鬼平の作家が、歴史上の人物をのべている
織田信長から初めて、西郷隆盛まで、池波正太郎が書いた歴史上の人物の評価がかかれている。
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男の系譜 (新潮文庫) 文庫 – 1985/11/27
池波 正太郎
(著)
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歴史上の男たちの生き様をテーマに、池波流「男の美学」を語る。
流れるような語りから、池波作品の世界観、美しさ、魅力がよく分かる一冊。
織田信長が同盟者・徳川家康の長男信康に腹を切らせたのはなぜか。喧嘩相手の頭目・水野十郎左衛門の屋敷の風呂場で殺された幡随院長兵衛はどんな男だったのか。明治維新の立役者・西郷隆盛が新政府と袂を分ったのはなぜなのか。
戦国・江戸・幕末維新を代表する16人をとりあげ、つねに「死」だけを確かなこととした生き方を、現代日本人と対比させながら際立たせた語り下ろしの雄編。
目次
I 戦国篇
織田信長
渡辺勘兵衛
豊臣秀吉
真田幸村
加藤清正
徳川家康
番外・戦国の女たち
II 江戸篇
荒木又右衛門
幡随院長兵衛
徳川綱吉
浅野内匠頭
大石内蔵助
徳川吉宗
III 幕末維新篇
井伊直弼
徳川家茂
松平容保
西郷隆盛
編者あとがき
解説 八尋舜右
本文より
人間は生まれて来て毎日死へ向かって歩み続けているということだな。そのことを、よくよくのみ込まないといけない、若いうちから。
それでないと自分の進む道が決まらないんだよ。毎日自分がどうして暮らしていいかわからないんだよ。そこがちょっと解せないんだな、若い人には。死を覚悟しろ……戦争へ行ったからいうんじゃないけれど、この簡単な一事を男も女もわきまえなければいけないと思うね。(「織田信長」)
「編者あとがき」より
この本には一本の太い骨がある。戦国武将から幕末維新の群像まで、さまざまな男たちの系譜をたどりながら、彼らを一つにつらぬいている池波正太郎その人の骨である。ここで語られているのは、ときには信長であり、家康であり、あるいは井伊大老であり、西郷隆盛であるが、それ以上に、池波正太郎自身である。
だから、この本を読む人びとは、日本の男の系譜というものを二重に語り聞かせてもらったことになるのだ。
――佐藤隆介
本書「解説」より
この『男の系譜』のなかには、池波さんの死生観だけでなく、政治、経済、倫理、恋愛などについての率直な意見、価値観が開陳されているが、なかでも痛快なのは、
「物を食べる、眠る、男と女の営みをする」
これが人間の基本だ、といいきっているところだ。
「動物なんだから、人間も」
これだけ明快に、単純化して語られてしまうと、なまじな理屈ではもはや反論の加えようがない。
――八尋舜右(作家)
池波正太郎(1923-1990)
東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠。
流れるような語りから、池波作品の世界観、美しさ、魅力がよく分かる一冊。
織田信長が同盟者・徳川家康の長男信康に腹を切らせたのはなぜか。喧嘩相手の頭目・水野十郎左衛門の屋敷の風呂場で殺された幡随院長兵衛はどんな男だったのか。明治維新の立役者・西郷隆盛が新政府と袂を分ったのはなぜなのか。
戦国・江戸・幕末維新を代表する16人をとりあげ、つねに「死」だけを確かなこととした生き方を、現代日本人と対比させながら際立たせた語り下ろしの雄編。
目次
I 戦国篇
織田信長
渡辺勘兵衛
豊臣秀吉
真田幸村
加藤清正
徳川家康
番外・戦国の女たち
II 江戸篇
荒木又右衛門
幡随院長兵衛
徳川綱吉
浅野内匠頭
大石内蔵助
徳川吉宗
III 幕末維新篇
井伊直弼
徳川家茂
松平容保
西郷隆盛
編者あとがき
解説 八尋舜右
本文より
人間は生まれて来て毎日死へ向かって歩み続けているということだな。そのことを、よくよくのみ込まないといけない、若いうちから。
それでないと自分の進む道が決まらないんだよ。毎日自分がどうして暮らしていいかわからないんだよ。そこがちょっと解せないんだな、若い人には。死を覚悟しろ……戦争へ行ったからいうんじゃないけれど、この簡単な一事を男も女もわきまえなければいけないと思うね。(「織田信長」)
「編者あとがき」より
この本には一本の太い骨がある。戦国武将から幕末維新の群像まで、さまざまな男たちの系譜をたどりながら、彼らを一つにつらぬいている池波正太郎その人の骨である。ここで語られているのは、ときには信長であり、家康であり、あるいは井伊大老であり、西郷隆盛であるが、それ以上に、池波正太郎自身である。
