恐らく10年以上前、学生時代に”西の魔女が死んだ”を読みました。
それから、留学、就職、結婚、子育てと生活が変わって行く中、つい先日、家の近くの本屋で再び平積みされた”西の魔女が死んだ”を発見。
その足で、本屋にて梨木氏の書籍で一冊だけ置かれていた”家守奇譚”を購入。
その後、作者のことをもっと知りたいと感じ、本エッセイにたどり着きました。
雑誌への連載ではなく書き下ろしで構成された本作は、途中、ふと全く違う話題に内容が転換し、元の話題へとつながる箇所がいくつかあり、本当に作者が書きたいことを書きたいように書いたのだろうと感じさせてくれました。
また、イギリスへの留学やカナダでの生活経験は、私の感じた梨木氏の感性とマッチしており「だからあのような小説が書けるのか」と、胸にストンと落ちる、梨木氏の歩みを感じることができるエッセイでした。
私も同様にイギリスへの留学経験がありますが、残念ながら梨木氏ほどの濃厚な体験はありません。
ただ、本書で梨木氏がよく書いている”国籍による文化や感性、風習の違い”やそれによって生じる誤解や悲しみ、焦燥感、そして喜びは私も同様に、多く感じる機会がありました。
本書で梨木氏が一番伝えたかったことは、恐らくそのことではないかと、私は思います。
モントリオールから乗るオーシャン号の車掌の対応や、トロントの家主、ジョンとの初対面時のやりとり。
イスラム圏留学生とその妻との関係等、多くの場面について似た経験と、その時の自らの対応の拙さが思い出されました。
そのような文化の違いによって起こる様々な感情や、その理由について深く考えることは、恐らく実際に経験した人でなければ難しいことです。
それを文章として起こし、誰かに伝えたい。その思いが感じられる一冊でした。
これから海外留学する方や、海外に住む予定のある方に是非読んで欲しい本です。
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春になったら莓を摘みに (新潮文庫) 文庫 – 2006/2/28
梨木 香歩
(著)
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「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。ウェスト夫人の強靱な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて、「私」は日常を深く生き抜くということを、さらに自分に問い続ける――物語の生れる場所からの、著者初めてのエッセイ。
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/2/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101253366
- ISBN-13978-4101253367
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【新潮文庫】梨木香歩 作品 | 荒れはてた洋館の、秘密の裏庭で声を聞いた──教えよう、君に。そして少女の孤独な魂は、冒険へと旅立った。自分に出会うために。〈児童文学ファンタジー大賞〉 | 学校に足が向かなくなった少女が、大好きな祖母から受けた魔女の手ほどき。何事も自分で決めるのが、魔女修行の肝心かなめで……。 | 祖母が暮らした古い家。糸を染め、機を織る、静かで、けれどもたしかな実感に満ちた日々。生命を支える新しい絆を心に深く伝える物語。 | 持ち主と心を通わすことができる不思議な人形りかさんに導かれて、古い人形たちの遠い記憶に触れた時──。「ミケルの庭」を併録。 | 神様は天使になりきれない人間をゆるしてくださるのだろうか。コウコの嘆きがおばあちゃんの胸奥に眠る切ない記憶を呼び起こす。 | 「理解はできないが受け容れる」──日常を深く生き抜くことを自分に問い続ける著者が、物語の生れる場所で紡ぐ初めてのエッセイ。 |
家守綺譚 | ぐるりのこと | 沼地のある森を抜けて | 渡りの足跡 | 不思議な羅針盤 | エストニア紀行―森の苔・庭の木漏れ日・海の葦― | |
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百年少し前、亡き友の古い家に住む作家の日常にこぼれ出る豊穣な気配……天地の精や植物と作家をめぐる、不思議に懐かしい29章。 | 日常を丁寧に生きて、今いる場所から、一歩一歩確かめながら考えていく。世界(ぐるり)と心通わせて、物語へと向かう強い想いを綴る。 | はじまりは、「ぬかどこ」だった……。あらゆる命に仕込まれた可能性への夢。人間の生の営みの不可思議。命の繋がりを伝える長編。〈紫式部文学賞〉 | 一万キロを無着陸で飛び続けることもある壮大なスケールの 「渡り」。鳥たちをたずね、その生息地へ。奇跡を見つめた旅の記録。〈読売文学賞〉 | 慎ましく咲く花。ふと出会った本。見知らぬ人との会話。日常風景から生まれた様々な思いを、端正な言葉で紡いだエッセイ全28編。 | 郷愁を誘う豊かな自然、昔のままの生活。被支配の歴史残る都市と、祖国への静かな熱情。北欧の小国を真摯に見つめた端正な紀行文。 |
冬虫夏草 | 鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布 | ここに物語が | 村田エフェンディ滞土録 | やがて満ちてくる光の | |
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姿を消した愛犬ゴローを探して、綿貫征四郎は家を出た。鈴鹿山中での人人や精たちとの交流を描く、『家守綺㞍』その後の物語。 | 土地の名まえにはいつも物語がある。地形や植物、文化や歴史、暮らす人々の息遣い……旅した地名が喚起する思いをつづる名随筆集。 | 人は物語に付き添われ、支えられて、一生をまっとうする。長年に亘り綴られた書評や、本にまつわるエッセイを収録した贅沢な一冊。 | 19世紀末のトルコ。留学生、村田が異国の友人らと過ごしたかけがえのない日々。やがて彼らを待つ運命は。胸を打つ青春メモワール。 | 作家として、そして生活者として日々を送る中で感じ、考えてきたことーー。デビューから近年までの作品を集めた貴重なエッセイ集。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/2/28)
