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掌の小説 (新潮文庫) 文庫 – 1971/3/17
川端 康成
(著)
三頁の奇跡。残酷なのに、歪んでいるのに、儚いのに、世界はこんなにも美しい。至高の掌編小説集。
唯一の肉親である祖父の火葬を扱った自伝的な「骨拾い」、町へ売られていく娘が母親の情けで恋人のバス運転手と一夜を過す「有難う」など、豊富な詩情と清新でデリケートな感覚、そしてあくまで非情な人生観によって独自な作風を打ち立てた著者の、その詩情のしたたりとも言うべき“掌編小説"122編を収録した。若い日から四十余年にわたって書き続けられた、川端文学の精華である。
【目次】
骨拾い
男と女と荷車
日向
弱き器
火に行く彼女
鋸と出産
バッタと鈴虫
時計
指環
髪
金糸雀
港
写真
白い花
敵
月
落日
死顔の出来事
屋根の下の貞操
人間の足音
海
二十年
硝子
お信地蔵
滑り岩
有難う
万歳
胡頽子盗人
玉台
夏の靴
母
雀の媒酌
子の立場
心中
竜宮の乙姫
処女の祈り
冬近し
霊柩車
一人の幸福
神います
帽子事件
合掌
屋上の金魚
金銭の道
朝の爪
女
恐しい愛
歴史
馬美人
百合
処女作の祟り
駿河の令嬢
神の骨
夜店の微笑
夫人の探偵
門松を焚く
盲目と少女
母国語の祈祷
故郷
母の眼
三等待合室
叩く子
秋の雷
家庭
時雨の駅
貧者の恋人
笑わぬ男
士族
質屋にて
黒牡丹
日本人アンナ
雪隠成仏
離婚の子
顕微鏡怪談
踊子旅風俗
望遠鏡と電話
鶏と踊子
化粧の天使達
白粉とガソリン
縛られた夫
舞踊靴
楽屋の乳房
眠り癖
雨傘
喧嘩
顔
化粧
妹の着物
死面
舞踊会の夜
眉から
藤の花と苺
秋風の女房
愛犬安産
ざくろ
十七歳
わかめ
小切
さと
水
五拾銭銀貨
さざん花
紅梅
足袋
かけす
夏と冬
笹舟
卵
滝
蛇
秋の雨
手紙
隣人
木の上
乗馬服
かささぎ
不死
月下美人
地
白馬
雪
めずらしい人
解説:吉村貞司
川端康成(1899-1972)
大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
唯一の肉親である祖父の火葬を扱った自伝的な「骨拾い」、町へ売られていく娘が母親の情けで恋人のバス運転手と一夜を過す「有難う」など、豊富な詩情と清新でデリケートな感覚、そしてあくまで非情な人生観によって独自な作風を打ち立てた著者の、その詩情のしたたりとも言うべき“掌編小説"122編を収録した。若い日から四十余年にわたって書き続けられた、川端文学の精華である。
【目次】
骨拾い
男と女と荷車
日向
弱き器
火に行く彼女
鋸と出産
バッタと鈴虫
時計
指環
髪
金糸雀
港
写真
白い花
敵
月
落日
死顔の出来事
屋根の下の貞操
人間の足音
海
二十年
硝子
お信地蔵
滑り岩
有難う
万歳
胡頽子盗人
玉台
夏の靴
母
雀の媒酌
子の立場
心中
竜宮の乙姫
処女の祈り
冬近し
霊柩車
一人の幸福
神います
帽子事件
合掌
屋上の金魚
金銭の道
朝の爪
女
恐しい愛
歴史
馬美人
百合
処女作の祟り
駿河の令嬢
神の骨
夜店の微笑
夫人の探偵
門松を焚く
盲目と少女
母国語の祈祷
故郷
母の眼
三等待合室
叩く子
秋の雷
家庭
時雨の駅
貧者の恋人
笑わぬ男
士族
質屋にて
黒牡丹
日本人アンナ
雪隠成仏
離婚の子
顕微鏡怪談
踊子旅風俗
望遠鏡と電話
鶏と踊子
化粧の天使達
白粉とガソリン
縛られた夫
舞踊靴
楽屋の乳房
眠り癖
雨傘
喧嘩
顔
化粧
妹の着物
死面
舞踊会の夜
眉から
藤の花と苺
秋風の女房
愛犬安産
ざくろ
十七歳
わかめ
小切
さと
水
五拾銭銀貨
さざん花
紅梅
足袋
かけす
夏と冬
笹舟
卵
滝
蛇
秋の雨
手紙
隣人
木の上
乗馬服
かささぎ
不死
月下美人
地
白馬
雪
めずらしい人
解説:吉村貞司
川端康成(1899-1972)
大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
- ISBN-104101001057
- ISBN-13978-4101001050
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1971/3/17
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ656ページ
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出版社より
雪国 | 伊豆の踊子 | 愛する人達 | 掌の小説 | 舞姫 | 山の音 | |
