又吉さんがおすすめされていたので興味があり購入しました。
読み進めることが少し難しくもありましたが、大変魅力的な本でした。
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R62号の発明・鉛の卵 (新潮文庫) 文庫 – 1974/8/27
安部 公房
(著)
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人間が機械に、そして植物に。犬が犬の姿のまま、人間に。
世界的前衛作家が、30歳前後に書いた12の短編。
会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する「R62号の発明」、冬眠器の故障で80万年後に目を覚ました男の行動を通して現代を諷刺した先駆的SF作品「鉛の卵」、ほか「変形の記録」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」など、昭和30年前後の、思想的、方法的冒険にみちた作品12編を収録する。
目次
R62号の発明
パニック
犬
変形の記録
死んだ娘が歌った
盲腸
棒
人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち
鍵
耳の値段
鏡と呼子
鉛の卵
解説 渡辺広士
本書収録「鉛の卵」より
どれい族街の炭坑で――と、ことわるまでもなく、炭坑はどれい族街にきまっていたが――あらたに採掘を開始した古代炭化都市層から、長さ四・五メートル、胴まわり九メートルばかりの、卵形をした大きな鉛の塊が発見されたのだ。卵といっても、われわれが見知っている魚類等の、あのほぼ球形に近いやつとはちがい、すでに数万年まえに死滅した、例の鳥類の卵にちかいもので、偏楕円形をした、すこぶる奇態な代物だった。(「1 クラレント式恒久冬眠箱」)
本書「解説」より
短編作家としての安部公房は、心境小説的なスケッチの作家とは対蹠(たいせき)的な、発想の作家である。発想こそは安部公房の作品の生命であり、発想の瞬間にすべてが決っているといったふうに彼の作品は書かれる。アヴァンギャルドとはまず発想の転換だと言って間違いあるまい。(中略)
転換された安部公房的新発想の大前提は、いま指摘したとおり、彼が湿っぽいと考えたはずの人間中心主義へのアンチである。言い換えると、一切の既成観念を覆すということが小説家安部公房の実践原則である。
――渡辺広士(文芸評論家)
安部公房(1924-1993)
東京生れ。東京大学医学部卒。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。
世界的前衛作家が、30歳前後に書いた12の短編。
会社を首にされ、生きたまま自分の「死体」を売ってロボットにされてしまった機械技師が、人間を酷使する機械を発明して人間に復讐する「R62号の発明」、冬眠器の故障で80万年後に目を覚ました男の行動を通して現代を諷刺した先駆的SF作品「鉛の卵」、ほか「変形の記録」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」など、昭和30年前後の、思想的、方法的冒険にみちた作品12編を収録する。
目次
R62号の発明
パニック
犬
変形の記録
死んだ娘が歌った
盲腸
棒
人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち
鍵
耳の値段
鏡と呼子
鉛の卵
解説 渡辺広士
本書収録「鉛の卵」より
どれい族街の炭坑で――と、ことわるまでもなく、炭坑はどれい族街にきまっていたが――あらたに採掘を開始した古代炭化都市層から、長さ四・五メートル、胴まわり九メートルばかりの、卵形をした大きな鉛の塊が発見されたのだ。卵といっても、われわれが見知っている魚類等の、あのほぼ球形に近いやつとはちがい、すでに数万年まえに死滅した、例の鳥類の卵にちかいもので、偏楕円形をした、すこぶる奇態な代物だった。(「1 クラレント式恒久冬眠箱」)
本書「解説」より
短編作家としての安部公房は、心境小説的なスケッチの作家とは対蹠(たいせき)的な、発想の作家である。発想こそは安部公房の作品の生命であり、発想の瞬間にすべてが決っているといったふうに彼の作品は書かれる。アヴァンギャルドとはまず発想の転換だと言って間違いあるまい。(中略)
転換された安部公房的新発想の大前提は、いま指摘したとおり、彼が湿っぽいと考えたはずの人間中心主義へのアンチである。言い換えると、一切の既成観念を覆すということが小説家安部公房の実践原則である。
――渡辺広士(文芸評論家)
安部公房(1924-1993)
東京生れ。東京大学医学部卒。1951(昭和26)年「壁」で芥川賞を受賞。1962年に発表した『砂の女』は読売文学賞を受賞したほか、フランスでは最優秀外国文学賞を受賞。その他、戯曲「友達」で谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』で読売文学賞を受賞するなど、受賞多数。1973年より演劇集団「安部公房スタジオ」を結成、独自の演劇活動でも知られる。海外での評価も極めて高く、1992(平成4)年にはアメリカ芸術科学アカデミー名誉会員に。1993年急性心不全で急逝。
