『海の都の物語』文庫第4巻は、前半では台頭著しかったトルコとの摩擦を、後半ではヴェネツィアが催行した聖地巡礼ツアーを描く。
ヴェネツィアからすればトルコは、異教徒の大国であり、海運国でも貿易立国でもなく、共和国でもなく、価値観を共有しない、というよりできない相手である。国家の規模が違いすぎるので、陸上での全面戦争は厳しい。ヴェネツィアとトルコにはまた、領土拡張欲を強く持つか否かという違いもある。ヴェネツィアとしては当然、トルコを滅ぼそうとか、トルコのいる東方へ侵略を進めようという話ではないので、なるべく和平を模索しながら、必要な所だけ戦っていくわけだが、何しろ価値観を共有しない相手であるので、交渉も決裂しがちである。
後半の聖地巡礼ツアー紹介も面白かった。当然、当時欧州から中東へ行くとなれば、とんでもなく日数がかかるのはもちろんのこと、船旅に、異教徒の地への旅に、と危険も相当に大きい。そんな命懸けの長旅を、パックツアーのように提供していたヴェネツィア。このような事業は、危険がありつつもある程度は無事が見込める、というぐらいの安全性は担保しなければ成り立たない。一人のミラノ人の旅行記を基に、塩野氏は巡礼ツアーの模様を生き生きと描く。
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海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 4 (新潮文庫) 文庫 – 2009/6/27
塩野 七生
(著)
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1453年、トルコ帝国がコンスタンティノープルを攻め落とし、ビザンチン帝国が滅亡。東地中海の勢力図は一変した。東方での貿易を最大の糧とするヴェネツィアはこの状況にどう対応したのか。強大な軍事力を誇り、さらに西へと勢力を広げようとするトルコ帝国との息を呑む攻防、そしてある官吏の記録をもとに、ヴェネツィアの新興ビジネスである観光事業、聖地巡礼旅行を活写する。
- 本の長さ240ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2009/6/27
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101181357
- ISBN-13978-4101181356
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2009/6/27)
- 発売日 : 2009/6/27
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 240ページ
- ISBN-10 : 4101181357
- ISBN-13 : 978-4101181356
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 186,397位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1937年7月7日、東京生れ。
学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。1968年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。
1982年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。1983年、菊池寛賞。1992年より、ローマ帝国興亡の歴史を描く「ローマ人の物語」にとりくむ(2006年に完結)。1993年、『ローマ人の物語I』により新潮学芸賞。1999年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労勲章を授与される。2007年、文化功労者に選ばれる。2008-2009年、『ローマ亡き後の地中海世界』(上・下)を刊行。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年4月29日に日本でレビュー済み
1451年トルコのスルタンの位を襲ったのは19歳のマホメッド。過小評価で始まった彼の治世は予想を覆し侵略的軍事行動を繰り返す。
何かこう言う人が周りにいて、つらさがひと事とは思えない。
聖地巡礼パックは何か今の物語の様で臨場感溢れる話しである。
鶏を船に持ち込んで卵を食べる習慣があったとは!
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2012年12月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今で言う旅行会社が当時も存在し、巡礼者は全面的に信頼しツアーに参加していました。
2017年4月14日に日本でレビュー済み
ようやく折り返し地点です。
物語はトルコ帝国の成長によって宗教観が異なる新興国との対峙が見どころです。
ヴェネツィアが育んできた忍耐や外交を駆使し、難関を乗り越えて行く、
文章も徐々に静かな熱を帯びてきており、グッとくるものがあります。
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ヴェネツィアが育んできた忍耐や外交を駆使し、難関を乗り越えて行く、
文章も徐々に静かな熱を帯びてきており、グッとくるものがあります。
