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白い人・黄色い人 (新潮文庫) 文庫 – 1960/3/17
遠藤 周作
(著)
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『海と毒薬』『沈黙』へと繋がっていく、遠藤周作の主題。
人間の心に巣食う「悪」と「赦し」を描いた芥川賞受賞作。
フランス人でありながらナチのゲシュタポの手先となった主人公は、ある日、旧友が同僚から拷問を受けているのを目にする。神のため、苦痛に耐える友。その姿を見て主人公は悪魔的、嗜虐的な行動を取り、己の醜態に酔いしれる(「白い人」)。神父を官憲に売り「キリスト」を試す若きクリスチャン(「黄色い人」)。
人間の悪魔性とは何か。神は誰を、何を救いたもうのか。芥川賞受賞。
目次
白い人
黄色い人
解説 山本健吉
本書収録「黄色い人」冒頭
神さまは宇宙にひとりでいられるのがとても淋しくなられたので人間を創ろうとお考えになりました。そこでパン粉を自分のお姿にかたどってこねられ竈(かまど)でやかれました。
あまり待ちどおしいので、五分もたたぬうちに竈をおあけになりました。もちろんできあがったのは、まだ生やけの真白な人間です。「仕方がない。わしはこれを白人とよぶことにしよう」と神さまはつぶやかれました。
本書「解説」より
カトリック作家である氏にとって、当然もっとも大事な問題は、神の問題であります。キリスト教の伝統を持たない、日本という汎神論的風土において、神はどのような意味を持つかということです。あるいはまた、神を持たない日本人の精神的な悲惨、ないし醜悪を描くこと、と言ってもよいでしょう。
――山本健吉(文芸評論家)
遠藤周作(1923-1996)
東京生まれ。幼年期を旧満州大連で過ごす。神戸に帰国後、12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て1955年「白い人」で芥川賞を受賞。結核を患い何度も手術を受けながらも、旺盛な執筆活動を続けた。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品や歴史小説、戯曲、映画脚本、〈狐狸庵もの〉と称されるエッセイなど作品世界は多岐にわたる。『海と毒薬』(新潮社文学賞/毎日出版文化賞)『わたしが・棄てた・女』『沈黙』(谷崎潤一郎賞)『死海のほとり』『イエスの生涯』『キリストの誕生』(読売文学賞)『侍』(野間文芸賞)『女の一生』『スキャンダル』『深い河(ディープ・リバー)』(毎日芸術賞)『夫婦の一日』等。1995年には文化勲章を受章した。
人間の心に巣食う「悪」と「赦し」を描いた芥川賞受賞作。
フランス人でありながらナチのゲシュタポの手先となった主人公は、ある日、旧友が同僚から拷問を受けているのを目にする。神のため、苦痛に耐える友。その姿を見て主人公は悪魔的、嗜虐的な行動を取り、己の醜態に酔いしれる(「白い人」)。神父を官憲に売り「キリスト」を試す若きクリスチャン(「黄色い人」)。
人間の悪魔性とは何か。神は誰を、何を救いたもうのか。芥川賞受賞。
目次
白い人
黄色い人
解説 山本健吉
本書収録「黄色い人」冒頭
神さまは宇宙にひとりでいられるのがとても淋しくなられたので人間を創ろうとお考えになりました。そこでパン粉を自分のお姿にかたどってこねられ竈(かまど)でやかれました。
あまり待ちどおしいので、五分もたたぬうちに竈をおあけになりました。もちろんできあがったのは、まだ生やけの真白な人間です。「仕方がない。わしはこれを白人とよぶことにしよう」と神さまはつぶやかれました。
本書「解説」より
カトリック作家である氏にとって、当然もっとも大事な問題は、神の問題であります。キリスト教の伝統を持たない、日本という汎神論的風土において、神はどのような意味を持つかということです。あるいはまた、神を持たない日本人の精神的な悲惨、ないし醜悪を描くこと、と言ってもよいでしょう。
――山本健吉(文芸評論家)
遠藤周作(1923-1996)
