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坑夫 (新潮文庫) 文庫 – 2004/9/1
夏目 漱石
(著)
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どうだ此処(ここ)が地獄の入り口だ。這入(はいれ)るか――。
漱石宅に押しかけてきた青年の告白をもとに綴る異色作。新聞連載の「空白」を埋めるために……。その成立事情については本書「解説」参照。
恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。
漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。用語、時代背景などについての詳細な注解、解説を付す。
本書「解説」より、本作の成立事情について
明治四十年の十一月と推定されているが――〈或日私の所へ一人の若い男がヒョックリやって来て、自分の身上にこういう材料があるが小説に書いて下さらんか。その報酬を頂いて実は信州へ行きたいのですと云う〉(漱石自身の談話「『坑夫』の作意と自然派伝奇派の交渉」)。この青年、荒井なにがしはその後しばらく漱石の家に書生として住みこんだ時期もあったらしいが、〈材料〉というのは坑夫になる以前の屈曲が中心で、漱石はそうした〈個人の事情(パーソナル・アフェア)は書きたくない〉、それはむしろ君自身が小説化した方がいいと勧めた。……
――三好行雄(国文学者)
夏目漱石(1867-1916)
1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
漱石宅に押しかけてきた青年の告白をもとに綴る異色作。新聞連載の「空白」を埋めるために……。その成立事情については本書「解説」参照。
恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。
漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。用語、時代背景などについての詳細な注解、解説を付す。
本書「解説」より、本作の成立事情について
明治四十年の十一月と推定されているが――〈或日私の所へ一人の若い男がヒョックリやって来て、自分の身上にこういう材料があるが小説に書いて下さらんか。その報酬を頂いて実は信州へ行きたいのですと云う〉(漱石自身の談話「『坑夫』の作意と自然派伝奇派の交渉」)。この青年、荒井なにがしはその後しばらく漱石の家に書生として住みこんだ時期もあったらしいが、〈材料〉というのは坑夫になる以前の屈曲が中心で、漱石はそうした〈個人の事情(パーソナル・アフェア)は書きたくない〉、それはむしろ君自身が小説化した方がいいと勧めた。……
――三好行雄(国文学者)
夏目漱石(1867-1916)
1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
- ISBN-10410101017X
- ISBN-13978-4101010175
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日2004/9/1
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ288ページ
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【新潮文庫】夏目漱石 作品 | 明治の俗物紳士たちの語る珍談・奇譚、小事件の数かずを、迷いこんで飼われている猫の眼から風刺的に描いた漱石最初の長編小説。 | 謎に満ちた塔の歴史に取材し、妖しい幻想を繰りひろげる「倫敦塔」、英国留学中の紀行文「カーライル博物館」など、初期の7編を収録。 | 四国の中学に数学教師として赴任した直情径行の青年が巻きおこす珍騒動。ユーモアと人情の機微にあふれ、広範な愛読者をもつ傑作。 | 熊本から東京の大学に入学した三四郎は、心を寄せる都会育ちの女性美禰子の態度に翻弄されてしまう。青春の不安や戸惑いを描く。 | 定職も持たず思索の毎日を送る代助と友人の妻との不倫の愛。激変する運命の中で自己を凝視し、愛の真実を貫く知識人の苦悩を描く。 | 親友を裏切り、彼の妻であった御米と結ばれた宗助は、その罪意識に苦しみ宗教の門を叩くが……。「三四郎」「それから」に続く三部作。 |
草枕 | 虞美人草 | 彼岸過迄 | 行人 | こころ | 道草 | |
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智に働けば角が立つ──思索にかられつつ山路を登りつめた青年画家の前に現われる謎の美女。絢爛たる文章で綴る漱石初期の名作。 | 我執と虚栄に心おごる美女が、ついに一切を失って破局に向う悽愴な姿を描き、偽りの生き方が生む人間の堕落と悲劇を追う問題作。 | 自意識が強く内向的な須永と、感情のままに行動して悪びれない従妹との恋愛を中心に、エゴイズムに苦悩する近代知識人の姿を描く。 | 余りに理知的であるが故に周囲と齟齬をきたす主人公の一郎。孤独に苦しみながらも、我を棄てることができない男に救いはあるか? | 親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、みずからも死を選ぶ、孤独な明治の知識人の内面を抉る秀作。 | 健三は、愛に飢えていながら率直に表現できず、妻のお住は、そんな夫を理解できない。近代知識人の矛盾にみちた生活と苦悩を描く。 |
硝子戸の中 | 二百十日・野分 | 坑夫 | 文鳥・夢十夜 | 明暗 | |
