司馬遼太郎は、ほぼ全部読んだと言ってもいいくらい読んだが、太閤記の面白さは群を抜いている。
久々にこんなに面白い小説を読んだ。
傑作。
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新史 太閤記(上) (新潮文庫) 文庫 – 1973/5/29
司馬 遼太郎
(著)
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日本史上、もっともきびしい上司の下で、奇跡の出世をした男。
木下藤吉郎の智恵の冴えを描く司馬遼太郎版『太閤記』。
日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。
生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。
本文より
ひどい身なりだ。高野聖たちも最初は、
(これは人間の子か)
と怪しんだほど、その姿がすさまじい。赤っぽい蓬髪(ほうはつ)をわらで結び、破れた麻の布子を一枚まとい、腰のあたりを縄でしばっている。
「どこの子だ」
何度もたずねてみたが、言わない。そのくせ愛嬌はわるくない。むしろよすぎるくらいだ。口を横に裂いたような笑顔で、顔いっぱいで破顔(わら)う。わらうと顔が皺ばみ、
(まるで、猿じゃな)
と、高野聖たちはみなおもった。(「商人聖(あきないひじり)」)
司馬遼太郎(1923-1996)
大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。
木下藤吉郎の智恵の冴えを描く司馬遼太郎版『太閤記』。
日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。
生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。
本文より
ひどい身なりだ。高野聖たちも最初は、
(これは人間の子か)
と怪しんだほど、その姿がすさまじい。赤っぽい蓬髪(ほうはつ)をわらで結び、破れた麻の布子を一枚まとい、腰のあたりを縄でしばっている。
「どこの子だ」
何度もたずねてみたが、言わない。そのくせ愛嬌はわるくない。むしろよすぎるくらいだ。口を横に裂いたような笑顔で、顔いっぱいで破顔(わら)う。わらうと顔が皺ばみ、
(まるで、猿じゃな)
と、高野聖たちはみなおもった。(「商人聖(あきないひじり)」)
司馬遼太郎(1923-1996)
大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。
- 本の長さ560ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1973/5/29
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101152101
- ISBN-13978-4101152103
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【新潮文庫】司馬遼太郎 作品 | 信長、秀吉……権力者たちの陰で、凄絶な死闘を展開する二人の忍者の生きざまを通して、かげろうの如き彼らの実像を活写した長編。〈直木賞受賞〉 | 幕末の混乱の中で、劣等感から命ぜられるままに人を斬る男の激情と苦悩を描く表題作ほか変革期に生きた人間像に焦点をあてた 8 編。 | 戦国時代の武将たちに利用され、やがて殺されていった忍者たちを描く表題作など、歴史に埋もれた興味深い人物や事件を発掘する。 | 戦国の争乱期に遅れた伊達政宗の生涯を描く表題作。坂本竜馬ひきいる海援隊員の、英国水兵殺害に材をとる「慶応長崎事件」など 7 編。 | 歴史小説に新時代を画した司馬文学の発想の源泉と積年のテーマ、”権力とは””日本人とは”に迫る、独自な発想と自在な思索の軌跡。 | 初めてこの地を旅した著者が、「文明」と「文化」を見分ける独自の透徹した視点から、人類史上稀有な人工国家の全体像に肉迫する。 |
草原の記 | 司馬遼太郎が考えたこと 1~15 | 国盗り物語〔一〕~〔四〕 | 燃えよ剣〔上・下〕 | 花神〔上・中・下〕 | |
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一人のモンゴル女性がたどった苛烈な体験をとおし、 20 世紀の激動と、その中で変わらぬ営みを続ける遊牧の民の歴史を語り尽くす。 | 40年以上の創作活動のかたわら書き残したエッセイの集大成シリーズ。第 1 巻は新聞記者時代から直木賞受賞前後までの 89 篇を収録。 | 貧しい油売りから美濃国主になった斎藤道三、天才的な知略で天下統一を計った織田信長。新時代を拓く先鋒となった英雄たちの生涯。 | 組織作りの異才によって、新選組を最強の集団へ作りあげてゆく”バラガキのトシ”──剣に生き剣に死んだ新選組副長土方歳三の生涯。 | 周防の村医から一転して官軍総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげた、日本近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く |
城塞〔上・中・下〕 | 項羽と劉邦〔上・中・下〕 | 風神の門〔上・下〕 | 覇王の家〔上・下〕 | 峠〔上・中・下〕 | 関ケ原〔上・中・下〕 | |
