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新編日本古典文学全集 (28) 夜の寝覚 単行本 – 1996/8/22
鈴木 一雄
(著)
夫や肉親との軋轢に思い悩む女主人公の姿を描く、平安朝文学の傑作。
「夜の寝覚」の伝本は、現在、完全な形では存在せず、すべて中間と末尾に大きな欠落部分を持っている。そのため我々はこの作品の半分以下しか読むことができず、それが多くの読者を得ずに、作品の知名度を低くしている。しかし実際には、作者(菅原孝標の娘説が有力)の、主人公における女の業の追及と克明な心理描写によって、平安後期の物語の傑作とされ、専門家の評価は高い。 姉の婚約者・中納言と宿命的な関係となり、懐妊する女主人公・中の君は、姉と反目し合い苦悩するが、その後結婚した老関白とは死別し、遺児を守る未亡人となり、現実に目覚めて強い女に成長する。しかし中の君に執拗に言い寄る中納言、また帝の積極的な横恋慕、さらに周囲の女性たちの嫉妬も加わり、日夜煩悶する。そして、中の君の生霊が中納言の妻を苦しめる事件も起り、苦悩の末に出家を志すが、それも子ゆえに果たされない。恋愛の苦しみ、女性の苦しみ、母の苦しみ、そして男女を超えた人間の苦しみと、書名のとおり、寝覚めては苦悩に陥る中の君の様子が綿々と描かれる。欠落部分の内容も様々に推測されて、興味をかきたてる異色の作品である。 本作品研究の第一人者による克明で平易な注釈と、こなれた現代語訳が備わっていて、古典文を親しみやすいものにしている。
「夜の寝覚」の伝本は、現在、完全な形では存在せず、すべて中間と末尾に大きな欠落部分を持っている。そのため我々はこの作品の半分以下しか読むことができず、それが多くの読者を得ずに、作品の知名度を低くしている。しかし実際には、作者(菅原孝標の娘説が有力)の、主人公における女の業の追及と克明な心理描写によって、平安後期の物語の傑作とされ、専門家の評価は高い。 姉の婚約者・中納言と宿命的な関係となり、懐妊する女主人公・中の君は、姉と反目し合い苦悩するが、その後結婚した老関白とは死別し、遺児を守る未亡人となり、現実に目覚めて強い女に成長する。しかし中の君に執拗に言い寄る中納言、また帝の積極的な横恋慕、さらに周囲の女性たちの嫉妬も加わり、日夜煩悶する。そして、中の君の生霊が中納言の妻を苦しめる事件も起り、苦悩の末に出家を志すが、それも子ゆえに果たされない。恋愛の苦しみ、女性の苦しみ、母の苦しみ、そして男女を超えた人間の苦しみと、書名のとおり、寝覚めては苦悩に陥る中の君の様子が綿々と描かれる。欠落部分の内容も様々に推測されて、興味をかきたてる異色の作品である。 本作品研究の第一人者による克明で平易な注釈と、こなれた現代語訳が備わっていて、古典文を親しみやすいものにしている。
- 本の長さ621ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日1996/8/22
- ISBN-104096580287
- ISBN-13978-4096580288
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商品の説明
出版社からのコメント
姉の夫、中納言と許されぬ関係に陥った女主人公・中の君は、親や姉との間柄で日夜思い悩み、やがて出家を志すが、それも子供のために果たされない。宮廷女性の精神の葛藤と生きざまを描く、王朝物語の傑作。
登録情報
- 出版社 : 小学館 (1996/8/22)
- 発売日 : 1996/8/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 621ページ
- ISBN-10 : 4096580287
- ISBN-13 : 978-4096580288
- Amazon 売れ筋ランキング: - 558,669位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 145位日本文学の全集・選書
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新品と同じ雰囲気で、たいへん良い。内容は、真ん中に古文が、下に現代語訳が、上に脚注・解説がある。下の現代語訳は、ちょっと、邪魔な解説語句が入るが、わかりやすくて、古文を読んでも、訳文を読んでも、それなりに楽しめる。
2020年2月26日に日本でレビュー済み
● 全ての巻は残っておらず、現存する五つの巻について、上段に注釈、中段に句読点振り仮名付きの古文、下段に現代語訳、という形式で、各巻それぞれ100ページ余りが収められている。今に残されていない巻の内容を色々な文献から推定した内容を、その欠落部分である、巻二と巻三の間、巻五の後に補っているので、全体を通した筋書きがわかるようになっている。