だから、この本を読む人びとは、日本の男の系譜というものを二重に語り聞かせてもらったことになるのだ。
――佐藤隆介
本書「解説」より
この『男の系譜』のなかには、池波さんの死生観だけでなく、政治、経済、倫理、恋愛などについての率直な意見、価値観が開陳されているが、なかでも痛快なのは、
「物を食べる、眠る、男と女の営みをする」
これが人間の基本だ、といいきっているところだ。
「動物なんだから、人間も」
これだけ明快に、単純化して語られてしまうと、なまじな理屈ではもはや反論の加えようがない。
――八尋舜右(作家)
池波正太郎(1923-1990)
東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠。
- 本の長さ560ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1985/11/27
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101156271
- ISBN-13978-4101156279
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1985/11/27)
- 発売日 : 1985/11/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 560ページ
- ISBN-10 : 4101156271
- ISBN-13 : 978-4101156279
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 164,838位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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大正12年(1923)、東京・浅草生まれ。下谷・西町小学校を卒業後、株式仲買店に勤める。戦後、下谷区役所に勤務して長谷川伸の門下に入り新国劇の脚 本を書いて演出の腕も磨く。昭和35年(1960)、「錯乱」で直木賞を受賞。52年(1977)、吉川英治文学賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕 掛人・藤枝梅安」の三大シリーズが人気絶頂のさなか、急性白血病で逝去する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 池波正太郎が書いたもうひとつの「鬼平」「剣客」「梅安」 (ISBN-13: 978-4270005859 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年10月30日に日本でレビュー済み
時代小説の大家・池波正太郎(1923.1.5-1990)ですが、筆者はこの本が初めての著書でした。
ですので本業である小説の印象、業績に対する知識は白紙です。
「高名な時代小説家はどのような死生観を持っているのか。それがどのように小説に投影されたのだろう?」
という興味で読みました(まずこの本の読者は池波ファンで、小説の「おまけ」「ギフト」的に著者の人格に触れるお楽しみ本だろうし、そうした視点のレビューが大勢を占めるでしょうが、筆者はたぶんかなり異なった目で見ると思いますのであらかじめ…)
第一に感じたことは、著者は「死を生の中で、どう受けとめ、覚悟しているのか」が人生観の根底にあり、毎日死を感じて気に病んでいる訳ではないにしろ、いずれやってくる消滅から逆算して、ではどう人生を生きるか、意味づけるか、価値を持つか、という事を考えよ、と著者が没して32年が経過した2022寝年現在、経営コンサルタントが「個別の人生を生きなさい」「あなたにとっての価値とは何か」と2020年代では書店にあふれているビジネスポルノで展開している思想で史上の人物の好悪、評価すべき所を判定している事でした。
著者は自己体験から(敗戦時22歳。同世代・同年齢の人間があまた戦死させられた)「今の青年は死を考えず、金もうけのことばかり」と苦言を呈しているが、これは万古不易の「今時の若い者」シリーズなので、同世代の別の証言
山田風太郎(1922.1.4-2001)「今の青年はだらしないと言われますが、私の世代も考える奴は考えるし、考えない奴は考えない。おんなじですよ」
