昔図書館で借りて読みましたが、
年月経て家族シリーズに目を通した後で再び読むと、庄野潤三さんの原点なのかと納得したり、新鮮さが良い、
この本抜きには庄野潤三さんを語れないのかも
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プールサイド小景・静物 (新潮文庫) 文庫 – 1965/3/1
庄野 潤三
(著)
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購入オプションとあわせ買い
突然解雇されて子供とプールで遊ぶ夫とそれを見つめる妻――。
ささやかな幸福の脆さを描く芥川賞受賞作「プールサイド小景」等7編。
大金を使い込み、突然会社をクビになった夫。妻が問いただすと、つらい勤めの苦痛や不安を癒すため毎晩のようにバーに通いつめていたという。平凡な中年サラリーマンの家庭に生じた愛の亀裂――日常生活のスケッチを通し、ささやかな幸福がいかに脆く崩れやすいものかを描いた芥川賞受賞作『プールサイド小景』、家庭の風景を陰影ある描写で綴った日本文学史上屈指の名作『静物』等、全7編を収録。
【目次】
舞踏
プールサイド小景
相客
五人の男
イタリア風
蟹
静物
七篇再読……阪田寛夫
【本書収録「プールサイド小景」より】
結婚してから十五年にもなるのに、そういう危険を夫の身に感じたことがなく、「勤めを大事にしてね」と頼んだりしたことは覚えがなかった。
そういう風に考えてみると、彼女は自分たち夫婦が今日まで過して来た時間というものが、まことに愚かしく、たよりないものであったことに改めて気が附くのだ。そうなると、課長代理にまでなっていてクビにされた夫が俄かにボンヤリした、智慧のない人間に見えて来る。その夫を、彼女は遊び好きの飲ん兵衛だが、それだけ働きのある夫だと思ってはいなかったか。……(本書54ページ)
庄野潤三(1921-2009)
大阪府東成郡住吉村(現大阪市住吉区帝塚山)生れ。九州帝国大学法文学部卒。海軍に入隊後少尉に任官。館山砲術学校で庄野隊を結成、米軍上陸に備え砲台を建設する。学校教諭、放送会社勤務の後、作家業に専念。1955年「プールサイド小景」で芥川賞受賞、第三の新人の一人として活躍する。「静物」「タベの雲」「紺野機業場」「絵合せ」「明夫と良二」「引潮」「サヴォイ・オペラ」「貝がらと海の音」「ワシントンのうた」等数多くの多彩な作品がある。日本芸術院会員、勲三等瑞宝章。
ささやかな幸福の脆さを描く芥川賞受賞作「プールサイド小景」等7編。
大金を使い込み、突然会社をクビになった夫。妻が問いただすと、つらい勤めの苦痛や不安を癒すため毎晩のようにバーに通いつめていたという。平凡な中年サラリーマンの家庭に生じた愛の亀裂――日常生活のスケッチを通し、ささやかな幸福がいかに脆く崩れやすいものかを描いた芥川賞受賞作『プールサイド小景』、家庭の風景を陰影ある描写で綴った日本文学史上屈指の名作『静物』等、全7編を収録。
【目次】
舞踏
プールサイド小景
相客
五人の男
イタリア風
蟹
静物
七篇再読……阪田寛夫
【本書収録「プールサイド小景」より】
結婚してから十五年にもなるのに、そういう危険を夫の身に感じたことがなく、「勤めを大事にしてね」と頼んだりしたことは覚えがなかった。
そういう風に考えてみると、彼女は自分たち夫婦が今日まで過して来た時間というものが、まことに愚かしく、たよりないものであったことに改めて気が附くのだ。そうなると、課長代理にまでなっていてクビにされた夫が俄かにボンヤリした、智慧のない人間に見えて来る。その夫を、彼女は遊び好きの飲ん兵衛だが、それだけ働きのある夫だと思ってはいなかったか。……(本書54ページ)
庄野潤三(1921-2009)
大阪府東成郡住吉村(現大阪市住吉区帝塚山)生れ。九州帝国大学法文学部卒。海軍に入隊後少尉に任官。館山砲術学校で庄野隊を結成、米軍上陸に備え砲台を建設する。学校教諭、放送会社勤務の後、作家業に専念。1955年「プールサイド小景」で芥川賞受賞、第三の新人の一人として活躍する。「静物」「タベの雲」「紺野機業場」「絵合せ」「明夫と良二」「引潮」「サヴォイ・オペラ」「貝がらと海の音」「ワシントンのうた」等数多くの多彩な作品がある。日本芸術院会員、勲三等瑞宝章。
- ISBN-104101139016
- ISBN-13978-4101139012
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1965/3/1
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ320ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1965/3/1)
- 発売日 : 1965/3/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 320ページ
- ISBN-10 : 4101139016
