吉村昭さんは歴史小説作家だと思っていましたので、初期に
このような作品を書いておられたことは大変な驚きでした。
6つの短篇集ですが、どの作品も死をテーマとし、どの作品も
登場人物の心に深く入り込んでおり、嘘っぽくなっていません。
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星への旅 (新潮文庫) 文庫 – 1974/2/26
吉村 昭
(著)
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平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1974/2/26
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101117020
- ISBN-13978-4101117027
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【新潮文庫】吉村昭 作品 | 帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の巨艦「武蔵」──その極秘の建造から壮絶な終焉まで、壮大なドラマの全貌を描いた記録文学の力作。 | トンネル貫通の情熱に憑かれた男たちの執念と、予測もつかぬ大自然の猛威との対決──綿密な取材と調査による黒三ダム建設秘史。 | 「解体新書」をめぐって、世間の名声を博す杉田玄白とは対照的に、終始地道な訳業に専心、孤高の晩年を貫いた前野良沢の姿を描く。 | 空の作戦に革命をもたらした”ゼロ戦”──その秘密裡の完成、輝かしい武勲、敗亡の運命を、空の男たちの奮闘と哀歓のうちに描く。 | 水もわかず、生活の手段とてない絶海の火山島に漂着後十二年、ついに生還した海の男がいた。その壮絶な生きざまを描いた長編小説。 | 《日本海海戦》の劇的な全貌。七カ月に及ぶ大回航の苦心と、迎え撃つ日本側の態度、海戦の詳細などを克明に描いた空前の記録文学。 |
大本営が震えた日 | 羆嵐(くまあらし) | ポーツマスの旗 | 破船 | 雪の花 | 海馬(トド) | |
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開戦を指令した極秘命令書の敵中紛失、南下輸送船団の隠密作戦。太平洋戦争開戦前夜に大本営を震撼させた恐るべき事件の全容──。 | 北海道の開拓村を突然恐怖のドン底に陥れた巨大な羆の出現。大正四年の事件を素材に自然の威容の前でなす術のない人間の姿を描く。 | 近代日本の分水嶺となった日露戦争とポーツマス講和会議。名利を求めず講和に生命を燃焼させた全権・小村寿太郎の姿に光をあてる。 | 嵐の夜、浜で火を焚いて沖行く船をおびき寄せ、坐礁した船から積荷を奪う──サバイバルのための苛酷な風習が招いた海辺の悲劇! | 江戸末期、天然痘の大流行をおさえるべく、異国から伝わったばかりの種痘を広めようと苦闘した福井の町医・笠原良策の感動の生涯。 | 羅臼の町でトド撃ちに執念を燃やす老人と町を捨てた娘との確執を捉えた表題作など、動物を仲立ちにして生きる人びとを描く短編集。 |
天に遊ぶ | 彰義隊 | 空白の戦記 | 星への旅 | ニコライ遭難 | プリズンの満月 | |
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日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにしてゆく、まさに名人芸の掌編小説 21 編。 | 皇族でありながら朝敵となった上野寛永寺山主の輪王寺宮能久親王。その数奇なる人生を通して江戸時代の終焉を描く畢生の歴史文学。 | 闇に葬られた軍艦事故の真相、沖縄決戦の秘話……。正史にのらない戦争記録を発掘し、戦争の陰に生きた人々のドラマを追求する。 | 少年達の無動機の集団自殺を冷徹かつ即物的に描き詩的美にまで昇華させた表題作。ロマンチシズムと現実との出会いに結実した 6 編。 | ”ロシア皇太子、襲わる”──近代国家への道を歩む明治日本を震撼させた未曾有の国難・大津事件に揺れる世相を活写する歴史長編。 | 東京裁判がもたらした異様な空間……巣鴨プリズン。そこに生きた戦犯と刑務官たちの懊悩。綿密な取材が光る吉村文学の新境地。 |
