タイトルにもなっている後期の傑作ヴィヨンの妻を筆頭に秀作ぞろいです
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ヴィヨンの妻 (新潮文庫) 文庫 – 1950/12/22
太宰 治
(著)
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購入オプションとあわせ買い
新生への希望と、戦争を経験しても毫も変らぬ現実への絶望感との間を揺れ動きながら、命がけで新しい倫理を求めようとした晩年の文学的総決算ともいえる代表的短編集。
家庭のエゴイズムを憎悪しつつ、新しい家庭への夢を文学へと完璧に昇華させた表題作、ほか「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」、
いずれも死の予感に彩られた作品である。
目次
親友交歓
トカトントン
父
母
ヴィヨンの妻
おさん
家庭の幸福
桜桃
解説 亀井勝一郎
本書収録「ヴィヨンの妻」より
どこへ行こうというあてもなく、駅のほうに歩いて行って、駅の前の露店で飴を買い、坊やにしゃぶらせて、それから、ふと思いついて吉祥寺までの切符を買って電車に乗り、吊皮にぶらさがって何気なく電車の天井にぶらさがっているポスターを見ますと、夫の名が出ていました。それは雑誌の広告で、夫はその雑誌に「フランソワ・ヴィヨン」という題の長い論文を発表している様子でした。私はそのフランソワ・ヴィヨンという題と夫の名前を見つめているうちに、なぜだかわかりませぬけれども、とてもつらい涙がわいて出て、ポスターが霞んで見えなくなりました。(126ぺージ)
本書「解説」より
(本書収録八編の)この中で『家庭の幸福』一編は死後発表となっているが、制作の日は『桜桃』とほぼ同時期であろう。文字どおり晩年の代表的短編である。『親友交歓』はおそらく疎開中の構造で、それまで太宰の小説の一特色とも云えるユーモア、明るさが出ているが、『トカトントン』から『父』以下の諸作になると一様に翳がさして、それも一作毎に暗さが増して、やがて彼の死の予感を告げるような作品ばかりである。
――亀井勝一郎(評論家)
太宰治(1909-1948)
青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
家庭のエゴイズムを憎悪しつつ、新しい家庭への夢を文学へと完璧に昇華させた表題作、ほか「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」、
いずれも死の予感に彩られた作品である。
目次
親友交歓
トカトントン
父
母
ヴィヨンの妻
おさん
家庭の幸福
桜桃
解説 亀井勝一郎
本書収録「ヴィヨンの妻」より
どこへ行こうというあてもなく、駅のほうに歩いて行って、駅の前の露店で飴を買い、坊やにしゃぶらせて、それから、ふと思いついて吉祥寺までの切符を買って電車に乗り、吊皮にぶらさがって何気なく電車の天井にぶらさがっているポスターを見ますと、夫の名が出ていました。それは雑誌の広告で、夫はその雑誌に「フランソワ・ヴィヨン」という題の長い論文を発表している様子でした。私はそのフランソワ・ヴィヨンという題と夫の名前を見つめているうちに、なぜだかわかりませぬけれども、とてもつらい涙がわいて出て、ポスターが霞んで見えなくなりました。(126ぺージ)
本書「解説」より
(本書収録八編の)この中で『家庭の幸福』一編は死後発表となっているが、制作の日は『桜桃』とほぼ同時期であろう。文字どおり晩年の代表的短編である。『親友交歓』はおそらく疎開中の構造で、それまで太宰の小説の一特色とも云えるユーモア、明るさが出ているが、『トカトントン』から『父』以下の諸作になると一様に翳がさして、それも一作毎に暗さが増して、やがて彼の死の予感を告げるような作品ばかりである。
――亀井勝一郎(評論家)
太宰治(1909-1948)
青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
- ISBN-104101006032
- ISBN-13978-4101006031
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1950/12/22
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ208ページ
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出版社より
晩年 | 斜陽 | ヴィヨンの妻 | 津軽 | 人間失格 | 走れメロス | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥572¥572 | ¥374¥374 | ¥407¥407 | ¥539¥539 | ¥308¥308 | ¥440¥440 |
