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名人 (新潮文庫) 文庫 – 1962/9/7
川端 康成
(著)
新聞に観戦記を連載した川端が、名人の死を経て二十年後に完成させた「鎮魂歌」。
悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊の引退碁は名人の病気のため再三中断、半年にわたって行われた。この対局を観戦した著者が、烏鷺の争いの緊迫した劇にうたれ、「一芸に執して、現実の多くを失った人の悲劇」を描く。
盤上の一手一手が、終局に向って収斂されてゆくように、ひたすら“死"への傾斜を辿る痩躯の名人の姿を、冷徹な筆で綴る珠玉の名作。
本文より
名人は熱海へ一月の十五日に来て、十八日に死んだ。まるで死にに来たかのようであった。私は十六日に名人を宿へたずねて将棋を二局指した。そして夕方、私が帰ると間もなく、名人は急に悪くなった。名人の好きな将棋も、私と指したのが最後であった。私は秀哉名人の最後の勝負碁(引退碁)の観戦記を書き、名人の最後の将棋の相手をし、名人の最後の顔(死顔)の写真をうつしたわけであった。
本書「解説」より
名人は地獄の人のようだ、と氏は言っている。勝負の世界は修羅道である。川端氏は名人の神韻縹渺(しんいんひょうびょう)とした風格も、その反面のあらゆる人間的弱点も、冷静な眼で見逃してはいない。反面に大竹七段の現世的・合理的、ある点ではその「芝居気」さえある生活態度も、またその碁風の「地底からのし上って来るような、息を殺しておいて叫び出すような、重苦しい印象」も、見落しはしない。
――山本健吉(文芸評論家)
川端康成(1899-1972)
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊の引退碁は名人の病気のため再三中断、半年にわたって行われた。この対局を観戦した著者が、烏鷺の争いの緊迫した劇にうたれ、「一芸に執して、現実の多くを失った人の悲劇」を描く。
盤上の一手一手が、終局に向って収斂されてゆくように、ひたすら“死"への傾斜を辿る痩躯の名人の姿を、冷徹な筆で綴る珠玉の名作。
本文より
名人は熱海へ一月の十五日に来て、十八日に死んだ。まるで死にに来たかのようであった。私は十六日に名人を宿へたずねて将棋を二局指した。そして夕方、私が帰ると間もなく、名人は急に悪くなった。名人の好きな将棋も、私と指したのが最後であった。私は秀哉名人の最後の勝負碁(引退碁)の観戦記を書き、名人の最後の将棋の相手をし、名人の最後の顔(死顔)の写真をうつしたわけであった。
本書「解説」より
名人は地獄の人のようだ、と氏は言っている。勝負の世界は修羅道である。川端氏は名人の神韻縹渺(しんいんひょうびょう)とした風格も、その反面のあらゆる人間的弱点も、冷静な眼で見逃してはいない。反面に大竹七段の現世的・合理的、ある点ではその「芝居気」さえある生活態度も、またその碁風の「地底からのし上って来るような、息を殺しておいて叫び出すような、重苦しい印象」も、見落しはしない。
――山本健吉(文芸評論家)
川端康成(1899-1972)
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
- 本の長さ176ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1962/9/7
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101001197
- ISBN-13978-4101001197
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出版社より
雪国 | 伊豆の踊子 | 愛する人達 | 掌の小説 | 舞姫 | 山の音 | |
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価格 | ¥1¥1 | ¥1,050¥1,050 | ¥539¥539 | — | — | ¥1¥1 |
【新潮文庫】川端康成 作品 | 雪に埋もれた温泉町で、芸者駒子と出会った島村──ひとりの男の透徹した意識に映し出される女の美しさを、抒情豊かに描く名作。 | 伊豆の旅に出た旧制高校生の私は、途中で会った旅芸人一座の清純な踊子に孤独な心を温かく解きほぐされる──表題作など4編。 | 円熟期の著者が、人生に対する限りない愛情をもって筆をとった名作集。秘かに愛を育てる娘ごころを描く「母の初恋」など9編を収録。 | 優れた抒情性と鋭く研ぎすまされた感覚で、独自な作風を形成した著者が、四十余年にわたって書き続けた「掌の小説」122編を収録。 | 敗戦後、経済状態の逼迫に従って、徐々に崩壊していく”家”を背景に、愛情ではなく嫌悪で結ばれている舞踊家一家の悲劇をえぐる。 | 得体の知れない山の音を、死の予告のように怖れる老人を通して、日本の家がもつ重苦しさや悲しさ、家に住む人間の心の襞を捉える。〈野間文芸賞受賞〉 |