- ISBN-13 : 978-4101139012
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,719位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1921-2009)1921(大正10)年、大阪府生れ。
九州帝大を2年で終え、海軍に入る。戦後、教職を経て朝日放送に勤め、小説を書き始める。1954(昭和29)年、「プールサイド小景」で芥川賞受賞。平穏な日常の危うさを描き、「第三の新人」の一人として活躍する。1960年の「静物」で新潮社文学賞、1965年の「夕べの雲」で読売文学賞、1972年の「明夫と良二」で赤い鳥文学賞、毎日出版文化賞を受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間の深層心理が巧く描写されていました。家族の中で発生する猜疑心、壊れ行く信頼、欲・愛情・嫉妬が交錯して狂気に走り出しそうな緊迫感、、、、。ただバサッと終わってしまうストーリーもあり、後味のすっきりしないものもありました。
2022年12月18日に日本でレビュー済み
7作品が収められた短編集。
「舞踏」「蟹」「静物」と一女、二男の子のある夫婦の日常が切り取られており、他の作品も、多少の変化はあるものこの夫婦を軸とした私小説の趣きだ。
全ての作品を読み終えると、夫婦が哀しみを抱えているように映る。夫が年若い女性に思いを寄せ始めたのを知り、そのことを打ち明けてくれないことに静かに打ちのめされる妻「舞踏」、夫の使い込みでクビになった理由に、夫婦の溝を実感する妻「プールサイド小景」、過去の不幸が見え隠れする家族のひととき「静物」。
何かをきっかけに崩れ去ってしまいそうな危うさを感じる。
【芥川賞】
「舞踏」「蟹」「静物」と一女、二男の子のある夫婦の日常が切り取られており、他の作品も、多少の変化はあるものこの夫婦を軸とした私小説の趣きだ。
全ての作品を読み終えると、夫婦が哀しみを抱えているように映る。夫が年若い女性に思いを寄せ始めたのを知り、そのことを打ち明けてくれないことに静かに打ちのめされる妻「舞踏」、夫の使い込みでクビになった理由に、夫婦の溝を実感する妻「プールサイド小景」、過去の不幸が見え隠れする家族のひととき「静物」。
何かをきっかけに崩れ去ってしまいそうな危うさを感じる。
【芥川賞】
2020年11月22日に日本でレビュー済み
なにげない日常のなかににひそむ不安。おだやかにみえる日常はすこしのことで崩れていく。
ひび割れに水がしみこんでいくようにせまる不安と崩れがごく穏やかな文体で描かれている。
ひび割れに水がしみこんでいくようにせまる不安と崩れがごく穏やかな文体で描かれている。
2003年10月7日に日本でレビュー済み
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2010年10月27日に日本でレビュー済み
正直、大きな事件とか印象的なことが小説の中になさすぎて、それが後味が悪かった。普通すぎるというか、無味無臭な感じがしました。
家でゆっくり読みたいという意見には賛成です。
家でゆっくり読みたいという意見には賛成です。
2016年10月22日に日本でレビュー済み
通勤や帰宅ラッシュのサラリーマンがひしめく電車から展望される、学校のプールでの光景から物語は濫觴する。女子水泳部員たちが練習するなか、某家庭の父親、弘男がふたりの息子に游泳させているのである。
しばらくして、弘男の愛妻との会話から、弘男が会社で不祥事をおこし、馘首されたことが伝播され、其処から、愛妻は弘男の隠密裡の生活と人生観が爬羅剔抉されてゆく。弘男が古色蒼然たるバーで浮気をしようとしていたことや、会社に出勤することで人生に閉塞感をおぼえていたことなどである。
最初こそ《この家庭は存続できるのか》と怵惕していた愛妻は、やがて、《こんな生活がつづけばいいかもしれない》とおもい、同時に弘男の悲劇を幻視する――。
いささかネタバレ気味に作品を叙述するとこんな感覚である。意想外にも《プールサイドの小景》は冒頭と終焉部の二回しか描出されない。同時にこの描写が本作の深淵となっている。個人的な印象では、学校の狭隘なるプールは戦後日本の平穏ながら画一化された《人生》の隠喩であり、たとえば、石器時代における大海原のような《人生》とは対蹠的な象徴物である。実際に愛妻は《大昔の狩猟生活だったらしあわせだったかもしれない》とおもう。
試験的に本作の構造を二分化すると以下のようになるかもしれない。○現代社会の象徴は《人工のプール》《規律的なる会社勤務》《家庭という桎梏と満足されない浮気》など。○原始的社会の象徴は《自然の大海原》《自由な狩猟生活(作品内でも直截に物語られる。)》《乱婚状態における自由な恋愛》など――。