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漱石山房から眺めた外界の様子は?終日書斎の硝子戸の中に坐し、頭の動くまま気分の変るままに、静かに人生と社会を語る随想集。 | 俗な世相を痛烈に批判し、非人情の世界から人情の世界への転機を示す「二百十日」、その思想をさらに深く発展させた「野分」を収録。 | 恋愛事件のために出奔し、自棄になって坑夫になる決心をした青年が実際に銅山で見たものは……漱石文学のルポルタージュ的異色作。 | 文鳥の死に、著者の孤独な心象をにじませた名作「文鳥」、夢に現われた無意識の世界を綴り、暗く無気味な雰囲気の漂う、「夢十夜」等。 | 妻と平凡な生活を送る津田は、かつて将来を誓い合った人妻清子を追って、温泉場を訪れた──。近代小説を代表する漱石未完の絶筆。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (2004/9/1)
- 発売日 : 2004/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 410101017X
- ISBN-13 : 978-4101010175
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 206,959位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。
帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。
翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年1月4日に日本でレビュー済み
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自分も現代版の坑夫として似たような体験をしたのでデジャヴーを感じながら読んだ。
2023年3月5日に日本でレビュー済み
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感想は、賛否両論あると思う。「こころ」を読んで、つまらない人は同じように感じるかも。
2020年5月11日に日本でレビュー済み
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想像力が豊かになりました。
2020年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
破れてました。
2018年5月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漱石ファンからは支持されていると帯にあった。特に余韻もなく、普通に起伏なく盛り上がらず終わるので、それがいいという向きにはいいのかもしれない。それが故にあまり後まで残らないと感じた。
2011年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漱石の本としては、異色のルポルタージュ的な作品です。しかし、主人公を通して、当時の「炭鉱そして坑夫」の様子が生々しく表現されています。また主人公の内面の描写は、今の時代の現代人にも当てはまるものと言えると思います。色あせてはいません。私は、漱石の小説が好きなので何度も繰り返して読んでいますが、この本もくり返す読むことに再発見がある本です。
2017年11月21日に日本でレビュー済み
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これは読んでおくべきです。私も進められて読みましたが、漱石の最高傑作かも、と思う次第です。
2014年4月3日に日本でレビュー済み
プロレタリア文学といえば、すぐに思いつくのが、小林多喜二の「蟹工船」ではないだろうか?
この「坑夫」は漱石が書いたプロレタリア文学と位置づけられていて、漱石の作品の中では地味で評価もあまりいいようではないようだ。書かれた経緯は、ある青年が自分の経験を小説にしてほしいと漱石に依頼し、話を聴いて書いたというのだが、私が読んだ感じでは、ある青年が持ち込んだ原稿を元に漱石が書き直したのではないのだろうか、と思う。まず、ところどころに下手くそな文章が見受けられる。冒頭には、じりじり、どきん、を多用しているし、そこで次の主人公の自分とどてらの会話場面を読んでみてほしい。
「働いた事はないです。しかしこれから働かなくっちゃあならない身分です」
「そうだろう。働いた事がなくっちゃ……じゃ、君、まだ儲けた事もないんだね」
と当り前の事を聞いた。自分は返事をする必要がないから、黙ってると、茶店のかみさんが、菓子台の後から、
「働くからにゃ、儲けなくっちゃあね」
と云いながら、立ち上がった。どてらが、
「全くだ。儲けようったって、今時そう儲け口が転がってるもんじゃない」
と幾分か自分に対して恩に被きせるように答えるのを、
「そうさ」
と幾分かさげすむように聞き流して、裏へ出て行った。このそうさが妙に気になって、ことによると、まだその後があるかも知れないと思ったせいか、何気なく後姿を見送っていると、大きな黒松の根方のところへ行って、立小便をし始めたから、急に顔を背けて、どてらの方を向いた。
私は上の会話場面をてっきり、どてらが裏へ出て立小便をし始めたから、急に顔を背けて、どてらの方を向いた。と読んで、意味がわからなかった。これは後の文章でわかるのだが、店のかみさんの立小便を書いているのである。漱石が、店のかみさんの立小便を書くとは想像もつかないだろう。
この小説の「坑夫」とは、学歴もない肉体労働者たちを社会の底辺に位置づけて書いている。文中には、坑夫は人間の屑とある。生きるか、死ぬか、生きるために人間はたとえどんな仕事だろうと働いて金銭を稼がねばならない。私は読んでいて、社会の底辺の悲惨さがよく書けていて、故青木雄二の『ナニワ金融道』を連想した。立小便する店のかみさんもそうだが、飯場で働く婆さんや獰猛な面構えの坑夫たちなんか、まさに青木雄二の漫画に出てくる人相の悪い婆さんやガラの悪い男たちそのままではないか。もし青木雄二が、この「坑夫」を読んだら、どう評価しただろうか?
