結局かの子が一番強烈ですね。
変態文学といえば谷崎や、私も名前にしている吉行、それからみんな大好き乱歩先生などが有名ですが、かの子は文章そのものに魔物が宿っています。
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老妓抄 (新潮文庫) 文庫 – 1950/5/2
岡本 かの子
(著)
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明治以来の文学史上、屈指の名編と称された「老妓抄」。
江戸情緒、近代的感覚、仏教思想、そして豪華絢爛な筆致。
豊満華麗な生涯を送った著者の、円熟期の9作品。
財を築き、今なお生命力に溢れる老妓は、出入りの電気器具屋の青年に目をかけ、生活を保証し、好きな発明を続けさせようとする。童女のようなあどけなさと老女の妄執を描き、屈指の名短編と称される表題作。不遇の彫金師の果たそうとして果たすことができなかった夢への無念の叫び「家霊」。女性の性の歎き、没落する旧家の悲哀、生の呻きを追求した著者の円熟期作品9編を収める。
目次
老妓抄
鮨
東海道五十三次
家霊
越年
蔦の門
鯉魚
愚人とその妻
食魔
解説 亀井勝一郎
本書収録「老妓抄」より
人々は真昼の百貨店でよく彼女を見かける。
目立たない洋髪に結び、市楽の着物を堅気風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。恰幅のよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一つところを何度も廻り返す。そうかと思うと、紙凧の糸のようにすっとのして行って、思いがけないような遠い売場に佇む。彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
こうやって自分を真昼の寂しさに憩わしている、そのことさえも意識していない。
本書「解説」より
主人公が悉く、何らかの意味で化物だということだ。妄執妄念の人である。生を燃やしつづけながら、貪婪(どんらん)に何かを求めている奇怪な情熱、或は終末に瀕した生の、底しれぬ呻きが聞こえてくる。そこにたゆたういのちのふしぎを、女史は懸命に追求したのだ。詮(せん)じつめれば、人間はみな化物と言えるかもしれない。様々に仮装して、この人生という舞台に登場するという意味からばかりでなく、妄執妄念の持続するところ、人間は必ず奇怪な陰翳を帯びてくるものだ。女史の場合には、これに性の苦悶が伴う。
――亀井勝一郎(評論家)
岡本かの子(1889-1939)
東京生れ。跡見女学校卒。1906(明治39)年、与謝野晶子に師事し「明星」に投稿、廃刊後は「スバル」同人として短歌に才能を発揮。1910年、画学生・岡本一平と結婚、翌年太郎を産む。一時結婚生活の危機を迎えるが、1929年、親子三人に青年二人を加え、渡欧。帰国後、1936年、芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』でデビュー。以来、『老妓抄』など佳作を発表。没後も一平の手により、続々と遺稿が発表された。
江戸情緒、近代的感覚、仏教思想、そして豪華絢爛な筆致。
豊満華麗な生涯を送った著者の、円熟期の9作品。
財を築き、今なお生命力に溢れる老妓は、出入りの電気器具屋の青年に目をかけ、生活を保証し、好きな発明を続けさせようとする。童女のようなあどけなさと老女の妄執を描き、屈指の名短編と称される表題作。不遇の彫金師の果たそうとして果たすことができなかった夢への無念の叫び「家霊」。女性の性の歎き、没落する旧家の悲哀、生の呻きを追求した著者の円熟期作品9編を収める。
目次
老妓抄
鮨
東海道五十三次
家霊
越年
蔦の門
鯉魚
愚人とその妻
食魔
解説 亀井勝一郎
本書収録「老妓抄」より
人々は真昼の百貨店でよく彼女を見かける。
目立たない洋髪に結び、市楽の着物を堅気風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。恰幅のよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一つところを何度も廻り返す。そうかと思うと、紙凧の糸のようにすっとのして行って、思いがけないような遠い売場に佇む。彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
こうやって自分を真昼の寂しさに憩わしている、そのことさえも意識していない。
本書「解説」より
