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人生の親戚 (新潮文庫) 文庫 – 1994/7/28

4.5 5つ星のうち4.5 38個の評価

悲しみ、それは人生の親戚。人はいかにその悲しみから脱け出すか。大きな悲哀を背負った女性の生涯に、魂の救いを探る長編小説。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (1994/7/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1994/7/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 267ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101126178
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101126173
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 38個の評価

著者について

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大江 健三郎
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1935年愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。大学在学中の58年、「飼育」で芥川賞受賞。以降、現在まで常に現代文学をリードし続け、『万延元年のフット ボール』(谷崎潤一郎賞)、『洪水はわが魂に及び』(野間文芸賞)、『「雨の木」を聴く女たち』(読売文学賞)、『新しい人よ眼ざめよ』(大佛次郎賞)な ど数多くの賞を受賞、94年にノーベル文学賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 「伝える言葉」プラス (ISBN-13: 978-4022616708 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中4.5つ
5つのうち4.5つ
38グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年4月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大江文学は今まで何冊か読んできましたが、この本は初めて電子文学で読み始めました。スマホで読む大江健三郎さんの作品を、ブックマークをつけながらどんどん読み進めています。淡々とした文章にもかかわらず内実が伴っていてとても面白いです!最近、亡くなった大江健三郎さんの文学を、読破して、心の栄養を、培おうと思っています。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
倉木まり恵という、ひとりの聖女を描いた作品。大江の作品で女性が主人公となるのは、本作が初だという。彼女は、キラキラと輝くような人生を生きてきた。それだけに、現実の暴力性によって経験させられた巨大な悲惨さともいうべきものが、一層、重いものになっている。若くして悲しみとともに一生を終えた彼女の周りには多くの癒やしや赦し、救いがあった。それによって、徐々に彼女は恢復していく。女性の悲しみがただひとりの悲しみだけで終わっていないところが「人生の親戚」と呼ばれる所以であり、読者もそこに救いを見出すことができる。「悲しみとともに生きても良いんだよ」と、優しく話しかけられているような気がするのだ。しかしその一方で、身近な日常の中で生き生きとしていた彼女が聖性を帯びるにつれ、どこか手の届かない遠い存在になってしまうような寂しさも感じられる。

尚、Kindle版には解説やあとがきの類が一切付いていませんので、ご注意下さい。大江の作品は重要なものでも紙の本は絶版になりやすいようで、とても残念。本当はKindleではなく紙の本でも読みたかった。講談社から『大江健三郎全小説』が出たので、そちらで読むしかないか…。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2006年10月15日に日本でレビュー済み
巧みに書かれたストーリーテリングの作家のフィクションの世界に身を委ねることによる心地よさ(悲惨な運命をたどる主人公に感情移入するなど)といったありきたりの文学作品を読むことの醍醐味などこの作品には微塵もなく、逆に読みすすめていくうちにどんどん息苦しくなっていきました。その息苦しさは、悲惨な状況にあるまり恵さんに感情移入したからではなく、”悲しみ”というものが今まで自分がイメージしていたものとは違っていることに気付かされたからかもしれません。難解さとは違った次元で読むのにかなりのエネルギーを要する作品です。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2004年4月29日に日本でレビュー済み
この小説は、読んで励まされた、とか救われた、などと思えるような小説ではありません。この小説は読む人を励ますために書かれたものではないからです。人生において、本当の「耐え難い悲しみ」に直面した人は、この小説を読んでも励まされはしないでしょうから。そのことをまさに、著者はこの物語で伝えようとしているのです。
例えば、物語に登場する倉木まり恵さん(肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性)のような、本当につらい体験をした人がこの本を読んだとしても、励まされることはないでしょう。そして、この物語で語られるのは、そのような本当に個人的な深い悲しみのことなのです。
この小説を読んで励まされたと感じた人は、倉木まり恵さんが自分よりもはるかに悲惨な目に遭っているからこそ励まされたのです。なぜなら、倉木まり恵さんを哀れだと思ったからです。倉木まり恵さんを哀れみ、懸命に生きようとする彼女を見て(読み取って)同情し、自分も頑張らねばならないと思ったのです。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
年齢のせいで文庫本は字が小さく読みづらいが これは単行本なので読みやすく、古さをかんじさせないきれいな本でした。おかげで気持よく、ゆっくり味わいました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年11月20日に日本でレビュー済み
初めての大江健三郎作品。
想定していたよりもだいぶとっつきづらく、何度も挫折を繰り返して、なんとか読み終えた。

どうしようもない悲しみが突如襲ってきたら、人はどのように生きていけばいいのか?
その1つの解を、まり恵さんという人物の人生を用いて描いた今作。
作中では「自分の再建」という言葉が使われているが、この種の考え方、リテラシーは時代を越えて現代にも必要な視点だと強く感じた。
作品が書かれた当時の人々がどのような暮らしをしていたか、詳しく知っているわけではないが、悩みや悲しみの種類はさほど違いは無いと思う。
わたしたちは、悲しみに直面した際、なんとかのその悲しみを「希釈」しようと試みる。それがセンチメンタルに陥るもとになる。
まり恵さんのように悲しみを携帯して生きていくことは、ひどく困難な道だと思う。だが、人間誰しもが抱えるであろう数多の悲しみへの対処法の一つとして、頭の片隅にはおいておきたい。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2018年11月2日に日本でレビュー済み
倉木まり恵という、およそ考えられない不幸に見舞われた女性を、「Kさん」と作中呼ばれる、作者と思しき人物からの、「自分の物語として了解できるよう」な視点で描いた作品です。
いつ以来かの大江作品でしたが、やはり初期の作品、文庫や単行本は実家の書庫に仕舞い込んでも、新潮社の全作品は常に手近にあるので、本作の文体は、物分かりがいいと言いますか、体力が落ちたのかと言いますか、少し肩透かしを食ったような違和感を絶えず覚えました。しかし、ひとりの女性を正面に据えて描く決意であったり、題名の意匠であったりは、掛け値なしの「文学」の読みごたえで、やはり侮るまじ大江健三郎と感服しました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年9月1日に日本でレビュー済み
あまりにも大きな不幸に陥った個人の救済という大江文学らしいテーマに真っ向から挑んだ小説です。障害を負った二人の息子の死に直面した倉木まり恵さんの魂が癒されるまでの過程が描かれています。新潮文庫版には河合隼雄氏による巻末解説が載っています。河合氏の解説が感動的な名文なので、私としては新潮文庫で読むことをおすすめします。
まり恵さんをはじめとする作中の登場人物は、学歴の高いインテリが多いです。また、作中では西洋文学や宗教にまつわる議論にかなりのページ数が割かれています。会話や内容にいかにも大江文学らしいとっつきにくさがあるので、万人向けの小説ではないと思います。

作中では、悲しみが「どのような境遇にある者にもつきまとう、あまりありがたくない『人生の親戚』」にたとえられています。なかなか縁を切れない嫌な親戚のように、悲しみとは嫌でも付き合い続けなければならないというわけです。悲しみを乗り越えたり振り払ったりするのではなく、悲しみという「親戚」と共に生きるという発想に、私は感銘を受けました。
この小説では、まり恵さんの魂がなぜ癒されたのかについては詳しく書かれていません。不幸だらけの生涯を送ったまり恵さんがなぜ救済されたのかは、まり恵さん以外の他者にはよくわからない点が多いです。まり恵さんの癒しは、大江氏らしい表現をすればあくまでも「個人的な体験」だといえるでしょう。しかし、傍目から見れば悲惨な生涯を送ったまり恵さんでも癒されうるということから、私たちは生きる希望を貰えると思います。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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