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露の玉垣 (新潮文庫) 文庫 – 2010/6/29

3.7 5つ星のうち3.7 13個の評価

度重なる水害や飢饉に喘ぐ越後新発田藩。若き家老・溝口半兵衛は財政難に立ち向かう一方で、二百年に及ぶ家臣の記録を書きはじめる。後に世臣譜と題される列伝は細緻を極めて、故人の人間像にまで及ぶ。そこにあるのは身分を越えた貧苦との闘いであり、武家の葛藤であり、女たちの悲哀であり、希望である。すべて実在した人物を通して武家社会の実像を描く、全八編の連作歴史小説集。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 文庫版 (2010/6/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/6/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 349ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101192251
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101192253
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.5 x 1.5 x 15 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.7 5つ星のうち3.7 13個の評価

著者について

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乙川 優三郎
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1953(昭和28)年、東京生れ。千葉県立国府台高校卒。’96(平成8)年に『薮燕』でオール讀物新人賞、’97年に『霧の橋』で時代小説大賞、 2001年に『五年の梅』で山本周五郎賞、’02年に『生きる』で直木賞、’04年に『武家用心集』で中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 さざなみ情話 (新潮文庫) (ISBN-13: 4101192243 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)

カスタマーレビュー

星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
13グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2015年5月10日に日本でレビュー済み
本離れ気味の時に読むには内容的に重いかな〜と思いつつも、読み始めたら止まらなくなりました。

私とこの本の接点は、祖母が新発田出身という事だけでしたが、県史の中で散々繰り返されていた川との闘い、新発田藩の苦労、そしてそれに耐え抜いた人々の不屈の魂が窺えました。

勿論、誇張した部分やフィクションなシーンも多々あるでしょうが、実際に何をどうしたか等、イメージ的に学べて良かったのと、それぞれの人間模様と登場人物の肉付け具合が素晴らしかった。

著者の作品を読むのは初めてでしたが、久し振りに出会えて良かったと思えた本。
読後感は5つ星です。
2013年4月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
男女の愛や憎しみの複雑な綾を描いて絶品。ところどころ、乙川さしくない表現があるのが欠点。
2012年5月12日に日本でレビュー済み
天明6年(1786年)に新発田藩の溝口家の家臣の譜を編み始めた溝口半兵衛長裕(31歳の若さで家老になる)。藩の正史(廟記)の編纂を終えてからのことであった。藩を襲った飢饉と財政難、火災、洪水のなかでこつこつと書きつづけられたのが、この家臣の記録である。6年後の寛永4年に一度脱稿。文化8年まで訂正、加筆を続け約25年、19巻10冊の「世臣譜」がまとまった。この「世臣譜」は当初、「露の玉垣」と題されていたらしいが、著者はこの題名に触発されて、小説を書こうという動機をもらったという(以上、著者による短い「あとがき」から)。

半兵衛長裕の執筆の経緯は、最初の小説「乙路」に詳しい。続く「新しい命」「きのう玉蔭」「晩秋」「静かな川」「異人の家」「宿敵」「遠い松原」の6編には、新発田藩の当時の武家の生活環境、人間関係、家のなかのそれぞれの男と女の思いが偲ばれる。飢饉、冷害、水害は繰り返し、この地を襲った。義務である江戸詰、普請があれば、家の困窮は極まった。指導力、知恵、才覚がもとめられるが、しかし理不尽な階級関係のなかでの生活。思うとおりは到底生きられず、武士のはしくれでる男性は責任をとるために切腹や自裁に追い込まれ、女性は子を生めないからと離縁されたり、食い扶持を確保するために半ば進んで育介を引き受けた。

「小藩の家臣の移ろいやすい運命と、窮乏に喘ぎながらも主家を支えてきた彼らの思い」が著者の筆によってなった雅文に織り込まれ、しばし時を忘れて当時の世界にのめり込んだ。幸福な時間であった。「きのう玉蔭」「静かな川」「宿敵」にとりわけ感銘を受けた。
2009年7月24日に日本でレビュー済み
登場人物はすべて実在した人物。
江戸時代の武家社会の実態がリアルに描かれている。
ある意味では、現代よりも生きるための智恵が豊富だったような気がする。
とにかく、入念な史料の収集による作品だけに、
読者への説得力がある。
現代社会へ生きることの品格を問う珠玉の一書。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2007年7月6日に日本でレビュー済み
初めて実在の人物で描いたと謳った歴史小説風武家物の短編集。新潟の新発田藩に実在した家老が書いた家中の家々の歴史やエピソードをまとめた本をもとに、乙川風の味付けが加味されている。とんでもない変わった人もいて、「実在」とされていなければ、まさに作りすぎと思えるような人もいて可笑しい。私のお気に入りは「宿敵」。厳しい内容だけれど、しみじみとした情感があって、いつまでも心を離れない。乙川作品は人の心をじっくりと書くことにかけては定評があるが、この短編集もその時代を必死で生きてきた人々の姿を丁寧に描いている。それにしても新発田という所は災難の多いところだったのだなあ。みんなよくその時代を生き抜いて今に至っているなあと、新発田の人々に感心してしまう。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2007年7月25日に日本でレビュー済み
新発田藩家老、溝口半兵衛は藩の歴史の編纂を終わった後、藩務のかたわらこれまでに様々な働きをしてきた家臣たちの家々の小史を纏め上げた世臣譜19巻10冊を残したそうです。
乙川さんはこの記録に基づき家老半兵衛を含め7人の武士の生き様を8話に仕立て上げた作品です。
普段から飢饉に備えその日その日の米まで蔵に貯蔵して管理している四郎右衛門には世間で吝嗇との噂が立ち、本人もそれを気にしているのだがある日、下僕の不注意で城まで延焼させてしまった。切腹を覚悟して沙汰をまつ四郎右衛門と、思いがけなくも四郎右衛門に寄せられる暖かい周囲や妻の対応を描いた「新しい命」、子ができぬため離縁されててしまった主家の奥方に対する儚い憧れを忘れられぬまま、代官にまで出世した吉右衛門が何十年もたってから老いた奥方を実家に見舞う「きのう玉蔭」、お役御免になった静左衛門がこのまま老い朽ちていく自分を納得できず、酒の酔いにまかせて兵法の達人に挑みかかるが苦もなく組み伏せられてしまったりしながらもなお意気地をもって生きていく姿を描いた「晩秋」、病む老父が昔、勘定奉行岡島新右衛門に旅費を立て替えてもらっていたことを思い出しそれを返すように言われた息子が、父と同年代の老雄達の勇気と誇りを知らされる「静かな川」等どの篇にも真に潔く武士の矜持を貫いた男達の生き方がそれに相応しい格調の高い文章で淡々と描かれています。
溝口半兵衛が露の玉垣を書き始める決意をする時点から始まり、時代はいったんさかのぼって先人達の話をそれぞれ共通する人物を登場させながら語り継いで最後に再び、露の玉垣をほぼ書き終わる頃の半兵衛のエピソードにもどる構成で、読み通すと名もなき武士とその家族達によって支えられてきた新発田藩の小史が浮かび上がってきます。(ロングバージョンのレビューは [...]のレジャー→エンタメでどうぞ)
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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