短編集です。
やっぱすごいよ、舞城王太郎。
特に文庫化に伴って書き下ろされた『ソマリア。サッチ・ア・スウィートハート』は圧巻。
ヤバイ。超傑作。
芥川賞あげちゃいなよ!!って感じ。
彼の小説は、一見、文法も、言葉も、登場人物も、ストーリーも無茶苦茶で、超暴力的で、グロテスクで、エロくて、とにかくなんかよくわかんないけど、その無茶苦茶さがすげー!って評価したいところだけど、そうじゃない。
そんな無茶苦茶さの中に、しっかりと主張があり、ストーリーも無茶苦茶なまま終わらず、しっかりまとめてくる。
そして、こんなにエログロなのに、なぜか最後は温かい気持ちになるんだ。
阿部和重、舞城王太郎を読まずして、現代日本文学は語れない。
皆さんも是非。
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スクールアタック・シンドローム (新潮文庫) 文庫 – 2007/6/28
舞城 王太郎
(著)
崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今は別々に暮らしている。奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染――。ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録した〈ダーク&ポップ〉な作品集!
- 本の長さ251ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2007/6/28
- ISBN-104101186332
- ISBN-13978-4101186337
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2007/6/28)
- 発売日 : 2007/6/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 251ページ
- ISBN-10 : 4101186332
- ISBN-13 : 978-4101186337
- Amazon 売れ筋ランキング: - 320,835位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2007年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
直接感情を揺さぶるような表現や文体は気持ちが良いし 突拍子もない展開にもワクワクさせられる。 確かに面白い、面白いんだけど… 作者が伝えたいテーマがハッキリ書かれすぎてる気がする もう少し、読み手に考えさせてくれる余地があってもいいかなって思った。 しかしながら、決して多くないページ数にもかかわらず 僕の中では強い印象に残った本だったし一読する価値は十分にあると思います。
2019年12月16日に日本でレビュー済み
どの作品も自分好みでしたが、表題作が出色です
福井で起きたスクールシューティングによる暴力の伝染が、東京で引きこもっている失業中の主人公のところまでやってくる
暴力の連鎖による最悪の結末は一応主人公のところで止まる
それを止めるのが家族の紐帯であるのは氏の他の多くの作品と同様です
アルコール中毒者の支離滅裂な語りがサイケデリックな雰囲気出していて、読んでいると自分の中に黒い澱が溜まっていくような心地良さが味わえます
語りが評論的な視点を持っていて、テーマ性やサブテクストまですべて言ってしまう
小説と批評が一緒になっているような感じでしょうか
行間を批評的な注釈で埋めてしまうと退屈になりそうですが
作者の卓越した構築力とデッサン力、ポストモダン的な文体の力を借りることで浮遊感のある小説が成立しているのでしょう
福井で起きたスクールシューティングによる暴力の伝染が、東京で引きこもっている失業中の主人公のところまでやってくる
暴力の連鎖による最悪の結末は一応主人公のところで止まる
それを止めるのが家族の紐帯であるのは氏の他の多くの作品と同様です
アルコール中毒者の支離滅裂な語りがサイケデリックな雰囲気出していて、読んでいると自分の中に黒い澱が溜まっていくような心地良さが味わえます
語りが評論的な視点を持っていて、テーマ性やサブテクストまですべて言ってしまう
小説と批評が一緒になっているような感じでしょうか
行間を批評的な注釈で埋めてしまうと退屈になりそうですが
作者の卓越した構築力とデッサン力、ポストモダン的な文体の力を借りることで浮遊感のある小説が成立しているのでしょう
2009年7月10日に日本でレビュー済み
書き下ろし作品の「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」。
この厄介な物ばかり書く著者の作品の中では破綻具合は少ないものの
しっかり狂っています。そして、傑作です。
もう少し表に出てきてもいい人だと思うので、
何か大きな賞とか取って欲しいものですが。
この厄介な物ばかり書く著者の作品の中では破綻具合は少ないものの
しっかり狂っています。そして、傑作です。
もう少し表に出てきてもいい人だと思うので、
何か大きな賞とか取って欲しいものですが。
2016年10月4日に日本でレビュー済み
