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Xへの手紙・私小説論 (新潮文庫) 文庫 – 1962/4/12
小林 秀雄
(著)
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「知の巨人」の思想がすでに表出する、
青年期の創作から初期の評論、中期のエッセイを集める。
文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。
本書収録「様々なる意匠」より
吾々にとって幸福な事か不幸な事かは知らないが、世に一つとして簡単に片付く問題はない。遠い昔、人間が意識と共に与えられた言葉という吾々の思索の唯一の武器は、依然として昔乍(なが)らの魔術を止めない。劣悪を指嗾(しそう)しない如何(いか)なる崇高な言葉もなく、崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。而(しか)も、若(も)し言葉がその人心眩惑(げんわく)の魔術を捨てたら恐らく影に過ぎまい。
本書「解説」より
(『様々なる意匠』)で小林氏が語っているのは、結局ひとつのことである。つまり、「宿命」――自分の「死」を自ら所有すること――という見地からすれば、あらゆる文学は「意匠」にすぎぬ。逆にいえば、「宿命」をわが手に握ったとき、人ははじめて「文学」たりうる「意匠」をまとうのだと。
――江藤淳(文芸評論家)
※『様々なる意匠』は『改造』の懸賞論文第二席入選(昭和4年)。第一席は宮本顕治(後の日本共産党書記長)の芥川龍之介論『敗北の文学』だった。
小林秀雄(1902-1983)
東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。以後、「アシルと亀の子」はじめ、独創的な批評活動に入り、『私小説論』『ドストエフスキイの生活』等を刊行。戦中は「無常という事」以下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。1967年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(1977年刊)で日本文学大賞受賞。
青年期の創作から初期の評論、中期のエッセイを集める。
文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。用語、時代背景などについての詳細な注解を付す。
本書収録「様々なる意匠」より
吾々にとって幸福な事か不幸な事かは知らないが、世に一つとして簡単に片付く問題はない。遠い昔、人間が意識と共に与えられた言葉という吾々の思索の唯一の武器は、依然として昔乍(なが)らの魔術を止めない。劣悪を指嗾(しそう)しない如何(いか)なる崇高な言葉もなく、崇高を指嗾しない如何なる劣悪な言葉もない。而(しか)も、若(も)し言葉がその人心眩惑(げんわく)の魔術を捨てたら恐らく影に過ぎまい。
本書「解説」より
(『様々なる意匠』)で小林氏が語っているのは、結局ひとつのことである。つまり、「宿命」――自分の「死」を自ら所有すること――という見地からすれば、あらゆる文学は「意匠」にすぎぬ。逆にいえば、「宿命」をわが手に握ったとき、人ははじめて「文学」たりうる「意匠」をまとうのだと。
――江藤淳(文芸評論家)
※『様々なる意匠』は『改造』の懸賞論文第二席入選(昭和4年)。第一席は宮本顕治(後の日本共産党書記長)の芥川龍之介論『敗北の文学』だった。
小林秀雄(1902-1983)
東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。以後、「アシルと亀の子」はじめ、独創的な批評活動に入り、『私小説論』『ドストエフスキイの生活』等を刊行。戦中は「無常という事」以下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。1967年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(1977年刊)で日本文学大賞受賞。
- ISBN-104101007012
- ISBN-13978-4101007014
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1962/4/12
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ400ページ
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出版社より
