筒井康隆の小学校高学年から中学生あたりを対象としたジュブナイルです。
小説の舞台背景は80年代ぐらいに予想された荒廃した日本の未来です。
はっきり言ってあまり面白い小説でもありません。
筒井流の毒気のあるなつかしいドタバタ風味も子ども向けに
マイルドに振りかけられていますが
自分が70年代から80年代の中高生時代にむさぼるように読んだ
若い頃の筒井康隆の作品群にあるような才能のほとばしりを感じることもなく
人間が老いるということはこういうことなんだなあ
ということをしみじみ噛み締めながら読むにはいい作品です
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愛のひだりがわ (新潮文庫) 文庫 – 2006/7/28
筒井 康隆
(著)
幼いとき犬にかまれ、左腕が不自由な小学六年生の少女・月岡愛。母を亡くして居場所を失った彼女は、仲良しの大型犬デンを連れて行方不明の父を探す旅に出た。暴力が支配する無法の世界で次々と事件に巻き込まれながら、不思議なご隠居さんや出会った仲間に助けられて危機を乗り越えていく愛。近未来の日本を舞台に、勇気と希望を失わずに生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。
- 本の長さ339ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/7/28
- 寸法10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- ISBN-104101171491
- ISBN-13978-4101171494
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出版社より
狂気の沙汰も金次第 | おれに関する噂 | 笑うな | 富豪刑事 | エロチック街道 | くたばれPTA | |
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【新潮文庫】筒井康隆 作品 | 独自のアイディアと乾いた笑いで、狂気と幻想に満ちたユニークな世界を創造する著者のエッセイ集。すべて山藤章二のイラスト入り。 | テレビが突然、おれのことを喋りはじめた。そして新聞が、週刊誌がおれの噂を書き立てる。黒い笑いと恐怖が狂気の世界へ誘う 11 編。 | タイム・マシンを発明して、直前に起った出来事を眺める「笑うな」など、ユニークな発想とブラックユーモアのショートショート集。 | キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくわえた富豪刑事こと、神戸大助が難事件を解決してゆく。金を湯水のように使って。 | 裸の美女の案内で、奇妙な洞窟の温泉を滑り落ちる……エロチックな夢を映し出す表題作ほか、「ジャズ大名」など変幻自在の全 18 編。 | マスコミ、主婦連、PTAから俗悪の烙印を押された漫画家の怒りを描く表題作ほか現代を痛烈に風刺するショート・ショート全 24 編。 |
虚航船団 | 旅のラゴス | ロートレック荘事件 | 敵 | パプリカ | ヨッパ谷への降下―自選ファンタジー傑作集― | |
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鼬族と文房具の戦闘による世界の終わり──。宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ驚異の文学、鬼才が放つ、世紀末への戦慄のメッセージ。 | 集団転移、壁抜けなど不思議な体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅を続ける男・ラゴスの目的は何か? | 郊外の瀟洒な洋館で次々に美女が殺される史上初のトリックで読者を迷宮へ誘う。二度読んで納得、前人未到のメタ・ミステリー。 | 渡辺儀助、 75歳。悠々自適に余生を営む彼を「敵」が襲う──。「敵」とはなにか?意識の深層を残酷なまでに描写する長編小説。 | ヒロインは他人の夢に侵入できる夢探偵パプリカ。究極の精神医療マシンの争奪戦は夢と現実の境界を壊し、世界は未体験ゾーンに! | 乳白色に張りめぐらされたヨッパグモの巣を降下する表題作の他、夢幻の異空間へ読者を誘う天才・筒井の魔術的傑作短編 12 編。 |
最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集 1― | 傾いた世界―自選ドタバタ傑作集 2― | 懲戒の部屋―自選ホラー傑作集 1― | 愛のひだりがわ | 銀齢の果て | 聖痕 | |
