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文鳥・夢十夜 (新潮文庫) 文庫 – 2002/9/1

4.2 5つ星のうち4.2 162個の評価

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自由な語り口、小味ながらあざやかな感動、ふかい情感に裏づけられた新鮮な表現…。
「キング・オブ・文豪」の小品7編。


人に勧められて飼い始めた可憐な文鳥が家人のちょっとした不注意からあっけなく死んでしまうまでを淡々とした筆致で描き、著者の孤独な心持をにじませた名作『文鳥』、意識の内部に深くわだかまる恐怖・不安・虚無などの感情を正面から凝視し、〈裏切られた期待〉〈人間的意志の無力感〉を無気味な雰囲気を漂わせつつ描き出した『夢十夜』ほか、『思い出す事など』『永日小品』等全7編。

目次
文鳥
夢十夜
永日小品
思い出す事など
ケーベル先生
変な音
手紙
注解・解説 三好行雄

「夢十夜」第一夜より
こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪廓の柔らかな瓜実顔をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色が程よく差して、唇の色は無論赤い。到底死にそうには見えない。然し女は静かな声で、もう死にますと判然(はっきり)云った。

本書「解説」より
『吾輩は猫である』から『明暗』にいたる、その層々とした漱石文学をかたわらにおけば、『文鳥』その他の小品は確かに、見せかけは貧しく、みすぼらしいとさえいえる。しかし、ここで語られている作家の〈私〉は――たとえば作家の創造した虚構の時間が逆に、作家の発想そのものをまきこんでしまうといったふうな、客観小説に不可避な可逆関係からも自由であるゆえに――意外に率直な漱石の〈告白〉に近づくのである。比喩としてなら、漱石の〈私小説〉と呼んでよいかもしれない。
――三好行雄

夏目漱石(1867-1916)
1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。


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【新潮文庫】夏目漱石 作品 明治の俗物紳士たちの語る珍談・奇譚、小事件の数かずを、迷いこんで飼われている猫の眼から風刺的に描いた漱石最初の長編小説。 謎に満ちた塔の歴史に取材し、妖しい幻想を繰りひろげる「倫敦塔」、英国留学中の紀行文「カーライル博物館」など、初期の7編を収録。 四国の中学に数学教師として赴任した直情径行の青年が巻きおこす珍騒動。ユーモアと人情の機微にあふれ、広範な愛読者をもつ傑作。 熊本から東京の大学に入学した三四郎は、心を寄せる都会育ちの女性美禰子の態度に翻弄されてしまう。青春の不安や戸惑いを描く。 定職も持たず思索の毎日を送る代助と友人の妻との不倫の愛。激変する運命の中で自己を凝視し、愛の真実を貫く知識人の苦悩を描く。 親友を裏切り、彼の妻であった御米と結ばれた宗助は、その罪意識に苦しみ宗教の門を叩くが……。「三四郎」「それから」に続く三部作。
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漱石山房から眺めた外界の様子は?終日書斎の硝子戸の中に坐し、頭の動くまま気分の変るままに、静かに人生と社会を語る随想集。 俗な世相を痛烈に批判し、非人情の世界から人情の世界への転機を示す「二百十日」、その思想をさらに深く発展させた「野分」を収録。 恋愛事件のために出奔し、自棄になって坑夫になる決心をした青年が実際に銅山で見たものは……漱石文学のルポルタージュ的異色作。 文鳥の死に、著者の孤独な心象をにじませた名作「文鳥」、夢に現われた無意識の世界を綴り、暗く無気味な雰囲気の漂う、「夢十夜」等。 妻と平凡な生活を送る津田は、かつて将来を誓い合った人妻清子を追って、温泉場を訪れた──。近代小説を代表する漱石未完の絶筆。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (2002/9/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2002/9/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 336ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101010188
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101010182
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 162個の評価

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夏目 漱石
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(1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。

帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。

翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

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短編色々
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短編色々
夏目漱石の短編が楽しめます。青空文庫でも読めますが、紙で手元に置いておきたかったので購入しました。永日小品の懸物が好きです。
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年8月7日に日本でレビュー済み
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夏目漱石といえば、「吾輩は猫である」と「坊ちゃん」ぐらいしか知らなくて、興味なかったのだけれど、
ひょんなことから夏目漱石の生い立ちを知ることとなり、また「夢十夜」の内容を少し知りました。概略を聞いて、とても興味が湧き、注文しました。なかなかの名作でした。漱石独特の漢字の当て方も好感が持てました。いいですね。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年6月16日に日本でレビュー済み
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普通でした
2021年7月28日に日本でレビュー済み
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夏目漱石の短編が楽しめます。
青空文庫でも読めますが、紙で手元に置いておきたかったので購入しました。
永日小品の懸物が好きです。
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5つ星のうち5.0 短編色々
2021年7月28日に日本でレビュー済み
夏目漱石の短編が楽しめます。
青空文庫でも読めますが、紙で手元に置いておきたかったので購入しました。
永日小品の懸物が好きです。
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2023年12月3日に日本でレビュー済み
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文鳥以外あんまり面白いと思わなかった。
2023年10月9日に日本でレビュー済み
初めて読んだ感想です。夏目漱石の作品もそんなに読んでいません。短いので読みやすいだろうといった動機です。浅い感想です。
 うまく説明はできませんが、確かに私の心はこの文章に動きます。
 この話の進行に、私の心は引っ張られてついていきます。そして、読み終わると手ごたえがあります。
 たぶん、これは短編小説というよりも、一編の詩なのだと思えます。渡邊十糸子さんが『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書)で言っている「詩」なのではないでしょうか。極端な事を言えば、「『作者の伝えたかったこと』なんて、ここにはないのだ!なくていいのだ!」と言えるのではないでしょうか。
ただ、心を遊ばせることが、この文章を読んだ時には一番良いやり方なのだと思います。
 詩編を読んで、ただ感興が起こればいいのだと思います。後はその人が感じたことが、その人にとっての一番良い答えなのだと思います。
 『夢十夜』は、散文詩の詩集だと思います。

 夏目漱石は漢籍にも明るかったらしいですが、中国文学には現実にうんざりして「この世の外ならどこへでも」という気になって奇想小説を書くことで「気晴らし」をするものもあったらしいです。(詳しくは『中国奇想小説集 古今異界万華鏡』井波律子 編訳 平凡社 刊 のあとがきをどうぞ)。
 漱石も屈託を晴らすために、やむにやまれず心に浮かぶまま、理屈になる以前の情動を書き綴ったのではないでしょうか。(昔のCMに「くさい匂いは元から絶たなきゃダメ」というのがあったようです。)また、漱石が学んだ英国の小説にも、似たようなものがあったのではないでしょうか。
 ただ、心の動きのままに世の決まり事から抜け出して、解放され自由になりたかったのではないでしょうか。フリージャズのアドリブのようなものだったのでは。屈託に閉じ込められた心を吐き出し解放しようという、漱石の素の生な声が歌われているのではないでしょうか。好き勝手をやりたかったのだと思います。『夢十夜』は漱石の暗部が出ていると言う人もいますが、漱石の全作品は程度と形は違っていても「暗部」と言ってもいいのではないでしょうか。