東京生まれ。幼年期を旧満州大連で過ごす。神戸に帰国後、12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て1955年「白い人」で芥川賞を受賞。結核を患い何度も手術を受けながらも、旺盛な執筆活動を続けた。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品や歴史小説、戯曲、映画脚本、〈狐狸庵もの〉と称されるエッセイなど作品世界は多岐にわたる。『海と毒薬』(新潮社文学賞/毎日出版文化賞)『わたしが・棄てた・女』『沈黙』(谷崎潤一郎賞)『死海のほとり』『イエスの生涯』『キリストの誕生』(読売文学賞)『侍』(野間文芸賞)『女の一生』『スキャンダル』『深い河(ディープ・リバー)』(毎日芸術賞)『夫婦の一日』等。1995年には文化勲章を受章した。
- ISBN-104101123012
- ISBN-13978-4101123011
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1960/3/17
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ208ページ
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白い人・黄色い人 | 海と毒薬 | 留学 | 母なるもの | 彼の生きかた | 砂の城 | |
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【新潮文庫】遠藤周作 作品 | ナチ拷問に焦点をあて、存在の根源に神を求める意志の必然性を探る「白い人」、神をもたない日本人の精神的悲惨を追う「黄色い人」。〈芥川賞〉 | 何が彼らをこのような残虐行為に駆りたてたのか?終戦時の大学病院の生体解剖事件を小説化し、日本人の罪悪感を追求した問題作。〈毎日出版文化賞・新潮社文学賞〉 | 時代を異にして留学した三人の学生が、ヨーロッパ文明の壁に挑みながらも精神的風土の絶対的相違によって挫折してゆく姿を描く。 | やさしく許す”母なるもの”を宗教の中に求める日本人の精神の志向と、作者自身の母性への憧憬とを重ねあわせてつづった作品集。 | 吃るため人とうまく接することが出来ず、人間よりも動物を愛し、日本猿の餌づけに一身を捧げる男の純朴でひたむきな生き方を描く。 | 過激派集団に入った西も、詐欺漢に身を捧げたトシも真実を求めて生きようとしたのだ。ひたむきに生きた若者たちの青春群像を描く。 |
悲しみの歌 | 沈黙 | イエスの生涯 | キリストの誕生 | 死海のほとり | 王国への道―山田長政― | |
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戦犯の過去を持つ開業医、無類のお人好しの外人……大都会新宿で輪舞のようにからみ合う人々を通し人間の弱さと悲しみを見つめる。 | 殉教を遂げるキリシタン信徒と棄教を迫られるポルトガル司祭。神の存在、背教の心理、東洋と西洋の思想的断絶等を追求した問題作。〈谷崎潤一郎賞〉 | 青年大工イエスはなぜ十字架上で殺されなければならなかったのか──。あらゆる「イエス伝」をふまえて、その〈生〉の真実を刻む。〈国際ダグ・ハマーショルド賞〉 | 十字架上で無力に死んだイエスは死後”救い主”と呼ばれ始める……。残された人々の心の痕跡を探り、人間の魂の深奥のドラマを描く。〈読売文学賞〉 | 信仰につまずき、キリストを棄てようとした男──彼は真実のイエスを求め、死海のほとりにその足跡を追う。愛と信仰の原点を探る。 | シャム(タイ)の古都で暗躍した山田長政と、切支丹の冒険家・ペドロ岐部――二人の生き方を通して、日本人とは何かを探る長編。 |
真昼の悪魔 | 王妃マリー・アントワネット〔上〕 | 王妃マリー・アントワネット〔下〕 | 女の一生 一部・キクの場合 | 女の一生 二部・サチ子の場合 | 侍 | |
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大病院を舞台に続発する奇怪な事件。背徳的な恋愛に身を委ねる美貌の女医。現代人の心の渇きと精神の深い闇を描く医療ミステリー。 | 苛酷な運命の中で、愛と優雅さを失うまいとする悲劇の王妃。激動のフランス革命を背景に、多彩な人物が織りなす華麗な歴史ロマン。 | 幕末から明治の長崎を舞台に、切支丹大弾圧にも屈しない信者たちと、流刑の若者に想いを寄せるキクの短くも清らかな一生を描く。 | 第二次大戦下の長崎、戦争の嵐は教会の幼友達サチ子と修平の愛を引き裂いていく。修平は特攻出撃。長崎は原爆にみまわれる……。 | 藩主の命を受け、海を渡った遣欧使節「侍」。政治の渦に巻きこまれ、歴史の闇に消えていった男の生を通して人生と信仰の意味を問う。〈野間文芸賞〉 |