【新潮文庫】太宰治 作品 | 妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著者が、自殺を前提に遺書のつもりで書き綴った処女創作集。 | ”斜陽族”という言葉を生んだ名作。没落貴族の家庭を舞台に麻薬中毒で自滅していく直治など四人の人物による滅びの交響楽を奏でる。 | 新生への希望と、戦争の後も変らぬ現実への絶望感との間を揺れ動きながら、命をかけて新しい倫理を求めようとした文学的総決算。 | 著者が故郷の津軽を旅行したときに生れた本書は、旧家に生れた宿命を背負う自分の姿を凝視し、あるいは懐しく回想する異色の一巻。 | 生への意志を失い、廃人同様に生きる男が綴る手記を通して、自らの生涯の終りに臨んで、著者が内的真実のすべてを投げ出した小説。 | 人間の信頼と友情の美しさを、簡潔な文体で表現した「走れメロス」など、中期の安定した生活の中で、多彩な芸術的開花を示した9編。 |
お伽草紙 | グッド・バイ | 二十世紀旗手 | 惜別 | パンドラの匣 | 新ハムレット | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.2
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価格 | ¥737¥737 | ¥605¥605 | ¥649¥649 | ¥693¥693 | ¥572¥572 | ¥737¥737 |
昔話のユーモラスな口調の中に、人間宿命の深淵をとらえた表題作ほか「新釈諸国噺」「清貧譚」等5編。古典や民話に取材した作品集。 | 被災・疎開・敗戦という未曾有の極限状況下の経験を我が身を燃焼させつつ書き残した後期の短編集。「苦悩の年鑑」「眉山」等 16 編。 | 麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々──小市民のモラルと、既成の小説概念を否定し破壊せんとした前期作品集。「虚構の春」など7編。 | 仙台留学時代の若き魯迅と日本人学生との心あたたまる交友を描いた表題作と「右大臣実朝」──太宰文学の中期を代表する秀作 2 編。 | 風変りな結核療養所で闘病生活を送る少年を描く「パンドラの匣」。社会への門出に当って揺れ動く中学生の内面を綴る「正義と微笑」。 | 西洋の古典や歴史に取材した短編集。原典「ハムレット」の戯曲形式を生かし現代人の心理的葛藤を見事に描き込んだ表題作等5編。 |
きりぎりす | もの思う葦 | 津軽通信 | 新樹の言葉 | ろまん燈籠 | 地図―初期作品集― | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.1
370
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5つ星のうち4.6
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価格 | ¥693¥693 | ¥539¥539 | ¥572¥572 | ¥737¥737 | ¥539¥539 | ¥605¥605 |
著者の最も得意とする、女性の告白体小説の手法を駆使して、破局を迎えた画家夫婦の内面を描く表題作など、秀作 14 編を収録する。 | 初期の「もの思う葦」から死の直前の「如是我聞」まで、短い苛烈な生涯の中で綴られた機知と諧謔に富んだアフォリズム・エッセイ。 | 疎開先の生家で書き綴られた表題作、『短篇集』としてくくられた中期の作品群に、”黄村先生”ものと各時期の連作作品を中心に収録。 | 地獄の日々から立ち直ろうと懸命の努力を重ねた中期の作品集。乳母の子供たちと異郷で思いがけない再会をした心温まる話など 15 編。 | 小説好きの五人兄妹が順々に書きついでいく物語のなかに五人の性格を浮彫りにするという野心的な構成をもった表題作など 16 編。 | 生誕百年記念出版。才気と野心の原点がここにある。中学生津島修治から作家太宰治へ、文豪の誕生を鮮やかに示す初期作品集。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1950/12/22)
- 発売日 : 1950/12/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4101006032
- ISBN-13 : 978-4101006031
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 82,611位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1909-1948)青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。
在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年10月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
酒、女、不倫。
太宰の晩年のテーマのようなものが浮かび上がってくるような
『ヴィヨンの妻』『眉山』『グット・バイ』
「家庭の幸福を書いてはいけないの?」
太宰に妻・美知子は問いかけたといわれるが、
それよりも太宰自身はスリルに満ちたスキャンダルを
書きたかったのでは?太宰の作品群が今なお万人に受ける理由は
万人が幸福に満ち足りた物語よりスリルに満ちた
スキャンダル的なものを好む点にあると思われる。
自己嫌悪感、焦燥感に苛まれながらも
スキャンダル的なものを書きつづけることで
一時の虚栄心を満たし続けた太宰と言うと
深読みしすぎだろうか??