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米兵捕虜を処刑した一中尉の、戦後の暗く怯えに満ちた逃亡の日々──。戦争犯罪とは何かを問い、敗戦日本の歪みを抉る力作長編。 | 浮気をした妻と相手の母親を殺して無期刑に処せられた男が、 16 年後に仮釈放された。彼は与えられた自由を享受することができるか? | 昭和 20 年夏、敗戦へと雪崩れおちる日本の、辺境ともいうべき地に生きる人々の生き様を通して、〈昭和〉の転換点を見つめた作品集。 | 幕末日本を震撼させた「天狗党の乱」。水戸尊攘派の挙兵から中山道中の行軍、そして越前での非情な末路までを克明に描いた雄編。 | 犯罪史上未曽有の四度の脱獄を敢行した無期刑囚佐久間清太郎。その超人的な手口と、あくなき執念を追跡した著者渾身の力作長編。 | 肺癌に侵され激痛との格闘のすえに逝った弟。強い信念のもとに癌であることを隠し通し、ゆるぎない眼で死をみつめた感動の長編小説。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1974/2/26)
- 発売日 : 1974/2/26
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4101117020
- ISBN-13 : 978-4101117027
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 7,871位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2018年3月11日に日本でレビュー済み
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木箱が燃え崩れて、私の体は、焼却炉の中に広がった。火の色は、華やかで美しかった。初めは単純であった炎の色が、私の体に火がつくと、にわかに多彩な紋様を描き始めた。脂肪が燃えるのか、まばゆい明るい黄味を帯びた炎が立ち、時々はじける音がして、その度に金粉のような小さな炎があたりに散った
2019年2月9日に日本でレビュー済み
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初期の作風もすばらしいです。
2015年9月11日に日本でレビュー済み
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昭和33年から昭和42年にかけて発表された短編6編を収録したもの。
「鉄橋」(昭和33年)
「少女架刑」(昭和34年)
「透明標本」(昭和36年)
「石の微笑」(昭和37年)
「星への旅」(昭和41年)
「白い道」(昭和42年)
の6編である。「死」をテーマにした作品が多い。最初の「鉄橋」や表題作の「星への旅」は自殺がテーマとなっている。
「鉄橋」は死にそうもないプロボクサーが鉄橋で轢死する。自殺か事故か、その謎解きをするサスペンス仕立ての小説だ。
また「少女架刑」は、病死した少女が献体をし、自分の身体の部分部分がそれぞれ切り取られていく様子を、あたかも少女の魂が冷静に観察している。
「星への旅」は、若い少年少女たちが集団自殺へ向かっていく様子を、その仲間の一人の目を通して見つめていく。
吉村の作品は「漂流」「破船」「島抜け」「三陸海岸大津波」などのドキュメンタリー・タッチの作品を多く読んでいる。それらに比べるとここに収録されたものは、それ程面白いとは思えなかった。表現がくどく解りにくいと感じた。
流石に昭和中期の作品で「ガソリンカー」などというのが出てくる。電化される以前の鉄道気動車のことか。この辺でもつい最近まで「ディーゼルカー」なるものが走っていた。国鉄に勤める親を持った友人から聞いた。
「鉄橋」(昭和33年)
「少女架刑」(昭和34年)
「透明標本」(昭和36年)
「石の微笑」(昭和37年)
「星への旅」(昭和41年)
「白い道」(昭和42年)
の6編である。「死」をテーマにした作品が多い。最初の「鉄橋」や表題作の「星への旅」は自殺がテーマとなっている。
「鉄橋」は死にそうもないプロボクサーが鉄橋で轢死する。自殺か事故か、その謎解きをするサスペンス仕立ての小説だ。
また「少女架刑」は、病死した少女が献体をし、自分の身体の部分部分がそれぞれ切り取られていく様子を、あたかも少女の魂が冷静に観察している。
「星への旅」は、若い少年少女たちが集団自殺へ向かっていく様子を、その仲間の一人の目を通して見つめていく。
吉村の作品は「漂流」「破船」「島抜け」「三陸海岸大津波」などのドキュメンタリー・タッチの作品を多く読んでいる。それらに比べるとここに収録されたものは、それ程面白いとは思えなかった。表現がくどく解りにくいと感じた。