舞城王太郎さんの単行本『みんな元気。』から、短編小説「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」を収録し、書き下ろし作品「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を加えた短編集です。
舞城さんはミステリー小説賞のメフィスト賞を受賞しデビューして、筒井康隆さんの強い推薦で三島由紀夫賞を受賞、その後も数度芥川賞の候補に選ばれたジャンル越境的な作家さんです。
この短編集もやはりいつも通り、過激な表現と早口のような軽い文体が支配する、舞城さん特有の独特な世界になっています。
冒頭の短編『スクールアタック・シンドローム』は、暴力の連鎖を巡る作品で、半年間無職の30歳の男(主人公)と、主人公が15歳の時に出来た息子、この親子二人の物語。書き下ろしの『ソマリア〜』も同じく暴力を巡る、男子高校生の主人公とその美少女の彼女、そして杣里亜(そまりあ)という名前のもう1人のクラスメイトの話。
どちらも過激な表現が沢山出てきます。もっとも前者は『福井の高校・600人殺し』、後者は杣里亜を狙う『食糞食人変態男』など現実ではありえないような反・リアリズム的な描写で、生々しい不気味さは控えめです。
内容に触れると、一見、暴力への批判や愛・友情などストレートなテーマが押し出されていますが、よく読むと一切『答え』のようなものは書かれていません。
登場人物も自分の利益・プライドのために行動し、友情も振る舞いの形式だと繰り返す。
まさに『何も語っていない』のが、この作品の個性的でおもしろいところだと私は思いました。
クラスメイトの少女の安否より自分の身の安全、更にはプライドを選ぶ主人公など、普通の小説ではあまり書かれない終始一貫して自己中心的な人物。
この『正解』もなく『自己中』なのが舞城王太郎の独特の世界です。
『ソマリア〜』の杣里亜は死ぬ度に生き返り、その都度複数の杣里亜に分裂しますが(『九十九十九』のように)、主人公の視点から複数の可能性を生きる杣里亜が書かれることはなく、彼女の永遠に繰り返す死を防ぐこともしなければ、最後は論拠も不明に唐突にソマリア共和国と杣里亜に希望を感じる・・・。
徹底的なこの個人の御都合主義と自己中心性、リアリティの消失が、かえって強烈な人間味と作品世界のリアリティを生み出す。
そこは西尾維新さんの作品や、芥川賞作家の阿部和重さんのドストエフスキーの〈地下室の手記〉パロディ『グランドフィナーレ』に近い世界だと感じました。
もっとも舞城作品は普通に読んで笑えるギャグやコントのようなセリフの連続も作品の持ち味なので、純文学というより他のメフィスト賞作家の方の小説のようにエンタメとして読んでも十分おもしろいです。
興味のある方は長編と合わせてぜひ!
舞城さんはミステリー小説賞のメフィスト賞を受賞しデビューして、筒井康隆さんの強い推薦で三島由紀夫賞を受賞、その後も数度芥川賞の候補に選ばれたジャンル越境的な作家さんです。
この短編集もやはりいつも通り、過激な表現と早口のような軽い文体が支配する、舞城さん特有の独特な世界になっています。
冒頭の短編『スクールアタック・シンドローム』は、暴力の連鎖を巡る作品で、半年間無職の30歳の男(主人公)と、主人公が15歳の時に出来た息子、この親子二人の物語。書き下ろしの『ソマリア〜』も同じく暴力を巡る、男子高校生の主人公とその美少女の彼女、そして杣里亜(そまりあ)という名前のもう1人のクラスメイトの話。
どちらも過激な表現が沢山出てきます。もっとも前者は『福井の高校・600人殺し』、後者は杣里亜を狙う『食糞食人変態男』など現実ではありえないような反・リアリズム的な描写で、生々しい不気味さは控えめです。
内容に触れると、一見、暴力への批判や愛・友情などストレートなテーマが押し出されていますが、よく読むと一切『答え』のようなものは書かれていません。
登場人物も自分の利益・プライドのために行動し、友情も振る舞いの形式だと繰り返す。
まさに『何も語っていない』のが、この作品の個性的でおもしろいところだと私は思いました。
クラスメイトの少女の安否より自分の身の安全、更にはプライドを選ぶ主人公など、普通の小説ではあまり書かれない終始一貫して自己中心的な人物。
この『正解』もなく『自己中』なのが舞城王太郎の独特の世界です。
『ソマリア〜』の杣里亜は死ぬ度に生き返り、その都度複数の杣里亜に分裂しますが(『九十九十九』のように)、主人公の視点から複数の可能性を生きる杣里亜が書かれることはなく、彼女の永遠に繰り返す死を防ぐこともしなければ、最後は論拠も不明に唐突にソマリア共和国と杣里亜に希望を感じる・・・。
徹底的なこの個人の御都合主義と自己中心性、リアリティの消失が、かえって強烈な人間味と作品世界のリアリティを生み出す。
そこは西尾維新さんの作品や、芥川賞作家の阿部和重さんのドストエフスキーの〈地下室の手記〉パロディ『グランドフィナーレ』に近い世界だと感じました。
もっとも舞城作品は普通に読んで笑えるギャグやコントのようなセリフの連続も作品の持ち味なので、純文学というより他のメフィスト賞作家の方の小説のようにエンタメとして読んでも十分おもしろいです。
興味のある方は長編と合わせてぜひ!