作家の顔 | ドストエフスキーの生活 | モオツァルト・無常という事 | Xへの手紙・私小説論 | 本居宣長〔上〕 | 本居宣長〔下〕 | |
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【新潮文庫】小林秀雄 作品 | 書かれたものの内側に必ず作者の人間があるという信念のもとに、鋭い直感を働かせて到達した作家の秘密、文学者の相貌を伝える。 | ペトラシェフスキイ事件連座、シベリヤ流謫、恋愛、結婚、賭博──不世出の文豪の魂に迫り、漂泊の人生を的確に捉えた不滅の労作。〈文学界賞受賞〉 | 批評という形式に潜むあらゆる可能性を提示する「モオツァルト」、自らの宿命のかなしい主調音を奏でる連作「無常という事」等14編。 | 批評家としての最初の揺るぎない立場を確立した「様々なる意匠」、人生観、現代芸術論などを鋭く捉えた「Xへの手紙」など多彩な一巻。 | 古典作者との対話を通して宣長が究めた人生の意味、人間の道。「本居宣長補記」を併録する著者畢生の大業、待望の文庫版! |
近代絵画 | 批評家失格─新編初期論考集─ | ゴッホの手紙 | 人間の建設 | 直観を磨くもの―小林秀雄対話集― | 学生との対話 | |
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モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、ルノアール、ドガ、ピカソ等、絵画に新時代をもたらした天才達の魂の軌跡を描く歴史的大著。〈野間文芸賞受賞〉 | 近代批評の確立者、批評を芸術にまで高めた小林秀雄22歳から30歳までの鋭くも瑞々しい論考。今文庫で読めない貴重な52編を収録。 | ゴッホの絵の前で、「巨(おお)きな眼」に射い竦すくめられて立てなくなった小林。作品と手紙から生涯をたどり、ゴッホの精神の至純に迫る名著。〈読売文学賞受賞〉 | 酒の味から、本居宣長、アインシュタイン、ドストエフスキーまで。文系・理系を代表する天才二人が縦横無尽に語った奇跡の対話。 | 湯川秀樹、三木清、三好達治、梅原龍三郎……。各界の第一人者十二名と慧眼の士、小林秀雄が熱く火花を散らす比類のない対論。 | 小林秀雄が学生相手に行った伝説の講義の一部と質疑応答のすべてを収録。血気盛んな学生たちとの真摯なやりとりが胸を打つ一巻。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1962/4/12)
- 発売日 : 1962/4/12
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4101007012
- ISBN-13 : 978-4101007014
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 158,802位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1902‐1983。東京生れ。東京帝大仏文科卒。1929(昭和4)年、「様々なる意匠」が「改造」誌の懸賞評論二席入選。戦中は「無常という事」以 下、古典に関する随想を手がけ、終戦の翌年「モオツァルト」を発表。’67年、文化勲章受章。連載11年に及ぶ晩年の大作『本居宣長』(’77年刊)で日 本文学大賞受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 人間の建設 (ISBN-13: 978-4101007083)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2003年2月17日に日本でレビュー済み
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小林秀雄なんか読む読者はコアな読者なんだろうなと思う今日この頃。私の周りには小林を呼んだなんて人はいません。でもはまる人にははまるだろうし、日本文学かじったらさけては通れないのはこの人。私も危機的状況のとき、この本と出会いました。Xの手紙。生と死が交差する場所にどっぷりと浸かって、逃げ場のない感じがひしひしと伝わってきます。彼の文章は、日本刀のように切れると誰かが評していましたが、その通り。私もその日本刀で斬られて血みどろになってしまいました。「自殺して了った人間というものはあったが、自殺しようと思っている人間とは自体意味をなさぬ」と自らを批評するその切れ味はもはや恐怖!