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「ドタバタ」とは手足がケイレンし、耳から脳がこぼれるほど笑ってしまう小説のこと。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾! | 正常と狂気の深~い関係から生まれた猛毒入りユーモア七連発。永遠に読み継がれる傑作だけを厳選した自選爆笑傑作集第二弾! | 逃げ場なしの絶望的状況。それでもどす黒い悪夢は襲い掛かる。身も凍る恐怖の逸品を著者自ら選び抜いたホラー傑作集第一弾! | 母を亡くし、行方不明の父を探す旅に出た月岡愛。次々と事件に巻き込まれながら、力強く生きる少女の成長を描く傑作ジュヴナイル。 | 70歳以上の国民に殺し合いさせる「老人相互処刑制度(シルバー・バトル)」が始まった!長生きは悪か?「禁断の問い」をめぐる老人文学の金字塔。 | あまりの美貌ゆえ性器を切り取られた少年は救い主となれるか?現代文学の巨匠が小説技術の粋を尽して描く数奇極まる「聖人伝」。 |
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やさしさに満ちた感動の名品「夢の検閲官」から小説版は文庫初収録の「 12 人の浮かれる男」まで傑作揃いの 10 編。文庫オリジナル。 | 異常の連続を描く表題作、午後四時半を征伐に向かった男が国家プロジェクトに巻き込まれる「奔馬菌」等、狂気が疾走する傑作10編。 | テレパシーをもって、目の前の人の心を全て読みとってしまう七瀬が、お手伝いさんとして入り込む家庭の茶の間の虚偽を抉り出す。 | 旅に出たテレパス七瀬。さまざまな超能力者とめぐりあった彼女は、彼らを抹殺しようと企む暗黒組織と血みどろの死闘を展開する! | ある日、少年の頭上でボールが割れた。強い”意志”の力に守られた少年の謎を探るうち、テレパス七瀬は、いつしか少年を愛していた。 | サラリーマンか作家か? 夢と虚構と現実を自在に流転し、一人の人間に与えられた、ありうべき幾つもの生を重層的に描いた話題作。 |
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コロナ禍、戦争、ジャズ、映画、文学、嫌=民主主義、そして息子の死――。かつてなく「筒井康隆の成り立ち方」を明かす最前衛にして超弩級の〈私小説〉爆誕! 亡き息子との〈再会〉を描いた感動の話題作「川のほとり」収録。 | 河川敷で発見された片腕、不穏なベーカリー、全知全能の創造主を自称する老教授。著者がその叡智の限りを注ぎ込んだ歴史的傑作。 | 著者曰く「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」。巨匠が紡いだ、痙攣的笑いから限りなき感涙まで25もの傑作掌篇小説集! |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/7/28)
- 発売日 : 2006/7/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 339ページ
- ISBN-10 : 4101171491
- ISBN-13 : 978-4101171494
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 407,097位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2023年2月13日に日本でレビュー済み
薄幸の美少女。しかも障害あり
校内いじめとイケメンの理解者
犬と、犬との会話能力
老師との冒険
などなど、大衆の好きなものがいっぱい散りばめられている。
それだけで成り立っている感じ。
活劇も結構あるし、残虐シーンもある。
なんで映画化、少なくともアニメ化になってないのかな?
校内いじめとイケメンの理解者
犬と、犬との会話能力
老師との冒険
などなど、大衆の好きなものがいっぱい散りばめられている。
それだけで成り立っている感じ。
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なんで映画化、少なくともアニメ化になってないのかな?
2014年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
といえば、「俗物図鑑」と本書であろう(テイストはそれぞれ全く違うが)。今回は保管用として購入。主人公の愛ちゃんは生まれつき左手が不自由だが犬の話が理解できる。愛犬とともに生き別れたお父さんを探す旅に出る。旅の過程で愛ちゃんが成長するストーリーだが、ラストは涙がとまらない。これまでに20人ほどに貸したが全員大感動。一読をお勧めします
2006年7月10日に日本でレビュー済み
とんちんかんなことを言っていたらごめんなさい。あのう、美人でもなければ頭がよいわけでもなく、人当たりが絶妙でもなければ要領が素晴らしいわけでもない人は、いかにして主人公になれば良いのでしょう。
言い換えるなら、僕はこの本を面白おかしく読みましたが、それは果たして読書としてどうなのかと問われた場合、答えに困るのです。著者は頭の良い人のようですから、僕が拾い損ねた意味をまだたくさん物語の底に沈めているのでしょう。ただ、だとしても、本作は僕にとって、興味深いというよりは、おかしなお話のように映ったのは確かです。
こんなレビューは著者の方と本作を好きな人に失礼かとも思いますが。