2008年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
単行本『みんな元気』所収の中篇ふたつ(表題作、「我が家のトトロ」)と、書き下ろしの「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を収めた一冊。
最初のふたつはあまりおもしろくない。舞城にしては凡庸な出来だと思う。「ソマリア」は素晴らしい。(少しネタばれ)杣里亜(そまりあ)という女子高生が登場するが、かなり冒頭の方でいきなり死んでしまう。それですぐ生き返る。舞城の作品では、だいたいいろんな人が悲惨な殺され方をするが、この「ソマリア」では、いろんな人が死ぬのではなくて杣里亜が何度も死んで生き返るという設定になっている。世界の悲劇的な死を一身に背負っているのだ。もちろん、杣里亜は、ソマリアとつながっている。
<ソマリア民主共和国の国旗は青地で、中心に白い五芒星が描かれている。[…]
ソマリア民主共和国の国旗が…と言ってもソマリアは今は国じゃないが、その青地に五芒星の旗が青空に大の字に寝転がる永遠の杣里亜だとすれば、それは絵的に幸せそうで、どこにいるか今はよく知らない杣里亜と、東アフリカの海岸沿いにあるソマリアの両方に希望があるように俺には思える。>(p. 251)
少し感傷的な表現かもしれない。けど、舞城のこういう文章が好きだ。
最初のふたつはあまりおもしろくない。舞城にしては凡庸な出来だと思う。「ソマリア」は素晴らしい。(少しネタばれ)杣里亜(そまりあ)という女子高生が登場するが、かなり冒頭の方でいきなり死んでしまう。それですぐ生き返る。舞城の作品では、だいたいいろんな人が悲惨な殺され方をするが、この「ソマリア」では、いろんな人が死ぬのではなくて杣里亜が何度も死んで生き返るという設定になっている。世界の悲劇的な死を一身に背負っているのだ。もちろん、杣里亜は、ソマリアとつながっている。
<ソマリア民主共和国の国旗は青地で、中心に白い五芒星が描かれている。[…]
ソマリア民主共和国の国旗が…と言ってもソマリアは今は国じゃないが、その青地に五芒星の旗が青空に大の字に寝転がる永遠の杣里亜だとすれば、それは絵的に幸せそうで、どこにいるか今はよく知らない杣里亜と、東アフリカの海岸沿いにあるソマリアの両方に希望があるように俺には思える。>(p. 251)
少し感傷的な表現かもしれない。けど、舞城のこういう文章が好きだ。
2009年1月3日に日本でレビュー済み
最近この作者にはまってどっぷりな自分だけれど最初の2つの話は結構すんなり、でもやっぱりまいじょう。
びっくりしたのが「ソマリア、(ry」で、やっぱりこの人凄いなぁなんて思いながら余韻にまたどっぷり、の途中。
どれもこれも暗い黒い部分がはっきり書かれていてのいい話。こういうのもありなんだなぁと関心。
たぶんこの人はパワーにあふれ過ぎちゃって困っていて小説でみんなに分けてるのかと思っちゃうくらい読後に元気が出ます。グロは個人的にはきにならないかな。
びっくりしたのが「ソマリア、(ry」で、やっぱりこの人凄いなぁなんて思いながら余韻にまたどっぷり、の途中。
どれもこれも暗い黒い部分がはっきり書かれていてのいい話。こういうのもありなんだなぁと関心。
たぶんこの人はパワーにあふれ過ぎちゃって困っていて小説でみんなに分けてるのかと思っちゃうくらい読後に元気が出ます。グロは個人的にはきにならないかな。
2007年7月30日に日本でレビュー済み
随所に溢れる王太郎節。
才能光る物語進行、怒濤の描写。
いつもの通りグイグイ読ませられる。
改めて舞城王太郎の天才っぷりに舌を巻きました。
くぅ〜っっ!!!!!
才能光る物語進行、怒濤の描写。
いつもの通りグイグイ読ませられる。
改めて舞城王太郎の天才っぷりに舌を巻きました。
くぅ〜っっ!!!!!