威厳を示そうとして空回りする猪突猛進型の著者と、常に冷静でかしこい奥様との対比に笑いが止まらない。文章のテンポもよく、ユーモアにあふれていて、一気に読めた。
著者は数学者とのことだが、文章も非常にきれいで読みやすい。ほかの著書もぜひ読んでみたいと思う。文句なく星5つ。
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父の威厳 数学者の意地 (新潮文庫) 文庫 – 1997/6/30
藤原 正彦
(著)
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武士の血をひく数学者が、妻、育ち盛りの三人息子との侃々諤々の日常を、冷静かつホットに描ききる。著者本領全開の傑作エッセイ集。
- 本の長さ315ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1997/6/30
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101248052
- ISBN-13978-4101248059
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大いなる暗愚 | 始末に困る人 | 卑怯を映す鏡 | グローバル化の憂鬱 | とんでもない奴 | できすぎた話 | |
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1997/6/30)
- 発売日 : 1997/6/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 315ページ
- ISBN-10 : 4101248052
- ISBN-13 : 978-4101248059
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 316,286位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 5,472位近現代日本のエッセー・随筆
- - 5,614位新潮文庫
- - 13,418位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
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2022年9月7日に日本でレビュー済み
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2008年1月10日に日本でレビュー済み
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「国家の品格」で大きな注目を集めた著者が15年程前に書いたエッセイ集です。驚くのは15年前から言っている事にぶれが全く無いこと。本書でも「小学生に英語を教えるくらいなら国語の時間を増やすべし」「真の国際人とは自国の歴史・文化をきちんとしている人間」等々。私も海外に10年ほど住んでいましたので、著者の言うことは良くわかります。いずれにせよ、10年前と比べて言ってることが変わってしまう人が多い中、ずっと同じ事を主張し続ける著者の姿勢には脱帽です。
2010年11月8日に日本でレビュー済み
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一読、共感を覚える優れたエッセイである。ベストセラー「国家の品格」と重なる記述もあるが、同書の中でやや獏とした印象を与えた"武士道"については本書の方が詳しく論じられている。特に、武士道をイギリスの騎士道、紳士道と比して論じている辺り興趣がある。全編、イギリス的合理精神とユーモア精神と個性重視に加え、伝統的日本人的心性が見事に調和している。加えて、著者の亡父の新田次郎氏の話題や若き日の留学時代を語っている部分では郷愁を感じさせる自在の筆使いである。
著者のユーモア談の二本柱として、自身の自慢話の過度の誇張及び悔しさが滲む夫人への揶揄がある。特に後者は何時読んでも面白い。著者の愛妻家振りが窺える。ただし、本書ではこの部分が少なく個人的には少し残念だった。子供の学校の話や大学での課題の出し方においても、単なる頑固話に見えて、啓発的な教育論になっている。若年期の国語・読書重視と上述した個性重視である。また、恩師のお見舞いの話の最後の一行に琴線に触れる風景描写を入れるなど、エッセイエストとしての円熟味を感じた。これからも啓発的で笑えるエッセイを書き続けて欲しいと思う。
著者のユーモア談の二本柱として、自身の自慢話の過度の誇張及び悔しさが滲む夫人への揶揄がある。特に後者は何時読んでも面白い。著者の愛妻家振りが窺える。ただし、本書ではこの部分が少なく個人的には少し残念だった。子供の学校の話や大学での課題の出し方においても、単なる頑固話に見えて、啓発的な教育論になっている。若年期の国語・読書重視と上述した個性重視である。また、恩師のお見舞いの話の最後の一行に琴線に触れる風景描写を入れるなど、エッセイエストとしての円熟味を感じた。これからも啓発的で笑えるエッセイを書き続けて欲しいと思う。