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価格 | ¥1¥1 | ¥1,050¥1,050 | ¥539¥539 | — | — | ¥1¥1 |
【新潮文庫】川端康成 作品 | 雪に埋もれた温泉町で、芸者駒子と出会った島村──ひとりの男の透徹した意識に映し出される女の美しさを、抒情豊かに描く名作。 | 伊豆の旅に出た旧制高校生の私は、途中で会った旅芸人一座の清純な踊子に孤独な心を温かく解きほぐされる──表題作など4編。 | 円熟期の著者が、人生に対する限りない愛情をもって筆をとった名作集。秘かに愛を育てる娘ごころを描く「母の初恋」など9編を収録。 | 優れた抒情性と鋭く研ぎすまされた感覚で、独自な作風を形成した著者が、四十余年にわたって書き続けた「掌の小説」122編を収録。 | 敗戦後、経済状態の逼迫に従って、徐々に崩壊していく”家”を背景に、愛情ではなく嫌悪で結ばれている舞踊家一家の悲劇をえぐる。 | 得体の知れない山の音を、死の予告のように怖れる老人を通して、日本の家がもつ重苦しさや悲しさ、家に住む人間の心の襞を捉える。〈野間文芸賞受賞〉 |
女であること | 虹いくたび | みずうみ | 名人 | 眠れる美女 | 古都 | |
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価格 | ¥1,100¥1,100 | ¥649¥649 | ¥69¥69 | ¥61¥61 | ¥572¥572 | ¥25¥25 |
恋愛に心奥の業火を燃やす二人の若い女を中心に、女であることのさまざまな行動や心理葛藤を描いて女の妖しさを見事に照らし出す。 | 建築家水原の三人の娘はそれぞれ母が違う。みやびやかな京風俗を背景に、琵琶湖の水面に浮ぶはかない虹のような三姉妹の愛を描く。 | 教え子と恋愛事件を引き起こして学校を追われた元教師の、女性に対する暗い情念を描き出し、幽艶な非現実の世界を展開する異色作。 | 悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊引退碁を実際に観戦した著者が、その緊迫したドラマを克明に写し出す。 | 前後不覚に眠る裸形の美女を横たえ、周囲に真紅のビロードをめぐらす一室は、老人たちの秘密の逸楽の館であった──表題作等3編。〈毎日出版文化賞受賞〉 | 捨子という出生の秘密に悩む京の商家の一人娘千重子は、北山杉の村で瓜二つの苗子を知る。ふたご姉妹のゆらめく愛のさざ波を描く。 |
千羽鶴 | 川端康成・三島由紀夫 往復書簡 | 川端康成初恋小説集 | 少年 | |
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価格 | ¥649¥649 | ¥605¥605 | ¥737¥737 | ¥539¥539 |
志野茶碗が呼び起こす感触と幻想を地模様に、亡き情人の息子に妖しく惹かれる中年女性を超現実的な美の世界に描く。続編「波千鳥」併録。 | 「小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です」三島由紀夫は、川端康成に後事を託した。恐るべき文学者の魂の対話。 | 新発見書簡にメディア騒然!若き文豪が心奪われた少女・伊藤初代。「伊豆の踊子」の原点となった運命的な恋の物語を一冊に集成。 | 彼の指を、腕を、胸を、唇を愛着していた……。旧制中学の寄宿舎での「少年愛」を描き、川端文学の核に触れる知られざる名編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1971/3/17)
- 発売日 : 1971/3/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 656ページ
- ISBN-10 : 4101001057
- ISBN-13 : 978-4101001050
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 26,611位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1899-1972)1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。
一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行、旅芸人の一行と知り合う。以降約10年間毎年、伊豆湯ヶ島湯本館に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋でガス自殺を遂げた。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