女であること | 虹いくたび | みずうみ | 名人 | 眠れる美女 | 古都 | |
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価格 | ¥1,100¥1,100 | ¥649¥649 | ¥39¥39 | ¥61¥61 | ¥572¥572 | ¥25¥25 |
恋愛に心奥の業火を燃やす二人の若い女を中心に、女であることのさまざまな行動や心理葛藤を描いて女の妖しさを見事に照らし出す。 | 建築家水原の三人の娘はそれぞれ母が違う。みやびやかな京風俗を背景に、琵琶湖の水面に浮ぶはかない虹のような三姉妹の愛を描く。 | 教え子と恋愛事件を引き起こして学校を追われた元教師の、女性に対する暗い情念を描き出し、幽艶な非現実の世界を展開する異色作。 | 悟達の本因坊秀哉名人に、勝負の鬼大竹七段が挑む……本因坊引退碁を実際に観戦した著者が、その緊迫したドラマを克明に写し出す。 | 前後不覚に眠る裸形の美女を横たえ、周囲に真紅のビロードをめぐらす一室は、老人たちの秘密の逸楽の館であった──表題作等3編。〈毎日出版文化賞受賞〉 | 捨子という出生の秘密に悩む京の商家の一人娘千重子は、北山杉の村で瓜二つの苗子を知る。ふたご姉妹のゆらめく愛のさざ波を描く。 |
千羽鶴 | 川端康成・三島由紀夫 往復書簡 | 川端康成初恋小説集 | 少年 | |
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価格 | ¥649¥649 | ¥605¥605 | ¥737¥737 | ¥539¥539 |
志野茶碗が呼び起こす感触と幻想を地模様に、亡き情人の息子に妖しく惹かれる中年女性を超現実的な美の世界に描く。続編「波千鳥」併録。 | 「小生が怖れるのは死ではなくて、死後の家族の名誉です」三島由紀夫は、川端康成に後事を託した。恐るべき文学者の魂の対話。 | 新発見書簡にメディア騒然!若き文豪が心奪われた少女・伊藤初代。「伊豆の踊子」の原点となった運命的な恋の物語を一冊に集成。 | 彼の指を、腕を、胸を、唇を愛着していた……。旧制中学の寄宿舎での「少年愛」を描き、川端文学の核に触れる知られざる名編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1962/9/7)
- 発売日 : 1962/9/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 176ページ
- ISBN-10 : 4101001197
- ISBN-13 : 978-4101001197
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 400,416位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1899-1972)1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。
一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行、旅芸人の一行と知り合う。以降約10年間毎年、伊豆湯ヶ島湯本館に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋でガス自殺を遂げた。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
川端康成の小説は難しくて読んでもよくわからないんですが、この名人は人物名は偽名ですがノンフィクションで読ませてくれます。著者も囲碁に造詣が深いのがわかり、また著者の格調高い文章はさすがです。
2014年7月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プロ棋士の勝負に対する心構えに凄さを感じる。臨場感あふれる情景描写が素晴らしい。
囲碁フアンみんなに読んでほしい。
囲碁フアンみんなに読んでほしい。
2012年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
囲碁が 棋道としてあった時代の(最後の家元)とも言える 名人の引退碁を
川端康成氏が 観戦記を書かれて それが小説になっていたとは・・・
知らずに居たのが、お恥ずかしい限りです。
木谷 実さん・呉清源さんなどを従えた「名人」の 道を究めた姿勢が深く伝わってきます。
きっと 世間知らずで我が侭で「勝負師」というより「求道師」だったのでしょう・・
こういう文化を育てた「日本」を 大事にしたいと思います。
棋譜を並べて「勉強」します・・・
川端康成氏が 観戦記を書かれて それが小説になっていたとは・・・
知らずに居たのが、お恥ずかしい限りです。
木谷 実さん・呉清源さんなどを従えた「名人」の 道を究めた姿勢が深く伝わってきます。
きっと 世間知らずで我が侭で「勝負師」というより「求道師」だったのでしょう・・
