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個人的な体験 (新潮文庫) ペーパーバック – 1981/2/27
大江 健三郎
(著)
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奇形に生れたわが子の死を願う青年の魂の遍歴と、絶望と背徳の日々。狂気の淵に瀕した現代人に再生の希望はあるのか? 力作長編。
- ISBN-104101126100
- ISBN-13978-4101126104
- 出版社新潮社
- 発売日1981/2/27
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ258ページ
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出版社より
われらの時代 | 空の怪物アグイー | 見るまえに跳べ | 洪水はわが魂に及び〔上〕 | 洪水はわが魂に及び〔下〕 | 「雨の木」を聴く女たち | |
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価格 | ¥693¥693 | ¥737¥737 | ¥781¥781 | ¥564¥564 | ¥564¥564 | ¥574¥574 |
【新潮文庫】大江健三郎 作品 | 遍在する自殺の機会に見張られながら生きてゆかざるをえない”われらの時代”。若者の性を通して閉塞状況の打破を模索した野心作。 | 六〇年安保以後の不安な状況を背景に”現代の恐怖と狂気”を描く表題作ほか「不満足」「スパルタ教育」「敬老週間」「犬の世界」など。 | 処女作「奇妙な仕事」から 3 年後の「下降生活者」まで、時代の旗手としての名声と悪評の中で、充実した歩みを始めた時期の秀作 10 編。 | 鯨と樹木の代理人大木勇魚(いさな)と、現代のノアの洪水に船出する自由航海団。明日なき人類の怒りと畏れをまるごと描いた感動の巨編! | 荒涼たる世界と人間の魂に水滴をそそぐ「雨の木」のイメージに重ねて、危機にある男女の生き死にを描いた著者会心の連作小説集。 |
死者の奢り・飼育 | 芽むしり仔撃ち | 性的人間 | われらの狂気を生き延びる道を教えよ | 個人的な体験 | ピンチランナー調書 | |
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5つ星のうち4.1
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価格 | ¥737¥737 | ¥605¥605 | ¥693¥693 | ¥880¥880 | ¥781¥781 | ¥990¥990 |
黒人兵と寒村の子供たちとの惨劇を描く「飼育」等6編。豊饒なイメージを駆使して、閉ざされた状況下の生を追究した初期作品集。〈芥川賞受賞〉 | 疫病の流行する山村に閉じこめられた非行少年たちの愛と友情にみちた共生感とその挫折。綿密な設定と新鮮なイメージで描かれた傑作。 | 青年の性の渇望と行動を大胆に描いて波紋を投じた「性的人間、政治少年の行動と心理を描いた「セヴンティーン」など問題作3編。 | おそいくる時代の狂気と、自分の内部からあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感と解放の道を描く。 | 奇形に生れたわが子の死を願う青年の魂の遍歴と、絶望と背徳の日々。狂気の淵に瀕した現代人に再生の希望はあるのか?力作長編。〈新潮社文学賞受賞〉 | 地球の危機を救うべく「宇宙?」から派遣されたピンチランナー二人組!内ゲバ殺人から右翼パトロンまでをユーモラスに描く快作。 |
同時代ゲーム | 私という小説家の作り方 | 大江健三郎 作家自身を語る | 燃えあがる緑の木―第一部 「救い主」が殴られるまで― | 燃えあがる緑の木―第二部 揺れ動く― | 燃えあがる緑の木―第三部 大いなる日に― | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥1,100¥1,100 | ¥649¥649 | ¥990¥990 | ¥825¥825 | ¥737¥737 | ¥825¥825 |
四国の山奥に創建された《村=国家=小宇宙》が、大日本帝国と全面戦争に突入した!?特異な構想力が産んだ現代文学の収穫。 | 40年に及ぶ作家生活を経て、いまなお前進を続ける著者が、主要作品の創作過程と小説作法を詳細に語る「クリエイティヴな自伝」。 | 鮮烈なデビュー、障害をもつ息子との共生、震災と原発事故。ノーベル賞作家が自らの文学と人生を語り尽くす、対話による「自伝」。 | 森に伝承される奇跡の力を受け継いだ「新しいギー兄さん」。だが人々は彼を偽物と糾弾する。魂救済の根本問題を描き尽くす長編。 |