2012年1月30日に日本でレビュー済み
第八話では、宿敵トルコとの長い長い戦いに一区切りがつき、1479年になって講和が結ばれる。その後、ヴェネツイアの画家ベッリーニがコンスタンチノープルに赴き、野蛮なマホメッド2世の肖像画を描くことになるが、この時書かれたのが今に伝えられ教科書にも載っているあの細面のスルタンの肖像。
第九話の聖地巡礼パック旅行、これは面白い。1480年4月にヴェネツイアを出港したミラノの官僚サント・ブラスカの聖地巡礼旅行に我々も同行するのだ。当時ヴェネツイアは観光事業の一大拠点で、聖地イエルサレムまでのパック旅行の売り込みが盛んだ。約半年の聖地までの行き帰り。現地にはツアー・ガイドがいて、道中、イスラム・アラブ野郎との付き合い方までしっかりとフォローしてくれるのがありがたい。
第九話の聖地巡礼パック旅行、これは面白い。1480年4月にヴェネツイアを出港したミラノの官僚サント・ブラスカの聖地巡礼旅行に我々も同行するのだ。当時ヴェネツイアは観光事業の一大拠点で、聖地イエルサレムまでのパック旅行の売り込みが盛んだ。約半年の聖地までの行き帰り。現地にはツアー・ガイドがいて、道中、イスラム・アラブ野郎との付き合い方までしっかりとフォローしてくれるのがありがたい。
2011年11月15日に日本でレビュー済み
全6巻の半分を過ぎ、物語はいよいよ佳境に入ってきた。15世紀以降、大きくのし上がってきたオスマン・トルコの登場である。塩野さんのペンは一段と躍動感に満ちた筆致となり、トルコもヴェネツィアも、同じような醒めた距離感の下で冷静に、そして静かな興奮のなかで順序良く描かれていく。スルタン・マホメッド2世の人となりの描写は鮮やかだし、対するヴェネツィア共和国の合理的かつ計算高い差配の分析は見事だし、中世の欧州の勢力図の見取り図は至って分かりやすかった。相変わらずの心地よい閲読が楽しめた。
トルコの話の次は、第9話の「聖地巡礼パック旅行」。サント・ブラスカの旅行記が中心で、こちらも面白く読めた。評者の関心事でいえば、巡礼団がどんな食事を摂っていたのかもう少し分かれば、なお興趣があった、と思う。
トルコの話の次は、第9話の「聖地巡礼パック旅行」。サント・ブラスカの旅行記が中心で、こちらも面白く読めた。評者の関心事でいえば、巡礼団がどんな食事を摂っていたのかもう少し分かれば、なお興趣があった、と思う。
2009年11月14日に日本でレビュー済み
地中海の制海権を握り繁栄を極める14世紀のヴェネツィア。その前に新興国トルコが現われ、長い長い死闘が繰り広げられます。
ヴェネツィアがかつて争ったジェノヴァなどと違い、イスラム教国であるトルコには、キリスト教国の常識は通じず、ヴェネツィア得意の外交も難航。国土の広大さと人口の多さで圧倒するトルコに押しに押されていく印象で、「アンティヒーローの国」ヴェネツィアに対するトルコのスルタン、マホメッド2世のヒーローぶり(ヒールという意味でのアンティヒーローではありますが)のほうにわくわくしてしまいました。
それでもヴェネツィアがこの強大な敵に対して粘り強く戦い、交渉し、なんとか乗り切っていきます。そのプロセスは、第1巻から塩野氏が強調してきたヴェネツィアらしさが存分に発揮されたものでした。
後半の第9話は、15世紀後半のある官吏の聖地巡礼記を紹介。ヴェネツィアがヴェネツィアらしく、聖地巡礼をシステマティックなビジネスにしていた様子が詳しく描かれていて、思わずにやりとしてしまいました。
ヴェネツィアがかつて争ったジェノヴァなどと違い、イスラム教国であるトルコには、キリスト教国の常識は通じず、ヴェネツィア得意の外交も難航。国土の広大さと人口の多さで圧倒するトルコに押しに押されていく印象で、「アンティヒーローの国」ヴェネツィアに対するトルコのスルタン、マホメッド2世のヒーローぶり(ヒールという意味でのアンティヒーローではありますが)のほうにわくわくしてしまいました。
それでもヴェネツィアがこの強大な敵に対して粘り強く戦い、交渉し、なんとか乗り切っていきます。そのプロセスは、第1巻から塩野氏が強調してきたヴェネツィアらしさが存分に発揮されたものでした。
後半の第9話は、15世紀後半のある官吏の聖地巡礼記を紹介。ヴェネツィアがヴェネツィアらしく、聖地巡礼をシステマティックなビジネスにしていた様子が詳しく描かれていて、思わずにやりとしてしまいました。
2009年12月3日に日本でレビュー済み
前巻以上に、読んでいて、ハラハラさせられた。
少しずつ、着実にヴェネツィア領が浸食されていく様子、そして、それを外交努力で何とか打開しようと苦闘する様子は、まるで、エンターテイメント小説さながらであった。
結局、最後にはヴェネツィアの外交が実を結び、トルコとの講和に成功するのだが、それは例えば、今にも決壊しようとするダムを、取りあえず補強して支えているようなものであり、今後のトルコとの関係が容易ならぬものであることを予想させる。
次巻以降、ヴェネツィアがどのように身を処していくのか、目が離せない。
少しずつ、着実にヴェネツィア領が浸食されていく様子、そして、それを外交努力で何とか打開しようと苦闘する様子は、まるで、エンターテイメント小説さながらであった。
結局、最後にはヴェネツィアの外交が実を結び、トルコとの講和に成功するのだが、それは例えば、今にも決壊しようとするダムを、取りあえず補強して支えているようなものであり、今後のトルコとの関係が容易ならぬものであることを予想させる。
次巻以降、ヴェネツィアがどのように身を処していくのか、目が離せない。