雑誌「ダ・ヴィンチ」に2000年から2001年にかけて連載された旅エッセイ集です。テーマはタイトルの通り、作家がミステリ小説で描いた土地を訪ねて行くというもの。軍艦島、湯殿山、横溝正史の疎開地である岡山、獄門島と悪霊島のモデルになった瀬戸内の島々、乱歩の家と生誕地である三重県名張市、能登半島のやせの断崖、土御門神社本庁のある福井県名田庄村、信州の白駒池などなど、ミステリファンには垂涎の土地ばかりです。
まず最初の「セピアの島の幻想:軍艦島」で、文章のうまさにやられました。実際には案内人と共に上陸取材されているのですが、フィクションとノンフィクションの間のような絶妙さで、島の荒涼とした雰囲気が濃く描かれています。それぞれのエッセイの後には地図とそこへの行き方や交通手段が書かれていて、ガイドブックほどの詳細さはありませんが、旅心をそそられます。自分は横溝正史のファンなので、ぜひ岡山と島々に行ってみたくなりました。
その地にちなんだミステリも4冊ずつ紹介されていて、今まで知らなかった作品を読むきっかけにもなります。写真も現場の雰囲気をよく伝えていますし、2つの短編小説はミステリではありませんが、旅エッセイから旅エッセイの合間にさりげなくはさまれていて、次のエッセイが始まったのだと思ってそのまま読み続けてしまうような、この本全体の雰囲気にぴったりのしゃれたもので、大変よかったです。
こう言ってはなんですが、ミステリだと、真相に納得がいかなかったり、動機が弱いと思ったりいろいろあるのですが、このエッセイ集はその構成のうまさといい、文章の巧みさといい、本当にうならされました。有栖川氏作品の中ではダントツのお気に入りのひとつになりました。おすすめです。
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作家の犯行現場 (新潮文庫) 文庫 – 2005/1/28
有栖川 有栖
(著)
「伝説の奇術師ロベール・ウーダンの足跡をたどれ」。教授の指令でパリを訪れた大学院生トキトモは、現地で後輩のリカと再会する。ウーダンに詳しいマジシャンを紹介され、調査は順調に進むかに見えたが、知り合った奇術師たちが次々に殺されていく。残された犯行声明には「反奇術同盟(U・M・A)」の文字が……。奇術と格闘の融合が生み出す不滅の“らもワールド"! 傑作長篇小説。
- 本の長さ406ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/1/28
- ISBN-104101204349
- ISBN-13978-4101204345
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/1/28)
- 発売日 : 2005/1/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 406ページ
- ISBN-10 : 4101204349
- ISBN-13 : 978-4101204345
- Amazon 売れ筋ランキング: - 876,268位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,897位日本文学(日記・書簡)
- - 10,565位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1959年、大阪生まれ。1989年、『月光ゲーム』で鮮烈なデビューを飾る。以後、精力的に作品を発表し、2003年『マレー鉄道の謎』で第56回日本 推理作家協会賞を受賞。2008年には『女王国の城』で第8回本格ミステリ大賞を受賞した。精緻なロジックを積み重ね、構築した世界そのものをひっくり返 してみせる鮮やかな手腕と、物語性豊かなその作品は、世代を問わず常に読み手を魅了しつづけている(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 闇の喇叭 (ISBN-13: 978-4652086353 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月4日に日本でレビュー済み
近くの図書館で何気なく手にしたこの本、タイトルにまず目を引かれ、装丁に描かれているのは以前行ったことのある青木ヶ原樹海。これは絶対おもしろそうだと買い、いや借りました。
廃墟、断崖、流氷… いろいろな「犯行現場」の中で私が最も興味を覚えたのは灯台です。「燈台鬼」を書いた大阪圭吉氏、初めて知り是非原作を読んでみたいものだと思います。
注文がひとつ。樹海が出てくる松本清張氏の代表作は、「波の塔」ではなく、やはり「黄色い風土」だと思います。本格推理小説としても。
廃墟、断崖、流氷… いろいろな「犯行現場」の中で私が最も興味を覚えたのは灯台です。「燈台鬼」を書いた大阪圭吉氏、初めて知り是非原作を読んでみたいものだと思います。
