梶井基次郎の作品の文章は思想、論理というもがない
感覚で書かれている
感覚のみに頼って書いた作品は表層的になってしまうものであるが
梶井基次郎は感覚を
「人」「物」「事」
その存在の底の底にまで届かせている
天才のままに書いているので無理がなく、どこか悲惨な状況においてさえも存在がまさに存在するという、そのこと自体から生まれでる明るさがある
存在のクッションでぽーんと跳ね返って健全なところへといつのまにか着地してしまっているようなふいの不思議、おかしみ
病魔からくる焦燥でその着地点を虚無の側へとずらされてしまうことはあるものの、
それすらも梶井基次郎の感覚の捉える存在の有無(生死、明暗、軽重、浅深、etc、etc……)が紙一重の性質を持つものであり、
本来捉え難いはずの、
その移ろい変わっていく存在の底のひとひらを、
見事に掬い取っている天才を証明している
いまのところ私は梶井基次郎の作品からのみこのなんとも言えない感覚を味わうことができている
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檸檬 (新潮文庫) 文庫 – 2003/10/1
梶井 基次郎
(著)
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その作品価値は不滅。
31歳で夭折、死後、評価が高まった不朽の古典。
31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。
目次
檸檬
城のある町にて
泥濘
路上
橡の花
過古
雪後
ある心の風景
Kの昇天
冬の日
桜の樹の下には
器楽的幻覚
蒼穹
筧の話
冬の蠅
ある崖上の感情
愛撫
闇の絵巻
交尾
のんきな患者
注解 三好行雄
解説 淀野隆三
本文より
私は何度も何度もその果実を鼻に持って行っては嗅いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲つ」という言葉が断れぎれに浮んで来る。そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来て何だか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと云いたくなった程私にしっくりしたなんて私は不思議に思える――それがあの頃のことなんだから。(「檸檬」)
本書「解説」より
読者はこの小話で『檸檬』の発見を語られ、作者が古くからもっていた『檸檬』を感ずる、或いは作者がいつまでも失うまいと思われる古くならない『檸檬』を感ずる。『檸檬』は氏の観念的焦燥の追及する単純性或いは自然性の象徴ではない、寧ろ氏自身の資質である。
――小林秀雄『梶井基次郎と嘉村磯多』
実際梶井は頽廃を描いて清澄、衰弱を描いて健康、焦燥を描いて自若、まことに濶達にして重厚な作風である。そうして特に私はこの一編に現われた西欧的な風格を指摘したい。そこには批判も、それより生れるところの諧謔さえもがある。日本的自然主義とも耽美頽唐派とも、また心境小説、私小説とも異なる独自の小説である。
――淀野隆三
梶井基次郎(1901-1932)
大阪生れ。少年時代は三重、東京などに転居を繰り返す。1919年、エンジニアを目指して三高理科に入学するが次第に文学に惹かれ、1924年、東京帝大英文科に入学。同人誌「青空」で積極的に活動するが、少年時代からの肺結核が悪化し卒業は叶わなかった。療養のため訪れた伊豆の湯ケ島温泉で川端康成、広津和郎に親近し創作を続けた。しかし病は次第に重くなり、初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、郷里大阪にて逝去。享年31。
31歳で夭折、死後、評価が高まった不朽の古典。
31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。
目次
檸檬
城のある町にて
泥濘
路上
橡の花
過古
雪後
ある心の風景
Kの昇天
冬の日
桜の樹の下には
器楽的幻覚
蒼穹
筧の話
冬の蠅
ある崖上の感情
愛撫
闇の絵巻
交尾
のんきな患者
注解 三好行雄
解説 淀野隆三
本文より
私は何度も何度もその果実を鼻に持って行っては嗅いでみた。それの産地だというカリフォルニヤが想像に上って来る。漢文で習った「売柑者之言」の中に書いてあった「鼻を撲つ」という言葉が断れぎれに浮んで来る。そしてふかぶかと胸一杯に匂やかな空気を吸込めば、ついぞ胸一杯に呼吸したことのなかった私の身体や顔には温い血のほとぼりが昇って来て何だか身内に元気が目覚めて来たのだった。……
実際あんな単純な冷覚や触覚や嗅覚や視覚が、ずっと昔からこればかり探していたのだと云いたくなった程私にしっくりしたなんて私は不思議に思える――それがあの頃のことなんだから。(「檸檬」)
本書「解説」より
読者はこの小話で『檸檬』の発見を語られ、作者が古くからもっていた『檸檬』を感ずる、或いは作者がいつまでも失うまいと思われる古くならない『檸檬』を感ずる。『檸檬』は氏の観念的焦燥の追及する単純性或いは自然性の象徴ではない、寧ろ氏自身の資質である。
――小林秀雄『梶井基次郎と嘉村磯多』
実際梶井は頽廃を描いて清澄、衰弱を描いて健康、焦燥を描いて自若、まことに濶達にして重厚な作風である。そうして特に私はこの一編に現われた西欧的な風格を指摘したい。そこには批判も、それより生れるところの諧謔さえもがある。日本的自然主義とも耽美頽唐派とも、また心境小説、私小説とも異なる独自の小説である。
――淀野隆三