主人公が悉く、何らかの意味で化物だということだ。妄執妄念の人である。生を燃やしつづけながら、貪婪(どんらん)に何かを求めている奇怪な情熱、或は終末に瀕した生の、底しれぬ呻きが聞こえてくる。そこにたゆたういのちのふしぎを、女史は懸命に追求したのだ。詮(せん)じつめれば、人間はみな化物と言えるかもしれない。様々に仮装して、この人生という舞台に登場するという意味からばかりでなく、妄執妄念の持続するところ、人間は必ず奇怪な陰翳を帯びてくるものだ。女史の場合には、これに性の苦悶が伴う。
――亀井勝一郎(評論家)
岡本かの子(1889-1939)
東京生れ。跡見女学校卒。1906(明治39)年、与謝野晶子に師事し「明星」に投稿、廃刊後は「スバル」同人として短歌に才能を発揮。1910年、画学生・岡本一平と結婚、翌年太郎を産む。一時結婚生活の危機を迎えるが、1929年、親子三人に青年二人を加え、渡欧。帰国後、1936年、芥川龍之介をモデルとした『鶴は病みき』でデビュー。以来、『老妓抄』など佳作を発表。没後も一平の手により、続々と遺稿が発表された。
- ISBN-104101040028
- ISBN-13978-4101040028
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1950/5/2
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ272ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1950/5/2)
- 発売日 : 1950/5/2
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 272ページ
- ISBN-10 : 4101040028
- ISBN-13 : 978-4101040028
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
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2012年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みやすい文体ですらすら読めますが、
各登場人物は欲求の強いくせ者達です。
スタンドプレイに陥りがちなくせ者が、
周りと関わり、生かされ、生活している姿から、
人との繋がり、当時の世間というものに安堵感を感じました。
岡本かの子という人は、人を信じて愛して生きていた人なんだろうなぁ。
などと考えてしまいました。
食べ物に関する表現は目を見張るものがあり、
食いしん坊の方にも是非読んで戴きたい1冊です。
各登場人物は欲求の強いくせ者達です。
スタンドプレイに陥りがちなくせ者が、
周りと関わり、生かされ、生活している姿から、
人との繋がり、当時の世間というものに安堵感を感じました。
岡本かの子という人は、人を信じて愛して生きていた人なんだろうなぁ。
などと考えてしまいました。
食べ物に関する表現は目を見張るものがあり、
食いしん坊の方にも是非読んで戴きたい1冊です。
2022年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
岡本かの子といえば、その奔放な生と性の印象が強い。この短編集では女性の
主人公が多い。決して我我と自己主張を強くすることもなく、しかし他人には容
喙されない芯の強さを持つ女性達。時代の流れやその夫や情人に、すっと乗って
いくが、その生活の折々に、女性が感じたことを素直に表出した小説集と言える。
九篇の短編が収録されている。岡本かの子を読んだのは初めてだったが、食に
まつわるアンソロジーで「鮨」は読んだことがあった。その時の母性と鮨という
組み合わせの妙に感心した記憶がある。美味探求というのではなく、子どもが美
味しく食べることを覚えた、その筆の何ともいえない筆の踊りが強く記憶に残っ
ていた。母の作る鮨のいかに美味しそうなことか。
かの子の生命力の大きさだろうか、「東海道五十三次」でも旅先での食べ物の
ことがちらっと出てくる。「家霊」はそれこそ、老人とどじょう鍋のことで最初
から最後まで貫かれている。読むだけで、老人の孤独と自尊心、貧しさ、店の優
しさ、どじょう汁の少し泥臭い、しかし滋味あふれる味までしてくる。
「食魔」もそのものずばりの、男の料理人の物語。その場にあるまな板や包丁、
食材までリアルであり、アンティチョークをこの時代に知っていたことにも驚い
た。「あとの口腔に淡い苦みが二日月の影のようにほのかに」感じられる食事。