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秀頼、淀殿を挑発して開戦を迫る家康。大坂冬ノ陣、夏ノ陣を最後に陥落してゆく巨城の運命に託して豊臣家滅亡の人間悲劇を描く。 | 秦の始皇帝没後の動乱中国で覇を争う項羽と劉邦。天下を制する”人望”とは何かを、史上最高の典型によってきわめつくした歴史大作。 | 猿飛佐助の影となって徳川に立向った忍者霧隠才蔵と真田十勇士たち。屈曲した情熱を秘めた忍者たちの人間味あふれる波瀾の生涯。 | 徳川三百年の礎を、隷属忍従と徹底した模倣のうちに築きあげていった徳川家康。俗説の裏に隠された”タヌキおやじ”の実像を探る。 | 幕末の激動期に、封建制の崩壊を見通しながら、武士道に生きるため、越後長岡藩をひきいて官軍と戦った河井継之助の壮烈な生涯。 | 古今最大の戦闘となった天下分け目の決戦の過程を描いて、家康・三成の権謀の渦中で命運を賭した戦国諸雄の人間像を浮彫りにする。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1973/5/29)
- 発売日 : 1973/5/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 560ページ
- ISBN-10 : 4101152101
- ISBN-13 : 978-4101152103
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 82,083位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語部卒。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、『梟の城』で直木賞を受賞。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂 の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。この他『街道をゆく』『風塵抄』『この国のかたち』な どの紀行、エッセイも多数。’96年逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 司馬遼太郎と寺社を歩く (ISBN-13: 978-4334747213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読書らしい読書が出来ました。久しぶりに日本語らしい日本語を読みました。大満足です。人間の機知が学びになりました。
2023年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
上下巻一気に読みました。
面白かったが、金ヶ崎の退き口でどこかの陰気者の名前が一文字も無かったのはどういう料簡ですか。
国盗り物語ではちゃんと参戦してるじゃないですか。
面白かったが、金ヶ崎の退き口でどこかの陰気者の名前が一文字も無かったのはどういう料簡ですか。
国盗り物語ではちゃんと参戦してるじゃないですか。
2022年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みました。前回は多分、小学校高学年。これを読んで司馬遼太郎が好きになり、戦国時代が好きになり、日本史が好きになった思い出の作品です。改めて読んで、抜群に面白く、自分が若返ったかのような気持ちになりました。下巻が楽しみです。
2022年6月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小説でしかも歴史小説よめるかなーと思ったんですが、すごく面白くて読めました!
2021年10月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
問答無用の良作。
良書の歴史小説ではいつも感じるが、筆者はタイムマシーンでも持っていて、実際に見てきたのではないか、というレベルの描写。
いつ読んでも新たな発見があります。
久しぶりに読みたくなり購入。病院の待ち時間をツラいものからそうではないものに変えてくれました。
ありがたいです。
良書の歴史小説ではいつも感じるが、筆者はタイムマシーンでも持っていて、実際に見てきたのではないか、というレベルの描写。
いつ読んでも新たな発見があります。
久しぶりに読みたくなり購入。病院の待ち時間をツラいものからそうではないものに変えてくれました。
ありがたいです。
2014年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
はぎれのよい文体で読みやすく、とても面白い、大変満足してます。
2021年1月31日に日本でレビュー済み
明るい性格。日本人にはめずらしいタイプ。おとこは顔じゃないよ。
コロナ騒動で毎日鬱々と暮らしている人にはぜひ一読をお勧めします。
また苛酷な上司にこきつかわれている人も信長につかえた秀吉のことを
思うと自分もまだまだ我慢しなきゃと思うでしょう。
秀吉の好きな言葉は「殖やす」。ともかく執着する。
領土も増やす。部下も増やす。財産も増やす。組織も大きくする。
女にもどんどん手を出す。どうにもとまらない。こんなところが、
(男女をふくめて)秀吉の人気のもとではないか。
この本には妻の寧々があまり登場しない。禿鼠のエピソードくらい。
秀吉は家をほったらかして、外での戦にあけくれる。切所で命をかける。
面白い。元気をもらった。秀吉の運にあやかりたい。
Amazonで購入
明るい性格。日本人にはめずらしいタイプ。おとこは顔じゃないよ。
コロナ騒動で毎日鬱々と暮らしている人にはぜひ一読をお勧めします。
また苛酷な上司にこきつかわれている人も信長につかえた秀吉のことを
思うと自分もまだまだ我慢しなきゃと思うでしょう。
秀吉の好きな言葉は「殖やす」。ともかく執着する。
領土も増やす。部下も増やす。財産も増やす。組織も大きくする。
女にもどんどん手を出す。どうにもとまらない。こんなところが、
(男女をふくめて)秀吉の人気のもとではないか。
この本には妻の寧々があまり登場しない。禿鼠のエピソードくらい。
秀吉は家をほったらかして、外での戦にあけくれる。切所で命をかける。
面白い。元気をもらった。秀吉の運にあやかりたい。