夫婦の一日 | 満潮の時刻 | 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。 | 人生の踏み絵 | 影に対して 母をめぐる物語 | 【単行本】善人たち | |
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たびかさなる不幸で不安に陥った妻の心を癒すために、夫はどう行動したか。生身の人間だけが持ちうる愛の感情をあざやかに描く。 | 人はなぜ理不尽に傷つけられ苦しみを負わされるのか──。自身の悲痛な病床体験をもとに、『沈黙』と並行して執筆された感動の長編。 | 大作家が伝授する「相手の心を動かす」手紙の書き方とは。執筆から四十六年後に発見され、世を瞠目させた幻の原稿、待望の文庫化。 | もっと、人生を強く抱きしめなさい──。不朽の名作『沈黙』創作秘話をはじめ、文学と宗教、人生の奥深さを縦横に語った名講演録。 | 両親が別れた時、少年の取った選択は生涯ついてまわった。完成しながらも発表されなかった「影に対して」をはじめ母を描く六編。 | 戦前の米国で留学生が味わった悲劇を描く「善人たち」、名作を深く語り直す「戯曲 わたしが・棄てた・女」他、話題の新発見戯曲集! |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1960/3/17)
- 発売日 : 1960/3/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 208ページ
- ISBN-10 : 4101123012
- ISBN-13 : 978-4101123011
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 74,042位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1923-1996)東京生れ。
幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、11歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。
一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』『スキャンダル』等。1995(平成7)年、文化勲章受章。1996年、病没。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年1月19日に日本でレビュー済み
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昨年、「深い河」「女の一生 一部」「女の一生 二部」と読み、感銘を受け、遠藤周作を読み返さなければならないと思い、本作を読んでみました。
しかし、去年読んだ三冊や、ずっと以前に読んだ「沈黙」や「侍」と、本作とでは、読後感がだいぶ違いました。一言で言えば、巻末に救いを感じなかった、ということです。
本作のテーマの一つは、棄教者はどうなるのか、ということです。
「わしのような背教者は除外されている」(p.184)。
この問いへの応答のひとつが「沈黙」でありましょう。本作が1955年、「沈黙」は1966年です。
けれども、本作にも、じつは、救いの兆候は見られるのです。
「だが私は神を拒みながら、その存在を否むことはできない。彼は私の指の先までしみこんでいるのだ」(p.187)。
「祈っているよ。君。たとえ、君が神を問題にしなくても、神は君をいつも問題にされているのだから……」(p.40)。
もう一つのテーマは、「日本とキリスト教」です。
「結局、神父さん、人間の業とか罪とかはあなたたちの教会の告解室ですまされるように簡単にきめたり、分類したりできるものではないのでありませんか」