梶井基次郎(1901-1932)
大阪生れ。少年時代は三重、東京などに転居を繰り返す。1919年、エンジニアを目指して三高理科に入学するが次第に文学に惹かれ、1924年、東京帝大英文科に入学。同人誌「青空」で積極的に活動するが、少年時代からの肺結核が悪化し卒業は叶わなかった。療養のため訪れた伊豆の湯ケ島温泉で川端康成、広津和郎に親近し創作を続けた。しかし病は次第に重くなり、初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、郷里大阪にて逝去。享年31。
- ISBN-104101096015
- ISBN-13978-4101096018
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日2003/10/1
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ352ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (2003/10/1)
- 発売日 : 2003/10/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 352ページ
- ISBN-10 : 4101096015
- ISBN-13 : 978-4101096018
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 213,762位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年6月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先入観はいけない、とつくづく思った。檸檬というタイトルからして軟弱なものかという誤解からこの本との出会いがあったが、梶井という作者の、見たものへの表現能力にハマってしまった。自分の頭の中に映像として浮かび上がる表現は、そうなかなか出会えないと思うが、自身としてはその不思議な体験をすることが出来た稀有な小説だと感じている。
デパート行って、檸檬の真似事はいまやったら訴えられるわな・・・・。
デパート行って、檸檬の真似事はいまやったら訴えられるわな・・・・。
2015年10月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古典&短編集苦手だけど、知人の勧めがあったので読んでみた。
やっぱりむずかったorz
好きだったレトリック
「爪のない猫!こんな、頼りない、哀れな心持のものがあろうか!
空想を失ってしまった詩人、早発的痴呆に陥った天才にも似ている!」
「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている。」
「冷静というのは無感動じゃない、俺にとっては感動だ。苦痛だ。
しかし俺の生きる道は、その冷静で自分の肉体や自分の生活が滅びてゆくのを見ていることだ。」
参照[...]
やっぱりむずかったorz
好きだったレトリック
「爪のない猫!こんな、頼りない、哀れな心持のものがあろうか!
空想を失ってしまった詩人、早発的痴呆に陥った天才にも似ている!」
「課せられているのは永遠の退屈だ。生の幻影は絶望と重なっている。」
「冷静というのは無感動じゃない、俺にとっては感動だ。苦痛だ。
しかし俺の生きる道は、その冷静で自分の肉体や自分の生活が滅びてゆくのを見ていることだ。」
参照[...]
2017年3月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
檸檬。これほど鮮やかな作品を他には知らない。
体調も悪く、鬱屈とした気持ちの主人公が何気ない行動で淀んだ世界が一転する。
紙面からレモンの爽やかな香りが漂ってくるような気がして、こちらまで気分が晴れやかになる。
心情描写だけでここまで読ませるのは本当に凄い。
何度も読み返したくなる宝物のような作品です。
体調も悪く、鬱屈とした気持ちの主人公が何気ない行動で淀んだ世界が一転する。
紙面からレモンの爽やかな香りが漂ってくるような気がして、こちらまで気分が晴れやかになる。
心情描写だけでここまで読ませるのは本当に凄い。
何度も読み返したくなる宝物のような作品です。
2018年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
梶井基次郎らしい鬱っぽい陰気な話ばかり(笑)人間の暗さ、汚さ、エグさに気分が悪くなる人も多いと思いますが、私は好きな作家です。良かった!
2018年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
檸檬が読みたくて買ったのですが…鬱鬱とした話に引き込まれます。個人的には好きですが、朝読書には向いていません…
2018年12月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昔買って手放した書籍を、ネットでカジュアルに買えるのは、大人になった証でしょうかね。
檸檬と言えば、米津玄師さんではなく、
こちらが本家でございます。という、米粒写経のネタで買ってしまったミーハーです。
個人的にはどちらの檸檬、lemonも大好きです。
檸檬と言えば、米津玄師さんではなく、
こちらが本家でございます。という、米粒写経のネタで買ってしまったミーハーです。
個人的にはどちらの檸檬、lemonも大好きです。