10代に読んだきり、久々に読み返したくなり、再読。
あの時理解出来なかったはずの、老い、妬み等の精神、感情が今はよく分かる。
時代の流れ、違いはあるが、それを超えて凄みは色褪せません。
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家族八景 (新潮文庫) 文庫 – 1975/3/3
筒井 康隆
(著)
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人の心を読み取る能力を持つ18歳の少女・七瀬。
彼女が垣間見た、仮面をかぶった家族たち。
幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である。
【目次】
無風地帯
澱の呪縛
青春讃歌
水蜜桃
紅蓮菩薩
芝生は緑
日曜画家
亡母渇仰
解説:植草甚一
筒井康隆
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。2017年、『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。他に『家族八景』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』『聖痕』『世界はゴ冗談』など著書多数。
彼女が垣間見た、仮面をかぶった家族たち。
幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である。
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無風地帯
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水蜜桃
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筒井康隆
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。2017年、『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。他に『家族八景』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』『聖痕』『世界はゴ冗談』など著書多数。
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1975/3/3
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101171017
- ISBN-13978-4101171012
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1975/3/3)
- 発売日 : 1975/3/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4101171017
- ISBN-13 : 978-4101171012
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 17,983位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
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2023年9月19日に日本でレビュー済み
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2023年12月9日に日本でレビュー済み
なぜか、日本の敗戦が思い浮かぶ。母親に徹底的に教育され、母親にのめり込むように異常なマザコンに全身もろとも頭から突っ込んでいた息子。母親の葬儀に幼児のようになりふりかまわぬ泣き喚く醜態――もう、周りの列席者からは笑いがこみ上げるしかない醜態――を演じる息子。
精神感応力(テレパシー)を身につけた主人公(家政婦として働いている年若い娘)は、今まさに炎に焼かれんとする、そして、断末魔の叫びを上げ、死なんとする棺に閉じ込められた母親の心の内をただ一人知る羽目になっている。そんなとき、主人公の心に過る思いは、棺には生者が閉じ込められていることを叫べば、周りの人に自らの精神感応力がばれ、それが自らを抹殺しかねない、そんな保身から見殺しにすることへの罪責感に責められ、それから逃れるように、塗炭の苦しみのなかにある、その死につつある母親に、息子を愛していたのだから、息子のために死んでくれ、早く死んでくれという叫びであり(息子の自立のために)、そして、「南無帰命無量寿仏、南無帰命無量光仏······」と唱えることであった。
つまり、そんなことはなかったかのような、戦後社会をも見てしまったのである。
とすれば、ひとり、純情ぶった、真面目ぶった七瀬(主人公)の心の裏を暴かぬはずもないだろう。この「······」のうしろに、作者の精神感応力が沈黙によって暴露しているのかも知れない。(戦後は終わったのよ)(どうして私だけお下げの地味な格好をしないといけないのよ)(見てよ、私のこの体、はちきれんばかりに成熟して、男たちを誘惑してるわ)(敗戦を見てしまったからって、それを見なかった者たちと同じように、私がふるまうのを誰も邪魔できないはずよ)(私だけ、性欲や金銭欲や物欲や支配欲やがないとでも思っているのかしら、ない訳ないじゃないの)(私のこの美しい体がそれを証しているわ)とでも言うように······。もちろん、こんなことはどこにも書かれていない。
筒井康隆がどういう人か知らない。わたしは、歳をくってるので、名前ぐらいはもちろん知っている。しかし、本を読んだことはなかった。しかし、わたしのこの勘は、当たっているのではないか。つまり、彼は日本の敗戦を見たのだ、見てしまったのだ。そして、その後の戦後というものも。これが、彼の心をもうくちゃくちゃにとらえてしまったのだと。(ウィキペディアによると、所謂終戦時、筒井氏は十一歳である。具に見たに違いない、もちろん、彼自身も含めて)そうであるなら、上のようなわたしの空想も、あながち外れているとは言えないのではなかろうか。彼は冷徹な人なのだ。
精神感応力(テレパシー)を身につけた主人公(家政婦として働いている年若い娘)は、今まさに炎に焼かれんとする、そして、断末魔の叫びを上げ、死なんとする棺に閉じ込められた母親の心の内をただ一人知る羽目になっている。そんなとき、主人公の心に過る思いは、棺には生者が閉じ込められていることを叫べば、周りの人に自らの精神感応力がばれ、それが自らを抹殺しかねない、そんな保身から見殺しにすることへの罪責感に責められ、それから逃れるように、塗炭の苦しみのなかにある、その死につつある母親に、息子を愛していたのだから、息子のために死んでくれ、早く死んでくれという叫びであり(息子の自立のために)、そして、「南無帰命無量寿仏、南無帰命無量光仏······」と唱えることであった。
つまり、そんなことはなかったかのような、戦後社会をも見てしまったのである。
とすれば、ひとり、純情ぶった、真面目ぶった七瀬(主人公)の心の裏を暴かぬはずもないだろう。この「······」のうしろに、作者の精神感応力が沈黙によって暴露しているのかも知れない。(戦後は終わったのよ)(どうして私だけお下げの地味な格好をしないといけないのよ)(見てよ、私のこの体、はちきれんばかりに成熟して、男たちを誘惑してるわ)(敗戦を見てしまったからって、それを見なかった者たちと同じように、私がふるまうのを誰も邪魔できないはずよ)(私だけ、性欲や金銭欲や物欲や支配欲やがないとでも思っているのかしら、ない訳ないじゃないの)(私のこの美しい体がそれを証しているわ)とでも言うように······。もちろん、こんなことはどこにも書かれていない。
筒井康隆がどういう人か知らない。わたしは、歳をくってるので、名前ぐらいはもちろん知っている。しかし、本を読んだことはなかった。しかし、わたしのこの勘は、当たっているのではないか。つまり、彼は日本の敗戦を見たのだ、見てしまったのだ。そして、その後の戦後というものも。これが、彼の心をもうくちゃくちゃにとらえてしまったのだと。(ウィキペディアによると、所謂終戦時、筒井氏は十一歳である。具に見たに違いない、もちろん、彼自身も含めて)そうであるなら、上のようなわたしの空想も、あながち外れているとは言えないのではなかろうか。彼は冷徹な人なのだ。
2023年9月9日に日本でレビュー済み
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中学生になり初めての筒井康隆に衝撃を受けた。現在の職に着いたのもこの本の影響を受けていたことに、40年ぶりに読み返して気付いた衝撃の大きさよ。
2022年4月19日に日本でレビュー済み
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テレパスという設定で、人間の本心や醜悪さを抉り出す手法は斬新。何十年ぶりに再読しましたが、精神分析的な観点から見ても素晴らしく、筒井康隆の傑作として色褪せない秀作だと思います。
2023年4月24日に日本でレビュー済み
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タイトルから、ほのぼの系SFかと思いましたが、とんでもなかった。人間の内側のドロドロが描かれたサイコホラーです。見た目は普通の中高年の性欲が生々しく書かれていて、ちょっとえげつない。リアルすぎて気持ち悪くなりました。面白かったけれど、読後感が悪いので、再読はありません。
2021年7月8日に日本でレビュー済み
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生まれながらにしてテレパスを持った主人公が、一見普通の家庭、普通の人に見えるものの内面の汚さ、人間というものの弱さを垣間見る話。あっという間に読み終わりました。
2015年10月20日に日本でレビュー済み
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古い本だったのでしょうがないでしが、届くまでに時間がかかりすぎかと……