そして調理人は、「他の性情や感覚や才能まで、その芽をもぎ取られ、いのちは
止むことなく食味の一方に育った」。いわば、かなり歪になった、アンバランス
な「食味」だけを追求する料理人。意固地な性格と傲慢な態度、世から疎まれか
ねない料理人の生き方はリアルだった。特定の人のためだけに調理し、「それは
女の娘生のこころを玉に凝らしたかのようにぶよぶよ透けるが中にいささか青春
の潤みに澱んでいる」、あまりにも飾りすぎの文章ではあるがやはり味がある。
「越年」は不思議な小説。男性の気持ちのあり様が理解しにくい。かの子は女
性の心情は上手に描けるが、男性の心を描くことはどうだったのだろう。そのあ
まりに野放図ともいえる男性との付き合いを考えると、かの子のこの男性心理の
描写は不思議なくらい現実味が薄い。
日常生活や普段のこれといって特徴のない情景を描いた作品もある。しみじみ
とした中に、キラリと光る表現がいくつもある。一つ一つの文章が粒立っている
のではなく、平板ともいえる文章が、味わい深い印象を残す。こういう文章を書
ける小説家はそうはいない。主人公や風景がのびのびと描かれ、嫌な生活臭を感
じることもない。かの子の生活歴をして、この文章を書かしめたのであろうか。
ふと平林たい子を思う。二人ともその熱情の激しさは群を抜いているが、文か
ら受ける印象は、実に対照的である。
「老妓抄」は、かつては名妓であった女性のなまめかしさや、来し方の人生を
それとなく語る雰囲気が秀逸。物語の巧みさで、世話をする青年の姿が彷彿とさ
れる。機械の専門家を助力し(囲い)その対価は得ようとしない。底流としてあ
る女性の妖しい生の呻き、逞しく貪婪だった性の香り。
全ての短編に「女性の色香」ともいうべきものが漂っている。ふとした折りに、
女性の香水の匂いがするようなものか。
ぜひお読み下さい。 おすすめです。 ☆☆☆☆☆
主人公が多い。決して我我と自己主張を強くすることもなく、しかし他人には容
喙されない芯の強さを持つ女性達。時代の流れやその夫や情人に、すっと乗って
いくが、その生活の折々に、女性が感じたことを素直に表出した小説集と言える。
九篇の短編が収録されている。岡本かの子を読んだのは初めてだったが、食に
まつわるアンソロジーで「鮨」は読んだことがあった。その時の母性と鮨という
組み合わせの妙に感心した記憶がある。美味探求というのではなく、子どもが美
味しく食べることを覚えた、その筆の何ともいえない筆の踊りが強く記憶に残っ
ていた。母の作る鮨のいかに美味しそうなことか。
かの子の生命力の大きさだろうか、「東海道五十三次」でも旅先での食べ物の
ことがちらっと出てくる。「家霊」はそれこそ、老人とどじょう鍋のことで最初
から最後まで貫かれている。読むだけで、老人の孤独と自尊心、貧しさ、店の優
しさ、どじょう汁の少し泥臭い、しかし滋味あふれる味までしてくる。
「食魔」もそのものずばりの、男の料理人の物語。その場にあるまな板や包丁、
食材までリアルであり、アンティチョークをこの時代に知っていたことにも驚い
た。「あとの口腔に淡い苦みが二日月の影のようにほのかに」感じられる食事。
そして調理人は、「他の性情や感覚や才能まで、その芽をもぎ取られ、いのちは
止むことなく食味の一方に育った」。いわば、かなり歪になった、アンバランス
な「食味」だけを追求する料理人。意固地な性格と傲慢な態度、世から疎まれか
ねない料理人の生き方はリアルだった。特定の人のためだけに調理し、「それは
女の娘生のこころを玉に凝らしたかのようにぶよぶよ透けるが中にいささか青春
の潤みに澱んでいる」、あまりにも飾りすぎの文章ではあるがやはり味がある。
「越年」は不思議な小説。男性の気持ちのあり様が理解しにくい。かの子は女
性の心情は上手に描けるが、男性の心を描くことはどうだったのだろう。そのあ
まりに野放図ともいえる男性との付き合いを考えると、かの子のこの男性心理の
描写は不思議なくらい現実味が薄い。
日常生活や普段のこれといって特徴のない情景を描いた作品もある。しみじみ
とした中に、キラリと光る表現がいくつもある。一つ一つの文章が粒立っている
のではなく、平板ともいえる文章が、味わい深い印象を残す。こういう文章を書
ける小説家はそうはいない。主人公や風景がのびのびと描かれ、嫌な生活臭を感
じることもない。かの子の生活歴をして、この文章を書かしめたのであろうか。
ふと平林たい子を思う。二人ともその熱情の激しさは群を抜いているが、文か
ら受ける印象は、実に対照的である。
「老妓抄」は、かつては名妓であった女性のなまめかしさや、来し方の人生を
それとなく語る雰囲気が秀逸。物語の巧みさで、世話をする青年の姿が彷彿とさ
