何回読み直しても解らないことがある。まるで作者に「あなただったらどうする?」と問いかけられている様。一つ解っても新しく解らない事が湧き出す。なのに四巻の冒頭、絵籐知恵のモノローグ、これを見た時にはなるほど理解出来たと思わされた。
この本の完結まで読んでも、真名が何故死んだのか、淳子がどう関わっていたのか書いてはいない。ましてや四巻が終わってから時系列的にそれより後の一巻冒頭のシーンにどう辿り着くのかそれも全く解らない。
台詞一つに、挿絵一つにどう解釈したらよいのか想像が膨らむばかり。なぜ二人が愛し合ったのか、いだく気持ちは恋とか愛とかで括ってしまってよいのか、どんな心情なら心と体を求め合いながら相手に喉を差し出せるのか。誰が何をどのように考えているのかを活字を拾いながらいちいち考えないとならない有様。
ただ、私達は彼女たちがお互いをどれだけ(好き.愛してる.必要.求める...すみません、一言で表す言葉が見つかりません)で、どんな風に愛し合ったかを知ることが出来る。扇情的で、たよう様なインモラルな雰囲気の中、なのに清楚さを芯に残した彼女たち。最後の挿絵はその表情が色々なことを教えてくれる。
「本当に」と言わなくて良いところに嘘偽りのない心が在って、きっと「君が僕を」の後には言葉ではなく行動で示すお互いの気持ちが続くのかもしれない。
数年に一度は読み返してみて、その時々に自分がどう解釈をするかが楽しみ。理解出来たと思っても次に読んだ時にはぐるりと反対の事を考えるかも知れない。そんな読み方を将来してみたい。たぶん、どう読むかを考えるというのも、作者の問いの一つではないのだろうか。
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君が僕を 4 (ガガガ文庫) 文庫 – 2010/8/18
将来なにになりたい?
- 本の長さ232ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2010/8/18
- ISBN-104094512217
- ISBN-13978-4094512212
登録情報
- 出版社 : 小学館 (2010/8/18)
- 発売日 : 2010/8/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 232ページ
- ISBN-10 : 4094512217
- ISBN-13 : 978-4094512212
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,451,692位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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2009年、『どろぼうの名人』で小学館ライトノベル大賞ガガガ部門佳作受賞
1990年代から「百合」の概念を提唱し、普及に努めてきた
ブログ http://kaoriha.org/nikki/
現在、電子書籍アプリとして『完全人型』を配信中 http://kaoriha.org/kanzenhitogata/
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
3グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年9月9日に日本でレビュー済み
一巻からシリーズの完結編である四巻まで読み終えて、何かを掴み取る事が出来るかもしれないと意気込んで
ここまで自分の読解能力の乏しさを容赦なく突き付けられる羽目になるとは…もう、ぐうの音も出ない位の完敗です
物語は「恵まれさん」として過ごす時期が終わり、恵まれ講も解散、当然縁に代わって真名の執事という立場を得た
淳子が再び真名との関係を前に「私は真名の何になりたいのか?」と突き付けられることに…
淳子の父親に「将来何になりたい?」と問われて「いいえ」と「何かになる事」を拒否した真名の答えが、この作品の
「どうしようもない掴みどころの無さ」の正体だったのかな、と思わされました。モラトリアムにも似ているが何か違う
でもその違いが何かと聞かれても答えようがない。自らの在り方を確定しようとしない真名との関係を模索しようとして
答えが返ってこないことが分かっている問いを発し続けた淳子の独り相撲は必然だったのではないだろうか?
同時にこの物語から何かを掴み取ろうとして「なにも掴めない、掴みどころがない」と嘆き続けた小生も淳子と同じ
独り相撲を取らされていたような、そんな気がしてならない
答えを求めていない問い、答えが返ってくることを期待していない問い、そういう「空」に向かって発し続ける問いを
繰り返し続けることでいつか、この物語を読み返した時に何かを掴めるようになるんだろうか?
少なくとも今の自分に何かを掴むことは出来なかった。だからこれは敗北宣言であってレビューではないのである
ここまで自分の読解能力の乏しさを容赦なく突き付けられる羽目になるとは…もう、ぐうの音も出ない位の完敗です
物語は「恵まれさん」として過ごす時期が終わり、恵まれ講も解散、当然縁に代わって真名の執事という立場を得た
淳子が再び真名との関係を前に「私は真名の何になりたいのか?」と突き付けられることに…
淳子の父親に「将来何になりたい?」と問われて「いいえ」と「何かになる事」を拒否した真名の答えが、この作品の
「どうしようもない掴みどころの無さ」の正体だったのかな、と思わされました。モラトリアムにも似ているが何か違う
でもその違いが何かと聞かれても答えようがない。自らの在り方を確定しようとしない真名との関係を模索しようとして
答えが返ってこないことが分かっている問いを発し続けた淳子の独り相撲は必然だったのではないだろうか?
同時にこの物語から何かを掴み取ろうとして「なにも掴めない、掴みどころがない」と嘆き続けた小生も淳子と同じ
独り相撲を取らされていたような、そんな気がしてならない
答えを求めていない問い、答えが返ってくることを期待していない問い、そういう「空」に向かって発し続ける問いを
繰り返し続けることでいつか、この物語を読み返した時に何かを掴めるようになるんだろうか?
少なくとも今の自分に何かを掴むことは出来なかった。だからこれは敗北宣言であってレビューではないのである