● 解説には、推定される作者として更級日記の菅原孝標女などのこと、関連の深い源氏物語の紫の上とこの物語の女主人公との比較などが記されている。
● 巻末に、登場人物の関連図が3ページにわたる系図で示されており、これをしばしばみながら読む。物語の進行を記す年表も役に立つ。他に、官位の表や、平安京の地図、大内裏図などの付録も。
● 物語は、巻一のごく初めの方で、読者には関白の長男中納言と太政大臣の次女中の君という最高の家柄と知らされている男女主人公の事件が起きる。方違いで別の家に仮に移っている女主人公たちが楽器を演奏する姿を、ちょうど近所の乳母の家に来ていた中納言が、例によって覗き見して、この上なく感動して忍び込み、十六歳のワナナク少女中の君を無理やり我がものにする。このとき、この家が身分の高くない地方官の家だと知っていた中納言は、この少女がここの家の娘だと軽く思い、その娘と道で出会って歌を交わしたというウワサのあった別の男の名をカタッて帰る。
● この互いに相手の身分素性を誤解したままの一件が後を引く。男主人公である中納言は太政大臣の長女大君と結婚し、女主人公である次女の中の君が中納言の子をはらむ。しかし、しばらくはお互いに相手が誰か分かっていない。知るのは読者のみ。このサスペンスが読者を引っ張っていく。
● やがて互いをわかる時が来るが、姉の婿殿、最高位の太政大臣の長女である妻の妹、という恐ろしい事実が明らかになったということで、双方の悩みは大きくなる。産月が近づき周囲をごまかしきれぬ時期が来る。というところで巻一は終わり、さらに次の巻に読者は引っ張られる。
● 巻二は一年程度の話、中の君から生まれた姫君が中納言の親の関白邸に引取られ、母親不明のまま慈しみ育てられる。ウワサは大君の知る所となり、婿中納言が妹の中の君に接近しようとする気配は、同じ屋敷に住む以上、注意すれば発覚する。結婚前の事件だったなどの真相は不明のまま、大君側の恨みは増していく。
● 本書の巻二と巻三の間には八年の空白があり、その間を記述した何巻かは、残念なことに失われているという。本書では、後巻の回想記述や、無名草子の評言などを参考にして、この空白を推定して概略を示している。
● 現代のスリラーのようなスジの運び方に驚いた。また男主人公の心理、自己中心の考え方と行動、嘆き悩んで寝台から出てこない中の君の周りの人物のうち、いつもそばにつきそう従姉妹で最初の夜も一緒に琴を弾いていてワケを知っている女性が、悩みつつも秘密裏に対策を講ずるために兄の僧侶や中の君の次兄らを引き込んでいく人物の輪の拡大、一方、事情を知らない大君すなわち中納言の妻や二人の父親の太政大臣や長兄の心配の動きなどを、対照的に記す描写も作者の力量を感じて興味深い。
● まだ全体を読んでいないが、この上さまざまな悲喜劇があり、これまでは泣いて伏せってばかりいた女主人公中の君が、その後の波乱の出来事の中で成長して行く姿が描かれるらしい。御期待、できそう。
● 解説には、推定される作者として更級日記の菅原孝標女などのこと、関連の深い源氏物語の紫の上とこの物語の女主人公との比較などが記されている。
● 巻末に、登場人物の関連図が3ページにわたる系図で示されており、これをしばしばみながら読む。物語の進行を記す年表も役に立つ。他に、官位の表や、平安京の地図、大内裏図などの付録も。
● 物語は、巻一のごく初めの方で、読者には関白の長男中納言と太政大臣の次女中の君という最高の家柄と知らされている男女主人公の事件が起きる。方違いで別の家に仮に移っている女主人公たちが楽器を演奏する姿を、ちょうど近所の乳母の家に来ていた中納言が、例によって覗き見して、この上なく感動して忍び込み、十六歳のワナナク少女中の君を無理やり我がものにする。このとき、この家が身分の高くない地方官の家だと知っていた中納言は、この少女がここの家の娘だと軽く思い、その娘と道で出会って歌を交わしたというウワサのあった別の男の名をカタッて帰る。
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● 巻二は一年程度の話、中の君から生まれた姫君が中納言の親の関白邸に引取られ、母親不明のまま慈しみ育てられる。ウワサは大君の知る所となり、婿中納言が妹の中の君に接近しようとする気配は、同じ屋敷に住む以上、注意すれば発覚する。結婚前の事件だったなどの真相は不明のまま、大君側の恨みは増していく。
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● まだ全体を読んでいないが、この上さまざまな悲喜劇があり、これまでは泣いて伏せってばかりいた女主人公中の君が、その後の波乱の出来事の中で成長して行く姿が描かれるらしい。御期待、できそう。