2013年10月19日に日本でレビュー済み
小林秀雄の「私小説論」。ルソ−の「告白」を問題提起のきっかけとしたこの論文は、単に小説の形を論じているわけではない。
ルソ−の「告白」は、西洋での私小説の始まりだという。それは、「人間にとって個人というものが重大な意味を初めてもった」ということだ。「作者の頭には、個人と自然や社会との画然たる対決が存在したのである」。これを、日本では、新しい思想の到来と考え、それに酔った。「思想を育てる地盤がなくても、人々は、新しい思想に酔ふことはできる」。西洋の実証主義的思想や社会と個人との分離と自由、という戦いの土壌がないままに。
ついには、自然主義小説は、すなわち私小説は、「私は・・」で始まる、技法上の問題でしかなかった、と小林秀雄は看破している。「生活の不安は感じたが、描写と告白とを信じ、思想上の戦ひには全く不慣れであった。・・・生活の不安から自我の問題、個人と社会の問題を抽出する力を欠いていた。」、と結ぶ小林の「私小説論」は、現在でも色あせることはない。
ルソ−は「告白」の書き出しでこう述べる。
「私の告白をきき、下劣さに悲鳴をあげ、みじめさに赤面せん事を。・・各自、同じ誠意をもって、その心をむき出しにしてほしい。もし、勇気があるならば、・・私は、あの男(ルソ−)よりましだった、と言って(みせるがいい、そうはいかないはずだ)」。
「もちろん、ルソ−は自分の実生活を描こうとしたわけではないし、彼を駆り立てたものは、社会に於ける個人といふものの持つ意味であり」と、小林はフォロ−する。小林の有名な言葉、「社会化した私」が引き出された瞬間である。自己は社会化しているか、孤独に耐えて、社会と戦っているか? と、問うのである。
ルソ−の「告白」は、西洋での私小説の始まりだという。それは、「人間にとって個人というものが重大な意味を初めてもった」ということだ。「作者の頭には、個人と自然や社会との画然たる対決が存在したのである」。これを、日本では、新しい思想の到来と考え、それに酔った。「思想を育てる地盤がなくても、人々は、新しい思想に酔ふことはできる」。西洋の実証主義的思想や社会と個人との分離と自由、という戦いの土壌がないままに。
ついには、自然主義小説は、すなわち私小説は、「私は・・」で始まる、技法上の問題でしかなかった、と小林秀雄は看破している。「生活の不安は感じたが、描写と告白とを信じ、思想上の戦ひには全く不慣れであった。・・・生活の不安から自我の問題、個人と社会の問題を抽出する力を欠いていた。」、と結ぶ小林の「私小説論」は、現在でも色あせることはない。
ルソ−は「告白」の書き出しでこう述べる。
「私の告白をきき、下劣さに悲鳴をあげ、みじめさに赤面せん事を。・・各自、同じ誠意をもって、その心をむき出しにしてほしい。もし、勇気があるならば、・・私は、あの男(ルソ−)よりましだった、と言って(みせるがいい、そうはいかないはずだ)」。
「もちろん、ルソ−は自分の実生活を描こうとしたわけではないし、彼を駆り立てたものは、社会に於ける個人といふものの持つ意味であり」と、小林はフォロ−する。小林の有名な言葉、「社会化した私」が引き出された瞬間である。自己は社会化しているか、孤独に耐えて、社会と戦っているか? と、問うのである。
2009年5月25日に日本でレビュー済み
批評家として脂が乗る前の時期の作品集。後年に通じるビジョンや感性を読み取ることは勿論可能だが、それは後年の文章を味わった人だけが可能な楽しみ方である。この文庫に収められた文章の場合、単純に読み物としての完成度や面白さ、フレーズの切れ味はそれ程のものではなく、寧ろ退屈に感じる人も多いだろう。(特に小説や詩はかなり悲惨なデキ。)彼にとって、批評家とはその作品を(「様々な意匠」のフレームを使って)「理解する」ことではなく、ただ「受け取る」「感じる」ことしかできない存在だった。ここに集められた比較的初期の文章はそれを理屈で説明しようと四苦八苦しているのだが、円熟期に入ると「私はこう見た」という味わいの部分をメインで語るようになる。この「こう見た」「こう感じた」の切れ味が素晴らしい批評家だったので、後年の文章の方を初心者にはオススメします。