こういう文化を育てた「日本」を 大事にしたいと思います。
棋譜を並べて「勉強」します・・・
2019年4月25日に日本でレビュー済み
囲碁愛好家の私は文句なしに★5個。
しかし、誰が読んでも★5個ではないだろう。
なぜなら、本書は囲碁の対局の内容にまで深く踏み込んで描写しており、囲碁を知らない人には理解できないであろう表現が多数見受けられるからだ。
本書を堪能するには、ある程度囲碁のルールや囲碁用語、囲碁史をおさえておいた方がよいと思う。
例えば、本書にたびたび登場する呉清源という人物。
この人物は実在の人物で、2014年に100歳で亡くなった。
囲碁を嗜む人なら呉清源を知らない人はいない。
呉清源がどれだけ偉大で、囲碁史においてどれだけ重要な人物だったかを知っている。
呉清源の開発した定石や新手は数知れず。20世紀の囲碁界において最重要人物だと言っても過言ではない。
しかし、囲碁を知らない人は呉清源と言われてもピンとこないであろう。
特に説明もなく本書に何度も登場するが、囲碁界においてどういうポジションの人物かを理解してないと、
「この人はどういう人なんだろう?」
っていうまま終わってしまうだろう。
囲碁を知らない人にはちょっときつい小説かなという気はする。
巻末にこの対局の棋譜が載っているのだが、私はそれを見て碁盤に並べてみるといった事も何度もした。
名人が激怒した一手とか、敗着となった一手とかを味わい深く鑑賞しながら再読したりした。
小説を楽しむだけでなく、棋譜並べをしてこの対局を楽しむ事もできる。
そういう楽しみも囲碁を知らないとできないと思う。
川端康成というビッグネームが書いた小説だけに文学的価値も高いのだろうが、囲碁史研究の上でも極めて史料的価値の高い重要文献であろう。
一囲碁ファンとして、本書を書いてくれた事を深く感謝したい。
しかし、誰が読んでも★5個ではないだろう。
なぜなら、本書は囲碁の対局の内容にまで深く踏み込んで描写しており、囲碁を知らない人には理解できないであろう表現が多数見受けられるからだ。
本書を堪能するには、ある程度囲碁のルールや囲碁用語、囲碁史をおさえておいた方がよいと思う。
例えば、本書にたびたび登場する呉清源という人物。
この人物は実在の人物で、2014年に100歳で亡くなった。
囲碁を嗜む人なら呉清源を知らない人はいない。
呉清源がどれだけ偉大で、囲碁史においてどれだけ重要な人物だったかを知っている。
呉清源の開発した定石や新手は数知れず。20世紀の囲碁界において最重要人物だと言っても過言ではない。
しかし、囲碁を知らない人は呉清源と言われてもピンとこないであろう。
特に説明もなく本書に何度も登場するが、囲碁界においてどういうポジションの人物かを理解してないと、
「この人はどういう人なんだろう?」
っていうまま終わってしまうだろう。
囲碁を知らない人にはちょっときつい小説かなという気はする。
巻末にこの対局の棋譜が載っているのだが、私はそれを見て碁盤に並べてみるといった事も何度もした。
名人が激怒した一手とか、敗着となった一手とかを味わい深く鑑賞しながら再読したりした。
小説を楽しむだけでなく、棋譜並べをしてこの対局を楽しむ事もできる。
そういう楽しみも囲碁を知らないとできないと思う。
川端康成というビッグネームが書いた小説だけに文学的価値も高いのだろうが、囲碁史研究の上でも極めて史料的価値の高い重要文献であろう。
一囲碁ファンとして、本書を書いてくれた事を深く感謝したい。
2020年10月9日に日本でレビュー済み
囲碁の小説なので、対局者が小説の中心なのだが、とても酷いものだった。
まず、名人については、ぼんやりとして何を考えているのか分からない。
相手の大竹は、対局条件をめぐって駄々をこねる幼稚な人物としか印象を受けない。
最後に、語り手が対局を拒否し続ける大竹を説得する場面になっては、語り手だけがもちあげられて、鼻白むしかなかった。
小説で名前を変えているとはいえ、木谷實は迷惑を被ったと思う。
実際は、「木谷道場と七十人の子どもたち」の中でも引退碁にふれられているが、名人の体調を気遣って対局を拒んだのではないか。
折角の歴史的対局を取り上げるのだから、囲碁の内容から小説を動かしてほしかった。
まず、名人については、ぼんやりとして何を考えているのか分からない。
相手の大竹は、対局条件をめぐって駄々をこねる幼稚な人物としか印象を受けない。
最後に、語り手が対局を拒否し続ける大竹を説得する場面になっては、語り手だけがもちあげられて、鼻白むしかなかった。
小説で名前を変えているとはいえ、木谷實は迷惑を被ったと思う。
実際は、「木谷道場と七十人の子どもたち」の中でも引退碁にふれられているが、名人の体調を気遣って対局を拒んだのではないか。
折角の歴史的対局を取り上げるのだから、囲碁の内容から小説を動かしてほしかった。
2014年3月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは、囲碁好きにはたまらない本だろう。思わず一気に読んでしまいました。記録としても役に立つ、と思います。
2021年4月21日に日本でレビュー済み
.
