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凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫) 文庫 – 2009/10/28

4.1 5つ星のうち4.1 857個の評価

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人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生"と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか? 記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪"を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。
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出版社より

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殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件― 殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件― 殺戮者は二度わらう―放たれし業、跳梁跋扈の9事件― 凶悪―ある死刑囚の告発―
カスタマーレビュー
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価格 ¥605 ¥156 ¥1,298 ¥825
【新潮文庫】「新潮45」編集部 視線はその刹那、あなたに向けられる……。酸鼻極まる現場から人間の仮面の下に隠された姿が見える。日常に潜む「隣人」の恐怖。 彼らは何故、殺人鬼と化したのか──。父母は、友人は、彼らに何を為したのか。全身怖気立つノンフィクション集、シリーズ第二弾。 殺意は静かに舞い降りる、全ての人に──。血族、恋人、隣人、あるいは”あなた”。現場でほくそ笑むその貌は、誰の面か。 警察にも気づかれず人を殺し、金に替える男がいる──。証言に信憑性はあるが、告発者も殺人者だった!白熱のノンフィクション。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 文庫版 (2009/10/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/10/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 386ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4101239185
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4101239187
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 857個の評価

著者について

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「新潮45」編集部
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大変、満足しています。皆さんもご利用ください。
2024年5月21日に日本でレビュー済み
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送料が無料になるので購入 まだ読んでませんがあらすじをみて面白そうだと思った
2024年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に読みやすく、ひきこまれる内容でもあったので、そこそこの分量にも関わらず一日で読んでしまいました。
芸能人のくだらないゴシップなど下卑たテーマしか追わない印象を受ける「雑誌」ですが、新潮45は少し違います。

本書は、新潮45の記者が携わった事件について、その端緒から結末までが一冊にまとめられたものです。

内容は複数の殺人事件に関するものです。
判決が死刑で固まりつつある上告中の被告人が、かつて犯した別の複数の犯罪について、その概要と共犯が野放しになっていることを記者に打ち明けます。
のうのうと暮らしている共犯が許せないため、記者に事実を記事として世間に公表し、警察に捜査するよう促すというところから始まります。
その後記者は、被告人の自首の動機や内容の信憑性に疑いを抱きながらも、その内容を参考に、独自に綿密な裏どり調査を進めます。

やがて記者は自首の内容がほぼ真実であると確信し、できる限りの裏付け調査を報告書という形にまとめ、被告人とその弁護士を通じて司法に上申させるとともに、警察・検察に捜査を開始するよう求めます。
同時に新潮45の記事として公表し、野放しになっていた犯罪者を逮捕、起訴、有罪判決に持ち込んだ流れが書いてあります。

この本で面白かったのは、記者の職業人としての内面が書いてあったことです。
雑誌の記者というのは、こういうことを考えて取材をしているんだとか、こういうことに注意して行動しているんだというのがよく伝わってきました。

私は体よくまとまった文庫本の読者という立場から事の成り行きを読んでいるので、記者の取材活動によって埋もれていた事件のピースが次々と見つかり、事件の全体像がはっきりしていく、ある種の爽快さを覚えました。
しかし、実際の取材と調査は非常に時間のかかる泥臭いものだったに違いありません。そして、証拠裁判主義のもと、どれだけ事案を解明しても公判に耐える証拠がほとんど失われているため、結果が報われない可能性は常に頭の中にあったでしょう。
何しろ自首の内容となった事件の当時からは数年単位の時間がたっていて、証拠が散逸していることはもちろん、被告人の記憶や自首内容にもかなり曖昧な点だらけです。主に3つの事件について書いてありますが、結局警察・検察が焦点をあてられたのは一つだけです。事件によっては、最後まで被害者の名前すら判明していません。
このような不確かさにも辟易せず、かなり地道な作業を経て真相に近づいていく展開には、雑誌ジャーナリズムの執念のようなもの感じました。

この本を読む限り、記者の頭の中には、記事の反響が雑誌の売上にどう影響するかみたいな考えはほとんどなく、純粋な好奇心と職業的使命感に従って動いているような印象を受けます。
冒頭書いたような、ゴシップ中心の下卑たイメージとは対極にある、プロフェッショナリズムです。

記者もあとがきに書いているように、この種の取材は「雑誌にしかできない仕事」だと思います。
昨今は犯罪ネタもSNSで瞬時にWebで拡散しますが、この本にかかれているような、長期にわたる労力をかけた綿密な調査は、ブログやSNSで活躍するWebライターやお小遣い稼ぎのインフルエンサーには到底できないでしょう。
また、警察・司法を巻き込む記事の公表判断や、攻めた取材や記事内容などは、テレビや新聞社のようなしがらみとコネだらけの業界にも難しいでしょう。
継続的に専念できてある程度自由に動ける、職業的ジャーナリズム組織でないと難しいと思います。
そういう意味で雑誌ジャーナリズムの本分ともいえる活動記録です。