とはいえ、敢えて僕が面白いと思った点を挙げると、後年も頻繁に使う「宿命」という論理定義不可能な言葉に初期から拘っていた点。タイトルに反して殆どジイド論の「私小説論」では、個人の体験の切り売りを行う日本の私小説作家を批判してますが、そこでは、その作家が人間として抱く「宿命」のようなものを見せ付けてくれないと私小説は面白くない、と指摘しています。(作家志望だった頃に志賀直哉の影響があったとされるのは、興味深いことです。)戦後になって彼はイデオロギーや政治的言説の薄っぺらさを「政治と文学」で批判してますが、その一方で太平洋戦争期には積極的に戦争支持の言説を発言していました。それも彼にとっては「戦争はやるからには勝たねばならない」という「マキャベリズム」であり「宿命」だったのでしょう。彼の戦争期の言説はもっと吟味されるべきだと思うけど、「私小説論」「政治と文学」「マキャベリ」のように、その頃の彼の考え方を知る補助線になる文章がこの文庫には幾つか入っています。
とはいえ、敢えて僕が面白いと思った点を挙げると、後年も頻繁に使う「宿命」という論理定義不可能な言葉に初期から拘っていた点。タイトルに反して殆どジイド論の「私小説論」では、個人の体験の切り売りを行う日本の私小説作家を批判してますが、そこでは、その作家が人間として抱く「宿命」のようなものを見せ付けてくれないと私小説は面白くない、と指摘しています。(作家志望だった頃に志賀直哉の影響があったとされるのは、興味深いことです。)戦後になって彼はイデオロギーや政治的言説の薄っぺらさを「政治と文学」で批判してますが、その一方で太平洋戦争期には積極的に戦争支持の言説を発言していました。それも彼にとっては「戦争はやるからには勝たねばならない」という「マキャベリズム」であり「宿命」だったのでしょう。彼の戦争期の言説はもっと吟味されるべきだと思うけど、「私小説論」「政治と文学」「マキャベリ」のように、その頃の彼の考え方を知る補助線になる文章がこの文庫には幾つか入っています。
2005年8月19日に日本でレビュー済み
前半に収められている小林秀雄若き日々の創作集は、小林秀雄のファンにならないと読み通すのがつらいかな。断片的に鮮烈なイメージの提示はあるのだが。ただ、視点をかえると自意識が鋭敏すぎるために、創作の豊かさを断念せざるをえなかった一人の青年が、やがて日本を代表する批評家へとなってゆく過程が、ここに示されていることもたしかだ。
表題になっている「様々なる意匠」や「Xへの手紙」は必読だが、これも一般の人が読んで、それほど面白いとは思わないだろう。むしろ、マキャベリについてとか、論語をめぐる随想が面白いと思う。なかんずく、「政治と文学」という講演体の文章は秀逸。最近の「この人たちはいったいどこをむいているの?」という政界茶番劇を見させられているだけに、ここで小林が述べている政治についての洞見はすごいと感じることしきりである。たがいに相手の欠点に乗じて自己を主張しようとする言説を思想と呼ぶのはおこがましい!、と小林秀雄が今の政界や国際関係を見てもため息をつくだろう。(私見によれば、この文章の副題は「真の思想とは?」ということである。)政治と文学をめぐっての激動を生きてきた人間の言葉には迫力がある。
表題になっている「様々なる意匠」や「Xへの手紙」は必読だが、これも一般の人が読んで、それほど面白いとは思わないだろう。むしろ、マキャベリについてとか、論語をめぐる随想が面白いと思う。なかんずく、「政治と文学」という講演体の文章は秀逸。最近の「この人たちはいったいどこをむいているの?」という政界茶番劇を見させられているだけに、ここで小林が述べている政治についての洞見はすごいと感じることしきりである。たがいに相手の欠点に乗じて自己を主張しようとする言説を思想と呼ぶのはおこがましい!、と小林秀雄が今の政界や国際関係を見てもため息をつくだろう。(私見によれば、この文章の副題は「真の思想とは?」ということである。)政治と文学をめぐっての激動を生きてきた人間の言葉には迫力がある。