現代社会の一個人である弘男は《プール》のなかを游泳しつづけるしかないし、息子たちにも同様の人生を冀求するしかない。冒頭、女子部員たちが練習しているプールサイドを電車から俯瞰しているサラリーマンたちは、無論、女子部員たちに性的なる視線をそそいでいるのではなく、我我読者のかわりに、現代日本人たちの象徴として、現代日本社会の象徴を凝視させられる苦痛にたえなければならない立場におかれているのである。
斯様に形式化すると案外図式的なる作品におもわれるかもしれないが、終焉部、夜中のプールでゴミひろいをする男性のイメージがなにを象徴するかは複雑なる問題だし、洗練された本作の印象に、どろどろとした感覚をのこすことになる。孰れにせよ、《プールサイド》に隠喩される日本人像は現代も大差はないはずなので、現代の我我にも犇犇と肉薄してくる名篇である。
(筆者は雑誌『群像』70周年記念号の名作短編集で読んだものの、作品が膨大なため、こちらに各論を揮毫させていただきました。本短編集全軆の評価ではなく、「プールサイド小景」個別の評価となります。すみません。)
しばらくして、弘男の愛妻との会話から、弘男が会社で不祥事をおこし、馘首されたことが伝播され、其処から、愛妻は弘男の隠密裡の生活と人生観が爬羅剔抉されてゆく。弘男が古色蒼然たるバーで浮気をしようとしていたことや、会社に出勤することで人生に閉塞感をおぼえていたことなどである。
最初こそ《この家庭は存続できるのか》と怵惕していた愛妻は、やがて、《こんな生活がつづけばいいかもしれない》とおもい、同時に弘男の悲劇を幻視する――。
いささかネタバレ気味に作品を叙述するとこんな感覚である。意想外にも《プールサイドの小景》は冒頭と終焉部の二回しか描出されない。同時にこの描写が本作の深淵となっている。個人的な印象では、学校の狭隘なるプールは戦後日本の平穏ながら画一化された《人生》の隠喩であり、たとえば、石器時代における大海原のような《人生》とは対蹠的な象徴物である。実際に愛妻は《大昔の狩猟生活だったらしあわせだったかもしれない》とおもう。
試験的に本作の構造を二分化すると以下のようになるかもしれない。○現代社会の象徴は《人工のプール》《規律的なる会社勤務》《家庭という桎梏と満足されない浮気》など。○原始的社会の象徴は《自然の大海原》《自由な狩猟生活(作品内でも直截に物語られる。)》《乱婚状態における自由な恋愛》など――。
現代社会の一個人である弘男は《プール》のなかを游泳しつづけるしかないし、息子たちにも同様の人生を冀求するしかない。冒頭、女子部員たちが練習しているプールサイドを電車から俯瞰しているサラリーマンたちは、無論、女子部員たちに性的なる視線をそそいでいるのではなく、我我読者のかわりに、現代日本人たちの象徴として、現代日本社会の象徴を凝視させられる苦痛にたえなければならない立場におかれているのである。
斯様に形式化すると案外図式的なる作品におもわれるかもしれないが、終焉部、夜中のプールでゴミひろいをする男性のイメージがなにを象徴するかは複雑なる問題だし、洗練された本作の印象に、どろどろとした感覚をのこすことになる。孰れにせよ、《プールサイド》に隠喩される日本人像は現代も大差はないはずなので、現代の我我にも犇犇と肉薄してくる名篇である。
(筆者は雑誌『群像』70周年記念号の名作短編集で読んだものの、作品が膨大なため、こちらに各論を揮毫させていただきました。本短編集全軆の評価ではなく、「プールサイド小景」個別の評価となります。すみません。)
2016年5月13日に日本でレビュー済み
表題作のプールサイド小景は、会社の金を使い込んだ男とその家族の物語。
使い込みの金額は給料の半年分くらいなので、会社は男を首にするだけで告訴はしない。
告訴されないのだから、警察に呼ばれたり、刑務所に入ったりはしない。
こういう状況だから、罪の意識なんて全くないのだ。使い込んだ男は、そんなものかもしれないが、その妻も
夫が罪人だという意識は全くない。そこに至る事情をいろいろ聞いて、同情してしまう。
もう今までのような平凡で幸福な日常生活が送れなくなるとなげくばかり。それどころか、
どんな神様が私たちをこんなひどい目にあわせるのだろうかと、恨み言を述べる。
小学生の息子たちを夫に預けることに何の不安もない妻は、夫に子供たちを預けて近所の
プールに送り出す。
罪、恥、などと言う価値観をわすれ、日常の生活の維持にばかりとらわれた夫婦を描いた小説である。
使い込みの金額は給料の半年分くらいなので、会社は男を首にするだけで告訴はしない。
告訴されないのだから、警察に呼ばれたり、刑務所に入ったりはしない。
こういう状況だから、罪の意識なんて全くないのだ。使い込んだ男は、そんなものかもしれないが、その妻も
夫が罪人だという意識は全くない。そこに至る事情をいろいろ聞いて、同情してしまう。
もう今までのような平凡で幸福な日常生活が送れなくなるとなげくばかり。それどころか、
どんな神様が私たちをこんなひどい目にあわせるのだろうかと、恨み言を述べる。
小学生の息子たちを夫に預けることに何の不安もない妻は、夫に子供たちを預けて近所の
プールに送り出す。
罪、恥、などと言う価値観をわすれ、日常の生活の維持にばかりとらわれた夫婦を描いた小説である。