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美徳のよろめき (新潮文庫) 文庫 – 1960/11/8
三島 由紀夫
(著)
生れもしつけもいい優雅なヒロイン倉越夫人節子の無垢な魂にとって、姦通とは異邦の珍しい宝石のようにしか感得されていなかったが……。作者は、精緻な技巧をこらした人工の美の世界に、聖女にも似た不貞の人妻を配し、姦通という背徳の銅貨を、魂のエレガンスという美徳の金貨へと、みごとに錬金してみせる。“よろめき"という流行語を生み、大きな話題をよんだ作品。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1960/11/8
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101050090
- ISBN-13978-4101050096
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1960/11/8)
- 発売日 : 1960/11/8
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4101050090
- ISBN-13 : 978-4101050096
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 453,575位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威。
1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。
主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
よろめき夫人という、人が言っていた台詞に惹かれて購入した本。蓋を開けてみると禁断の林檎でした。本の後ろに書いてある要約を読んでから内容を読みましたが、明らかに成熟した大人を対象とした内容でした。結婚をしていない私には不向きな内容かな。それでも、楽しめます。
2022年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
金閣寺を最近読み、いくつか三島作品を購入しました。
2023年4月23日に日本でレビュー済み
「潮騒」に続き2冊目の三島作品。
不倫をテーマとした作品だが、もっとストーリー性に富んでいるのかと想像していた。
だが、そうではなく、観念的というか抽象的というか、心理描写が多く難解だった。
不倫物なのでヒロインのそこに至る葛藤が詳細に描かれているのかと思いきや、そんなことはなく、あっさりと倫理を踏み越えてしまう印象。
また、倫理観という意味では、掻把に対するためらいもほとんどない。
それならそれで虚無的というか今風にいえばクールなヒロイン像なのかというと、途中から嫉妬に苦しめられ続けるあたりは凡庸な感じがした。
全編を通して主人公の心理を追うことが困難で、小説世界に入り込めませんでした。
不倫をテーマとした作品だが、もっとストーリー性に富んでいるのかと想像していた。
だが、そうではなく、観念的というか抽象的というか、心理描写が多く難解だった。
不倫物なのでヒロインのそこに至る葛藤が詳細に描かれているのかと思いきや、そんなことはなく、あっさりと倫理を踏み越えてしまう印象。
また、倫理観という意味では、掻把に対するためらいもほとんどない。
それならそれで虚無的というか今風にいえばクールなヒロイン像なのかというと、途中から嫉妬に苦しめられ続けるあたりは凡庸な感じがした。
全編を通して主人公の心理を追うことが困難で、小説世界に入り込めませんでした。
2014年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高校生の頃から大好きな三島の一冊です。自分が結婚してから読んでみると、こんなに具体的な官能小説なのかとわかりました。それなのに、一片も醜さもなく不倫が描かれている点が素晴らしい。三島以外の人が書けばどろどろとした感情や陰惨な出来事として描かれるかもしれないものが、この作者にかかると遠景から見える風光明媚な景色のように美しく仕上がっています。最後には当然のように別れが来るのですが、それすらも詩のように美しく扱われています。
人工的と言えば人工的ですが、そういうところが昔から好きだったのだと思います。相手役の土屋という男性はこんな人、いそうだけども本当にいるのだろうかという気がします。主人公の節子もいそうだけれども、現実にはいない女性のようにも思えます。
最後の一章が私はとても好きです。節子がこれまで翻弄されてきた情熱を暴れ馬の手綱を引き締めるように自制していくのですが、その情熱さえも本物の情熱ではなく節子の勝手に思い描いた情熱の形骸化した輪郭、あるいはほとばしるホルモンに支配された肉体の欲望ではなかったかという気がします。これほど美しい別れを描いた小説はなかなかないのではないでしょうか。
「美徳はあれほど人を孤独にするのに、不道徳は人を同胞のように仲良くさせる」と背徳的な名言のほかにも三島独特の価値観が語られていて、わかりにくいところもありますが、「仮面の告白」のようなアクの強さがないところも女性読者には馴染めるのではないかと思います。
人工的と言えば人工的ですが、そういうところが昔から好きだったのだと思います。相手役の土屋という男性はこんな人、いそうだけども本当にいるのだろうかという気がします。主人公の節子もいそうだけれども、現実にはいない女性のようにも思えます。
最後の一章が私はとても好きです。節子がこれまで翻弄されてきた情熱を暴れ馬の手綱を引き締めるように自制していくのですが、その情熱さえも本物の情熱ではなく節子の勝手に思い描いた情熱の形骸化した輪郭、あるいはほとばしるホルモンに支配された肉体の欲望ではなかったかという気がします。これほど美しい別れを描いた小説はなかなかないのではないでしょうか。
「美徳はあれほど人を孤独にするのに、不道徳は人を同胞のように仲良くさせる」と背徳的な名言のほかにも三島独特の価値観が語られていて、わかりにくいところもありますが、「仮面の告白」のようなアクの強さがないところも女性読者には馴染めるのではないかと思います。
2012年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
美徳・道徳についてなんと名言の多いことか!