小説のたくらみ、知の楽しみ | 人生の親戚 | 日常生活の冒険 | 遅れてきた青年 | 美しいアナベル・リイ | 文学の淵を渡る | |
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価格 | ¥485¥485 | ¥485¥485 | ¥693¥693 | ¥812¥812 | ¥485¥485 | ¥649¥649 |
同時代の代表的作家が、日々の読書から、創作の現場から、かつてなく自己の生活と精神の内情をさらけだした注目の長編エッセイ。 | 悲しみ、それは人生の親戚。人はいかにその悲しみから脱け出すか。大きな悲哀を背負った女性の生涯に、魂の救いを探る長編小説。 | ナセル義勇軍参加を望んで果せず、限りない倦怠に陥った主人公──冒険の可能性なき現代を冒険的に生きようとした青年の行為と死。 | 地方の山村に生れ育ち、陛下の勇敢な兵士として死ぬはずの戦争に、遅れてしまった青年。戦後世代共通の体験を描いた半自伝的小説。 | 永遠の少女への憧れを、映画製作の夢にのせて──「おかしな老人」たちの破天荒な目論見の果ては?不敵なる大江版「ロリータ」。 | 私たちは、何を読みどう書いてきたか。半世紀を超えて小説の最前線を走り続けてきたふたりの作家が語る、文学の過去・現在・未来。 |
商品の説明
商品説明
27歳の予備校講師鳥(バード)は、結婚して間もなく子供が生まれようとしているのにいまだアフリカへの冒険旅行を夢見ているようなモラトリアム青年である。そこに、とうとう子供が生まれた、それも頭に異常のある障害児だという知らせを受けて、バードは今後いっさいの行動の自由が奪われたと絶望し、アルコールに、そして女友だち火見子との性交渉に逃避する日々を送ることになる。その間に子供が衰弱死して責任から解放され、火見子と連れ立ってアフリカに出発することができればというのがバードの期待だったが、その土壇場にきて、彼はこうした態度が自己欺瞞であり、自分の人生を台無しにしてしまうと自覚し、赤ん坊を引き受ける決断をする。障害を軽減する手術が成功して退院できることになった子供と妻を連れたバードは、確かに自分が変わったこと、大人になったことを感じる。
戦後新世代の旗手として華々しく登場した大江健三郎は、初期作品においてまず、閉塞した社会状況に抵抗し、そこから脱出しようとする若者たちを描いたが、1964年に書き下ろしたこの長編(新潮文学賞受賞)において、状況から逃げるのではなく、積極的に引き受けるようとする成熟、自立した青年像を提示し、中期創作への道を踏み出した。現在作曲家として知られる長男光の誕生をきっかけとして生まれたこの作品は、その後の大江と光の親子関係の発展をたどっていく一連の物語の出発点でもある。(大久保喬樹)
戦後新世代の旗手として華々しく登場した大江健三郎は、初期作品においてまず、閉塞した社会状況に抵抗し、そこから脱出しようとする若者たちを描いたが、1964年に書き下ろしたこの長編(新潮文学賞受賞)において、状況から逃げるのではなく、積極的に引き受けるようとする成熟、自立した青年像を提示し、中期創作への道を踏み出した。現在作曲家として知られる長男光の誕生をきっかけとして生まれたこの作品は、その後の大江と光の親子関係の発展をたどっていく一連の物語の出発点でもある。(大久保喬樹)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1981/2/27)
- 発売日 : 1981/2/27
- 言語 : 日本語
- ペーパーバック : 258ページ
- ISBN-10 : 4101126100
- ISBN-13 : 978-4101126104
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 12,898位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、『万延元年のフット ボール』(谷崎潤一郎賞)、『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)、『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)、『新しい人よ眼ざめよ』(大佛次郎賞)な ど数多くの賞を受賞、94年にノーベル文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「伝える言葉」プラス (ISBN-13: 978-4022616708 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年8月8日に日本でレビュー済み