れる。機械の専門家を助力し(囲い)その対価は得ようとしない。底流としてあ
る女性の妖しい生の呻き、逞しく貪婪だった性の香り。
全ての短編に「女性の色香」ともいうべきものが漂っている。ふとした折りに、
女性の香水の匂いがするようなものか。
ぜひお読み下さい。 おすすめです。 ☆☆☆☆☆
2011年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
岡本かの子の短編集『老妓抄』は、文学的にはそれほど優秀な作品ではありませんが、女性作家ならではの哀愁や可愛らしさを感じさせてくれる、ある意味名作ともいえる作品群です。なかでも『鮨』は母子の細やかな愛情と、思春期の少女の恋心を、どこにでもある鮨という食材を根幹に物語を展開させて、言葉にならない新鮮さを読者の心にダイレクトに届けてくれるピュアな作品です。もう一遍、『蔦の門』という作品も、心温まる小説です。使用人の老婢と近所の葉茶屋の娘の交流を女主の客観的視線を通じて語る形式をとっていますが、娘が老婢に本音を耳打ちする場面は秀逸です。短編集の最後を締めくくる『食魔』は作品としては破綻していて残念としか言いようがありません。しかし全体的にみますと、技術的には稚拙な部分を抱えている作家であっても、優秀な作品を書きえるのだという記念碑的短編集で、とくに女性の読者にはおすすめしたい本です。
2014年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
岡本かの子先生の「人間」に対しての表現力には感服したしました。この老妓のわずかな表情の変化に、彼女の人生の想い出や、或いは思いなどをうまく滲ませています。また現代となりましては、このような女性の「思い」に触れることも少ないですが、逆に若い女性などがお読みになったら面白いのではないか?と思ってしまいました。老妓は男の切れ端ばかりつまんでいたが、結局男はみな同じようなものなので、ぜひ「夫婦」として添い遂げるということはいかに「幸せ」なのかを見てみたいと切望されているわけです。しかし考えてみてください。老妓は甲斐性のある女です。ご自分のお建てになったご住居に住まい、土蔵で三味線の練習などをされる粋なお方です。やはり人間というものは、自分の手にならなかったものに憧れを抱くものなのですかねえ・・・しかし老いてもなお自分の思い通りになるものでもないし、切ないですね~これはどなたかも書かれていましたね。一本気に生きてこられただけにこの不器用な「一途さ」がかわいいですね~たまにはこのように人生を終盤から見ていくと面白いのかもしれませんね。
2012年7月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「かの子繚乱」を読んで、岡本かの子への関心が高まった。
表題作「老妓抄」の短歌で締めくくる終わり方が圧巻。
「家霊」や「鮨」の映画のカメラワークのような情景描写も見事。
「蔦の門」の孤独が孤独を牽くような老婢と少女の関係もほほえましい。
亀井勝一郎による解説にもあるが、この短編集には多くの何かに「憑(つ)かれた人」が登場する。
正に、かの子自身も憑かれたように、晩年小説を書きまくったのではないだろうか。
表題作「老妓抄」の短歌で締めくくる終わり方が圧巻。
「家霊」や「鮨」の映画のカメラワークのような情景描写も見事。
「蔦の門」の孤独が孤独を牽くような老婢と少女の関係もほほえましい。
亀井勝一郎による解説にもあるが、この短編集には多くの何かに「憑(つ)かれた人」が登場する。
正に、かの子自身も憑かれたように、晩年小説を書きまくったのではないだろうか。
2003年5月4日に日本でレビュー済み
短編集なので、どれもこれも読みやすい分量でまとまっています。表題作『老妓抄』をはじめ、いくつかの作品に、その物語を最後にきりりッ!と引き締める、作者の詠んだ歌が素晴らしい味わいを醸し出しています。どの作品も印象的で、最近良く言われる、美しい日本語で、雰囲気も伝わってきます。
この作品の中で一番のオススメは『蔦の門』と言う作品です。主人公の雇っている一人身の老家政婦と両親のいないお茶屋の娘との、血よりも濃い絆を描いた作品なのですが、二人の遣り取り一つとっても、情感を込めるのがとても上手く、泣けてきます。この一作のためだけでも読んでみる価値はあります。
この作品の中で一番のオススメは『蔦の門』と言う作品です。主人公の雇っている一人身の老家政婦と両親のいないお茶屋の娘との、血よりも濃い絆を描いた作品なのですが、二人の遣り取り一つとっても、情感を込めるのがとても上手く、泣けてきます。この一作のためだけでも読んでみる価値はあります。