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幸福者 (新潮文庫 む 1-7) 文庫 – 1955/6/1
武者小路 実篤
(著)
- 本の長さ154ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1955/6/1
- ISBN-104101057079
- ISBN-13978-4101057071
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1955/6/1)
- 発売日 : 1955/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 154ページ
- ISBN-10 : 4101057079
- ISBN-13 : 978-4101057071
- Amazon 売れ筋ランキング: - 463,220位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2013年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現実的ではないが、しかしこのような環境が現代にあるともっと落ち着いた社会になるだろう。
2012年11月23日に日本でレビュー済み
本書は、1919年第一次大戦終結の年・実篤34歳のときに、「新しき村」の建設の準備で多忙を極める中執筆され『白樺』に「自分の師」という題で連載された作品をまとめ、改題したものです。
夏目漱石の『こころ』は語り手である「わたし(弟子)」から見た「先生(師匠)」の物語でありますが、本作も「自分」から見た「先生」の姿を、より断片的な構成で福音書書記者的に、あるいは『論語』的に描いたものです。しかしゆるやかな時系列はあり、「先生」が「自分」の住む村に現れたところから始まって、その「先生」がある事件を機に忽然と村から姿を消すところで終わるという構成になっています。
250ページほどのコンパクトな本ですが、実篤の思想・理想が凝縮された非常に濃い内容の作品です。タイトルでも書きましたが、ツボにはまる人は本当に3ページに1回位の頻度で泣かされますので注意してください。個人的には、『友情』とか『真理先生』などの小説らしい小説やあるいは詩をいくつか読んでから、3〜5冊目くらいで読むのがいい実篤本のように思います(執筆された順に時系列的に読みたいという方はそうしたらいいですが)。清水書院の<人と思想>シリーズ『武者小路実篤』等の評伝と併読するとなおよいです。
以下、心に残った箇所を紹介させていただきます。
「社会の要求する通りに体面を作り、社会の要求する通りの才能をはたらかし、それ以上は何ものぞまない。(中略)かかる人間ばかりでこの世がつまっていないことをわれわれはのぞむものだ」(このような「自分の頭で考え、たとえたった一人でも戦う」という考えは、非日本的な知識人観という感じがします。キリスト教やトルストイの影響を受け世界市民的な価値観をもっていた実篤の面目躍如。大戦時は魯迅の弟と交友を持ち続け戦争賛美派とは一定の距離をおくも、「大東亜戦争」をある程度肯定し戦争に協力した文学者として戦後公職追放された実篤ですので、実篤のヨーロッパ的知識人観には不徹底と感じられる面もありますが・・。天皇に拝謁したこともある華族出身の実篤には、皇族に対し批判精神が弱かったということはあるのでしょう)
「力がないというのはやさしい。しかしそういうのは卑怯だ。・・よし君自身には力がなくも、君さえ真心を燃やして生活することが出来れば力はおのずから加わってくる。力がないというのは信仰の薄いもののいうことだ。今の世はどんな世であっても真心の力は強い。人々の希望になろうと思えば君にはなれる力がある。・・重荷すぎるかもしれない。しかし君はその重荷をさけてはいけない」(←似た主旨のことを、孔子が弟子のひとり冉求に言う場面が『論語』にみられます。わたしも冉求のように「自分には理想を担えるだけの力がない」と思ってしまうことがあるので、この言葉は沁みました)
実篤の作品は思想を露骨に反映したものが多く、純文学的でない面がありますが、その分時代が移り文体の流行が変化しても古びない普遍性があります。表面的で「キレイな」「おもしろおかしい」だけの文や、美文・スタイル重視の文学がもうひとつ合わないという人、自分を深く見つめたいまた人生を何かに向かって燃焼し尽くしたいという欲求のある青年は、実篤の芸術から得るものがあるのではと思います。
ぜひご一読ください。
