いました。
この作品には、のび太もジャイアンもスネ夫もいますが、
ドラえもんはいません。(しずちゃんが主人公)
敢えて言うなら、先生がドラえもんでしょうか。投げやりですが。
成長した彼らが、自己のあり方からブレーキを外してグロテスクなまでに増大させたら、
こんな現実が待っているのかも知れないと、
そんな事を思わせる作品でした。
主人公達を包む環境は砂漠のように荒廃した人間関係で、
救いもないですが、ことさらに悪意に満ちているわけでもなく、
「そうなるからそうなるんだ。これは大人の事情だ」
と言わんばかりに、突き放した現実だけがあります。
のび太はイジめられても泣きつく相手はいないし、
ジャイアンは教室の中ではボスでいられても、教室の外にでれば剣呑なガキでしかありません。
スネ夫はのび太がいなくなれば次の餌食は自分でしかないわけで。
ドラえもんが描かれた時代と、今の時代で、
何が違うのか。
それが、この作品を読むと少し判る気がします。
科学が切り開く明るい未来を予期できるか、
それが、二つの時代の違いだという気がします。
だから、『先生』は未来への夢を語る代わりに、しずちゃんにこの時代の生き残り方を教えたのだと思いました。
2012年3月10日に日本でレビュー済み
個人的にこのレーベルの文庫でこのタイプの作品に
出会うといつもこう思う。
これだからガガガ文庫は侮れない、と。
なんと尖った作風であるコトか。
イタい少年少女達(異端者)の青春ものを出させると
突出してこの文庫は読める作品が多い。
作者の作品は初めてだがまだまだ居るのかねぇ。
とは言え、万人にはオススメできるモノでもないのは確か。
何より救いがない。
こんなの青春真っ只中の若者に読ませるべきではないのではないか。
とすら思ったり、どうでも良かったり。
作品的には読者の期待する
カタルシスもカタストロフィもなく肩透かしを感じたのは確か。
苛められッ子の暴走を、苛めっ子の末路を、
そこから生まれる結末を期待したのに全てを放り出した作品
なのだろう。人生思ったようにはいかないよ、と。
しかし、惹かれる作品なのは確かだ。
作者の他作品をこれから読んでみようと思う。
出会うといつもこう思う。
これだからガガガ文庫は侮れない、と。
なんと尖った作風であるコトか。
イタい少年少女達(異端者)の青春ものを出させると
突出してこの文庫は読める作品が多い。
作者の作品は初めてだがまだまだ居るのかねぇ。
とは言え、万人にはオススメできるモノでもないのは確か。
何より救いがない。
こんなの青春真っ只中の若者に読ませるべきではないのではないか。
とすら思ったり、どうでも良かったり。
作品的には読者の期待する
カタルシスもカタストロフィもなく肩透かしを感じたのは確か。
苛められッ子の暴走を、苛めっ子の末路を、
そこから生まれる結末を期待したのに全てを放り出した作品
なのだろう。人生思ったようにはいかないよ、と。
しかし、惹かれる作品なのは確かだ。
作者の他作品をこれから読んでみようと思う。
2010年2月26日に日本でレビュー済み
偽りというのはちょっと乱暴かもしれませんが、宣伝文から得られる印象とはかなり異なる作品です。
確かに広義の意味で「サバイバル」ノベルなのでしょうけれど、作中にアクションやバイオレンス要素はまるきり存在しません。
いやバイオレンス要素は、無いと言ったら嘘になります。あるにはあります。それなりにどぎついのが。ただこれも、普通に『バイオレンスな小説』と評したときに期待されるものとは、まったく違っているような。
強いて言うならこの小説は、「青春群像劇」なのでしょう。これはこれで、どこが青春なんだと怒られそうな紹介ですけれど。
あるいはサイコノベル。超常的ではない意味での、心の揺らぎを描いた小説。
好き嫌いの大きく別れる小説かと思われますが、私は非常に気に入りました。
限りなく厭世的でありながらそれでもどこか前向きな心情を綴った作風は、ブギーポップ(電撃文庫)の初期シリーズに通ずるところがあるかもしれません。もしくは主人公をより暗くした麻生俊平(ザンヤルマの剣士やミュートスノート戦記/富士見ファンタジア)。
