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「三島由紀夫」とはなにものだったのか (新潮文庫) 文庫 – 2005/10/28
橋本 治
(著)
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第一回小林秀雄賞受賞作。「三島」がさらに面白く読める!
“同性愛"を書いた作家ではなく、“同性愛"を書かなかった作家。恋ではなく、「恋の不可能」にしか欲望を機能させることが出来ない人――。
諸作品の驚嘆すべき精緻な読み込みから浮かび上がる、天才作家への新しい視点。「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が気になるのか」?と自問を重ね綴る。小林秀雄賞受賞作。
【目次】
序
一 アポロ像神話
二 スター――あるいは、三島由紀夫が生きていた時代
三 私と三島由紀夫
第一章 『豊饒の海』論
一 二人の三島由紀夫――檜俊輔と南悠一
二 『金閣寺』の二人
三 『暁の寺』のジン・ジャン――あるいは、「書き割り」としての他者
四 『奔馬』の飯沼勲――その他者の不在
五 阿頼耶識
六 天動説
第二章 同性愛を書かない作家
一 松枝清顕の接吻
二 同性愛を書かない作家
三 「仮面」の詮索
四 『仮面の告白』――その断層
五 それはいかなる「欲望」か
六 暴君の欲望
七 彼はなぜ恋を殺すのか
八 たとえば、『春の雪』の飯沼茂之
九 近江はなぜ消えたか
第三章 「女」という方法
一 三島由紀夫の「戦後」
二 囚われの人
三 女は拒絶する
四 復讐
五 行方不明の女性像
六 母の位相
七 やさしい子供
八 誰がサド侯爵夫人か?
九 禁じられない欲望
十 母との訣別
十一 サディズムとの訣別
十二 出発
終章 「男」という彷徨
一 不在の後
二 認識が「死ね」と言う
三 二つの選択肢
四 超法規的なもの――あるいは、祖母という「偉大」
五 忘れられた序章
六 松本清張を拒絶する三島由紀夫――あるいは、私有される現実
七 その人の名は「三島由紀夫」
補遺 三島劇のヒロイン達
一 『喜びの琴』事件
二 杉村春子から水谷八重子へ
三 恋すべき処女――六世中村歌右衛門
あとがき
橋本治(1948-2019)
東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説・戯曲・評論・エッセイ・古典の現代語訳・浄瑠璃などの古典芸能の新作ほか、多彩な執筆活動を行う。2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞を、2005年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を、2008年『双調 平家物語』で毎日出版文化賞を受賞。著書に、『窯変 源氏物語』『巡礼』『リア家の人々』『ひらがな日本美術史』『失われた近代を求めて』『浄瑠璃を読もう』『九十八歳になった私』など多数。
“同性愛"を書いた作家ではなく、“同性愛"を書かなかった作家。恋ではなく、「恋の不可能」にしか欲望を機能させることが出来ない人――。
諸作品の驚嘆すべき精緻な読み込みから浮かび上がる、天才作家への新しい視点。「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が気になるのか」?と自問を重ね綴る。小林秀雄賞受賞作。
【目次】
序
一 アポロ像神話
二 スター――あるいは、三島由紀夫が生きていた時代
三 私と三島由紀夫
第一章 『豊饒の海』論
一 二人の三島由紀夫――檜俊輔と南悠一
二 『金閣寺』の二人
三 『暁の寺』のジン・ジャン――あるいは、「書き割り」としての他者
四 『奔馬』の飯沼勲――その他者の不在
五 阿頼耶識
六 天動説
第二章 同性愛を書かない作家
一 松枝清顕の接吻
二 同性愛を書かない作家
三 「仮面」の詮索
四 『仮面の告白』――その断層
五 それはいかなる「欲望」か
六 暴君の欲望
七 彼はなぜ恋を殺すのか
八 たとえば、『春の雪』の飯沼茂之
九 近江はなぜ消えたか
第三章 「女」という方法
一 三島由紀夫の「戦後」
二 囚われの人
三 女は拒絶する
四 復讐
五 行方不明の女性像
六 母の位相
七 やさしい子供
八 誰がサド侯爵夫人か?
