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胡蝶の夢(三) (新潮文庫) 文庫 – 1983/12/1
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時代が求める〝蘭学〟という鋭いメスで身分社会を切り裂いていった男たち。
ポンペの帰国とともに江戸の医学所の頭取となった松本良順は、緊張した時局の中で不眠に苦しんでいる一橋慶喜の主治医となり、阿片を用いてこれを治す。一方、語学の天才・伊之助は「七新薬」という蘭方の医書を刊行するまでになったが、その特異な性格が周囲に容れられず、再び佐渡に逼塞する。また、赤貧のなかでポンペ医学を修めた関寛斎は、請われて阿波蜂須賀家の侍医となる。
【著者の言葉】
題を『荘子』からとった。荘子――荘周――は夢に胡蝶に化(な)った。荘周自身、自分は人間だと思っていたが、実体が胡蝶であって胡蝶が夢を見て荘周になっているのか、荘周が夢を見て胡蝶になっているのか。『荘子』が問いかけた設問は、この作品を書きおえても私には答えられない。小さくは、答えることができる。たかが蘭方医学をひきうつしで学んだだけで、良順が、なまみの良順とはおよそちがったかたちで――たとえば荘周の夢の中の胡蝶然として――封建社会の終焉に栩栩然(ひらひら)と舞いとぶというのは化性(けしょう)にも似た小風景といわねばならない。(第四巻「伊之助の町で」)
【目次】
暗転
江戸へ
殿中
変転
関寛斎
良順
浮雲
江戸晩景
大坂
司馬遼太郎(1923-1996)
大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。1993(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観"とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、1971年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。
- 本の長さ480ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1983/12/1
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101152292
- ISBN-13978-4101152295
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1983/12/1)
- 発売日 : 1983/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 480ページ
- ISBN-10 : 4101152292
- ISBN-13 : 978-4101152295
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 30,776位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語部卒。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、『梟の城』で直木賞を受賞。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂 の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。この他『街道をゆく』『風塵抄』『この国のかたち』な どの紀行、エッセイも多数。’96年逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 司馬遼太郎と寺社を歩く (ISBN-13: 978-4334747213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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上位レビュー、対象国: 日本
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松本良順と近藤勇はどうやって出会い、どうやって親睦を深めたのかは気になっていました。良順は開国派で、攘夷派の近藤なので不思議には思っていました。読んでみて、「これは坂本竜馬と勝海舟の出会いと似たようなものだ」ということが分かりました。
松本良順がどのように明治維新に関わっていくのか、第4巻も楽しみです。