これを見ると筆者は春秋左氏伝「人の性格は人の顔と同じように多様なので、人の中身は判らない」に賛成で、今年始まったウクライナを考えても、ロシアから十万単位の男性が国外逃亡した事を思うと、かりに戦線にさらされれば、死を深く思う人の確率は上がるとは思うが、まず一般は、死を考える人、考えない人、金もうけに邁進する人、いわゆるだらしないと判定されてしまう人、と多様な反応になり、「みんな違ってみんな良い(相田みつを)」、になるのではないかと想像しました。
また、池波大人とは一世代後の人ですが、ユーゴスラビア内線に直面したサッカー日本代表監督イビチャ・オシム(1941-2022)
「私の考えが戦争によって深くなったというなら、それは不幸なことだ。すべての男が成熟のために戦争を経過しなければならなくなる」(大意。逐語訳ではないですが、だいたいそういった内容)
死を思うことは大いに結構ですが、それが時代的に特殊だった自己体験から、他の時代への判定に使われるのは、他の世代にはどうですかねえと思う所あり、でした。
と、いささか斜に構えた事を言っておいてなんですが、それで判定される日月潭はまず穏当、義理人情を重んじる、これまた同世代人の山本七平(1921-1991)が「日本社会は論語で評価されるような人間像を今も判断基準としており、いまも論語の論理が日本的に変形された形で生きている」というような判断基準でした。
これは筆者自身もそうした「日本社会での人物評価の基準」を刷り込まれており、なので異議の唱えようがないという事になるのですが(筆者もその基準の中にあるので他の基準で考えられない)山本基準では「能力+人徳」が日本的な「人の上に立つ、人主」となるらしいのだが、山本七平はそれを欧米や中東の「人の上に立つ人」と相対化しているのに対して、筆者はその中から出ていないので、それはある意味では、池波正太郎文学が日本の義理人情的文化のなかでの美学なり、身の処し方なり、考え方の「美しさ、潔さ」で構築されている美点とともに、池波正太郎の特質と限界を共に示唆しているのではないかしら、という感覚で通観しました。
良くも悪くも、日本的な美徳とは何か、を考究した本であるように思います。
ですので本業である小説の印象、業績に対する知識は白紙です。
「高名な時代小説家はどのような死生観を持っているのか。それがどのように小説に投影されたのだろう?」
という興味で読みました(まずこの本の読者は池波ファンで、小説の「おまけ」「ギフト」的に著者の人格に触れるお楽しみ本だろうし、そうした視点のレビューが大勢を占めるでしょうが、筆者はたぶんかなり異なった目で見ると思いますのであらかじめ…)
第一に感じたことは、著者は「死を生の中で、どう受けとめ、覚悟しているのか」が人生観の根底にあり、毎日死を感じて気に病んでいる訳ではないにしろ、いずれやってくる消滅から逆算して、ではどう人生を生きるか、意味づけるか、価値を持つか、という事を考えよ、と著者が没して32年が経過した2022寝年現在、経営コンサルタントが「個別の人生を生きなさい」「あなたにとっての価値とは何か」と2020年代では書店にあふれているビジネスポルノで展開している思想で史上の人物の好悪、評価すべき所を判定している事でした。
著者は自己体験から(敗戦時22歳。同世代・同年齢の人間があまた戦死させられた)「今の青年は死を考えず、金もうけのことばかり」と苦言を呈しているが、これは万古不易の「今時の若い者」シリーズなので、同世代の別の証言
山田風太郎(1922.1.4-2001)「今の青年はだらしないと言われますが、私の世代も考える奴は考えるし、考えない奴は考えない。おんなじですよ」
これを見ると筆者は春秋左氏伝「人の性格は人の顔と同じように多様なので、人の中身は判らない」に賛成で、今年始まったウクライナを考えても、ロシアから十万単位の男性が国外逃亡した事を思うと、かりに戦線にさらされれば、死を深く思う人の確率は上がるとは思うが、まず一般は、死を考える人、考えない人、金もうけに邁進する人、いわゆるだらしないと判定されてしまう人、と多様な反応になり、「みんな違ってみんな良い(相田みつを)」、になるのではないかと想像しました。
また、池波大人とは一世代後の人ですが、ユーゴスラビア内線に直面したサッカー日本代表監督イビチャ・オシム(1941-2022)
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死を思うことは大いに結構ですが、それが時代的に特殊だった自己体験から、他の時代への判定に使われるのは、他の世代にはどうですかねえと思う所あり、でした。
と、いささか斜に構えた事を言っておいてなんですが、それで判定される日月潭はまず穏当、義理人情を重んじる、これまた同世代人の山本七平(1921-1991)が「日本社会は論語で評価されるような人間像を今も判断基準としており、いまも論語の論理が日本的に変形された形で生きている」というような判断基準でした。