「黄色人のぼくには、あなたたちのような罪の意識や虚無などのような深刻なもの、大げさなものは全くないのです。あるのは、疲れだけ、ふかい疲れだけ。ぼくの黄ばんだ肌の色のように濁り、湿り、おもく沈んだ疲労だけなのです」(p.110)。
「あんたは教会を捨てはったんでしょう。ならどうしていつまでもその事ばかり気にかかりますの。なんまいだといえばそれで許してくれる仏さまの方がどれほどいいか、わからへん」(p.164)。
これらの言葉は、日本にはキリスト教を受け入れる土壌がない、というよりも、キリスト教には日本に土着する普遍性がない、と読むべきではないでしょうか。
遠藤周作は、キリスト教を日本に合うようにしようとした、と言われることもありますが、むしろ、キリスト教という特殊、個別宗教の中から、その枠にとどまらない普遍の霊性を引き出そうとしたのが、「深い河」などではないでしょうか。
棄教者は救われます。しかし、そのためには、キリスト教自身が自己の姿に固執せず、仏教やインドの霊性などに開かれて行かなければならない、それらの力を借りて、キリスト教自身が抑えつけてきたキリスト教の深いところの霊性を掘り当てていかなければならない、いわばキリスト教そのものがキリスト教を棄教しなければならない、それを書くことが遠藤の生涯の仕事だったのではないでしょうか。
本作はその出発地の一点でありましょう。
しかし、去年読んだ三冊や、ずっと以前に読んだ「沈黙」や「侍」と、本作とでは、読後感がだいぶ違いました。一言で言えば、巻末に救いを感じなかった、ということです。
本作のテーマの一つは、棄教者はどうなるのか、ということです。
「わしのような背教者は除外されている」(p.184)。
この問いへの応答のひとつが「沈黙」でありましょう。本作が1955年、「沈黙」は1966年です。
けれども、本作にも、じつは、救いの兆候は見られるのです。
「だが私は神を拒みながら、その存在を否むことはできない。彼は私の指の先までしみこんでいるのだ」(p.187)。
「祈っているよ。君。たとえ、君が神を問題にしなくても、神は君をいつも問題にされているのだから……」(p.40)。
もう一つのテーマは、「日本とキリスト教」です。
「結局、神父さん、人間の業とか罪とかはあなたたちの教会の告解室ですまされるように簡単にきめたり、分類したりできるものではないのでありませんか」
「黄色人のぼくには、あなたたちのような罪の意識や虚無などのような深刻なもの、大げさなものは全くないのです。あるのは、疲れだけ、ふかい疲れだけ。ぼくの黄ばんだ肌の色のように濁り、湿り、おもく沈んだ疲労だけなのです」(p.110)。
「あんたは教会を捨てはったんでしょう。ならどうしていつまでもその事ばかり気にかかりますの。なんまいだといえばそれで許してくれる仏さまの方がどれほどいいか、わからへん」(p.164)。
これらの言葉は、日本にはキリスト教を受け入れる土壌がない、というよりも、キリスト教には日本に土着する普遍性がない、と読むべきではないでしょうか。
遠藤周作は、キリスト教を日本に合うようにしようとした、と言われることもありますが、むしろ、キリスト教という特殊、個別宗教の中から、その枠にとどまらない普遍の霊性を引き出そうとしたのが、「深い河」などではないでしょうか。
棄教者は救われます。しかし、そのためには、キリスト教自身が自己の姿に固執せず、仏教やインドの霊性などに開かれて行かなければならない、それらの力を借りて、キリスト教自身が抑えつけてきたキリスト教の深いところの霊性を掘り当てていかなければならない、いわばキリスト教そのものがキリスト教を棄教しなければならない、それを書くことが遠藤の生涯の仕事だったのではないでしょうか。
本作はその出発地の一点でありましょう。
2023年2月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「白い人」は元々昭和30年刊行の小説で、芥川賞受賞作です。1940年前後、ドイツによる占領が始まった頃のフランスが舞台で主人公は「私」。「私」はとりわけ容姿が醜いことを否応なしに意識して育ちました。そして「私」はサディズムに目覚め、遂にはドイツの秘密国家警察(ゲシュタポ)の手先になって大学時代の知り合いだったフランス人神父を拷問するに至ります。