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この作品が或る文学賞を受けた、そのパーティの席上、河盛好蔵が「大江君、この作品で君は大作家になった!が、私は認めない!」と言い放った。傍らで、それを聞いた江藤淳は、生涯、二度と大江作品について語ることをしなかった。たとえフィクションの形式でも、身近な(あるいは実在の)誰かを、その魂を傷つけていいのか?河盛さんは、一言も語らずに、そのことを大江本人に突きつけた!それに衝撃を受けた江藤淳は、大江を批評の対象から外した。数十年ぶりに読んでも、圧倒される「世界文学」!河盛さんが語らずに提起した「問題」に、読者一人一人が、応えるだろう。
2023年4月20日に日本でレビュー済み
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川端康成より難解でした。
2024年1月14日に日本でレビュー済み
大江健三郎は空間把握能力に長けている。
登場人物がその時どの方向を向いているのか、向いた先に何があるのか、その何かを利用してどういう動作をしたのか、事細かに書かれているので詳細に情景が浮かび上がる。まるで1つの映画を見ているかのように視覚的に。また映画では再現できないような嗅覚触覚も含めた五感の細かい情報が多いので読書体験としてはこの上ない。
この作品の主人公は、鳥(バード)。空の怪物アグイーの中の「不満足」と言う作品の出てくる人物でもある。最初は疑問から始まり中盤あたりで確信に変わるとき、とてもとても驚いた。
人間の悪いところを全部出し切った前半中盤だった。途中気分が悪くなるほどでもあった。しかし最後のチャプター13はとんでもなかった!とても感動した。
読み終わったあとに、声出して笑ってしまうぐらいにすごかった。 勇気をもらえる作品だった。
この作品は、あとがきに変わる「 かつて味わったことのない 深甚(しんじん)な恐怖感が鳥(バード)をとらえた。」 まで含めて、1つの大きな作品となっていくと思った。
どん底まで落ちた後の上昇とその上昇に至るまでの動機や思考の分岐点が上手く描写されていた。
登場人物がその時どの方向を向いているのか、向いた先に何があるのか、その何かを利用してどういう動作をしたのか、事細かに書かれているので詳細に情景が浮かび上がる。まるで1つの映画を見ているかのように視覚的に。また映画では再現できないような嗅覚触覚も含めた五感の細かい情報が多いので読書体験としてはこの上ない。
この作品の主人公は、鳥(バード)。空の怪物アグイーの中の「不満足」と言う作品の出てくる人物でもある。最初は疑問から始まり中盤あたりで確信に変わるとき、とてもとても驚いた。
人間の悪いところを全部出し切った前半中盤だった。途中気分が悪くなるほどでもあった。しかし最後のチャプター13はとんでもなかった!とても感動した。
読み終わったあとに、声出して笑ってしまうぐらいにすごかった。 勇気をもらえる作品だった。
この作品は、あとがきに変わる「 かつて味わったことのない 深甚(しんじん)な恐怖感が鳥(バード)をとらえた。」 まで含めて、1つの大きな作品となっていくと思った。
どん底まで落ちた後の上昇とその上昇に至るまでの動機や思考の分岐点が上手く描写されていた。
2019年12月30日に日本でレビュー済み
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大江健三郎の小説はいつも読み辛い。
しんどい、辛い、思考がぐるぐるとぐろを巻いているようで、
こっちも呑み込まれて行ってしまいそうで、大変。
障害児の問題は、このご時世、この時代、安易に口にすることができない。
それとも、当事者だから言えること、感じることなのか。
大江健三郎だから、作品にできることなのか。
読みながら、とにかく複雑な気持ちになり、重苦しい気分になる。
しんどい、辛い、思考がぐるぐるとぐろを巻いているようで、
こっちも呑み込まれて行ってしまいそうで、大変。
障害児の問題は、このご時世、この時代、安易に口にすることができない。
それとも、当事者だから言えること、感じることなのか。
大江健三郎だから、作品にできることなのか。
読みながら、とにかく複雑な気持ちになり、重苦しい気分になる。
2019年8月31日に日本でレビュー済み
