文庫として発行されたのはここ数年のことであるが、この作品が書かれたのは約20年前。その時は女性の社会進出がきっと
話題になっていたのだろう。そしてこの20年で女性の社会進出(という表現そのものが最早時代を表現した言葉には
なっていない)は大きく変動した。それにより、女性の行動形態や、思考回路がまた大きく変わっていったと思う。この
作品で活発で男勝りのルミと、古風で家庭第一と考える素子の二人がまずは対照的に描かれるが、20年経った今では
このルミの方が女性の過半数を占め、素子のような女性はまず見ないような世の中に変わってきているというのが実感。
城山は明らかに素子的な生きかたの肩を持っているようであるが、一方、ある意味ルミの言うようにそのような
女性は男性が都合よく考えた女性像ではあるまいか。どちらにせよ、変わらないのは、男の身勝手さと女性を下敷き人
にしようという下種な考え方。これは何年経ってもあまり進歩がない。
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本当に生きた日 (新潮文庫) 文庫 – 2008/3/28
城山 三郎
(著)
二児の母で、三十八歳になる素子は、平凡な専業主婦だった。だが、大学講師でメディアにも進出しているやり手の友人・ルミに強引に誘われ、彼女の事務所を手伝うことになった。様々な出来事に翻弄されながらも、次第に仕事への意欲を覚える素子。しかし、一方で平穏な家庭に影響が出始め……。本格化した女性の社会進出を背景に、女性にとって仕事とは何か、人生の充実とは何かを描く。
- 本の長さ552ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/3/28
- ISBN-104101133328
- ISBN-13978-4101133324
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2008/3/28)
- 発売日 : 2008/3/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 552ページ
- ISBN-10 : 4101133328
- ISBN-13 : 978-4101133324
- Amazon 売れ筋ランキング: - 677,322位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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(1927-2007)名古屋生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎えた。一橋大学卒業後、愛知学芸大学に奉職、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』により文学界新人賞、1959年『総会屋錦城』で直木賞を受け、経済小説の開拓者となる。吉川英治文学賞、毎日出版文化賞受賞の『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『黄金の日日』『役員室午後三時』『毎日が日曜日』『官僚たちの夏』『もう、きみには頼まない』『硫黄島に死す』『指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―』等、多彩な作品群は幅広い読者を持つ。1996(平成8)年、菊池寛賞を、2002(平成14)年、朝日賞を受賞。2007年3月22日没。享年79。没後発見された愛妻への遺稿『そうか、もう君はいないのか』と、愛妻が倒れる前年から最晩年まで自らを励ますかのように綴られた手帳の記述をまとめた『どうせ、あちらへは手ぶらで行く』は世代を超えたベストセラーとなった。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年5月13日に日本でレビュー済み
城山氏と言えば経済小説や戦争体験に基づいた小説を思い浮かべますが、本書はその中では完全に異色の部類です。主人公が女性であり、憶測ではありますが、本書には明確なモデル人物もいないのではないでしょうか。その分だけ城山氏のいつものタッチと違い、強引な展開部分もありますが、全体的には面白い本でした。女性の社会進出とそれによる弊害等の社会問題を記している部分では経済小説の部類に入るのかも知れませんが、アットホームな展開も多く仄々とした本です。