- ISBN-104101121095
- ISBN-13978-4101121093
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1974/8/27
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ368ページ
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他人の顔 | 壁 | けものたちは故郷をめざす | 飢餓同盟 | 第四間氷期 | 水中都市・デンドロカカリヤ | |
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【新潮文庫】安部公房 作品 | ケロイド瘢痕を隠し、妻の愛を取り戻すために他人の顔をプラスチックの仮面に仕立てた男。──人間存在の不安を追究した異色長編。 | 突然、自分の名前を紛失した男。以来彼は他人との接触に支障を来し、人形やラクダに奇妙な友情を抱く。独特の寓意にみちた野心作。 | ソ連軍が侵攻し、国府・八路両軍が跳梁する敗戦前夜の満州──政治の渦に巻きこまれた人間にとって脅迫の中の”自由”とは何か? | 不満と欲望が澱む、雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちが結成した”飢餓同盟”。彼らの野望とその崩壊を描く長編。 | 万能の電子頭脳に、ある中年男の未来を予言させたことから事態は意外な方向へ進展、機械は人類の苛酷な未来を語りだす。SF長編。 | 突然現れた父親と名のる男が奇怪な魚に生れ変り、何の変哲もなかった街が水中の世界に変ってゆく……。「水中都市」など初期作品集。 |
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無関係な死・時の崖 | R62号の発明・鉛の卵 | 人間そっくり | 燃えつきた地図 | 砂の女 | 箱男 | |
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自分の部屋に見ず知らずの死体を発見した男が、死体を消そうとして逆に死体に追いつめられてゆく「無関係な死」など、10編を収録。 | 生きたまま自分の《死体》を売ってロボットにされた技師の人間への復讐を描く「R62号の発明」など、思想的冒険にみちた作品12編。 | 《こんにちは火星人》というラジオ番組の脚本家のところへあらわれた自称・火星人──彼はいったい何者か?異色のSF長編小説。 | 失踪者を追跡しているうちに、次々と手がかりを失い、大都会の砂漠の中で次第に自分を見失ってゆく興信所員。都会人の孤独と不安。 | 砂穴の底に埋もれていく一軒家に故なく閉じ込められ、あらゆる方法で脱出を試みる男を描き、世界20数カ国語に翻訳紹介された名作。 | ダンボール箱を頭からかぶり都市をさ迷うことで、自ら存在証明を放棄する箱男は、何を夢見るのか。謎とスリルにみちた長編。 |
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密会 | 笑う月 | 友達・棒になった男 | 方舟さくら丸 | カンガルー・ノート | |
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夏の朝、突然救急車が妻を連れ去った。妻を求めて辿り着いた病院の盗聴マイクが明かす絶望的な愛と快楽。現代の地獄を描く長編。 | 思考の飛躍は、夢の周辺で行われる。快くも恐怖に満ちた夢を生け捕りにし、安部文学成立の秘密を垣間見せる夢のスナップ17編。 | 平凡な男の部屋に闖入した奇妙な9人家族。どす黒い笑いの中から”他者”との関係を暴き出す「友達」など、代表的戯曲3編を収める。 | 地下採石場跡の洞窟に、核シェルターの設備を造り上げた〈ぼく〉。核時代の方舟に乗れる者は、誰と誰なのか?現代文学の金字塔。 | 突然〈かいわれ大根〉が脛に生えてきた男を載せて、自走ベッドが辿り着く先はいかなる場所か──。現代文学の巨星、最後の長編。 |
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飛ぶ男 | (霊媒の話より)題未定 安部公房初期短編集 | |
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価格 | ¥649¥649 | ¥825¥825 |
