『孔子』には、著者・井上靖による本当に美しい珠玉の一節が散りばめられています。
『論語』からインスピレーションを受けたであろう著者の、著者自身の内面から迸り出たような詩的描写が、至る所で輝いているのです。
特に物語の最後、主人公・エンキョウが長い旅から帰って見た、「故里の燈火」の描写は、美的にも、倫理的にも、素晴らしいと思います。(Kindle版P.397~P.399・印刷書籍P.489~P.491)
(以下、本文を一部抜粋。)
「昼の労働時間が終り、今や、これから夜の休息の時間が始まろうとしている。
──こういう思いを持って、故里の村に点りつつある燈火を眺めることは、人間の数少ない倖せの中の一つであるに違いありません。」(Kindle版P.397~P.398・印刷書籍P.489)
「身分の上下とも無関係、貧富とも無関係、人間なら誰でも持つことのできる静かな倖せ、他の何ものにも替え難い悦びであります。」(Kindle版P.398・印刷書籍P.489)
「いかなる政治でも、権力でも、人間から、このぎりぎりの望みを奪りあげる権利はないと思います。」
(Kindle版P.398・印刷書籍P.490)
「──いかに世が乱れに乱れようと、人間から、故里というものだけは、奪りあげてはならない。」
(Kindle版P.399・印刷書籍P.491)
『孔子』は、私にとって、生涯の「座右の書」の一冊です。
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孔子 (新潮文庫) 文庫 – 1995/11/30
井上 靖
(著)
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聖人の生き方、その言葉に自らの来し方、人生観を重ねる――。
80~82歳にかけて結実した、井上靖、最後の長編。
二千五百年前、春秋末期の乱世に生きた孔子の人間像を描く歴史小説。『論語』に収められた孔子の詞(ことば)はどのような背景を持って生れてきたのか。十四年にも亘る亡命・遊説の旅は、何を目的としていたのか。孔子と弟子たちが戦乱の中原(ちゅうげん)を放浪する姿を、架空の弟子・蔫薑(えんきょう)が語る形で、独自の解釈を与えてゆく。
現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した最後の長編。野間文芸賞受賞作。
本文より
天命とは難しい御質問でございます。ありのままを申し上げれば、子(し)のお口から出たお詞(ことば)の中で、私などには一番難しく、一番怖ろしく感じられるお詞でございます。一体、天とは何でございましょう。天、何をか言うや。四時行われ、百物(ひゃくぶつ)生ず。天、何をか言うやと、子は仰言いました。まことにその通りでございます。天は何も申しません。四季の運行は滞りなく行われ、万物は生長する。併し、天は何も申しません。
確かに自分は五十にして天命を知ったと、そういうお詞が子のお口から出たことがあります。……(本書8ページ)
本書「解説」より
この作品が、小説としての豊かな実質を備える半面、『論語』の名句の紹介と解釈を中心とした教訓書という性格をも持つことになったのは半ば必然的なことだったというべきだろう。作家として八十歳に達した著者自身には、人生についての自分の考えを、「人類の教師」である孔子や語り手の蔫薑を通じて読者に語りかけたいという積極的な気持もあったにちがいない。そのために読者は、この作品を通じて、小説としての面白さを味わうと同時に、著者自身の究極の人生観を知ることができる。
――曾根博義(日本大学教授)
井上靖(1907-1991)
旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
80~82歳にかけて結実した、井上靖、最後の長編。
二千五百年前、春秋末期の乱世に生きた孔子の人間像を描く歴史小説。『論語』に収められた孔子の詞(ことば)はどのような背景を持って生れてきたのか。十四年にも亘る亡命・遊説の旅は、何を目的としていたのか。孔子と弟子たちが戦乱の中原(ちゅうげん)を放浪する姿を、架空の弟子・蔫薑(えんきょう)が語る形で、独自の解釈を与えてゆく。
現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した最後の長編。野間文芸賞受賞作。
本文より
天命とは難しい御質問でございます。ありのままを申し上げれば、子(し)のお口から出たお詞(ことば)の中で、私などには一番難しく、一番怖ろしく感じられるお詞でございます。一体、天とは何でございましょう。天、何をか言うや。四時行われ、百物(ひゃくぶつ)生ず。天、何をか言うやと、子は仰言いました。まことにその通りでございます。天は何も申しません。四季の運行は滞りなく行われ、万物は生長する。併し、天は何も申しません。
確かに自分は五十にして天命を知ったと、そういうお詞が子のお口から出たことがあります。……(本書8ページ)