私は、学校はこの小説を教科書にし、平等という綺麗ごとよりも、人間社会は不平等であり身分差別カースト制度があり職業に貴賎があることを子供たちに教育するべきだと思う。そうすれば、もう少しましな人材が日本にも育つのではないだろうか……、
この小説は、プロレタリア文学の最高峰として評価されていい作品だと思う。
この「坑夫」は漱石が書いたプロレタリア文学と位置づけられていて、漱石の作品の中では地味で評価もあまりいいようではないようだ。書かれた経緯は、ある青年が自分の経験を小説にしてほしいと漱石に依頼し、話を聴いて書いたというのだが、私が読んだ感じでは、ある青年が持ち込んだ原稿を元に漱石が書き直したのではないのだろうか、と思う。まず、ところどころに下手くそな文章が見受けられる。冒頭には、じりじり、どきん、を多用しているし、そこで次の主人公の自分とどてらの会話場面を読んでみてほしい。
「働いた事はないです。しかしこれから働かなくっちゃあならない身分です」
「そうだろう。働いた事がなくっちゃ……じゃ、君、まだ儲けた事もないんだね」
と当り前の事を聞いた。自分は返事をする必要がないから、黙ってると、茶店のかみさんが、菓子台の後から、
「働くからにゃ、儲けなくっちゃあね」
と云いながら、立ち上がった。どてらが、
「全くだ。儲けようったって、今時そう儲け口が転がってるもんじゃない」
と幾分か自分に対して恩に被きせるように答えるのを、
「そうさ」
と幾分かさげすむように聞き流して、裏へ出て行った。このそうさが妙に気になって、ことによると、まだその後があるかも知れないと思ったせいか、何気なく後姿を見送っていると、大きな黒松の根方のところへ行って、立小便をし始めたから、急に顔を背けて、どてらの方を向いた。
私は上の会話場面をてっきり、どてらが裏へ出て立小便をし始めたから、急に顔を背けて、どてらの方を向いた。と読んで、意味がわからなかった。これは後の文章でわかるのだが、店のかみさんの立小便を書いているのである。漱石が、店のかみさんの立小便を書くとは想像もつかないだろう。
この小説の「坑夫」とは、学歴もない肉体労働者たちを社会の底辺に位置づけて書いている。文中には、坑夫は人間の屑とある。生きるか、死ぬか、生きるために人間はたとえどんな仕事だろうと働いて金銭を稼がねばならない。私は読んでいて、社会の底辺の悲惨さがよく書けていて、故青木雄二の『ナニワ金融道』を連想した。立小便する店のかみさんもそうだが、飯場で働く婆さんや獰猛な面構えの坑夫たちなんか、まさに青木雄二の漫画に出てくる人相の悪い婆さんやガラの悪い男たちそのままではないか。もし青木雄二が、この「坑夫」を読んだら、どう評価しただろうか?
私は、学校はこの小説を教科書にし、平等という綺麗ごとよりも、人間社会は不平等であり身分差別カースト制度があり職業に貴賎があることを子供たちに教育するべきだと思う。そうすれば、もう少しましな人材が日本にも育つのではないだろうか……、
この小説は、プロレタリア文学の最高峰として評価されていい作品だと思う。