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2021年11月19日に日本でレビュー済み
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川端康成の「掌の小説」は、以前から気になっていた小説であり、一度は全編読んでみたいと思っていたが、このたびCDの朗読で聴くことができた。ストーリーは妖しい美しさを放つのもあり、哀愁を奏でるものもあり、川端文学の美学を充分に味わうことのできる珠玉の短編集である。一度聴いただけでは、その意味するところがはっきり理解できないのも、如何にも川端文学らしい。朗読の声がしっとりしていて、しかも情感溢れる美声なので思わず引き込まれてしまう。何度でも聴き返したくなる良いCDだと思う。
2019年10月25日に日本でレビュー済み
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映画「ありがとうさん」の原作を読みたく購入。ほんの数ページでした。(笑い)映画は素晴らしかった。戦前の映画では傑作に入ります。社会世相をうかがうには最適です。朝鮮人労働者が溶け込んでいるような様子がみえました。これも一部だったのでしょう。
2016年9月24日に日本でレビュー済み
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川端の作家としての比類なき力量に、圧倒される短編集。
いまだかつて、これほどの感性、これほどの筆力を持った作家が日本に存在したであろうか。。。
川端康成、というと「大家」・ 「ノーベル賞作家」 といった、定型文言で形容されることが多いのだが、
この短編集では、その作家としての 絢爛たる才能が 読者の目前に、挑むように迫ってくる。
鮮烈であり、有る意味で 身震いする恐ろしさすら覚えるほどの インパクトを秘めた短編集だ。
「伊豆の踊子」、「雪国」、「美しい日本の私」 は読んだことがあるが、他の作品は ・ ・ ・ という方に。
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いまだかつて、これほどの感性、これほどの筆力を持った作家が日本に存在したであろうか。。。
川端康成、というと「大家」・ 「ノーベル賞作家」 といった、定型文言で形容されることが多いのだが、
この短編集では、その作家としての 絢爛たる才能が 読者の目前に、挑むように迫ってくる。
鮮烈であり、有る意味で 身震いする恐ろしさすら覚えるほどの インパクトを秘めた短編集だ。
「伊豆の踊子」、「雪国」、「美しい日本の私」 は読んだことがあるが、他の作品は ・ ・ ・ という方に。
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2019年4月2日に日本でレビュー済み
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普通の作家ならば引き延ばして中編や長編にしてしまうような作品を惜しげもなく
さらりとした掌編にまとめています。
文体はみずみずしく同時代や現代の作家に比べても非常に読みやすいです。
誰にでも読める平易な文章でここまで表現できるのは驚きです。
一つ読み終えるごとに胸が詰まりページをめくる手が止まり、
思っていたよりも読み終えるのに時間がかかりました。
川端文学へ手を出す最初の一冊にもおすすめです。
さらりとした掌編にまとめています。
文体はみずみずしく同時代や現代の作家に比べても非常に読みやすいです。
誰にでも読める平易な文章でここまで表現できるのは驚きです。
一つ読み終えるごとに胸が詰まりページをめくる手が止まり、
思っていたよりも読み終えるのに時間がかかりました。
川端文学へ手を出す最初の一冊にもおすすめです。
2014年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「掌」と書いて、「てのひら」と読みます。
そんな、掌に載るほどの、10ページに満たないショートストーリーばかりを122編収録したのが、本書です。
この諸作は、著者が20代の頃から40余年の長きにわたって書き続けられてきたもの。
本書を手に取ったのには、理由があります。
私の好きな作家、梶井基次郎の短編に、「川端康成第四短編集『心中』を主題とせるヴァリエイション」という作品があり、もとの「心中」はどんな作品かと、その作品の載っている本書を読んでみることにしました。