注文がひとつ。樹海が出てくる松本清張氏の代表作は、「波の塔」ではなく、やはり「黄色い風土」だと思います。本格推理小説としても。
2005年11月10日に日本でレビュー済み
ミステリーっぽい場所をいろいろと回った旅行記。基本的に旅行エッセイで、いくつか、エッセイの代わりに短編小説が入ってくる。登場する場所への行き方と、その場所を舞台にした推理小説のリストも、簡単ながらも、載っているので、それなりに便利でもある。
この本の魅力は、作者のミステリーへの愛が、あふれているところである。特に乱歩や正史ゆかりの地に行ったときの、作者の楽しそうな文章は、読んでいる、こちらの頬も緩んでくる。推理小説が好きで好きでたまらなくて、推理小説作家となって一線に立っている作者は、ほんとに幸せものだ。
この本の魅力は、作者のミステリーへの愛が、あふれているところである。特に乱歩や正史ゆかりの地に行ったときの、作者の楽しそうな文章は、読んでいる、こちらの頬も緩んでくる。推理小説が好きで好きでたまらなくて、推理小説作家となって一線に立っている作者は、ほんとに幸せものだ。
2007年2月28日に日本でレビュー済み
2002年にメディアファクトリーから出た単行本の文庫化。一章、書き加えられている。
雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載された紀行エッセイ。軍艦島、鳥取砂丘、明石大橋など、これまでミステリの舞台となってきた著名な場所を訪れ、文章と写真で構成している。小説も4篇、収められている。
有名な場所を訪れた! という有栖川氏のわくわくが伝わってきて、楽しい一冊だった。どの場所も確かに犯行現場にふさわしい雰囲気を漂わせており、そこで傑作が生まれたことにも納得がいく。
ただし、そういった雰囲気を味わった上で創作された4篇の小説は、どれも面白くないのが不思議。
雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載された紀行エッセイ。軍艦島、鳥取砂丘、明石大橋など、これまでミステリの舞台となってきた著名な場所を訪れ、文章と写真で構成している。小説も4篇、収められている。
有名な場所を訪れた! という有栖川氏のわくわくが伝わってきて、楽しい一冊だった。どの場所も確かに犯行現場にふさわしい雰囲気を漂わせており、そこで傑作が生まれたことにも納得がいく。
ただし、そういった雰囲気を味わった上で創作された4篇の小説は、どれも面白くないのが不思議。
2007年5月29日に日本でレビュー済み
名所や知られざる穴場(!?)が掲載されていて行ってみたくなりました。
写真がすべてモノクロなのでミステリの雰囲気が出ていて…さらに旅をしたくなる…。
桜の写真がカラーで載っていたら単に美しい写真ですが、モノクロで桜の写真が掲載されているのでミステリとして成立しています。
写真の量も多くてその場の雰囲気が十分に伝わってくると思います。
書き下ろしの短編小説が結構面白かったです。
短いながら楽しさが詰まっていました。
写真がすべてモノクロなのでミステリの雰囲気が出ていて…さらに旅をしたくなる…。
桜の写真がカラーで載っていたら単に美しい写真ですが、モノクロで桜の写真が掲載されているのでミステリとして成立しています。
写真の量も多くてその場の雰囲気が十分に伝わってくると思います。
書き下ろしの短編小説が結構面白かったです。
短いながら楽しさが詰まっていました。
2005年3月12日に日本でレビュー済み
ミステリファンなら、一度は「現場検証」に立ち会ってみたい、と思ったことがあるはず。
それをかなえてくれるような作品です。
実際にミステリの作品中で使われた「犯行現場」や推理作家から見て、こういうところを「犯行現場」に使いたい、という場所をエッセイや短編で紹介しています。
ぜひ、「現場検証」に立ち会いましょう!
それをかなえてくれるような作品です。
実際にミステリの作品中で使われた「犯行現場」や推理作家から見て、こういうところを「犯行現場」に使いたい、という場所をエッセイや短編で紹介しています。
ぜひ、「現場検証」に立ち会いましょう!
2002年3月8日に日本でレビュー済み
ミステリファンなら、一度は「現場検証」に立ち会ってみたい、と思ったことがあるはず。
それをかなえてくれるような作品です。
実際にミステリの作品中で使われた「犯行現場」や推理作家から見て、こういうところを「犯行現場」に使いたい、という場所をエッセイや短編で紹介しています。
ぜひ、「現場検証」に立ち会いましょう!
それをかなえてくれるような作品です。
実際にミステリの作品中で使われた「犯行現場」や推理作家から見て、こういうところを「犯行現場」に使いたい、という場所をエッセイや短編で紹介しています。
ぜひ、「現場検証」に立ち会いましょう!