2005年3月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表現美もさることながら感受性も豊かであっという間に読み終えてしまった。
また子供の育児と正しい教育のあり方を武士道精神とからめてみたり、人としての個性と貫徹する意志の強さに驚嘆した。
ホームコメディさながらのエッセイで全体をバランスよく保ち名エッセイストの名を堂々たるものにした著者の風格を感じる作品であった。
また子供の育児と正しい教育のあり方を武士道精神とからめてみたり、人としての個性と貫徹する意志の強さに驚嘆した。
ホームコメディさながらのエッセイで全体をバランスよく保ち名エッセイストの名を堂々たるものにした著者の風格を感じる作品であった。
2005年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
数学者として1人の男として、様々な角度からまとめたエッセイ集です。非常に短い短編なので、あっと言う間に読めて、しかも吹き出してしまうほどの面白さも備わっています。特に、日常を舞台にした妻とのやりとりは必見です。
2006年2月11日に日本でレビュー済み
1994年に講談社から出た『父の威厳』に新たに15編を加え、改題・文庫化したもの。
全部で66編のエッセイが収められている。短いものばかりで、さすがに寄せ集めの印象は免れない。代表作『遙かなるケンブリッジ』などと比べると、かなり落ちてしまうのは仕方ない。
しかし、著者の気っぷのよさというか、心地良い頑固さのようなものは充分に伝わってくる。不正に出会ったときに意志を曲げない強さ。まあ、現実世界を生き抜いて行くには困りものかも知れないが、ちょっと憧れてしまうところがある。
自分を飾らないところが魅力。
全部で66編のエッセイが収められている。短いものばかりで、さすがに寄せ集めの印象は免れない。代表作『遙かなるケンブリッジ』などと比べると、かなり落ちてしまうのは仕方ない。
しかし、著者の気っぷのよさというか、心地良い頑固さのようなものは充分に伝わってくる。不正に出会ったときに意志を曲げない強さ。まあ、現実世界を生き抜いて行くには困りものかも知れないが、ちょっと憧れてしまうところがある。
自分を飾らないところが魅力。
2007年6月13日に日本でレビュー済み
とにかく面白いです。
ところどころにユーモアが盛り込まれていて、大人、を感じさせます。
最後の子供の検便での学校との対立の顛末も読ませます。
こういう偏屈な人が身近にいたらちょっと鬱陶しいかもしれないけど、本で読む分には面白いのでいいです。(失礼しました)
ところどころにユーモアが盛り込まれていて、大人、を感じさせます。
最後の子供の検便での学校との対立の顛末も読ませます。
こういう偏屈な人が身近にいたらちょっと鬱陶しいかもしれないけど、本で読む分には面白いのでいいです。(失礼しました)
2006年2月17日に日本でレビュー済み
数学者の視点から眺めた清新なアメリカ留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、独自の随筆スタイルを確立し、今も多くの愛読者がある。
本書掲載の66編の随筆から「父の負けず嫌い」を取り上げてみたい。父親のペンネーム新田次郎は、諏訪市新田で生まれた次男であるからと言う。
父親が小説を書き始めた動機については、母親藤原ていの『流れる星は生きている』が脚光を浴びたのに刺激されてらしい。妻を訪れる編集者たちにお茶を出す屈辱に耐えかねて、とも言われている。彼は藤原家のお家芸とも言える俳句や和歌をたしなんでいて、文章にも自信があった。妻の書いたものがベストセラーになったことから、負けず嫌いが頭をもたげ、あれくらいなら自分にだって書ける、と思ったのではなかろうか。
運よくサンデー毎日の懸賞小説の一等に選ばれ、作家として幸先よいスタートを切ってからも、気象庁の仕事はいささかも手を抜かなかった。どんなに締め切り原稿がたまっていても、勤務中はただの一行も書かなかった。
かつて母親は五歳、二歳、零歳の幼児を連れて北朝鮮の野山を彷徨し、脱出する時、父親は部下を残して帰国するのを拒否した。公を私に優先したのだった。作家としも直木賞等をもらったが、家庭においてだけは負けず嫌いを貫徹できなかった。妻に頭が上がらないという不満が創作意欲を高めたかもしれないと正彦は思う(雅)
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運よくサンデー毎日の懸賞小説の一等に選ばれ、作家として幸先よいスタートを切ってからも、気象庁の仕事はいささかも手を抜かなかった。どんなに締め切り原稿がたまっていても、勤務中はただの一行も書かなかった。
かつて母親は五歳、二歳、零歳の幼児を連れて北朝鮮の野山を彷徨し、脱出する時、父親は部下を残して帰国するのを拒否した。公を私に優先したのだった。作家としも直木賞等をもらったが、家庭においてだけは負けず嫌いを貫徹できなかった。妻に頭が上がらないという不満が創作意欲を高めたかもしれないと正彦は思う(雅)