これは筆者自身もそうした「日本社会での人物評価の基準」を刷り込まれており、なので異議の唱えようがないという事になるのですが(筆者もその基準の中にあるので他の基準で考えられない)山本基準では「能力+人徳」が日本的な「人の上に立つ、人主」となるらしいのだが、山本七平はそれを欧米や中東の「人の上に立つ人」と相対化しているのに対して、筆者はその中から出ていないので、それはある意味では、池波正太郎文学が日本の義理人情的文化のなかでの美学なり、身の処し方なり、考え方の「美しさ、潔さ」で構築されている美点とともに、池波正太郎の特質と限界を共に示唆しているのではないかしら、という感覚で通観しました。
良くも悪くも、日本的な美徳とは何か、を考究した本であるように思います。
2017年6月4日に日本でレビュー済み
戦国時代の織田信長から幕末の西郷隆盛まで、歴史上の主要人物について池波正太郎氏が縦横無尽に語りつくした一冊。語り下ろしのために読みやすく、また氏の人生観なども要所に挟まれているため非常に面白い内容となっています。
池波氏は大石内蔵助と真田幸村が特に好きなようですね。真の男とは、一国の主たるものはどういう行動を取るべきか、氏の骨太な論調は、現代人にも時に手厳しく投げかけられます。歴史の動乱と人物のうらを読み解く深い洞察にもうならされます。
池波氏は大石内蔵助と真田幸村が特に好きなようですね。真の男とは、一国の主たるものはどういう行動を取るべきか、氏の骨太な論調は、現代人にも時に手厳しく投げかけられます。歴史の動乱と人物のうらを読み解く深い洞察にもうならされます。
2012年11月8日に日本でレビュー済み
戦国の世から維新前後まで、16人の男と番外・戦国の女たちを池波正太郎が語る。
普段読みつけている小説に書かれたものとは違い、池波の思いや時代への視点がストレートに、一種厳しい口調で
語られる。従って、彼の本の中では異質な階調を持った著述と私には思える。(時代は昭和で、その頃の出来事を
世評的に語るのですが、語り口が結構辛辣です。)
読んで理解できることは、
池波本人の歴史への深い知識には、一つは師匠である長谷川伸の歴史への造詣の深さに教えられるところがあり、
いま一つは、池波本人が戦前の若い頃、株のビジネスを手懸けて稼いだ金を使い、江戸の残り香がかろうじて
残っていた東京の生活(食べ、飲み、遊び)に深く親しんだことが、様々な著書の背景にあったと伝わってくる。
表題は男の系譜となっているが、これらの男を作り上げていった女の系譜が、そこかしこにちりばめられることにも
注目したい。男だけで系譜は出来るのではなく、戦国の時代から家・国を男同様に、女の自分も守るという意識や、
表に出る、出ないの違いはあるが、子供や夫をどこに出しても恥ずかしくない一人前にするために陰で知恵を絞り、
自身を犠牲にすることも厭わない生き方に、池波が深い理解を示していることが伝わってくる。
(文庫もありますが、85年に改版されたもので池波氏の語り口が大きく変えられました。一連の文庫化された他の著書に
合わせるよう語り口がマイルドになりました。単行本の、やや上から目線で講釈を垂れる語り口が、やさしい説明口調に
大きく変化しています。池波氏の一面を知るという意味では、この単行本の口調は興味深いのですが、池波ファンには
違和感があるだろうと変えられたと推測します。
したがって、このレビューはオリジナルの単行本を読んでの感想で、文庫で読まれた方は違う印象を持たれるかも知れません。)
普段読みつけている小説に書かれたものとは違い、池波の思いや時代への視点がストレートに、一種厳しい口調で
語られる。従って、彼の本の中では異質な階調を持った著述と私には思える。(時代は昭和で、その頃の出来事を
世評的に語るのですが、語り口が結構辛辣です。)
読んで理解できることは、
池波本人の歴史への深い知識には、一つは師匠である長谷川伸の歴史への造詣の深さに教えられるところがあり、
いま一つは、池波本人が戦前の若い頃、株のビジネスを手懸けて稼いだ金を使い、江戸の残り香がかろうじて
残っていた東京の生活(食べ、飲み、遊び)に深く親しんだことが、様々な著書の背景にあったと伝わってくる。
表題は男の系譜となっているが、これらの男を作り上げていった女の系譜が、そこかしこにちりばめられることにも
注目したい。男だけで系譜は出来るのではなく、戦国の時代から家・国を男同様に、女の自分も守るという意識や、
表に出る、出ないの違いはあるが、子供や夫をどこに出しても恥ずかしくない一人前にするために陰で知恵を絞り、
自身を犠牲にすることも厭わない生き方に、池波が深い理解を示していることが伝わってくる。
