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細雪(中) (新潮文庫) 文庫 – 1955/11/1

4.3 5つ星のうち4.3 157個の評価
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神戸の大水害で一命をとりとめた四女・妙子。が、新たな悩みが。
時の流れの中であでやかに変転する四つの人生。

雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。
巻末に用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。

本文より
と、今度は反対側の廊下の方で潮騒のようなざわめきが聞えて、今弘少年が這入って来た戸口から水が室内へ流れ込んで来た。
扉を中から締めたぐらいでは直ぐに開けられてしまうので、三人の体で暫く押さえつけていたが、それでもどしん、どしん、と、戸を叩き割るように打(ぶ)つかって来る。三人は協力して、テーブルや椅子などで突っかい棒をして堰き止めていたが、やがて、安楽椅子を戸の内側へぺったり寄せつけてその上に胡坐(あぐら)を搔(か)いて頑張っていた弘少年が、「やあ」と大声で笑い出した。と云うのは、忽ち戸が開いて、安楽椅子が、坐っている少年ぐるみ浮き上ったのであった。……(本書91ページ)

谷崎潤一郎(1886-1965)
東京・日本橋生れ。東大国文科中退。在学中より創作を始め、同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊。同誌に発表した「刺青」などの作品が高く評価され作家に。当初は西欧的なスタイルを好んだが、関東大震災を機に関西へ移り住んだこともあって、次第に純日本的なものへの指向を強め、伝統的な日本語による美しい文体を確立するに至る。1949(昭和24)年、文化勲章受章。主な作品に『痴人の愛』『春琴抄』『卍』『細雪』『陰翳礼讃』など。
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  1. 本の長さ
    416ページ
  2. 言語
    日本語
  3. 出版社
    新潮社
  4. 発売日
    1955/11/1
  5. 寸法
    14.8 x 10.5 x 2 cm
  6. ISBN-10
    4101005133
  7. ISBN-13
    978-4101005133
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鍵・瘋癲老人日記 陰翳礼讃・文章読本
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (1955/11/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1955/11/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 416ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101005133
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101005133
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 157個の評価

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　ことにも直ぐ注射し合った。そして、少し体の調子が悪いと、ヴィタミンＢ
　欠乏のせいにしたが、誰が言い出したのかそのことを「Ｂ足らん」と名づけて
　いた。・・・

　脚気の原因については陸軍と海軍のあいだで長いあいだに渡る大論争が
ありました。陸軍では、脚気の原因として森鴎外らの細菌説が長い間支配的で、
結局それが大間違いでビタミンＢ１不足が真の原因であることがわかったのが
1913年。細雪の舞台は1938年（昭和13年）前後だから、このころまでには早くも
上流社会にはベタキシン（ビタミンB1）が家庭内に浸透し、しかも栄養剤がわりに
（気分をすっきりさせるために）気楽に注射し合っていたことがわかります。
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読むのにかなり時間がかかる。上巻と違って若干シリアスなシーンが続く。兵庫地方に大雨が降っていろんなところが増水、家の中は天井まで水に浸かってさながらハリウッド映画のよう。そんな中でも鶴子の東京ストーリーが中々面白い。雪子曰く、東京は、大阪に比べて住みづらくて埃っぽくざわざわしていて白っちゃけている、という（現代の私もほぼ同意できる）結局、姉妹の婚活は終わらない。この時代は本家だの後家だの今の時代とはちょっと違った煩わしさがあり、時代は戦争だが、そんな雰囲気は全く感じないマイペースさが面白い。
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2015年11月2日に日本でレビュー済み
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この人の日本語は本当にうつくしいですね。

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2015年8月14日に日本でレビュー済み
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古い本ではありますが「女性」を上から目線で見る当時の作家が多かったのに対して谷崎作品はそうではないのでとても勉強になります。
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