本書「解説」より
この作品が、小説としての豊かな実質を備える半面、『論語』の名句の紹介と解釈を中心とした教訓書という性格をも持つことになったのは半ば必然的なことだったというべきだろう。作家として八十歳に達した著者自身には、人生についての自分の考えを、「人類の教師」である孔子や語り手の蔫薑を通じて読者に語りかけたいという積極的な気持もあったにちがいない。そのために読者は、この作品を通じて、小説としての面白さを味わうと同時に、著者自身の究極の人生観を知ることができる。
――曾根博義(日本大学教授)
井上靖(1907-1991)
旭川市生れ。京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
- 本の長さ512ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1995/11/30
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101063362
- ISBN-13978-4101063362
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【新潮文庫】井上靖 作品 | ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、妻・愛人・愛人の娘の三通の手紙によって浮彫りにした「猟銃」、芥川賞の「闘牛」等、3編。〈芥川賞受賞〉 | 無数の宝典をその砂中に秘した辺境の要衝の町敦煌──西域に惹かれた一人の若者のあとを追いながら、中国の秘史を綴る歴史大作。〈毎日芸術賞受賞〉 | あすは檜になろうと念願しながら、永遠に檜にはなれない”あすなろ”の木に託し、幼年期から壮年までの感受性の劇を謳った長編。 | 知略縦横の軍師として信玄に仕える山本勘助が、秘かに慕う信玄の側室由布姫。風林火山の旗のもと、川中島の合戦は目前に迫る……。 | 前穂高に挑んだ小坂乙彦は、切れるはずのないザイルが切れて墜死した──恋愛と男同士の友情がドラマチックにくり広げられる長編。 | 天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した五人の若い僧──鑒真来朝を中心に歴史の大きなうねりに巻きこまれる人間を描く名作。〈芸術選奨受賞〉 |
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全蒙古を統一し、ヨーロッパへの大遠征をも企てたアジアの英雄チンギスカン。闘争に明け暮れた彼のあくなき征服欲の秘密を探る。 | 朔風吹き荒れ流砂舞う中国の辺境西域──その湖のほとりに忽然と消え去った一小国の運命を探る「楼蘭」等12編を収めた歴史小説。 | 朝鮮半島を蹂躙してはるかに日本をうかがう強大国元の帝フビライ。その強力な膝下に隠忍する高麗の苦難の歴史を重厚な筆に描く。〈読売文学賞受賞〉 | 天智、天武両帝の愛をうけ、”紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)”とうたわれた万葉随一の才媛、額田女王の劇的な生涯を綴り、古代人の心を探る。 | 武門・公卿の覇権争いが激化した平安末期に、権謀術数を駆使し政治を巧みに操り続けた後白河院。側近が語るその謎多き肖像とは。 | 血のつながらない祖母と過した幼年時代──なつかしい昔を愛惜の念をこめて描く「幼き日のこと」他、「青春放浪」「私の自己形成史」。 |
孔子 | しろばんば | 夏草冬濤〔上〕 | 夏草冬濤〔下〕 | 北の海〔上〕 | 北の海〔下〕 | |
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戦乱の春秋末期に生きた孔子の人間像を描く。現代にも通ずる「乱世を生きる知恵」を提示した著者最後の歴史長編。〈野間文芸賞受賞〉 | 野草の匂いと陽光のみなぎる、伊豆湯ヶ島の自然のなかで幼い魂はいかに成長していったか。著者自身の少年時代を描いた自伝小説。 | 両親と離れて暮す洪作が友達や上級生との友情の中で明るく成長する青春の姿を体験をもとに描く、『しろばんば』につづく自伝的長編。 | 高校受験に失敗しながら勉強もせず、柔道の稽古に明け暮れた青春の日々──若き日の自由奔放な生活を鎮魂の思いをこめて描く長編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1995/11/30)
- 発売日 : 1995/11/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 512ページ
- ISBN-10 : 4101063362
- ISBN-13 : 978-4101063362