活字が大きくスラスラ読めるが、値段に比して
分量が少ない感はある。
表紙は 河西智美(AKB48)
河西さんのファンは買いだチユウ!
太宰の晩年のテーマのようなものが浮かび上がってくるような
『ヴィヨンの妻』『眉山』『グット・バイ』
「家庭の幸福を書いてはいけないの?」
太宰に妻・美知子は問いかけたといわれるが、
それよりも太宰自身はスリルに満ちたスキャンダルを
書きたかったのでは?太宰の作品群が今なお万人に受ける理由は
万人が幸福に満ち足りた物語よりスリルに満ちた
スキャンダル的なものを好む点にあると思われる。
自己嫌悪感、焦燥感に苛まれながらも
スキャンダル的なものを書きつづけることで
一時の虚栄心を満たし続けた太宰と言うと
深読みしすぎだろうか??
活字が大きくスラスラ読めるが、値段に比して
分量が少ない感はある。
表紙は 河西智美(AKB48)
河西さんのファンは買いだチユウ!
2016年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一気に読みました。
大人になってから読み返すと視点が変わって良かったです。
大人になってから読み返すと視点が変わって良かったです。
2020年2月17日に日本でレビュー済み
太宰の作品は、殆ど読んでいないのだが、この短編集でさえ入り込めない内容だった。
芸術家で家と家族を顧みず、大酒を呑み借金をし、浮気をしつつも”死にたい”とさえ考えている夫。
対して、貧乏でボロボロの家をまもながら子育てをし、たまに帰ってくる夫をまつ。しかし、放蕩夫や自分の置かれている立場には楽天的で、芯の強い妻。
この妻の脳天気な対応が面白いと言えば面白い。まぁ、昭和初期の夫婦にはあったかもしれないが、このご時世はありえない世界だ。
芸術家で家と家族を顧みず、大酒を呑み借金をし、浮気をしつつも”死にたい”とさえ考えている夫。
対して、貧乏でボロボロの家をまもながら子育てをし、たまに帰ってくる夫をまつ。しかし、放蕩夫や自分の置かれている立場には楽天的で、芯の強い妻。
この妻の脳天気な対応が面白いと言えば面白い。まぁ、昭和初期の夫婦にはあったかもしれないが、このご時世はありえない世界だ。
2021年1月24日に日本でレビュー済み
太宰治の最晩年の短篇集『ヴィヨンの妻』(太宰治著、新潮文庫)に収められている『ヴィヨンの妻』は、「四国の或る殿様の別家の、大谷男爵の次男で、いまは不身持のため勘当せられているが」、「頭がよくて、天才」で「二十一で本を書いて、それが石川啄木という大天才の書いた本よりも、もっと上手で、それからまた十何冊だかの本を書いて、としは若いけれども、日本一の大詩人」、「おまけに大学者で、学習院から一高、帝大とすすんで、ドイツ語フランス語」が堪能と吹聴している夫の妻である「私」の語りという形が採られています。
この30歳の夫というのは、碌な稼ぎもないのに、酒好きで、女癖が悪く、何日も家に帰ってこない、挙げ句の果てに、馴染の料理屋の金を盗むという、何ともしょうがない男なのだが、「僕はね、キザのようですけど、死にたくて、仕様が無いんです。生まれた時から、死ぬ事ばかり考えていたんだ。皆のためにも、死んだほうがいいんです。それはもう、たしかなんだ。それでいて、なかなか死ねない。へんな、こわい神様みたいなものが、僕の死ぬのを引きとめるのです」などと宣います。
こんな夫なのに、26歳の妻は、3歳の男児を抱えながら、明るく、健気に支え続けます。
この小説は、表面的には、駄目男と出来た女の物語のように見えるが、私が気になったのは、夫の留守中の深夜、酔って押しかけてきた若い男を泊めてしまった時の、「そうして、その翌る日のあけがた、私は、あっけなくその男の手にいれられました。その日も私は、うわべは、やはり同じ様に、坊やを背負って、お店の勤めに出かけました」という告白です。若い男と性的関係を持ってしまったというのです。