 話に聞くと漱石の創作姿勢は、自分で自分の心の乱れを直す納得できる方法を求めて、手探りで落ち着く先を求めて実験しているように見えます。これも、その実験の手法の一つではないでしょうか。
 もしかしたら、自分のイメージを文章化する訓練のための習作だったのかもしれません。のちの作品に生かされているのかもしれません。
 他の例として、個人的な記憶ですが、小林信彦さんが『ちはやふる奥の細道』を書く前に、その文体の練習として『発語訓練』という作品を書いているのを思い出しました。漱石も詩的な要素に特化して、文体の練習として書いてみたのではないでしょうか。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年6月17日に日本でレビュー済み
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 評者が先に読んだ木田元著『反哲学入門』の第二章「古代ギリシアで起こったこと」のはじめに、”古代ギリシアの思考法”について記述しているところに興味を惹かれたので少し長いが以下・・・内に転載したい。
 ・・・西洋を西洋たらしめた人はソクラテス(前469−前399)とプラトン(前427−347)です。西洋哲学はすべて、プラトンのテキストへの注釈だという言い方もあるほどですが、ここでは、日本人のわたしたちにとっても重要な意味をもつ二人の登場について考えたいと思います。
 夏目漱石は『夢十夜』の第六話のなかで、運慶がどうやってあの彫刻を生み出したのか、その秘訣を、木のなかに埋まっている眉や鼻を、鑿の力で土のなかから石を掘り出すように掘り出すという言い方で述べています。この考え方は、自然のままを尊び、人為を否定する日本人の芸術観の典型です。しかし、この話は、明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないことを悟るという皮肉な結末を与えられています。
 漱石は鋭敏な芸術家の感性で、西洋化された日本では、かつてもっていた美質である「自然」そのままという芸術が成り立たなくなっていたことを感じ取っていたのではないでしょうか。先駆者として、西洋と東洋という問題に深刻に悩んだ漱石は、明治という時代の味わった変化の本質を、たった一夜の夢として表現したわけです。
 ところが、西洋では、漱石が感じ取った変化がすでに遠い昔、古代ギリシアで起こっていました。その根本的転換を惹き起こした張本人は、いうまでもなく、ソクラテスとプラトンという西洋哲学の始祖です。・・・
 この木田元著『反哲学入門』で目から鱗というような哲学の歴史を多少なりとも知ることができ、この漱石の『夢十夜』での運慶について書かれていたことから、本書を何十年ぶりか思いだせないが手にして読むことにしたのである。
 評者は、運慶についても先年伊豆の「願成就院」で真作を拝観してきたことから興味もあり、本書を読むことに背を押された感がある。
 本書『文鳥・夢十夜』は、「文鳥」「夢十夜」「永日小品」「思い出すこと」「ケーベル先生」「変な音」「手紙」という小説、エッセイ、また日記のようなものなどで構成されている。
 評者が興味を惹かれた『夢十夜』の第六話は、短い小説のようなものである。
 「自然」を尊ぶ日本人は明治には存在しない、などという漱石の考えで「仁王が埋まっている木」が明治にはなくなったなどと難解に考えるのではなく、芸術というものが時代の空気で変遷するということなのだろうと愚考したのである。
 彫像というものは鎌倉時代が最盛期であり、慶派(康慶、運慶、湛慶、快慶など)の傑作を生みだし、その後衰退して現代に至っている、というようなことを何かの本で読んだことを記憶している。
 『夢十夜』のなかには落語の因縁話や不条理な結末で終わるような作品が多く、決して夢などではなく漱石の創作であり、多分若いころ通った寄席からの影響などが多くあるのではないだろうかと評者は探偵してしまったのである。
 漱石が修善寺の大患を描いた「思い出すこと」は、読んでいると少々息苦しくなってくるような思い出話ではあるが、漱石の死生観を余すことなく真に書いているのを、漱石ならでの文章だからつい引き込まれて読んでしまった。
 私事ながら、この漱石大患のときの宿が「菊屋」であり、評者が「願成就院」で運慶を拝観したおりに修善寺に宿をとったのが「菊屋」だったから奇遇である。
 もう何十年も以前に読んだ本だからすべて記憶していなかったが、なぜか『永日小品』のなかの「懸物」だけ鮮明に記憶していたから不思議になったのだが、思い出したら昨年入手した『夏目漱石の美術世界』のなかで芳賀徹氏がこの話を解説しながら全文引用したのを読んだばかりであった。
 ひょんなことから本書を読むことになったが、大昔読んだ本なのにほとんど忘れていたから初めて読むように感慨深く読み終えました。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年5月21日に日本でレビュー済み
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高校生の長女の読書感想文の課題図書として購入したのですが、私(46才の父親)も読んでみました。漢文調のやや読み難い文体ですが、修善寺の大患を綴った「思い出す事など」以降の4作、「ケーベル先生」「変な音」「手紙」の新しさ・新鮮さに驚きました。この後の芥川龍之介から太宰治に繋がる日本の私小説の流れが見えます。「手紙」は内容的に太宰治が得意とした短編の独特の雰囲気がして、「坊ちゃん」の夏目漱石はこんな短編を描く人だったのだと頭を殴られた感じでした。気がつくと、読み難かったはずの漢文調の文体がクセになっていたりします。日本を代表する文豪の暗い部分に思わず溜息が出てしまう七篇の短編。太宰や坂口安吾の作品が好きな方(私もその1人ですが。)には、その原点に漱石があることを思い知らされてしまう傑作短編集です。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年4月17日に日本でレビュー済み
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夢十夜、大学受験向けのテストに引用されていたそうで、
全文が読んでみたいとのことで購入しました。
短編集なので、他の作品も興味深く読んでいるようでした。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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