もちろん、そもそもネタは被告人から与えられたわけで、被告人が黙っていれば雑誌には何の手柄もなかったでしょう。
そういう意味では記者には取材するネタが運よくたまたま降ってきただけですが、とらえようによっては死刑囚の単なる悪あがきの戯言ともとられかねない内容を、新潮に綿密に真実の解明、立件につなげていく取材姿勢にはやはりプロフェッショナリズムを感じ、感心しました。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2019年9月23日に日本でレビュー済み
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なぜこういう事が起きるのか考えさせられました。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年11月27日に日本でレビュー済み
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死刑を先延ばしにするために、罪を白状していくという考えられないような策。
2020年8月21日に日本でレビュー済み
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本作で告白された人物は、証拠が乏しくギリギリのところで立件され、無期懲役に
なりましたが、本来であれば死刑案件でしょう
悪いことをしても枕を高くして寝ている連中が数多くいるものだと強く感じました
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年10月14日に日本でレビュー済み
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重ためですが読み応えある。
2018年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず、凶悪犯がこれほど無茶をやっているのに罪が異様に軽すぎること、警察の捜査の限界を強く感じた。刑の厳罰化を望みたい。

事件は10年以上も前のことだから、今はもっと手がかりが増えて捜査がしやすくなっていると思うが、犯罪の隠蔽が、本気でやれば意外と簡単なのだということを示してしまっている本だと思う。それから、捜査の杜撰さというよりかは、捜査での些細な見落としが実は凶悪犯罪への糸口になることもあるのだというのも知った。

裏取りは簡単にいかないという、証拠集めの困難さを知った。筋書きなどないので、ドラマのように、大筋が全部わかることはなく、証拠隠滅もされ、下手をすると、ここまで疑わしくても無罪となる可能性すらあったことに呆然となった。こういった下劣なヤツらと格闘し、ブタ箱に入れさせられる警察官や検察官には脱帽する。また、一連の事件だけを捜査することに、警察と検察、そしてマスコミで膨大なリソースが割かれており、警察や検察の能力範疇に限界を感じ、現実とはかくも厳しいものかとも感じた(警察や検察の能力不足と揶揄するつもりは全くない)
本件でも、実際3件あがった中で、共犯者がこれだけ自白しているのに1件のみに証拠が認められたというのは、虚しい話であり、無力感を抱かせるものだ。この件に関しては因果応報となったが、明るみに出ていない事件もやまほどあるだろう。

強要容疑で三上を別件逮捕したことにも興味がいった。「ちょっと頭がおかしいジジイ」が「牛丼屋の店員に無理矢理土下座させた」というチンケな事件が、氷山の一角なのだということに鳥肌がたった。ぼくたちは、牛丼屋で謝罪を強要するジジイを見ても「変なやつだ。やべえ」と思うだけで「実は殺人犯なのかもしれない」という恐怖を感じることはない。この本は街の路上や通勤中の電車内でケンカが起こっているのを見たとき、その裏で「ヤバいことが起こっている可能性がある」ことを考えさせるものであった。世の中が怖くなる話である。三上や後藤の風貌も、本の終わりの方にあるが「あまり近づきたくはない顔だな……」とは思うものの、殺人犯だと感じることはできなかった。「日本は安全な国」と言われているが、そうした裏でこのようなことが起こっているというのは、重ねて恐怖を感じるものである。

計画殺人が、他にもたくさんあり、後藤の最初の逮捕さえなければ引き続き起こっていたのであろうこともまた恐怖を煽るものである。殺害のターゲットにされたものの、何らかの理由で計画が頓挫し「運良くたまたま平和に生きていけている人がいる」ということは、犯罪予防の観点から見て重要なことであるように思える。「普段から警戒し、悪人に目をつけられないようにし、危うきには近付かず、自分も悪いことはしない」という学習をすることができた。そして、ぼくたちにできることはたったそれだけである。

また、「凶悪」のそばにはいつも「悪」の人々が多数いたことも忘れてはいけないと思う。ぼくたちは、利己的な欲望に安易に流されないように、自分を律し、他人を思いやることが大切なのだということも、この本で出てくる数々の人々から反面教師で学ぶことができると思う。

以上、語るべきことは尽きない。この本は実のところ、フィクション小説がおもしろいように「おもしろい」と言えるようなものではないと思う。ただし、心が強く引き込まれ、真摯に読まざるを得ない、深い取材に裏打ちされた濃密な内容であるという意味では「おもしろい」本だと思う。

最後になるが、受刑者一同はぜひ猛省してもらい、社会に出てくることのないことを望む。
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