「夫は、黙ってまた新聞に眼をそそぎ、『やあ、また僕の悪口を書いている。エピキュリアンのにせ貴族だってさ。こいつは、当っていない。神におびえるエピキュリアン、とでも言ったらよいのに。さっちゃん、ごらん、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ。僕は今だから言うけれども、去年の暮にね、ここから五千円持って出たのは、さっちゃんと坊やに、あのお金で久し振りのいいお正月をさせたかったからです。人非人でないから、あんな事も仕出かすのです』。私は格別うれしくもなく、『人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ』と言いました」と、結ばれています。この妻の最後の台詞が書きたくて、この作品を構想したのなら、太宰というのは、どうしてどうして油断ならない作家です。
この30歳の夫というのは、碌な稼ぎもないのに、酒好きで、女癖が悪く、何日も家に帰ってこない、挙げ句の果てに、馴染の料理屋の金を盗むという、何ともしょうがない男なのだが、「僕はね、キザのようですけど、死にたくて、仕様が無いんです。生まれた時から、死ぬ事ばかり考えていたんだ。皆のためにも、死んだほうがいいんです。それはもう、たしかなんだ。それでいて、なかなか死ねない。へんな、こわい神様みたいなものが、僕の死ぬのを引きとめるのです」などと宣います。
こんな夫なのに、26歳の妻は、3歳の男児を抱えながら、明るく、健気に支え続けます。
この小説は、表面的には、駄目男と出来た女の物語のように見えるが、私が気になったのは、夫の留守中の深夜、酔って押しかけてきた若い男を泊めてしまった時の、「そうして、その翌る日のあけがた、私は、あっけなくその男の手にいれられました。その日も私は、うわべは、やはり同じ様に、坊やを背負って、お店の勤めに出かけました」という告白です。若い男と性的関係を持ってしまったというのです。
「夫は、黙ってまた新聞に眼をそそぎ、『やあ、また僕の悪口を書いている。エピキュリアンのにせ貴族だってさ。こいつは、当っていない。神におびえるエピキュリアン、とでも言ったらよいのに。さっちゃん、ごらん、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ。僕は今だから言うけれども、去年の暮にね、ここから五千円持って出たのは、さっちゃんと坊やに、あのお金で久し振りのいいお正月をさせたかったからです。人非人でないから、あんな事も仕出かすのです』。私は格別うれしくもなく、『人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ』と言いました」と、結ばれています。この妻の最後の台詞が書きたくて、この作品を構想したのなら、太宰というのは、どうしてどうして油断ならない作家です。
2010年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小生、「ヴィヨンの妻」は飽きるほど読破したが、何度読んでも主人公大谷の妻の健気なさには、悲しいくらいの、愛おしさを抑えきれない
そして、朗読サークルで日夜朗読の勉強に励む小生にとって、何よりの最高の「お手本」とも言える伊武雅刀氏の語りは、この作品を見事に
具現化している。本品は、ただ単に太宰 治の名作にとどまらずに、小生のケースのような役立てかたとしても活用できるのである。
そして、朗読サークルで日夜朗読の勉強に励む小生にとって、何よりの最高の「お手本」とも言える伊武雅刀氏の語りは、この作品を見事に
具現化している。本品は、ただ単に太宰 治の名作にとどまらずに、小生のケースのような役立てかたとしても活用できるのである。
2015年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
太宰 治 ということで買いましたが、時間的なズレが大きく、最後まで読めませんでした。
2020年3月15日に日本でレビュー済み
8集の短編からなる本です。著者らしく、破滅的な主人公が主に描かれています。自己肯定と破滅、罪悪感などが集約されています。暗い気持ちになりますが、著者らしい短編集です。