──そんなわけで、最初に途中に収録されていた「心中」を読んでみたのですが、この一編だけで終えることはなく、結局、収録作全編を読了した次第です。
川端康成は特にお気に入りというわけではないのですが、人間の本質や人生を取り巻く環境の断片を見事に切り取り、時には抒情的に、時には幻想的に、場合によっては突き放すような形で描き、どの作品も、独自の作品世界が展開しているように感じました。
122編すべての感想を載せることはできず、順位づけもできないので、「心中」以外で印象に残った10作品を本書での掲載順に、ひとことコメント付きで掲載します。
【人間の足音】
病院を退院した男の脳裏には、様々な人間の両足が浮かんでくる。そこには、ある理由が隠されていた…。
【竜宮の乙姫】
乙姫の由来を昔話形式で語る女。彼女が最後に発した一言とは。
【霊柩車】
亡くなった義妹。遺影には、葬式に来ない愛人との写真が使われた。愛人の部分を黒いリボンで隠して。そこには、兄の企みがあった…。
【合掌】
花嫁の寝姿に合掌する夫。目を覚ましていた妻は、死人でもないのに、と嫌悪感を表すが…。
【百合】
主人公、百合子は、愛の対象と同じになりたいと、常に願っていた。そんな彼女が行き着く先は…。
【母国語の祈祷】
母国語は、その人の最後の瞬間まで離れることのないもの。主人公は、別れた女性の母国語(に相当するもの)を探る。
【日本人アンナ】
すりの天才であるロシア人の少女の物語。巻末解説でも取り上げられ、評価の高い作品。
【雨傘】
写真屋で写真を撮ってもらった、少年と少女。ふたりに起きた心的な変化とは。
【化粧】
斎場の隣に住む主人公。斎場の化粧室で化粧する女性をしばしば目にするが、ある日のこと──。
【さざん花】
終戦間もなく起きたベビーブーム。主人公の身辺でも増えるお産に、「生」への不思議感が去来する。
そんな、掌に載るほどの、10ページに満たないショートストーリーばかりを122編収録したのが、本書です。
この諸作は、著者が20代の頃から40余年の長きにわたって書き続けられてきたもの。
本書を手に取ったのには、理由があります。
私の好きな作家、梶井基次郎の短編に、「川端康成第四短編集『心中』を主題とせるヴァリエイション」という作品があり、もとの「心中」はどんな作品かと、その作品の載っている本書を読んでみることにしました。
──そんなわけで、最初に途中に収録されていた「心中」を読んでみたのですが、この一編だけで終えることはなく、結局、収録作全編を読了した次第です。
川端康成は特にお気に入りというわけではないのですが、人間の本質や人生を取り巻く環境の断片を見事に切り取り、時には抒情的に、時には幻想的に、場合によっては突き放すような形で描き、どの作品も、独自の作品世界が展開しているように感じました。
122編すべての感想を載せることはできず、順位づけもできないので、「心中」以外で印象に残った10作品を本書での掲載順に、ひとことコメント付きで掲載します。
【人間の足音】
病院を退院した男の脳裏には、様々な人間の両足が浮かんでくる。そこには、ある理由が隠されていた…。
【竜宮の乙姫】
乙姫の由来を昔話形式で語る女。彼女が最後に発した一言とは。
【霊柩車】
亡くなった義妹。遺影には、葬式に来ない愛人との写真が使われた。愛人の部分を黒いリボンで隠して。そこには、兄の企みがあった…。
【合掌】
花嫁の寝姿に合掌する夫。目を覚ましていた妻は、死人でもないのに、と嫌悪感を表すが…。
【百合】
主人公、百合子は、愛の対象と同じになりたいと、常に願っていた。そんな彼女が行き着く先は…。
【母国語の祈祷】
母国語は、その人の最後の瞬間まで離れることのないもの。主人公は、別れた女性の母国語(に相当するもの)を探る。
【日本人アンナ】
すりの天才であるロシア人の少女の物語。巻末解説でも取り上げられ、評価の高い作品。
【雨傘】
写真屋で写真を撮ってもらった、少年と少女。ふたりに起きた心的な変化とは。
【化粧】
斎場の隣に住む主人公。斎場の化粧室で化粧する女性をしばしば目にするが、ある日のこと──。
【さざん花】
終戦間もなく起きたベビーブーム。主人公の身辺でも増えるお産に、「生」への不思議感が去来する。
2021年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「掌の小説」にkindle版がないので久しぶりに、書籍版を購入したが、印字の小ささには疲れを感じる。 アマゾンには大変感謝しています。 最近、旧天城トンネルあたりを散歩し、伊豆の温泉を楽しんでいます。 これからも川端文学の短編小説の世界を楽しんでいきたい思います。