また最近のタイトルなら、川原礫(アクセル・ワールドやソード・アートシリーズ/電撃文庫)の作品にも「ある意味では」近いかと。
上のタイトルなり作者名なりにピンと来る方は、騙されたと思って読んでみて下さい。読後、やっぱり騙されたと後悔するかもしれませんが。
確かに広義の意味で「サバイバル」ノベルなのでしょうけれど、作中にアクションやバイオレンス要素はまるきり存在しません。
いやバイオレンス要素は、無いと言ったら嘘になります。あるにはあります。それなりにどぎついのが。ただこれも、普通に『バイオレンスな小説』と評したときに期待されるものとは、まったく違っているような。
強いて言うならこの小説は、「青春群像劇」なのでしょう。これはこれで、どこが青春なんだと怒られそうな紹介ですけれど。
あるいはサイコノベル。超常的ではない意味での、心の揺らぎを描いた小説。
好き嫌いの大きく別れる小説かと思われますが、私は非常に気に入りました。
限りなく厭世的でありながらそれでもどこか前向きな心情を綴った作風は、ブギーポップ(電撃文庫)の初期シリーズに通ずるところがあるかもしれません。もしくは主人公をより暗くした麻生俊平(ザンヤルマの剣士やミュートスノート戦記/富士見ファンタジア)。
また最近のタイトルなら、川原礫(アクセル・ワールドやソード・アートシリーズ/電撃文庫)の作品にも「ある意味では」近いかと。
上のタイトルなり作者名なりにピンと来る方は、騙されたと思って読んでみて下さい。読後、やっぱり騙されたと後悔するかもしれませんが。
2021年7月6日に日本でレビュー済み
言い回しが鼻につくのは何故でしょうね?
どこから面白くなるかなーと読み進めても、一向に面白くなる気配はなし。
どこから面白くなるかなーと読み進めても、一向に面白くなる気配はなし。
2012年2月26日に日本でレビュー済み
薄暗い雰囲気の作品が読みたくなり、積んであった中から抽出した一冊
いきなりオチから言ってしまえばここまで見事な「放り投げ」も中々お目にかかれない
主役の問題児三人がどん詰まりに至り、大人たちも彼らを救おうとせず傍観を決め込む
端役に過ぎない小物が一人勝者になっただけで誰も救われない
希望も何もないまま
「必死で努力しても人生の収支がせいぜいゼロになるだけで、何もしなければマイナスが増えるだけ」
という砂を噛むような世界を生きるしかない登場人物に共有された人生観が実に苦々しい
オチが無い、という批判はこの作品には当てはまらない。何故ならそんなオチを認めてしまったら
人生が楽になってしまうからだ。人生にはオチなんて逃げ道は無いのだから。
いきなりオチから言ってしまえばここまで見事な「放り投げ」も中々お目にかかれない
主役の問題児三人がどん詰まりに至り、大人たちも彼らを救おうとせず傍観を決め込む
端役に過ぎない小物が一人勝者になっただけで誰も救われない
希望も何もないまま
「必死で努力しても人生の収支がせいぜいゼロになるだけで、何もしなければマイナスが増えるだけ」
という砂を噛むような世界を生きるしかない登場人物に共有された人生観が実に苦々しい
オチが無い、という批判はこの作品には当てはまらない。何故ならそんなオチを認めてしまったら
人生が楽になってしまうからだ。人生にはオチなんて逃げ道は無いのだから。
2013年2月9日に日本でレビュー済み
「法律や、常識。道徳。そういうものをあえて無視して利益を得る人間もいるんだろう。あたしは、違う。そういうものを無視して、漸くプラスマイナスゼロ。従っていたらマイナスにしかならない。」
