女性ならどちらを選ぶでしょう。
体格や見た目の容姿は落ちるが、将来世界へ羽ばたく有望な優しい男。
容姿もたくましく魅力的で現在も有能な優しい男。
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友情 (新潮文庫) 文庫 – 1947/12/29
武者小路 実篤
(著)
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たとえ揺るぎない友情の前であっても、いかんともしがたいのが恋愛――。
昭和22年刊行の新潮文庫版は138刷、410万部超えの大ロングセラー。
脚本家野島と、新進作家の大宮は、厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、大宮に心惹かれる杉子は野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う――。
青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。詳細な注解および作品解説、年譜を付す。
【目次】
自序
上篇
下篇
注解
武者小路実篤の文学…小田切進(文芸評論家)
解説…亀井勝一郎(評論家)
年譜
著者の言葉
しかし恋にもいろいろある。一概には云えない。この小説の主人公は杉子と結婚しなかった為に他の女と結婚したろう。そして子が生れたろう。その子が男で、大宮と杉子の間に出来た女の子を恋して結婚するということも考えられないことではない。そして両方がお互(たがい)に生れたことを感謝しあうと云うこともあり得ないことではない。
夫婦のことは何処か他の処で書こう。
自分はここではホイットマンの真似して、失恋するものも万歳、結婚する者も万歳と云っておこう。(本書「自序」より)
本文より
彼(野島)は何か話しかけたかった。しかし言葉は出なかった。
杉子は通りすぎた。彼は夢中で、二三十歩歩いてふりかえった時、もう杉子の姿は見えなかった。しかしこの僅かなことが、急に彼を別人のように快活にさせた。
物質論者に云わすと、ここに何か知らない物質が、恋する者から厚意(こうい)を見せられると、血管のなかに生ずるらしい。人はその時自(おの)ずと快活にならなければならない。野島は二十三にはなっていたが、女をまだ知らなかった。
野島はこの気持を自家(うち)に帰ってももっていた。……(本書16ページ)
武者小路実篤(1885-1976)
東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。
昭和22年刊行の新潮文庫版は138刷、410万部超えの大ロングセラー。
脚本家野島と、新進作家の大宮は、厚い友情で結ばれている。野島は大宮のいとこの友人の杉子を熱愛し、大宮に助力を願うが、大宮に心惹かれる杉子は野島の愛を拒否し、パリに去った大宮に愛の手紙を送る。野島は失恋の苦しみに耐え、仕事の上で大宮と決闘しようと誓う――。
青春時代における友情と恋愛との相克をきめこまかく描き、時代を超えて読みつがれる武者小路文学の代表作。詳細な注解および作品解説、年譜を付す。
【目次】
自序
上篇
下篇
注解
武者小路実篤の文学…小田切進(文芸評論家)
解説…亀井勝一郎(評論家)
年譜
著者の言葉
しかし恋にもいろいろある。一概には云えない。この小説の主人公は杉子と結婚しなかった為に他の女と結婚したろう。そして子が生れたろう。その子が男で、大宮と杉子の間に出来た女の子を恋して結婚するということも考えられないことではない。そして両方がお互(たがい)に生れたことを感謝しあうと云うこともあり得ないことではない。
夫婦のことは何処か他の処で書こう。
自分はここではホイットマンの真似して、失恋するものも万歳、結婚する者も万歳と云っておこう。(本書「自序」より)
本文より
彼(野島)は何か話しかけたかった。しかし言葉は出なかった。
杉子は通りすぎた。彼は夢中で、二三十歩歩いてふりかえった時、もう杉子の姿は見えなかった。しかしこの僅かなことが、急に彼を別人のように快活にさせた。
物質論者に云わすと、ここに何か知らない物質が、恋する者から厚意(こうい)を見せられると、血管のなかに生ずるらしい。人はその時自(おの)ずと快活にならなければならない。野島は二十三にはなっていたが、女をまだ知らなかった。
野島はこの気持を自家(うち)に帰ってももっていた。……(本書16ページ)
武者小路実篤(1885-1976)
東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1947/12/29
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-10410105701X
- ISBN-13978-4101057019
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出版社より
友情 | 愛と死 | 武者小路実篤詩集 | 人生論・愛について | お目出たき人 | 真理先生 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.4
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価格 | ¥407¥407 | ¥440¥440 | ¥539¥539 | ¥693¥693 | ¥572¥572 | ¥605¥605 |
【新潮文庫】武者小路実篤 作品 | あつい友情で結ばれていた脚本家野島と新進作家大宮は同じ女を愛してしまった──青春期の友情と恋愛の相剋を描く名作。 | 小説家村岡が洋行を終えて無事に帰国の途についたとき、許嫁夏子の急死の報が届いた。至純で崇高な愛の感情を謳う不朽の恋愛小説。 | 平明な言葉、素朴な響きのうちに深い人生の知恵がこめられ、”無心”へのあこがれを東洋風のおおらかな表現で謳い上げた代表詩 117 編。 | 人生を真正面から肯定し、平明簡潔な文章で人間の善意と美しさを表明しつづけてきた著者の代表的評論・随筆を精選して収録する。 | 口をきいたことすらない美少女への熱愛。その片恋の破局までを、豊かな「失恋能力」の持主、武者小路実篤が底ぬけの率直さで描く。 | 社会では成功しそうにもないが人生を肯定して無心に生きる、真理先生、馬鹿一、白雲、泰山などの自由精神に貫かれた生き方を描く。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1947/12/29)