九 禁じられない欲望
十 母との訣別
十一 サディズムとの訣別
十二 出発
終章 「男」という彷徨
一 不在の後
二 認識が「死ね」と言う
三 二つの選択肢
四 超法規的なもの――あるいは、祖母という「偉大」
五 忘れられた序章
六 松本清張を拒絶する三島由紀夫――あるいは、私有される現実
七 その人の名は「三島由紀夫」
補遺 三島劇のヒロイン達
一 『喜びの琴』事件
二 杉村春子から水谷八重子へ
三 恋すべき処女――六世中村歌右衛門
あとがき
橋本治(1948-2019)
東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説・戯曲・評論・エッセイ・古典の現代語訳・浄瑠璃などの古典芸能の新作ほか、多彩な執筆活動を行う。2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で小林秀雄賞を、2005年『蝶のゆくえ』で柴田錬三郎賞を、2008年『双調 平家物語』で毎日出版文化賞を受賞。著書に、『窯変 源氏物語』『巡礼』『リア家の人々』『ひらがな日本美術史』『失われた近代を求めて』『浄瑠璃を読もう』『九十八歳になった私』など多数。
- ISBN-104101054142
- ISBN-13978-4101054148
- 出版社新潮社
- 発売日2005/10/28
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ480ページ
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¥737¥737
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出版社より
「三島由紀夫」とはなにものだったのか | 草薙の剣 | |
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5つ星のうち4.3
55
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価格 | ¥737¥737 | — |
【新潮文庫】橋本治 作品 | 三島の内部に謎はない。謎は外部との接点にある──。諸作品の精緻な読み込みから明らかになる、”天才作家”への新たな視点。 | 世代の異なる六人の男たちとその父母祖父母の人生から、平成末までの百年、近代を超えて立ち上がる「時代」を浮き彫りにした大作。〈野間文芸賞受賞〉 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/10/28)
- 発売日 : 2005/10/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 480ページ
- ISBN-10 : 4101054142
- ISBN-13 : 978-4101054148
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 120,242位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,579位新潮文庫
- - 26,553位ノンフィクション (本)
- - 33,137位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1948年東京生まれ。東京大学在学中に駒場祭のポスターで話題を集めるが、イラストレーターから小説家に転身。小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッ セイ・芝居の演出など、ジャンルにとらわれず精力的に活動。『双調平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受けるなど受賞歴多数。小林秀雄賞選考委員(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 桃尻娘 (ISBN-13: 978-4591117552 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年10月16日に日本でレビュー済み
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私にとっても、三島由紀夫は「とうの昔に終わっている」はずなのであるが、やはり、なぜか人間の様々な様相を考える時、どこからともなく浮かび上がってくるのである。著者もまた誠実な作家である。
2023年7月5日に日本でレビュー済み
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本書を書き上げるまでの執筆過程(全体の骨子を決めて肉付けするように中身を書いていくのではなく、いろんな用途に寄稿したものを寄集めてある)と本書を執筆するに際しての心情(三島やその作品を特段気に入ってるわけじゃなく、ゴリ押しで依頼されたからかいただけ)という重ね重ねのExcuseのあとがきを踏まえた上で読むべし。三島作品を読んで自分の中に残った感触とこの人の意見と共感できる点もあり、新たな気づきもあり、賛同致しかねる点もあり、という読み方をオススメします。それと、これを読んで三島を読んだ気にならないで欲しい。
2017年1月10日に日本でレビュー済み
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難解な「阿頼耶識」についての解釈はとても腑に落ちる。この本を読んで、『豊饒の海』の世界に再び歩み出し、また迷い途方に暮れては、この本に頼るということを繰り返しながら、三島由紀夫という「豊饒の海」そのものと付き合って行きたいと思った。
2023年6月21日に日本でレビュー済み
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この本は引きこもりやニートに向けて書かれた本だ。引きこもりやニートが生まれる背景について彼独自の見解でユーモアを交えて解説している。
この社会は無数のトゲで満ちている。トゲから逃れて生活していくことは難しく、トゲの影響を受けて血まみれの中で生きていかねばならない。それが社会の中で生きるということだ。
誰もがトゲから逃れたいと考えているが、社会の中で生活していく以上、トゲから逃れることはできない。
引きこもりやニートという人種は、自己愛が傷つくことを恐れて自分の世界へと閉じこもり、そこから一歩も出ようとはしない傾向にある人たちだ。彼らの精神は脆い卵の殻のようなもので、ちょっとした出来事や言動によって、その卵の殻に強烈なひびが入ってしまう。ちょっと角にぶつけただけで、卵の心髄に凄まじいほどのダメージが加わってしまうのだ。しかし、ダメージを受けずに生活できるほど社会は甘くないから、どこかの時点で他人や社会から評価を受ける必要がある。