安部公房の遺作が待望の文庫化! 飛ぶ男の出現、2発の銃弾、男性不信の女、妙な癖をもつ中学教師。鬼才が最期に創造した世界。 | 19歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」、全集未収録の「天使」など、世界の知性、安部公房の幕開けを鮮烈に伝える初期短編11編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1974/8/27)
- 発売日 : 1974/8/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 368ページ
- ISBN-10 : 4101121095
- ISBN-13 : 978-4101121093
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 160,264位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「棒」を読みたくて購入。
安部公房の、男が棒になる作品が他にもあるとは知らずに最初は間違えて「友達・棒になった男 (新潮文庫) 」を購入してしまった。「棒」が収録されている本が「R62号の発明・鉛の卵」だと調べるのに、少し手間取った。
安部公房の、男が棒になる作品が他にもあるとは知らずに最初は間違えて「友達・棒になった男 (新潮文庫) 」を購入してしまった。「棒」が収録されている本が「R62号の発明・鉛の卵」だと調べるのに、少し手間取った。
2022年8月14日に日本でレビュー済み
若いころに「砂の女」以降の長編は読んでいたが、最近、ヤマザキマリさんの影響でこの初期短編集を読んでみた。失業した自殺志願者は、死者は法の外にいるからと、白委の契約書にサインを求められ、囚人番号のような「R62号」という呼び名を与えられる。貧困から逃れるために羊の「盲腸」を自分の体に移植する実験を引き受ける父親。そんな社会的な弱者へのまなざしと、奇想天外でSF的な発想、そして若き著者の創作意欲が感じとれる。「世界の安部公房」になる前の、日本的な情感が感じられもする安部公房の初期短編集。面白い。
2009年12月4日に日本でレビュー済み
世界初の音ゲー誕生秘話を感動的に描いた「R62号の発明」、陽気な幽体離脱ストーリー「変形の記録」、フリーク好きが高じてグロテスクなスラップスティックを目指した「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」、何百年経っても全人口に占めるバカの比率は変わらないことを直感的に示した「鉛の卵」など、楽しい作品がいっぱい。安部ビギナーにもオススメ。
ただ、迷いが感じられるのも確か。「オレもなあ、一応共産党員だしなあ、ほんとはもっとムチャやりたいんだけどソレっぽいことも書いといたほうがいいよな、うん」てな雰囲気の。
安部の小説が今も新たな読者を獲得しつづけるのは、それが単なる教条的「プロレタリアート文学」ではなかったことの証左でもある(『蟹工船』もヘイト&妄想のムチャクチャさで受けたワケで)。
政治の鎖を逃れたあとの猥雑で活力にあふれた「娯楽作家」安部を読んだ後では、この頃の安部はやや退屈に感じるかもしれない。でもそこには、悪戯好きでホラ吹きの安部の顔が見え隠れしている。
星新一のショートショートみたいに気楽に読めばいい。星新一も実際はブラックでビターな性格を隠そうともしなかった人なんだけど、そういう点でも共通するしネ!
ただ、迷いが感じられるのも確か。「オレもなあ、一応共産党員だしなあ、ほんとはもっとムチャやりたいんだけどソレっぽいことも書いといたほうがいいよな、うん」てな雰囲気の。
安部の小説が今も新たな読者を獲得しつづけるのは、それが単なる教条的「プロレタリアート文学」ではなかったことの証左でもある(『蟹工船』もヘイト&妄想のムチャクチャさで受けたワケで)。
政治の鎖を逃れたあとの猥雑で活力にあふれた「娯楽作家」安部を読んだ後では、この頃の安部はやや退屈に感じるかもしれない。でもそこには、悪戯好きでホラ吹きの安部の顔が見え隠れしている。
星新一のショートショートみたいに気楽に読めばいい。星新一も実際はブラックでビターな性格を隠そうともしなかった人なんだけど、そういう点でも共通するしネ!
2015年11月26日に日本でレビュー済み
収録作品である「棒」は安部公房の全短編のなかでも一二を争うくらい大好きな作品だ。むろん安部作品なので、無限の解釈ができるわけだが、私には、使い古されそしてゴミのように捨てられる労働者としての男(棒)と、子供たちにとって掛け替えのない存在である父親とが、同一のものとして存在しえるところの、矛盾、および悲しみが、極めてシュールレアリスティックに描かれてるように思われるのである。読んだらなぜだか涙を禁じえないほどだ。安倍氏ほど人情味溢れる温情な作家は日本にはそうはいまい。
2009年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
常に人間の存在意義を問い掛け続ける安部氏が、前衛的な手法で様々な発想を読者に晒して見せる傑作短編集。