- 発売日 : 1947/12/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 192ページ
- ISBN-10 : 410105701X
- ISBN-13 : 978-4101057019
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 250,708位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年4月27日に日本でレビュー済み
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10代の頃この小説に出会い次のページをめくるのがもどかしくなるほど引き込まれて一気読みしたのを覚えています。30年たった今もう一度読み返してみたく手に取りましたが、やはり恋愛小説の中では群を抜いて良い作品です。
2023年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
【要約】
主人公野島と親友の大宮が同じ杉子という女に恋をして、大宮が杉子に恋されていることを知り、野島との友情と杉子との恋に悩む話。
【期待したこと】
大学生の時に読んで、心が熱くなり感動した記憶があったので、同じ体験をしたくて読んだ。
【結果】
友情に感動する場面はほとんどなかったが、最後の野島の決意には胸が熱くなった。
【感想】
P14で野島は尊敬する人物を聞かれて「他人の運命を尊敬するものが好きだ」と言っている。
その後、大宮と杉子の結婚を知らされたことで、野島自身が、自分が他人の運命を尊敬する人物になれるかが問われているのがおもしろい。
また、P34で野島と恋について話す場面で大宮は「恋があって相手の運命が気になり、相手の運命と自分の運命を結びつけたくなる。」と言っている。
大宮は野島が杉子に恋をしていると告白されてから、野島と杉子を懇意にさせようと奔走するが、その行為は必然的に杉子の運命を左右するのもであるので、既に杉子に惹かれるものを感じていた大宮にとっては、杉子と自分の運命を結びつけたくなる思いに囚われていたはずなのに、それでも野島との友情を取ろうとしたことが、やはりおもしろい。
また、P147で大宮は「それ(杉子と大宮が愛し合うこと)は、自分達が選択して決めることのできる道ではなく、強いられて自ずと入る道である。」と言っている。
一見すると、野島に対する都合のいい弁解のようにも取れるが、上述のように、既に恋が運命的であることについて野島と合意していたことからすると、むしろ弁解というより、最後通告、渾身の一撃のような言葉であると思う。
いつの時代も、自分の思い通りにならないのが恋ではあるが、その事実をはっきりと上記のような文章で親友の大宮が告げることは、野島の精神にとって痛烈な打撃ではあるが、それを為しうるのもまた、「友情」があってこそなのかもしれない。
主人公野島と親友の大宮が同じ杉子という女に恋をして、大宮が杉子に恋されていることを知り、野島との友情と杉子との恋に悩む話。
【期待したこと】
大学生の時に読んで、心が熱くなり感動した記憶があったので、同じ体験をしたくて読んだ。
【結果】
友情に感動する場面はほとんどなかったが、最後の野島の決意には胸が熱くなった。
【感想】
P14で野島は尊敬する人物を聞かれて「他人の運命を尊敬するものが好きだ」と言っている。
その後、大宮と杉子の結婚を知らされたことで、野島自身が、自分が他人の運命を尊敬する人物になれるかが問われているのがおもしろい。
また、P34で野島と恋について話す場面で大宮は「恋があって相手の運命が気になり、相手の運命と自分の運命を結びつけたくなる。」と言っている。
大宮は野島が杉子に恋をしていると告白されてから、野島と杉子を懇意にさせようと奔走するが、その行為は必然的に杉子の運命を左右するのもであるので、既に杉子に惹かれるものを感じていた大宮にとっては、杉子と自分の運命を結びつけたくなる思いに囚われていたはずなのに、それでも野島との友情を取ろうとしたことが、やはりおもしろい。
また、P147で大宮は「それ(杉子と大宮が愛し合うこと)は、自分達が選択して決めることのできる道ではなく、強いられて自ずと入る道である。」と言っている。
一見すると、野島に対する都合のいい弁解のようにも取れるが、上述のように、既に恋が運命的であることについて野島と合意していたことからすると、むしろ弁解というより、最後通告、渾身の一撃のような言葉であると思う。
いつの時代も、自分の思い通りにならないのが恋ではあるが、その事実をはっきりと上記のような文章で親友の大宮が告げることは、野島の精神にとって痛烈な打撃ではあるが、それを為しうるのもまた、「友情」があってこそなのかもしれない。
2013年12月25日に日本でレビュー済み
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一番胸にグッときたのは、最後に大宮が全てを包み隠さず打ち明けたこと。それに野島が虚勢をはって返したこと。なんとも気高い友情のありようを見ました。
2021年9月12日に日本でレビュー済み
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素晴らしい純文学作品です。
2018年7月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
永遠に読み継がれるであろう、青年の恋愛をものの見事に描写した傑作短編。読後に清清しい余韻を残す不朽の名作。
2015年5月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こういう事は以外にも昔から現在においても起こりうる事ではなかったでしょうか
友の気持ちを知って去って自ら身を遠ざける
その時の友の気持ちが途中からヒシヒシと感じられます
儚く辛い恋愛(ここでは内容には触れません)の物語でした
また本書は所謂、何々派と言われる代表作で貴重です
長く再版されている意味も良くわかります
とても素晴らしい秀作でした
友の気持ちを知って去って自ら身を遠ざける
その時の友の気持ちが途中からヒシヒシと感じられます
儚く辛い恋愛(ここでは内容には触れません)の物語でした
また本書は所謂、何々派と言われる代表作で貴重です
長く再版されている意味も良くわかります
とても素晴らしい秀作でした
2015年7月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
面白いが夏目漱石を読めば足りるという批判はかなり鋭いだろう。