- 発売日 : 2006/2/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 254ページ
- ISBN-10 : 4101253366
- ISBN-13 : 978-4101253367
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 139,099位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,679位近現代日本のエッセー・随筆
- - 3,150位新潮文庫
- - 6,274位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1959年生れ。著書に『西の魔女が死んだ』『裏庭』『丹生都比売(におつひめ)』『エンジェル エンジェル エンジェル』『りかさん』『からくりからくさ』『家守奇譚』『村田エフェンディ滞土録』『沼地のある森を抜けて』『f植物園の巣穴』『春になったら莓を摘みに』『ぐるりのこと』『水辺にて』等がある。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年9月12日に日本でレビュー済み
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2014年10月7日に日本でレビュー済み
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表紙、中ともにきれいでした。多少汚れがありましたが、気になるレベルではありませんでした。読むのが楽しみです。
2018年7月14日に日本でレビュー済み
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購入してから数年。
何度も読み返しています。
最初からとか、途中からとか。
魅力的な人物が多く登場し、
そういう方々と親密な間柄になる梨木さんの人柄が偲ばれます。
海外での暮らしぶりも興味深く感じられ、
私にとって大切な一冊です。
何度も読み返しています。
最初からとか、途中からとか。
魅力的な人物が多く登場し、
そういう方々と親密な間柄になる梨木さんの人柄が偲ばれます。
海外での暮らしぶりも興味深く感じられ、
私にとって大切な一冊です。
2014年1月22日に日本でレビュー済み
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梨木さんの本が好きでいろいろ読みました。
こちらはイギリスに留学されていた経験を数章にわけて書かれています。
自分で実際に自然に触れているような感覚を味わえます。
また、おばけの章で人間味あふれる、ホラーでない怪奇現象がたいへん興味深く思えました。
海外経験というと、安易に「自分磨きで」とか「自分探しに」とか聴こえのよい抽象的な表現で、かんたんに観光してその国のなにもかもをわかったようにいう人の多い中、リアルな経験を知ることのできる貴重な本です。
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また、おばけの章で人間味あふれる、ホラーでない怪奇現象がたいへん興味深く思えました。
海外経験というと、安易に「自分磨きで」とか「自分探しに」とか聴こえのよい抽象的な表現で、かんたんに観光してその国のなにもかもをわかったようにいう人の多い中、リアルな経験を知ることのできる貴重な本です。
2009年9月4日に日本でレビュー済み
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エッセイにしては良かったかなと。海外での暮らしぶりや作者の物の考え方がよく分かって、感動できるところもありました。ただ、文が英語的表現が多く読みづらかった。
2015年11月12日に日本でレビュー済み
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以前1週間のロンドン旅行をしました。以来、静かな英国のカントリーヤードにもいつか行きたいと夢見ていました。その夢をこの本の中で味わうことができました。
2005年3月7日に日本でレビュー済み
いきなり梨木さんの本でこれを選ぶよりも、いくつか彼女の作品を読んだ上で手に取ることを強くお勧めします。
登場人物のまっすぐで常に真剣な思いはここから生まれてくるんだと実感出来ます。
また梨木さんの作品を再読したくなること間違い無しです。
登場人物のまっすぐで常に真剣な思いはここから生まれてくるんだと実感出来ます。
また梨木さんの作品を再読したくなること間違い無しです。
2012年9月10日に日本でレビュー済み
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この本、エッセイという事もあって、購入してからなかなか読めませんでした。
だけど、読み始めたらすごく良い。
梨木さんの文章は、その場の空気感も伝えます。
彼女がイギリスで経験した事、その人間関係、また歴史、民俗、アメリカ、カナダ、
私も一緒に経験したかのように新鮮でした。
そして、日本に閉じこもっていることがもったいないと。
9・11からもう10年。
感慨深いです。
だけど、読み始めたらすごく良い。
梨木さんの文章は、その場の空気感も伝えます。
彼女がイギリスで経験した事、その人間関係、また歴史、民俗、アメリカ、カナダ、
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9・11からもう10年。
感慨深いです。