不倫へのよろめきから脱出まで理由付けがしっかり語られている1冊です。
主人公節子は思い込みの強い自分勝手な女性ではありますが、
彼女の中の美徳は一貫しています。
己を犠牲にし、周りは傷つけない責任の取り方は”よろめき”の代償としては本当にアホで、
可愛そうとさえ思えます。
結局開き直れない育ちの良さ、生真面目さは愛しさすら感じてしまいました。
個人的には第18節で終えるのが良かった様に思います。
第19節があることで大変メロドラマ的になってしまい残念です。
不倫へのよろめきから脱出まで理由付けがしっかり語られている1冊です。
主人公節子は思い込みの強い自分勝手な女性ではありますが、
彼女の中の美徳は一貫しています。
己を犠牲にし、周りは傷つけない責任の取り方は”よろめき”の代償としては本当にアホで、
可愛そうとさえ思えます。
結局開き直れない育ちの良さ、生真面目さは愛しさすら感じてしまいました。
個人的には第18節で終えるのが良かった様に思います。
第19節があることで大変メロドラマ的になってしまい残念です。
2019年7月28日に日本でレビュー済み
鬼才三島による緻密な心理分析が施されているヒロインは、誰が見ても(ひねくれてはいるが)聡明な女性。
そんな上品この上ないご夫人が、姦通はともかく何度も堕胎を繰り返すなんてナンセンスもいいとこ。
しかも毎回独善的に結論づけるばかりで学習能力全く無し。
聖女の背徳だの人工の美だのと小洒落た表現で粉飾するのは、ちょっと無理があるような気が・・・
唯一無二といっていいほどアクが強い心情の持ち主なのに、不倫男性との出会いも別れも在り来たりなので拍子抜けしてしまう。
この程度の関係であれば、あんな七面倒くさい駆け引きなど必要ないでしょう。
そもそもあんなに洞察力も予見力もありそうな理知的な男女が、いくら家族計画もテキトーな時代だったとはいえ、不倫なのに完全無防備で逢瀬を重ねているのが全くもって不可解。
このため延々つづった精巧な心理描写も、ゴミ箱直行状態となってしまっている。
独特な心理描写と凡庸なストーリーとが、当然ながら噛み合わず不自然ですらある。
あまたの心理描写が歯車と化して物語を豪壮に稼働させる三島節が、今回は完全に空回り。
こんな矛盾だらけの破綻作ならば、いっそ破滅の道をまっしぐらの方が面白かったなw
三島の作品はどれも傑作だと信じていたが、どうやらこれは違うようだ。
そんな上品この上ないご夫人が、姦通はともかく何度も堕胎を繰り返すなんてナンセンスもいいとこ。
しかも毎回独善的に結論づけるばかりで学習能力全く無し。
聖女の背徳だの人工の美だのと小洒落た表現で粉飾するのは、ちょっと無理があるような気が・・・
唯一無二といっていいほどアクが強い心情の持ち主なのに、不倫男性との出会いも別れも在り来たりなので拍子抜けしてしまう。
この程度の関係であれば、あんな七面倒くさい駆け引きなど必要ないでしょう。
そもそもあんなに洞察力も予見力もありそうな理知的な男女が、いくら家族計画もテキトーな時代だったとはいえ、不倫なのに完全無防備で逢瀬を重ねているのが全くもって不可解。
このため延々つづった精巧な心理描写も、ゴミ箱直行状態となってしまっている。
独特な心理描写と凡庸なストーリーとが、当然ながら噛み合わず不自然ですらある。
あまたの心理描写が歯車と化して物語を豪壮に稼働させる三島節が、今回は完全に空回り。
こんな矛盾だらけの破綻作ならば、いっそ破滅の道をまっしぐらの方が面白かったなw
三島の作品はどれも傑作だと信じていたが、どうやらこれは違うようだ。
2018年8月10日に日本でレビュー済み
.