「普通」'「異端」、「強者」'「弱者」という四つの軸が人にはあって、この物語に登場する三人の中学生は、「異端」な「弱者」なのだと思います。「強い」'「弱い」は、単純な体の強さではなく、「賢い」'「愚か」と言い換えた方が良いかもしれません。人が社会で生きていくためには、「普通」か「強者」か、どちらかの軸が必須で、「異端」な「弱者」は虐げられ、壊されるしかない。自分は「普通」になれないと悟った主人公は「強者」となることを決意しますが、先に待つのは、きっと茨の道でしょう。非常に非情なお話ですが、出来事・描写の一つ一つにきちんと意味が込められており、テーマを伝えるための構成もしっかり考え抜かれている、素晴らしい小説だと思います。「いじめ」なんてありがちなテーマだ!と仰る方もおられるかもしれませんが、この作品では「いじめ」はテーマを語る上での装置に過ぎないと感じます。いわゆる社会の縮図というやつでしょうか。
ただ、ライトノベル=エンターテインメントとすれば、傑作とは言えないかもしれません。萌えもなければ、バイオレンスもありません。結末も投げっぱなしに見えるのかもしれません。あまりにも読者を選ぶ、という点で星を一つ減らしましたが、個人的には、あれ以上完璧な収束のさせ方はないと思います。「サバイバルノベル」という惹句も、社会の中で、異端者がどう「生き残っていくか」の物語だと思えばピッタリなんですが、若い世代が普通に想像するのはバトルロイヤルでしょうから、批判されるのも無理はないかもしれません。ただ(偏見かもしれませんが)、ライトノベルを好んで読む人には、教室の隅っこで一人お弁当を食べているような、いわゆる「陰キャラ」が多いのではないでしょうか。そうした、自分を普段から弱者として位置づけている人にとっては、非常に考えさせられるものがあるでしょうし、若い人なら人生の指南書にさえなり得るかもしれません。登場する大人キャラは二人とも、ある意味立派な「人生の」教師ですし。
売れないだろうけど、作者にはこれからもライトノベルで頑張っていって欲しい…と思っていたのですが、最近星海社で連載を開始されたようですね。一般小説の方へシフトしていくのでしょうか、それはそれで、残念な気もします。
「普通」'「異端」、「強者」'「弱者」という四つの軸が人にはあって、この物語に登場する三人の中学生は、「異端」な「弱者」なのだと思います。「強い」'「弱い」は、単純な体の強さではなく、「賢い」'「愚か」と言い換えた方が良いかもしれません。人が社会で生きていくためには、「普通」か「強者」か、どちらかの軸が必須で、「異端」な「弱者」は虐げられ、壊されるしかない。自分は「普通」になれないと悟った主人公は「強者」となることを決意しますが、先に待つのは、きっと茨の道でしょう。非常に非情なお話ですが、出来事・描写の一つ一つにきちんと意味が込められており、テーマを伝えるための構成もしっかり考え抜かれている、素晴らしい小説だと思います。「いじめ」なんてありがちなテーマだ!と仰る方もおられるかもしれませんが、この作品では「いじめ」はテーマを語る上での装置に過ぎないと感じます。いわゆる社会の縮図というやつでしょうか。
ただ、ライトノベル=エンターテインメントとすれば、傑作とは言えないかもしれません。萌えもなければ、バイオレンスもありません。結末も投げっぱなしに見えるのかもしれません。あまりにも読者を選ぶ、という点で星を一つ減らしましたが、個人的には、あれ以上完璧な収束のさせ方はないと思います。「サバイバルノベル」という惹句も、社会の中で、異端者がどう「生き残っていくか」の物語だと思えばピッタリなんですが、若い世代が普通に想像するのはバトルロイヤルでしょうから、批判されるのも無理はないかもしれません。ただ(偏見かもしれませんが)、ライトノベルを好んで読む人には、教室の隅っこで一人お弁当を食べているような、いわゆる「陰キャラ」が多いのではないでしょうか。そうした、自分を普段から弱者として位置づけている人にとっては、非常に考えさせられるものがあるでしょうし、若い人なら人生の指南書にさえなり得るかもしれません。登場する大人キャラは二人とも、ある意味立派な「人生の」教師ですし。
売れないだろうけど、作者にはこれからもライトノベルで頑張っていって欲しい…と思っていたのですが、最近星海社で連載を開始されたようですね。一般小説の方へシフトしていくのでしょうか、それはそれで、残念な気もします。