言い換えるなら、僕はこの本を面白おかしく読みましたが、それは果たして読書としてどうなのかと問われた場合、答えに困るのです。著者は頭の良い人のようですから、僕が拾い損ねた意味をまだたくさん物語の底に沈めているのでしょう。ただ、だとしても、本作は僕にとって、興味深いというよりは、おかしなお話のように映ったのは確かです。
こんなレビューは著者の方と本作を好きな人に失礼かとも思いますが。
2012年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ジュブナイルですが、大人にもお勧めです。
ダンとデンなんかすばらしいです。
犬が好きな人には満足できる内容と思います。
ダンとデンなんかすばらしいです。
犬が好きな人には満足できる内容と思います。
2020年4月13日に日本でレビュー済み
筒井作品で特にこれが・・・と言うことではない。18年ぶりに文庫本で読み返しこんな物語だったのかと忘れてしまっていて驚き(今も途中)、文章文体の卓越した上手さ、読みやすさ、分かりやすさで感動し過ぎで泣かされました。
色んな善き、悪き登場人物が出てくるけど、自分自身がその時その場でそんな善き、悪き色んな人物をごちゃ混ぜにした存在のような気がしてならなくなった。
ジュブナイル物として、とてもそうは見えないのに設定を強引に小中学生のヒロインにしてるところが凄い。
平成時代くらいからの日本を描いているようで、秩序的なモノがどんどん失われていっていた時代の雰囲気の中ではあるけど、ヒロインや他の人達の中にそんな人物達だけではないことを描き出していると思いました。
つたないレビュー(って英語の意味は知らない)で失礼しました。
と、書き込んでから何年経ったか分からないけど、
性懲りもなく今もまた文庫本で読み返しこんな物語だったのかと忘れてしまっていて(では記憶が有る今は誇大に成るが)驚き(今回も途中)、
解説には“虚人たち”との相似・・・らしき事(だけに絞ったのかもしれないけど)に触れてあるけど、自分の中では読んだことのない“時をかける少女”や火田七瀬との相似も描いたのかもしれない気がした。
筒井作品が多過ぎてて(“巨船ベラスレトラス”の再読から感じるに2000年代の何時かからはなんとなくメタフィクション小説として…と何かを混ぜられてる気がしていて今、そう言えば星新一氏は二つのものを混ぜて作品に…まぁいいか)何から再読すれば良いか、生きてる内に持ってる分の再読だけでももう無理だろう気がする日々。
色んな善き、悪き登場人物が出てくるけど、自分自身がその時その場でそんな善き、悪き色んな人物をごちゃ混ぜにした存在のような気がしてならなくなった。
ジュブナイル物として、とてもそうは見えないのに設定を強引に小中学生のヒロインにしてるところが凄い。
平成時代くらいからの日本を描いているようで、秩序的なモノがどんどん失われていっていた時代の雰囲気の中ではあるけど、ヒロインや他の人達の中にそんな人物達だけではないことを描き出していると思いました。
つたないレビュー(って英語の意味は知らない)で失礼しました。
と、書き込んでから何年経ったか分からないけど、
性懲りもなく今もまた文庫本で読み返しこんな物語だったのかと忘れてしまっていて(では記憶が有る今は誇大に成るが)驚き(今回も途中)、
解説には“虚人たち”との相似・・・らしき事(だけに絞ったのかもしれないけど)に触れてあるけど、自分の中では読んだことのない“時をかける少女”や火田七瀬との相似も描いたのかもしれない気がした。
筒井作品が多過ぎてて(“巨船ベラスレトラス”の再読から感じるに2000年代の何時かからはなんとなくメタフィクション小説として…と何かを混ぜられてる気がしていて今、そう言えば星新一氏は二つのものを混ぜて作品に…まぁいいか)何から再読すれば良いか、生きてる内に持ってる分の再読だけでももう無理だろう気がする日々。
2023年2月21日に日本でレビュー済み
まるで子供向けの様なストーリー展開ですが、巧妙に毒が含まれています。気楽に人が銃や刃物で殺されたり、犬にかみ殺されたりしますし、暴力が肯定される描写が盛り込まれています。しかも、文章は誠に巧みで、さすがに筒井康隆と思わされます。文学はこうでなければいけません。岩波書店が出しただけのことはあります。ただ、作者の中で「大人向けの童話」を意識したのでしょうか、あまりにメデタイ方向に話が進みます。最後には父親を見捨てるという、メデタシの方向を一瞬否定はしますけれども・・・こういった種類の作品の「性格」から仕方が無いのかもしれませんが、なんだか急いでまとめたという感じを抱いたのは自分だけでしょうか?
2020年4月1日に日本でレビュー済み
驚くほど多くのみごとな小説技法が駆使されている。
起きた出来事はすべて後で回収される。普通の小説とは異なりほとんどの登場人物の気持ちや来歴など詳細は省かれ、読者の想像に任されるが読者は全員同じことを想像して涙する。
なによりの驚きはこの見事な技法が筒井康隆という作家にとっては、ほんの一部にすぎないことだ。
起きた出来事はすべて後で回収される。普通の小説とは異なりほとんどの登場人物の気持ちや来歴など詳細は省かれ、読者の想像に任されるが読者は全員同じことを想像して涙する。
なによりの驚きはこの見事な技法が筒井康隆という作家にとっては、ほんの一部にすぎないことだ。