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薬指の標本 (新潮文庫) 文庫 – 1997/12/24
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- 本の長さ185ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1997/12/24
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101215219
- ISBN-13978-4101215211
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【新潮文庫】小川洋子 作品 | 標本室で働くわたしが、彼にプレゼントされた靴はあまりにもぴったりで……。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描く珠玉の二篇。 | 15歳のわたしが男の部屋で感じる奇妙な視線の持ち主は?現実と悪夢の間を揺れ動く不思議なリアリティで、読者の心をつかむ8編。 | 80分しか記憶が続かない数学者と、家政婦とその息子──第1回本屋大賞に輝く、あまりに切なく暖かい奇跡の物語。待望の文庫化!〈本屋大賞・読売文学賞受賞〉 | 「今は失われてしまった何か」への尽きない愛情を表す小川洋子の真髄。静謐で妖しく、ちょっと奇妙な七編。著者インタビュー併録。 | 『アンネの日記』に触発され作家を志した著者の、本への愛情がひしひしと伝わるエッセイ集。他に『博士の愛した数式』誕生秘話等。 |
生きるとは、自分の物語をつくること | いつも彼らはどこかに | |
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『博士の愛した数式』の主人公たちのように、臨床心理学者と作家に「魂のルート」が開かれた。奇跡のように実現した、最後の対話。 | 競走馬に帯同する馬、そっと撫でられるブロンズ製の犬。動物も人も、自分の役割を生きている。「彼ら」の温もりが包む8つの物語。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1997/12/24)
- 発売日 : 1997/12/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 185ページ
- ISBN-10 : 4101215219
- ISBN-13 : 978-4101215211
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 78,451位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。
1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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の概念が入ってきた明治日本より、自由を追求し、それが得られたら幸福になると期待し、信じていた幻想が崩れ、さらに就職氷河期が追い打ちをかけた2006年。
人と人とを結ぶ象徴的な「薬指」を失い、さまよう主人公が「自由でなんかいたくない」「私を標本にして」と言う。
小川洋子さん、天才です。
清涼飲料水の工場で働いていた主人公は、機械に薬指の先を挟んでしまった事を機に仕事を辞める。しばらくしてから地元を離れ、標本室で働き始め、雇い人で標本職人の弟子丸氏と恋仲のような関係になる。そこでは持ち寄られる標本も様々だし、標本の方法も様々だった。有機物や無機物、はては音やヤケドなどを標本しに来る人がいる。ある種の嫉妬心から、主人公は自分のなくなった薬指を標本してもらおうとするが、そこで話は終わる。ふわふわした話が好きな人は好きかも。
そんなことをテーマにした二つのお話でした。
一つ目の話は「標本」を作り「もの」を保管する仕事
もう一つは「カタリコベヤ」でを必要な人に提供し、「語る」場を提供するお仕事。
自分だったらあれを標本にしよっかなぁ、あれを語ろうかなぁと、考えつつ。
でも依存しすぎは禁物な模様物語に出てくる小道具「ワックス」が二つの話で共通していたりして
あれはどういう意味があるんだろうと
読んだ後も余韻に浸れる大人の作品でした。
中古なので、購入をためらっていましたがとても綺麗な状態で満足です。
毒が含まれた美しい文体。小川洋子作品の中で最高の物語です。
サイダー工場での事故で薬指の先を失ったある若い女性。ある標本技術士の求人を見て吸い寄せられるように受付係に就職する。そこには焼跡に残った三つのキノコ、楽譜に書かれた音、文鳥の骨など、人々が喪失した思いを閉じ込めておくかのような注文品を持ち込む。まるでクラフトエヴィング商會との共著「注文の多い注文書」のような世界である。
しかし、ここはそんな安全な場所ではなかった。ある日その標本技術士が、彼女の足に完璧にフィットする黒い靴をプレゼントする。そして今後一切その靴以外ははかないように命じる。その後における男と女の情景は小川洋子の真骨頂。読むべしである。
その靴を今脱がないと危ないよと諭してくれる靴磨きのおじさんもいたが、彼女は靴を脱がない。
「自由になんてなりたくないんです。このまま彼に封じ込められていたいんです。」
指を失う事故の際にサイダーが血に染まって桃色に変色していく情景、三つのキノコの標本がゆらゆら揺れる様、顔の火傷の標本を頼まれた技術士がその頬の焼跡をなぞる指、段々と身体の一部と化す黒い靴。いろいろなものに心の奥底をそっとなぞられるような快感がある。
そして最後に標本となるものは。。。ぞくっとする余韻を残して物語は終わる。ここまでひんやりと上質に、倒錯した愛と性を描写することは並大抵の技ではない。書けそうで書けない見事な筆捌きに小川洋子の本領を見た思いがした。
もう一編の「六角形の小部屋」も現実と非現実の間を揺蕩うような良質な佳作ではあるが、「薬指の標本」に比べてやや現実的である。
ショップの対応はとってもよかったです。