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 143,375位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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(1907-1991)旭川市生れ。
京都大学文学部哲学科卒業後、毎日新聞社に入社。戦後になって多くの小説を手掛け、1949(昭和24)年「闘牛」で芥川賞を受賞。1951年に退社して以降は、次々と名作を産み出す。
「天平の甍」での芸術選奨(1957年)、「おろしや国酔夢譚」での日本文学大賞(1969年)、「孔子」での野間文芸賞(1989年)など受賞作多数。1976年文化勲章を受章した。
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2021年3月19日に日本でレビュー済み
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サークルの読書会テーマ「論語」を読むにあたり、孔子伝と論語成立の背景を理解するため。
不詳の史実や論語の思想とは別に、小説として楽しめた。
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2022年12月25日に日本でレビュー済み
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孔子は重要な教えを短くバシっと述べる感じですが、本書を読むと戦国の時代背景や、旅を続ける孔子の考えを想像することが出来ました。
本書を読む前は、孔子の有名なことばをいくつか知っているぐらいでした。しかし、孔子の人生を少し知るだけで、「五十にして天命を知る」など教えに対する想像が膨らみました。
孔子という人物を知る勉強にはなったものの、小説としては何か物足りなかったので★★★です。
本書を読む前は、孔子の有名なことばをいくつか知っているぐらいでした。しかし、孔子の人生を少し知るだけで、「五十にして天命を知る」など教えに対する想像が膨らみました。
孔子という人物を知る勉強にはなったものの、小説としては何か物足りなかったので★★★です。
2021年1月28日に日本でレビュー済み
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孔子の没後、孔子の言葉の収集活動をする俊英達に対して、顔回の5歳年下という設定の架空の弟子の仲由が回想譚として孔子の言行・"人となり"を語るという体裁の物語。非常に端正な文章で綴られている。
まず、陳(強国の呉・楚に挟まれて何時滅んでもおかしなくい弱小国)で仲由が孔子一行(教団)と出会った経緯が語られる。その際、仲由が孔子に対して抱いた印象や読者にとっても興味深いであろうエピソードは以下の様。
(1) 長身である(実際、武勇にも優れていた)。 (2) 激しい雷光・雷雨の中、孔子、子路、子具、顔回は端座していた。即ち、危険を避けようとするでもなく、それから身を守ろうとするでもない自然体の姿勢だった。 (3) 孔子は「天、徳を予に生せり」(天は自分にこの世の紊れを直す使命と、それを果たし得る能力とを授けて下さった)との使命感・自負心を持っていた。 (4) 孔子は弟子(若者)と対等に接した。 (5) 孔子は農事や祭祀などの実生活万般に関して知識の広さ・造詣の深さがあった。仲由の眼を通して、孔子の"人となり"を語るという体裁の巧みさが十二分に発揮されている。
この後、世の中が紊れているために、貧困と飢餓が溢れ、(陳の様に)先が見えない国々が沢山存在し、孔子はそれらを救うために諸国を旅するが、虚しい結果に陥るといった記述が続く(後半は俊英と仲由の<質疑応答>となる)が、紙幅の関係で詳細は割愛する。私がハイライトと思ったのは、孔子が先が見えない陳に暫く滞在した際、子路達3人は訝しむが、仲由が後から思い付いたのは、逼迫した情勢の「陳」だからこそ、"信"と"仁"が大切であり、孔子が"信"と"仁"について訓話した内容を語るシ-ンである。長いけれども引用しよう。まず"信"。「人間は嘘を言ってはいけない。口から出す事はなべて本当の事、真実でなければならない。これは地球上で生きてゆく上での人間同士の約束である。人間がお互いに相手の言う事を信ずる事が出来て、初めて社会の秩序が保たれる」(人が言うから「"信"」。白川静先生の「字解」の様だが、実際、"信"と"仁"の文字は殷の時代から存在したらしい(甲骨文・金文中に見られる由))。次いで"仁"。「"仁"という字は人偏に"二"を配している。親子であれ、主従であれ、旅で出会った未知の間柄であれ、とにかく、人間が2人顔を合わせれば、その2人の間には2人がお互いに守らなければならない既約が生まれる。それが"仁"である。他の言葉で言うと"思い遣り"。相手の立場に立ってモノを考えてやる事」。現代の日本の無様な政治家を見ている方にとっては大いに首肯出来る信念だろう。