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前半のアフリカ旅行に行きたいという夢、頭に瘤ができた子供が生まれてきたこと、木材所の体験、それらはすべて個人的すぎて共感できないお話になっている。まるでそれは主人公の悪い部分をあえて見せるように描いています。共感できないからこそ、読者はいくらでも批判的かつ客観的に捉えることができる内容になっています。
後半は前半と取って代わって物語の一般化が推し進められています。例えば、子供の将来をどうするかという夫婦間の争いがあります。この問題は主人公に限った固有のものではなく、ごくありふれた困難になっています。つまり、主人公のこれまでの出来事は、一般的な出来事の結果として生じているということを強調しようとしています。それによって、これまで同感することのできなかった物語を一気に馴染みのあるものに引き寄せています。その結果、主人公の果敢に生きようとする姿に感動することができるような物語になっています。
後半は前半と取って代わって物語の一般化が推し進められています。例えば、子供の将来をどうするかという夫婦間の争いがあります。この問題は主人公に限った固有のものではなく、ごくありふれた困難になっています。つまり、主人公のこれまでの出来事は、一般的な出来事の結果として生じているということを強調しようとしています。それによって、これまで同感することのできなかった物語を一気に馴染みのあるものに引き寄せています。その結果、主人公の果敢に生きようとする姿に感動することができるような物語になっています。
2017年7月22日に日本でレビュー済み
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脳髄に異常のある愛児をめぐる父親《鳥》の物語だ。
大江文學としては非常にわかりやすい構造である。
《個人的な体験》という言葉は、元来、基督教の用語のようで、天使のすがたをみたり、聖母マリアの聲をきいたりする、というような、科学的には実証不可能だが、《個人的にはたしかにおこった奇蹟》のことを意味するようだ。本作では、脳髄に異常をもって誕生した我が子の生死について父親である《鳥=バード》という渾名の主人公が四苦八苦したすえに、ハッピーエンドをむかえるまでの心理劇である。あきらかに、脳髄に障碍をもった子供とは、大江氏の愛息である光君の隠喩であり、畢竟、本作は疑似私小説として――三島由紀夫が『仮面の告白』で疑似私小説を執筆したように――、また、主人公と愛児にもたらされる奇蹟として、二重の意味での《個人的な体験》となっている。
さきにのべたとおり、本作は見事なハッピーエンドである。《ハッピーエンドにこそふかみがある》と執筆したのは古井由吉氏だったとおもうが、発表爾時、本作の《ハッピーエンド》の部分は賛否両論をまきおこした。三島由紀夫が《喜劇におわらせれば辻褄があうというような安易な結末》などというように評論していたことを記憶している。たしかに《あとがき》で大江氏自身が披瀝しているように、《あの結末》を削除しても物語は成立したはずだ。問題は序盤にも登場した不良少年たちが此処でも登場することである。序盤、暴力をもって不良少年たちに敗北した主人公は――此処の描写は流石、大江氏らしい見事なものである――、結末において、暴力をもちいずに少年たちに勝利したことを認識する。いまだに暴力に依存している不良少年たちが疵付いているのと対照的に、主人公は自身の精神にも愛児の肉体にも健康をとりもどしている。中盤で、当時――冷戦時代か――のソ連による核実験の記述があったはずだが、大江氏の描破する主人公の暴力にたよらない幸福という《勝利》は、人類レベルでの非暴力による問題の解決をうながしているのではないか。そんなことが可能ならば、それこそ人類にとっての《個人的な体験》になるのかもしれない。
大江氏の愛息光君は鳥の聲をききわけられた。
本作の愛児も父親《鳥》の聲により奇蹟をおこしたのかもしれない。
大江文學としては非常にわかりやすい構造である。
《個人的な体験》という言葉は、元来、基督教の用語のようで、天使のすがたをみたり、聖母マリアの聲をきいたりする、というような、科学的には実証不可能だが、《個人的にはたしかにおこった奇蹟》のことを意味するようだ。本作では、脳髄に異常をもって誕生した我が子の生死について父親である《鳥=バード》という渾名の主人公が四苦八苦したすえに、ハッピーエンドをむかえるまでの心理劇である。あきらかに、脳髄に障碍をもった子供とは、大江氏の愛息である光君の隠喩であり、畢竟、本作は疑似私小説として――三島由紀夫が『仮面の告白』で疑似私小説を執筆したように――、また、主人公と愛児にもたらされる奇蹟として、二重の意味での《個人的な体験》となっている。