(文庫もありますが、85年に改版されたもので池波氏の語り口が大きく変えられました。一連の文庫化された他の著書に
合わせるよう語り口がマイルドになりました。単行本の、やや上から目線で講釈を垂れる語り口が、やさしい説明口調に
大きく変化しています。池波氏の一面を知るという意味では、この単行本の口調は興味深いのですが、池波ファンには
違和感があるだろうと変えられたと推測します。
したがって、このレビューはオリジナルの単行本を読んでの感想で、文庫で読まれた方は違う印象を持たれるかも知れません。)
2009年6月6日に日本でレビュー済み
佐藤隆介氏は編者あとがきで、次のように書いている。「この本には一本の太い骨がある。戦国武将から幕末維新の群像まで、さまざまな男たちの系譜をたどりながら、彼らを一つにつらぬいているのは池波正太郎その人の骨である。ここで語られているのは、ときに信長であり、家康であり、あるいは井伊大老であり、西郷隆盛であるが、それ以上に、池波正太郎自身である。だから、この本を読む人びとは、日本の男の系譜というものを二重に語り聞かせてもらったことになるのだ。つまり、本当の男とはこうしたものだ・・・ということを、歴史の中の群像を通じて、同時にまた池波正太郎その人を通じて、読者は二重に知ることができるということである。男が”男を磨く”ために本書が座右必携の書であると私が確信する所以もそこにある。」
小生にとって、池波正太郎の独特な語り口は印象的である。同氏が語る群像の個々人に関わる話の内容は極めて面白い。また、歴史に造詣が深いのか、小生自身真偽を知らぬことも多く語られる。いい日本の男の生き様を学ぶには、纏まった良書と思う。当該著書で語られる幾人かの日本人の生き様を挙げてみよう。
織田信長 信長が偉いのは、決して自分の倅を甘やかさなかったこと
豊臣秀吉 人間は五、六歳までにきまる。秀吉はおっかさんのおかげで・・・・
加藤清正 豪勇の武将から深慮の大政治家へ
徳川家康 大御所様と呼ばれるようになっても、自分は質素に質素にしていた家康
細川ガラシャ 夫・忠興を狂気に走らせた細川ガラシャのキリシタン帰依
徳川綱吉 なんでも覚えるととどめがなくなる綱吉。「女狂い」のすさまじさときたら
浅野内匠頭 現代人は「怒り」を忘れている。だから内匠頭がばかに見える
大石内蔵助 赤穂浪士の討ち入りとは、あくまでも政道の過ちを正す政治的主張であった
徳川吉宗 将軍が粗末な木綿の着物
徳川家茂 はじめは泣き泣き嫁いだ和宮だけれど、純真な夫の人柄に心惹かれていった
松平容保 天皇が自分の着ているものを最初にあげたのが容保だった
西郷隆盛 本来、詩人であり教育者である男が歴史の舞台に登場せざるを得なかった
小生にとって、池波正太郎の独特な語り口は印象的である。同氏が語る群像の個々人に関わる話の内容は極めて面白い。また、歴史に造詣が深いのか、小生自身真偽を知らぬことも多く語られる。いい日本の男の生き様を学ぶには、纏まった良書と思う。当該著書で語られる幾人かの日本人の生き様を挙げてみよう。
織田信長 信長が偉いのは、決して自分の倅を甘やかさなかったこと
豊臣秀吉 人間は五、六歳までにきまる。秀吉はおっかさんのおかげで・・・・
加藤清正 豪勇の武将から深慮の大政治家へ
徳川家康 大御所様と呼ばれるようになっても、自分は質素に質素にしていた家康
細川ガラシャ 夫・忠興を狂気に走らせた細川ガラシャのキリシタン帰依
徳川綱吉 なんでも覚えるととどめがなくなる綱吉。「女狂い」のすさまじさときたら
浅野内匠頭 現代人は「怒り」を忘れている。だから内匠頭がばかに見える
大石内蔵助 赤穂浪士の討ち入りとは、あくまでも政道の過ちを正す政治的主張であった
徳川吉宗 将軍が粗末な木綿の着物
徳川家茂 はじめは泣き泣き嫁いだ和宮だけれど、純真な夫の人柄に心惹かれていった
松平容保 天皇が自分の着ているものを最初にあげたのが容保だった
西郷隆盛 本来、詩人であり教育者である男が歴史の舞台に登場せざるを得なかった
2004年7月22日に日本でレビュー済み
「人間とは生まれた日から死ぬ日へ近づいていく」とはなんと厭世的な見方か・・・と初めは思った。しかし、よく考えれば事実そのものである。その限りある時間に男は何を大切にし、生きおおせるか。
本書は時代を遡り、男の生き方を収め著者なりの見方でその人物を語るものである。
語り口は著者の口調を思わせるざっくばらんなものであり、親しみやすい。
時代小説とはまた一味違うが面白かった。
本書は時代を遡り、男の生き方を収め著者なりの見方でその人物を語るものである。
語り口は著者の口調を思わせるざっくばらんなものであり、親しみやすい。
時代小説とはまた一味違うが面白かった。