「解説」には、「人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見出そうとした」作品であり、「ナチズムに対する抵抗」が主題の一つとありますが、私にはそのようには思われませんでした。サディズムへの言及の他にも、遠藤氏の小説らしく、主人公は(知識としては)カトリックの思想をわりと理解しており、肺病を患った人物なども登場します。「私」が神父を拷問する場面はある意味「沈黙」を思い出させました。しかし、この小説においては、他の幾つかの遠藤氏の作品のように愛に満ちた「同伴者キリスト」の影が透けて見えず、これは意外でした。さらに、この作品中の数々の要素のリンクが不明瞭に思えました。愛情の薄い父、プロテスタントに凝り固まる母、父の浮気、老犬を虐待する女性、「薔薇色の顔」の講師に対する「私」の嫌悪感…。しかも、「私」は「自己の肉体の苦痛の前にはやはり、すべての人類への友情、信義をも裏切る」存在だと言いますが、私には「真実」として訴えるものはありませんでした。また、これが「永遠の同伴者イエス」、「母親のような」キリスト教をことに描き、「心あたたかな医療」を提言した遠藤氏自身の思想だったとも思いません。
カバーにはフランス人神父を「パリサイ的な」としていますが、もし彼が「パリサイ的」なら、「十字架を背負うことを考えた」、ましてや自分に拷問を加える相手を「憎まない」などと言えるでしょうか。
ところでこの小説には「色」に関する形容詞が多く使われています。そしてちなみに「スチアン・ゴルジュ」は女性の下着のブラジャーのこと、「マキ」とは、第二次大戦中ドイツ軍と戦ったフランスの地下組織のことです。
読み終えて、残念ながら意味がよく分からない、というのが私の感想です。それでも、今から70年近く前に遠藤氏を作家として印象づけた作品として読むのは興味深いかもしれません。
「黄色い人」も元々昭和30年刊行の小説で、肺病を患った青年、別の神父を裏切ったフランス人の「元」神父などが登場します。こちらも第二次大戦中の設定ですが、舞台は日本です。この作品ではことに、神、そして罪の意識を持っている「白人」と、それらを持たずある意味「自由な」黄色人種、ここでは日本人を対比しています。遠藤氏の生涯のテーマではあったわけですが、この作品の中ではこの二者の「範疇分け」があまりも断定的、断言的で、「白い人」に対する「黄いろい者たち」等の表現には違和感さえ覚えました。それでもこちらもやはり、遠藤氏の初期の頃の作品、ということで読むには興味深いかもしれません。
「解説」には、「人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見出そうとした」作品であり、「ナチズムに対する抵抗」が主題の一つとありますが、私にはそのようには思われませんでした。サディズムへの言及の他にも、遠藤氏の小説らしく、主人公は(知識としては)カトリックの思想をわりと理解しており、肺病を患った人物なども登場します。「私」が神父を拷問する場面はある意味「沈黙」を思い出させました。しかし、この小説においては、他の幾つかの遠藤氏の作品のように愛に満ちた「同伴者キリスト」の影が透けて見えず、これは意外でした。さらに、この作品中の数々の要素のリンクが不明瞭に思えました。愛情の薄い父、プロテスタントに凝り固まる母、父の浮気、老犬を虐待する女性、「薔薇色の顔」の講師に対する「私」の嫌悪感…。しかも、「私」は「自己の肉体の苦痛の前にはやはり、すべての人類への友情、信義をも裏切る」存在だと言いますが、私には「真実」として訴えるものはありませんでした。また、これが「永遠の同伴者イエス」、「母親のような」キリスト教をことに描き、「心あたたかな医療」を提言した遠藤氏自身の思想だったとも思いません。
カバーにはフランス人神父を「パリサイ的な」としていますが、もし彼が「パリサイ的」なら、「十字架を背負うことを考えた」、ましてや自分に拷問を加える相手を「憎まない」などと言えるでしょうか。
ところでこの小説には「色」に関する形容詞が多く使われています。そしてちなみに「スチアン・ゴルジュ」は女性の下着のブラジャーのこと、「マキ」とは、第二次大戦中ドイツ軍と戦ったフランスの地下組織のことです。