「不倫」をテーマとした、三島が1957年(昭和32年)文芸雑誌『群像』4月号から6月号に連載した作品である。単行本はベストセラーとなり、題名中の 「よろめき」 は、当時の流行語ともなった。
拝読後、まず感じたのは三島の「女性趣味の良さ」であった。良家の育ちで 幸福な結婚生活を送っている主人公・節子の、素直で、たおやかな 「女の柔らかな官能の魅力」 は、不倫関係にあっても 些かの汚さをも感じさせず、読者の心を惹きつけて離さない。
こんな女性像を、独身時代の若かりし三島が創出したとすると、三島の女性趣味は なかなか高尚なものであったと評して良い。
又、不倫相手の土屋という男の設定も秀逸である。「遊び人」の頼りなさ、責任感の欠如など 瑕疵だらけの人物像ながら、その欠陥ゆえの「つれなさ」が女性をさらに掻き立てる様子の微細な描写など、三島の男女の情愛についての洞察力は なかなか堂に入っている。
さらに読者として楽しめるのは、自らの不倫関係に悩んだ節子が「人生相談」を持ちかける相手二名の存在である。一人は遊興の限りを尽くし、長い放浪生活を経て達観の境地に至った老人、もう一人は男女関係の酸いも甘いも噛み分け尽くした老妓であるが、この二人のアドバイスがなかなか味わい深い。
執筆にあたり、畢竟の力作「金閣寺」を書き終えたあと、この作品についての三島の筆は さぞ滑らかに進んだものと推測されるが、かかる男女の恋愛に絡んだ心理の変化や、達観した老人による人生訓話など、一体 三島はどうやって「知識として仕入れ、身に付けた」のであろうか。
本質的には、大変ナイーブで、一本気な青年であったと思われる三島が、かかる男女間の感情の機微をどのようにして知るに至ったのか・・・そして、三島自身の 「 経験 」 が背後にあるとすれば、如何に三島も、人並みならぬ苦しい恋愛を体験したことであろうか・・・そんなことが、ふと気になった作品でもある。
「不倫」をテーマとした、三島が1957年(昭和32年)文芸雑誌『群像』4月号から6月号に連載した作品である。単行本はベストセラーとなり、題名中の 「よろめき」 は、当時の流行語ともなった。
拝読後、まず感じたのは三島の「女性趣味の良さ」であった。良家の育ちで 幸福な結婚生活を送っている主人公・節子の、素直で、たおやかな 「女の柔らかな官能の魅力」 は、不倫関係にあっても 些かの汚さをも感じさせず、読者の心を惹きつけて離さない。
こんな女性像を、独身時代の若かりし三島が創出したとすると、三島の女性趣味は なかなか高尚なものであったと評して良い。
又、不倫相手の土屋という男の設定も秀逸である。「遊び人」の頼りなさ、責任感の欠如など 瑕疵だらけの人物像ながら、その欠陥ゆえの「つれなさ」が女性をさらに掻き立てる様子の微細な描写など、三島の男女の情愛についての洞察力は なかなか堂に入っている。
さらに読者として楽しめるのは、自らの不倫関係に悩んだ節子が「人生相談」を持ちかける相手二名の存在である。一人は遊興の限りを尽くし、長い放浪生活を経て達観の境地に至った老人、もう一人は男女関係の酸いも甘いも噛み分け尽くした老妓であるが、この二人のアドバイスがなかなか味わい深い。
執筆にあたり、畢竟の力作「金閣寺」を書き終えたあと、この作品についての三島の筆は さぞ滑らかに進んだものと推測されるが、かかる男女の恋愛に絡んだ心理の変化や、達観した老人による人生訓話など、一体 三島はどうやって「知識として仕入れ、身に付けた」のであろうか。
本質的には、大変ナイーブで、一本気な青年であったと思われる三島が、かかる男女間の感情の機微をどのようにして知るに至ったのか・・・そして、三島自身の 「 経験 」 が背後にあるとすれば、如何に三島も、人並みならぬ苦しい恋愛を体験したことであろうか・・・そんなことが、ふと気になった作品でもある。
2010年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品はあまり有名ではないが、非常に三島さんらしい作品である。ごく簡単に言えば「女性批判」の作品だろう。
節子は非常によく教育され“美徳”を持っている。しかしその“美徳”とは真に彼女の精神に埋め込まれたものではなく、単に教育された一形式に過ぎない。その証拠に彼女は肉体的貞操を保ってさえいれば、夢や空想上で何をしてもかまわぬと本気で考えているのである。
またよく表現されているのは、節子は性欲から来るものをよく知らない、だから夫が見る「写真」も理解できないし、まただからこそ自分は精神的で道徳的だと考えているところである。しかし“性欲がない”ということと“性欲があるということを認識できない”ということは大きく違うのであり、状況さえ揃えば、本人も知らぬ裡に、節子は“肉”の世界の底に簡単に沈んでゆくのである。従って最終的に節子は肉体的貞操も犯してしまう。これは一般的な女性にも言えることである。
このようにこの作品では女性の“精神”がいかに疑わしいものかということを、節子の“美徳”がよろめいていく様を書くことによって描き出している。女性にとっては非常に不愉快かもしれないが、表現なども非常にすぐれたものだと思うので、様々な方に是非読んでいただきたい作品である。
節子は非常によく教育され“美徳”を持っている。しかしその“美徳”とは真に彼女の精神に埋め込まれたものではなく、単に教育された一形式に過ぎない。その証拠に彼女は肉体的貞操を保ってさえいれば、夢や空想上で何をしてもかまわぬと本気で考えているのである。
またよく表現されているのは、節子は性欲から来るものをよく知らない、だから夫が見る「写真」も理解できないし、まただからこそ自分は精神的で道徳的だと考えているところである。しかし“性欲がない”ということと“性欲があるということを認識できない”ということは大きく違うのであり、状況さえ揃えば、本人も知らぬ裡に、節子は“肉”の世界の底に簡単に沈んでゆくのである。従って最終的に節子は肉体的貞操も犯してしまう。これは一般的な女性にも言えることである。
このようにこの作品では女性の“精神”がいかに疑わしいものかということを、節子の“美徳”がよろめいていく様を書くことによって描き出している。女性にとっては非常に不愉快かもしれないが、表現なども非常にすぐれたものだと思うので、様々な方に是非読んでいただきたい作品である。