流石に昭和中期の作品で「ガソリンカー」などというのが出てくる。電化される以前の鉄道気動車のことか。この辺でもつい最近まで「ディーゼルカー」なるものが走っていた。国鉄に勤める親を持った友人から聞いた。
2016年2月25日に日本でレビュー済み
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読みようによってはむごたらしい内容なのだが、淡々とした筆致は初期も晩年も変わらない。
著者の一貫した姿勢と根底にある「生と死」への思いが貫かれているそれぞれの短編である。
「少女架刑」と、奇妙につながる「透明標本」など、吉村作品を通して読むと腑に落ちることが多々ある。
昔は解剖を「腑分け」と言ったが、なるほど、若い少女の遺体を特段の感慨もなくそれぞれ標本として取り出し、あるいは医学生の実習に使わせる。それを「少女自身」が見ている。
「星への旅」は満ち足りてなお生きる目的を持てない少年少女の、あまりにも命を粗末にした内容と言えばそうなのだが、どの時代もそういう類の人はいる。
読む側が試される場面も数多いが、作品は50年以上も前に書かれたとは思えない、著者のぶれない視点の確かさが感じられて圧巻ですらある。
著者の一貫した姿勢と根底にある「生と死」への思いが貫かれているそれぞれの短編である。
「少女架刑」と、奇妙につながる「透明標本」など、吉村作品を通して読むと腑に落ちることが多々ある。
昔は解剖を「腑分け」と言ったが、なるほど、若い少女の遺体を特段の感慨もなくそれぞれ標本として取り出し、あるいは医学生の実習に使わせる。それを「少女自身」が見ている。
「星への旅」は満ち足りてなお生きる目的を持てない少年少女の、あまりにも命を粗末にした内容と言えばそうなのだが、どの時代もそういう類の人はいる。
読む側が試される場面も数多いが、作品は50年以上も前に書かれたとは思えない、著者のぶれない視点の確かさが感じられて圧巻ですらある。
2023年7月30日に日本でレビュー済み
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吉村氏の初期短編小説類は、自身のご経験から「死」に焦点を当てた暗い作品が多いように感じますが、何か元気を貰おうという気持ちで読み始めると後悔します。
2016年2月1日に日本でレビュー済み
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読了後2日経ちますが、未だに内容が脳裏から離れない。物凄く力ある作品かと。
2015年3月8日に日本でレビュー済み
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吉村先生の実質的なデビュー作ですので、ファンの方は必須の短編集です。先生の初期の短編集は、後半の歴史ものと違い、死を強く意識、というか、生と死がほとんど同居するようなぎりぎりの、しかし張りつめた緊張感を持った作品が多いです。この作品も、ものすごく敏感な感覚で、死の周りの微妙な雰囲気をきめ細かく描写されています。やはり、表題作の「星への旅」が一番すばらしく、若者の死への憧れ、それを、メルヘンチックにも思えるように美しい文章で描写されています。
先生の、あの崖(鵜の巣断崖)を持つ北の村への愛情は終生変わらなかったようで、津村節子先生の田野畑村への津波後の激励のコメントが3月7日の日経夕刊に掲載されていました。
「鉄橋」は好き嫌いが分かれると思いますが、汽車のシーンは鋭くとがった神経が張りつめたようで良く書けています。「石の微笑」は、悪に惹かれる女性たちの姿を描いて印象的。ちょっと時代がかってしまいました。「少女架刑」や「透明標本」はホルマリンの臭い満載です。
軽めの作品はなく、重い作品ばかりですので一気に読みきることができず、半年以上かけて読了しました。
先生の、あの崖(鵜の巣断崖)を持つ北の村への愛情は終生変わらなかったようで、津村節子先生の田野畑村への津波後の激励のコメントが3月7日の日経夕刊に掲載されていました。
「鉄橋」は好き嫌いが分かれると思いますが、汽車のシーンは鋭くとがった神経が張りつめたようで良く書けています。「石の微笑」は、悪に惹かれる女性たちの姿を描いて印象的。ちょっと時代がかってしまいました。「少女架刑」や「透明標本」はホルマリンの臭い満載です。
軽めの作品はなく、重い作品ばかりですので一気に読みきることができず、半年以上かけて読了しました。