現代にも通じる孔子の思惟及び多くの大衆が想像するであろう孔子の"人となり"を端正かつ巧みな語り口で描き切った傑作だと思った。
まず、陳(強国の呉・楚に挟まれて何時滅んでもおかしなくい弱小国)で仲由が孔子一行(教団)と出会った経緯が語られる。その際、仲由が孔子に対して抱いた印象や読者にとっても興味深いであろうエピソードは以下の様。
(1) 長身である(実際、武勇にも優れていた)。 (2) 激しい雷光・雷雨の中、孔子、子路、子具、顔回は端座していた。即ち、危険を避けようとするでもなく、それから身を守ろうとするでもない自然体の姿勢だった。 (3) 孔子は「天、徳を予に生せり」(天は自分にこの世の紊れを直す使命と、それを果たし得る能力とを授けて下さった)との使命感・自負心を持っていた。 (4) 孔子は弟子(若者)と対等に接した。 (5) 孔子は農事や祭祀などの実生活万般に関して知識の広さ・造詣の深さがあった。仲由の眼を通して、孔子の"人となり"を語るという体裁の巧みさが十二分に発揮されている。
この後、世の中が紊れているために、貧困と飢餓が溢れ、(陳の様に)先が見えない国々が沢山存在し、孔子はそれらを救うために諸国を旅するが、虚しい結果に陥るといった記述が続く(後半は俊英と仲由の<質疑応答>となる)が、紙幅の関係で詳細は割愛する。私がハイライトと思ったのは、孔子が先が見えない陳に暫く滞在した際、子路達3人は訝しむが、仲由が後から思い付いたのは、逼迫した情勢の「陳」だからこそ、"信"と"仁"が大切であり、孔子が"信"と"仁"について訓話した内容を語るシ-ンである。長いけれども引用しよう。まず"信"。「人間は嘘を言ってはいけない。口から出す事はなべて本当の事、真実でなければならない。これは地球上で生きてゆく上での人間同士の約束である。人間がお互いに相手の言う事を信ずる事が出来て、初めて社会の秩序が保たれる」(人が言うから「"信"」。白川静先生の「字解」の様だが、実際、"信"と"仁"の文字は殷の時代から存在したらしい(甲骨文・金文中に見られる由))。次いで"仁"。「"仁"という字は人偏に"二"を配している。親子であれ、主従であれ、旅で出会った未知の間柄であれ、とにかく、人間が2人顔を合わせれば、その2人の間には2人がお互いに守らなければならない既約が生まれる。それが"仁"である。他の言葉で言うと"思い遣り"。相手の立場に立ってモノを考えてやる事」。現代の日本の無様な政治家を見ている方にとっては大いに首肯出来る信念だろう。
現代にも通じる孔子の思惟及び多くの大衆が想像するであろう孔子の"人となり"を端正かつ巧みな語り口で描き切った傑作だと思った。
2019年3月8日に日本でレビュー済み
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現代の中国の人びとはこうした歴史史実をどの程度までとらえておられるのでしょうか?
2020年2月28日に日本でレビュー済み
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井上靖さんの静かな文体ながら、何故か退屈しないで読み進めてしまいます。
2023年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
孔子の教えがなんたるや、と言うのを学びたい
と言うなら買ってはいけない本
小説としても有名な作家さんらしいですが、色々時代小説、普通の小説すきな自分からしても話がくどく、冗長過ぎ
かつ、本質の孔子の話がわかりづらく。
ただの孔子を元にした、小説って感じで
今年1番買って失敗した。時間を無駄にしたので途中で読むのは投了
人によると思いますが、私は孔子の話の部分
語り口から孔子を語る話、どちらもつまらない内容になって絶妙な誰向けの本がわからない。
まぁ賞を取った様ですが私にはなんとも。
と言うなら買ってはいけない本
小説としても有名な作家さんらしいですが、色々時代小説、普通の小説すきな自分からしても話がくどく、冗長過ぎ
かつ、本質の孔子の話がわかりづらく。
ただの孔子を元にした、小説って感じで
今年1番買って失敗した。時間を無駄にしたので途中で読むのは投了
人によると思いますが、私は孔子の話の部分
語り口から孔子を語る話、どちらもつまらない内容になって絶妙な誰向けの本がわからない。
まぁ賞を取った様ですが私にはなんとも。
2017年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
孔子の弟子が語る孔子、思い浮かべられるやさしい口調にページがめくり、国の栄えや滅亡などを思い浮かべ、今を生きる自分を照らし合わせて、心が納得した。高校生の時に初めて知った孔子を総合的に書いていて、心に残る一冊だ。人事を全うして天命を待つなど、三大思想家に数えられるだけの偉大さをやさしく教えられた。