夏目漱石の『こころ』は語り手である「わたし(弟子)」から見た「先生(師匠)」の物語でありますが、本作も「自分」から見た「先生」の姿を、より断片的な構成で福音書書記者的に、あるいは『論語』的に描いたものです。しかしゆるやかな時系列はあり、「先生」が「自分」の住む村に現れたところから始まって、その「先生」がある事件を機に忽然と村から姿を消すところで終わるという構成になっています。
250ページほどのコンパクトな本ですが、実篤の思想・理想が凝縮された非常に濃い内容の作品です。タイトルでも書きましたが、ツボにはまる人は本当に3ページに1回位の頻度で泣かされますので注意してください。個人的には、『友情』とか『真理先生』などの小説らしい小説やあるいは詩をいくつか読んでから、3〜5冊目くらいで読むのがいい実篤本のように思います(執筆された順に時系列的に読みたいという方はそうしたらいいですが)。清水書院の<人と思想>シリーズ『武者小路実篤』等の評伝と併読するとなおよいです。
以下、心に残った箇所を紹介させていただきます。
「社会の要求する通りに体面を作り、社会の要求する通りの才能をはたらかし、それ以上は何ものぞまない。(中略)かかる人間ばかりでこの世がつまっていないことをわれわれはのぞむものだ」(このような「自分の頭で考え、たとえたった一人でも戦う」という考えは、非日本的な知識人観という感じがします。キリスト教やトルストイの影響を受け世界市民的な価値観をもっていた実篤の面目躍如。大戦時は魯迅の弟と交友を持ち続け戦争賛美派とは一定の距離をおくも、「大東亜戦争」をある程度肯定し戦争に協力した文学者として戦後公職追放された実篤ですので、実篤のヨーロッパ的知識人観には不徹底と感じられる面もありますが・・。天皇に拝謁したこともある華族出身の実篤には、皇族に対し批判精神が弱かったということはあるのでしょう)
「力がないというのはやさしい。しかしそういうのは卑怯だ。・・よし君自身には力がなくも、君さえ真心を燃やして生活することが出来れば力はおのずから加わってくる。力がないというのは信仰の薄いもののいうことだ。今の世はどんな世であっても真心の力は強い。人々の希望になろうと思えば君にはなれる力がある。・・重荷すぎるかもしれない。しかし君はその重荷をさけてはいけない」(←似た主旨のことを、孔子が弟子のひとり冉求に言う場面が『論語』にみられます。わたしも冉求のように「自分には理想を担えるだけの力がない」と思ってしまうことがあるので、この言葉は沁みました)
実篤の作品は思想を露骨に反映したものが多く、純文学的でない面がありますが、その分時代が移り文体の流行が変化しても古びない普遍性があります。表面的で「キレイな」「おもしろおかしい」だけの文や、美文・スタイル重視の文学がもうひとつ合わないという人、自分を深く見つめたいまた人生を何かに向かって燃焼し尽くしたいという欲求のある青年は、実篤の芸術から得るものがあるのではと思います。
ぜひご一読ください。
2006年3月8日に日本でレビュー済み
この作品は,主人公が師について書いたものという形になっています.
師は立派な人です.立派と言うのは,社会的地位とか,金銭的なものに関してではなく,精神的なものです.
神に仕えることを第一とし,後ろめたいことをすることを嫌い,そのような考えを実践しながら弟子に説いています.(宗教くさいものではありません)
師は作者の理想を反映させた人物なのでしょう.
しかし,この師は完璧な聖人ではなく,人間くさい部分を備えた人です.
それによって,師の理想と現実とのギャップや葛藤が垣間見えます.
この作品には派手なストーリーなどはありませんが,人生について考えるきっかけになる物だと思います.
物語の展開を楽しむのが好きな人や,思想の話が苦手な人には向かないかもしれません.
興味のある方は,『真理先生』とあわせてどうぞ.
師は立派な人です.立派と言うのは,社会的地位とか,金銭的なものに関してではなく,精神的なものです.
神に仕えることを第一とし,後ろめたいことをすることを嫌い,そのような考えを実践しながら弟子に説いています.(宗教くさいものではありません)
師は作者の理想を反映させた人物なのでしょう.
しかし,この師は完璧な聖人ではなく,人間くさい部分を備えた人です.
それによって,師の理想と現実とのギャップや葛藤が垣間見えます.
この作品には派手なストーリーなどはありませんが,人生について考えるきっかけになる物だと思います.
物語の展開を楽しむのが好きな人や,思想の話が苦手な人には向かないかもしれません.
興味のある方は,『真理先生』とあわせてどうぞ.