題名作の一つ「R62号の発明」は、自殺志願の機械技師が自分の命を秘密組織に売って「R62号」と呼ばれるロボットに改造される様を戯画的に描いた佳作。組織の目的は"コストの安い"人間を製造装置に使うと言うもので、まさに人間の存在価値を揺るがすもの。ラストの皮肉(発明品)も効いている。「パニック」は、自我の薄い失業者がいつの間にか犯罪者に転落する顛末を風刺的に描いたもの。前作と共に、登場人物は無機質なのに、細部の描写は生々しく、物語の展開は破天荒と言う作者の特徴が良く出ている。「変形の記録」は、コレラが蔓延する戦場と言う極限状態の中、死者が幽体化するとの設定の下での人間模様を描いたものだが、最後に輪廻転生を用意する秀逸な作品。「死んだ娘が歌った...」は、地方の娘が東京に身売りされて自殺した所から物語が始まり、やはり幽体化した娘が故郷に帰る姿を映画の逆回しの様に描いた不思議なムードを持つ作品。「盲腸」は、羊の盲腸を自身の盲腸と入れ替える羽目になった男の違和感を通じて、人間の尊厳を謳ったもの。この研究の目的は世界的人口増加による食糧難を人間の草食化によって解決しようとするもので、クローン牛を想起させるモチーフと共に作者の先見性を感じる。「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」は、食人と言う行為を通じて、階層社会を批判したもの。「耳の値段」では、安部氏自身の名前も言及される。「鏡と呼子」は寒村における猜疑心を扱った不条理な作品。もう一つの題名作「鉛の卵」は、80万年後を舞台に、現代に人工冬眠した人間が甦った事で起きる様々なスレ違いをユーモアSFとして描いた作品。
前衛的な手法で様々なアイデアを提示しながら、人間の存在意義を真摯に考察した傑作。
題名作の一つ「R62号の発明」は、自殺志願の機械技師が自分の命を秘密組織に売って「R62号」と呼ばれるロボットに改造される様を戯画的に描いた佳作。組織の目的は"コストの安い"人間を製造装置に使うと言うもので、まさに人間の存在価値を揺るがすもの。ラストの皮肉(発明品)も効いている。「パニック」は、自我の薄い失業者がいつの間にか犯罪者に転落する顛末を風刺的に描いたもの。前作と共に、登場人物は無機質なのに、細部の描写は生々しく、物語の展開は破天荒と言う作者の特徴が良く出ている。「変形の記録」は、コレラが蔓延する戦場と言う極限状態の中、死者が幽体化するとの設定の下での人間模様を描いたものだが、最後に輪廻転生を用意する秀逸な作品。「死んだ娘が歌った...」は、地方の娘が東京に身売りされて自殺した所から物語が始まり、やはり幽体化した娘が故郷に帰る姿を映画の逆回しの様に描いた不思議なムードを持つ作品。「盲腸」は、羊の盲腸を自身の盲腸と入れ替える羽目になった男の違和感を通じて、人間の尊厳を謳ったもの。この研究の目的は世界的人口増加による食糧難を人間の草食化によって解決しようとするもので、クローン牛を想起させるモチーフと共に作者の先見性を感じる。「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」は、食人と言う行為を通じて、階層社会を批判したもの。「耳の値段」では、安部氏自身の名前も言及される。「鏡と呼子」は寒村における猜疑心を扱った不条理な作品。もう一つの題名作「鉛の卵」は、80万年後を舞台に、現代に人工冬眠した人間が甦った事で起きる様々なスレ違いをユーモアSFとして描いた作品。
前衛的な手法で様々なアイデアを提示しながら、人間の存在意義を真摯に考察した傑作。
2007年4月13日に日本でレビュー済み
まるで、メビウスの輪のようである。
機械と人間、犬と飼い主、社会と犯罪、古代人と現代人。
これらの常識的な価値観と位置づけが、あっという間にくるりと反転して、「あっかんべー」と舌を出してくる。
表題「R62号の発明」「鉛の卵」もいいが、「棒」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」もおすすめ。
「人肉〜」は、ああ、不毛な会話というのはこういうのを言うのか、としみじみ痛感する。
気がついたら、ねじくれた世界に突入していて、表か裏かは、もうわからない。
機械と人間、犬と飼い主、社会と犯罪、古代人と現代人。
これらの常識的な価値観と位置づけが、あっという間にくるりと反転して、「あっかんべー」と舌を出してくる。
表題「R62号の発明」「鉛の卵」もいいが、「棒」「人肉食用反対陳情団と三人の紳士たち」もおすすめ。
「人肉〜」は、ああ、不毛な会話というのはこういうのを言うのか、としみじみ痛感する。
気がついたら、ねじくれた世界に突入していて、表か裏かは、もうわからない。
2006年3月30日に日本でレビュー済み
勝手気ままな人間を風刺するかのような、短編集。
安部公房の、多種な文体が伺えました。とても興味深く、面白いです。
特に、死んだ娘が歌ったでは、なかなか鋭く繊維な描写が見られた。
お勧めします。
安部公房の、多種な文体が伺えました。とても興味深く、面白いです。
特に、死んだ娘が歌ったでは、なかなか鋭く繊維な描写が見られた。
お勧めします。