社会や人とのつながりがなさすぎると、自分が社会の中で他人からどのように見られているか、評価されているかを判断する機会を持てず、自分の内なる世界において空想した万能感ばかりが膨れ上がっていく。万能感が過度に肥大化していくと、現実世界で物事がうまくいかなかったときに、大きなショックを受けてしまう。理想の自分と現実の自分とのギャップが大きく乖離しているという事実が受け入れられないのだ。
頭の中で空想している世界観や物事への進め方と、現実世界におけるそれとは厳格に区別しないといけない。頭の中で物事がうまく進んでいる状況をいくら空想しても、それは現実とは何の関係もないことである。それは現実に何の影響も与えていない。実際に行動に起こしてこそ意味があるのである。何一つ行動に移すわけでもなく、理想化した世界を脳内に抱えたままでは時間の浪費を蓄積していくだけである。
そして、気づいた時には既に老衰しきっている自分と、同じ足跡ばかりを積み重ねた自分の姿に唖然とするのだ。振り返ってみると、そこにあるのは時間の浪費の山積である。空想の中で理想化した世界の積み重ねはなんのプラスにもならない。それは映ることのないテープでしかない。
しかし、橋本はそうした人たちに警笛を鳴らす。自分の世界から一歩外に出ろと。自分以外のものにとにかく目を向けろと。
自己愛が傷つけられることを恐れてばかりいると、自分しか愛せなくなってしまう。そして自分への愛が極度に大きいと、他人の存在が自分の世界から消えていく。人間と出会わずに人生を終えたくないのであれば、誰かに自分の思いを伝えてみる、誰かに自分の身を委ねてみる、といった行動を取っていくしかない。
社会からトゲがなくなることはないけれど、上記で述べたようなことを積み重ねていくことで、霧に覆われた世界から少しは陽が見えることもある。それが社会の中で生きていくということではないだろうか。
この社会は無数のトゲで満ちている。トゲから逃れて生活していくことは難しく、トゲの影響を受けて血まみれの中で生きていかねばならない。それが社会の中で生きるということだ。
誰もがトゲから逃れたいと考えているが、社会の中で生活していく以上、トゲから逃れることはできない。
引きこもりやニートという人種は、自己愛が傷つくことを恐れて自分の世界へと閉じこもり、そこから一歩も出ようとはしない傾向にある人たちだ。彼らの精神は脆い卵の殻のようなもので、ちょっとした出来事や言動によって、その卵の殻に強烈なひびが入ってしまう。ちょっと角にぶつけただけで、卵の心髄に凄まじいほどのダメージが加わってしまうのだ。しかし、ダメージを受けずに生活できるほど社会は甘くないから、どこかの時点で他人や社会から評価を受ける必要がある。
社会や人とのつながりがなさすぎると、自分が社会の中で他人からどのように見られているか、評価されているかを判断する機会を持てず、自分の内なる世界において空想した万能感ばかりが膨れ上がっていく。万能感が過度に肥大化していくと、現実世界で物事がうまくいかなかったときに、大きなショックを受けてしまう。理想の自分と現実の自分とのギャップが大きく乖離しているという事実が受け入れられないのだ。
頭の中で空想している世界観や物事への進め方と、現実世界におけるそれとは厳格に区別しないといけない。頭の中で物事がうまく進んでいる状況をいくら空想しても、それは現実とは何の関係もないことである。それは現実に何の影響も与えていない。実際に行動に起こしてこそ意味があるのである。何一つ行動に移すわけでもなく、理想化した世界を脳内に抱えたままでは時間の浪費を蓄積していくだけである。
そして、気づいた時には既に老衰しきっている自分と、同じ足跡ばかりを積み重ねた自分の姿に唖然とするのだ。振り返ってみると、そこにあるのは時間の浪費の山積である。空想の中で理想化した世界の積み重ねはなんのプラスにもならない。それは映ることのないテープでしかない。
しかし、橋本はそうした人たちに警笛を鳴らす。自分の世界から一歩外に出ろと。自分以外のものにとにかく目を向けろと。
自己愛が傷つけられることを恐れてばかりいると、自分しか愛せなくなってしまう。そして自分への愛が極度に大きいと、他人の存在が自分の世界から消えていく。人間と出会わずに人生を終えたくないのであれば、誰かに自分の思いを伝えてみる、誰かに自分の身を委ねてみる、といった行動を取っていくしかない。
社会からトゲがなくなることはないけれど、上記で述べたようなことを積み重ねていくことで、霧に覆われた世界から少しは陽が見えることもある。それが社会の中で生きていくということではないだろうか。
2022年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
橋本治さん、よくここまで読み込んだものだと感心する。
これを読めばもう三島由紀夫の原作を読まなくてもいいな、という気にさせてくれます。(笑)
これを読めばもう三島由紀夫の原作を読まなくてもいいな、という気にさせてくれます。(笑)
2014年5月23日に日本でレビュー済み
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余りに、筆者が自説を自身でこねくり回している感じがあり、面白みに欠ける内容。
2020年9月28日に日本でレビュー済み
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30年ぐらい前に「仮面の告白」を読んで、主人公に何の共感も覚えず(独白なのになんでこんなに言い訳ばかりして自分を正当化してるんだろう?と思った記憶がある)、それ以来三島を読むことはなかったのだが、その時感じた違和感が全て(橋本治の独自の解釈ではあるが)説明されていて溜飲が下がる気がした。三島の信奉者は激怒するだろうが。
2016年9月12日に日本でレビュー済み
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何が理由か思い出せませんが,三島さんが自決した中学校一年生の時にアルバイトをして豊穣の海の単行本を購入しました.三島さんの作品はほとんど(多分,95%以上)読んでいると思います.豊穣の海の阿頼耶識が分からないと言いながら,「閉じている.」と言っている.矛盾.これは,閉じてはいない.なるほどと思う所がありましたが,いい悪いにかかわらず,この人は三島さんを,そもそも理解できる資質が無いです.(繰り返しですが,いい悪いではないです.持って生まれたものです.)
これが小林秀雄賞とかいうものを得たそうですが,世の中,そんなもんですね.
読むに値しない.読めば,間違いが刷り込まれてしまいます.
これが小林秀雄賞とかいうものを得たそうですが,世の中,そんなもんですね.
読むに値しない.読めば,間違いが刷り込まれてしまいます.