読み終えて、残念ながら意味がよく分からない、というのが私の感想です。それでも、今から70年近く前に遠藤氏を作家として印象づけた作品として読むのは興味深いかもしれません。
「黄色い人」も元々昭和30年刊行の小説で、肺病を患った青年、別の神父を裏切ったフランス人の「元」神父などが登場します。こちらも第二次大戦中の設定ですが、舞台は日本です。この作品ではことに、神、そして罪の意識を持っている「白人」と、それらを持たずある意味「自由な」黄色人種、ここでは日本人を対比しています。遠藤氏の生涯のテーマではあったわけですが、この作品の中ではこの二者の「範疇分け」があまりも断定的、断言的で、「白い人」に対する「黄いろい者たち」等の表現には違和感さえ覚えました。それでもこちらもやはり、遠藤氏の初期の頃の作品、ということで読むには興味深いかもしれません。
2014年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『沈黙』『海と毒薬』に通じる人と神、信仰を扱った作品です。
『白い人』はナチ占領下のフランス・リヨン。『黄色い人』は、大東亜戦争下の日本の仁川が舞台となります。
どちらもフランス人の神父が登場し、その信仰心を試す悪魔的な人物が表れます。
この作品は、遠藤周作さんが芥川賞を受賞された、いわば新人時代のものなのですが、既にこれ程の深みある小説をお書きになられていることに非常に驚きました。
『沈黙』で感じた時の静謐さを味わうことができました。
感覚的に判るのですけれども、言葉に置き換えるのがとても困難さを感じる問題です。
立ち止まってじっくりと考えてみたい課題です。
『白い人』はナチ占領下のフランス・リヨン。『黄色い人』は、大東亜戦争下の日本の仁川が舞台となります。
どちらもフランス人の神父が登場し、その信仰心を試す悪魔的な人物が表れます。
この作品は、遠藤周作さんが芥川賞を受賞された、いわば新人時代のものなのですが、既にこれ程の深みある小説をお書きになられていることに非常に驚きました。
『沈黙』で感じた時の静謐さを味わうことができました。
感覚的に判るのですけれども、言葉に置き換えるのがとても困難さを感じる問題です。
立ち止まってじっくりと考えてみたい課題です。
2021年10月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ナチに協力して拷問を行なうフランス人と、神父を官憲に売った日本人を
主人公とする2作品ですが、両作品とも、キリスト教の形式主義や純潔
主義に反発して宗教を捨てながら、依然として罪の後ろめたさを引きずり、
神を捨てきれない人間の心の動きがよく書けていると思います。
遠藤周作は、キリスト教というものを具体的に考えさせてくれる好い作家
だったなと思います。
主人公とする2作品ですが、両作品とも、キリスト教の形式主義や純潔
主義に反発して宗教を捨てながら、依然として罪の後ろめたさを引きずり、
神を捨てきれない人間の心の動きがよく書けていると思います。
遠藤周作は、キリスト教というものを具体的に考えさせてくれる好い作家
だったなと思います。
2023年3月26日に日本でレビュー済み
遠藤周作氏は、キリスト教徒として知られ、そのキリスト教的価値観に基づき、日本人に対してネガティブな描写が目立つが、本2篇においてはキリスト教に対しても乾いた眼で斜めから観ている印象を受ける。
その装飾された衣を一枚一枚剥ぎ取っていく様な描写は、残酷ながらも痛快さを覚える。
早くからキリスト教のもつある種の偽善性や限界に気づいていたのかもしれない。
その装飾された衣を一枚一枚剥ぎ取っていく様な描写は、残酷ながらも痛快さを覚える。
早くからキリスト教のもつある種の偽善性や限界に気づいていたのかもしれない。
2017年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本の中に出てくるのは、様々な疲れです。良くないと一般的に云われる行いの理由は疲れです。戦争の中で日常化した飢えや死を受け止めきれることなんてできるのでしょうか。そして全てにおいて沈黙を守る神とはどんな存在なのか…。
2014年9月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
遠藤周作の作品としては作り物の感強くあまり好きになれなかった。