さきにのべたとおり、本作は見事なハッピーエンドである。《ハッピーエンドにこそふかみがある》と執筆したのは古井由吉氏だったとおもうが、発表爾時、本作の《ハッピーエンド》の部分は賛否両論をまきおこした。三島由紀夫が《喜劇におわらせれば辻褄があうというような安易な結末》などというように評論していたことを記憶している。たしかに《あとがき》で大江氏自身が披瀝しているように、《あの結末》を削除しても物語は成立したはずだ。問題は序盤にも登場した不良少年たちが此処でも登場することである。序盤、暴力をもって不良少年たちに敗北した主人公は――此処の描写は流石、大江氏らしい見事なものである――、結末において、暴力をもちいずに少年たちに勝利したことを認識する。いまだに暴力に依存している不良少年たちが疵付いているのと対照的に、主人公は自身の精神にも愛児の肉体にも健康をとりもどしている。中盤で、当時――冷戦時代か――のソ連による核実験の記述があったはずだが、大江氏の描破する主人公の暴力にたよらない幸福という《勝利》は、人類レベルでの非暴力による問題の解決をうながしているのではないか。そんなことが可能ならば、それこそ人類にとっての《個人的な体験》になるのかもしれない。
大江氏の愛息光君は鳥の聲をききわけられた。
本作の愛児も父親《鳥》の聲により奇蹟をおこしたのかもしれない。
2018年8月21日に日本でレビュー済み
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生まれた子の脳に障害があって、まだ母親が産後の入院中に、父親が浮気している。ひどい時代だ。そんな時代でも、母親は終始赤ちゃんの心配をしている。
結末は、安易に思えた。大江健三郎には障害児がいて、大江光さんという後に作曲家になった素敵な人だ。そのお父さんが、なぜこんな安易な結末を、と思った。著者の後書きでは、「アステリスク以降=ハッピーエンド部分」に批判が多かったが、著者にとってとても大切で決して削るなどできなかった旨が書いてあった。はっと気付かされた。
障害児の受け入れを、障害を持たない人と話すのは難しい。それは受け入れでさえないのだ。何といえばこの感じを伝えられるか、それは「障害ではなかった」としか言いようがないではないか。この子はこういう子で、このままで、私の大切な子。受容ではなく、もちろん拒絶や諦めなんかじゃなく、この子の存在は喜びでしかない。負け惜しみでも、開き直りでもなく。なんていうか…やっぱり、「障害ではなかった」としか言いようがないんだ。
昭和の時代は、長文を書いて、有名な作家じゃないと皆に読んでもらうのも難しいし、何とも大変だったなあと思う。いまならツイッターに一言、それで桁違いの人たちの見てくれるんだから。そして久しぶりの文学は読みにくかった。名作が読み継がれるみたいな文化は、これからどうなっていくんだろう。
結末は、安易に思えた。大江健三郎には障害児がいて、大江光さんという後に作曲家になった素敵な人だ。そのお父さんが、なぜこんな安易な結末を、と思った。著者の後書きでは、「アステリスク以降=ハッピーエンド部分」に批判が多かったが、著者にとってとても大切で決して削るなどできなかった旨が書いてあった。はっと気付かされた。
障害児の受け入れを、障害を持たない人と話すのは難しい。それは受け入れでさえないのだ。何といえばこの感じを伝えられるか、それは「障害ではなかった」としか言いようがないではないか。この子はこういう子で、このままで、私の大切な子。受容ではなく、もちろん拒絶や諦めなんかじゃなく、この子の存在は喜びでしかない。負け惜しみでも、開き直りでもなく。なんていうか…やっぱり、「障害ではなかった」としか言いようがないんだ。
昭和の時代は、長文を書いて、有名な作家じゃないと皆に読んでもらうのも難しいし、何とも大変だったなあと思う。いまならツイッターに一言、それで桁違いの人たちの見てくれるんだから。そして久しぶりの文学は読みにくかった。名作が読み継がれるみたいな文化は、これからどうなっていくんだろう。
2017年9月15日に日本でレビュー済み
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主人公の名「バード」というのはチャーリー・パーカーの仇名から取ったんだろうけど、実際、パーカーとかマイルス・デイビスなどのモダンジャズが似合いそうな作品。映画化するなら彼らの曲を是非とも使用してほしい。作中で描写されるレモンとかグレープフルーツが、蛍光塗料でも塗ったかのように光って薄暗い背景から浮かび上がって見えてくるように感じられる。ラリッて書いたのか?