川端康成の透徹した観察眼が、輝きをみせる作品である。
不敗の名人である秀哉の引退碁における敗戦を、繊細に、
しかし温かい筆致で伝えている。
勝負を通して、人間を描く川端の筆の冴えが光る名作と
評し得よう。
川端康成の透徹した観察眼が、輝きをみせる作品である。
不敗の名人である秀哉の引退碁における敗戦を、繊細に、
しかし温かい筆致で伝えている。
勝負を通して、人間を描く川端の筆の冴えが光る名作と
評し得よう。
2016年12月23日に日本でレビュー済み
昭和初期本因坊秀哉(最後の家元)と木谷實七段との引退碁観戦記。
1938年、64歳の秀哉は病気がちなのを理由に現役引退を表明、リーグ戦を勝ち抜いた若手・木谷實(本作では大竹)を相手に引退碁を打つことになった。持ち時間40時間、封じ手制。6月に開始された対局は20回の打ち掛けをはさみ、途中秀哉の入院などもあり終局まで打ち通せるか危ぶまれるが、12月4日終局。木谷の5目勝ち。
川端は対局の観戦記を担当した。勝負の経緯、特に中盤から終盤にかけての勝負どころを呉清源の解説も交じえながら事細かに描く。両対局者とその家族の生活ぶりや筆者との交流、関係者が現代ならとても許されない両者のわがままぶりに右往左往する様も描かれる。秀哉は終局から間もなくして死去、川端は死に顔の写真撮影も頼まれる。
大部分は観戦記風の記述、普通の小説ではない。囲碁ファンなら楽しく読めるはずだが、非ファンなら退屈な部分もある。
7ケ月(!)にわたる対局、一日数手しか進まぬこともしばしば、現代ではとても考えられぬ大らかさだ。
無駄のない自然な文章はさすが大家を感じさせる。
テエブル・クロオス(テーブルクロース)等、”―”をすべて”オ”に入れ替えているのが古風な愛嬌を感じさせた。
1938年、64歳の秀哉は病気がちなのを理由に現役引退を表明、リーグ戦を勝ち抜いた若手・木谷實(本作では大竹)を相手に引退碁を打つことになった。持ち時間40時間、封じ手制。6月に開始された対局は20回の打ち掛けをはさみ、途中秀哉の入院などもあり終局まで打ち通せるか危ぶまれるが、12月4日終局。木谷の5目勝ち。
川端は対局の観戦記を担当した。勝負の経緯、特に中盤から終盤にかけての勝負どころを呉清源の解説も交じえながら事細かに描く。両対局者とその家族の生活ぶりや筆者との交流、関係者が現代ならとても許されない両者のわがままぶりに右往左往する様も描かれる。秀哉は終局から間もなくして死去、川端は死に顔の写真撮影も頼まれる。
大部分は観戦記風の記述、普通の小説ではない。囲碁ファンなら楽しく読めるはずだが、非ファンなら退屈な部分もある。
7ケ月(!)にわたる対局、一日数手しか進まぬこともしばしば、現代ではとても考えられぬ大らかさだ。
無駄のない自然な文章はさすが大家を感じさせる。
テエブル・クロオス(テーブルクロース)等、”―”をすべて”オ”に入れ替えているのが古風な愛嬌を感じさせた。