選挙をテーマとしたエンターテイメント小説なのだが、お堅い話がなく軽快なストーリで非常に読みやすかった。金もなく、コネもなく、理想だけで日本の政治を変えようと無所属から立候補した天知達彦陣営の選挙運動の様子がこと細かく、分かりやすく描かれていて楽しめた。最後は、せっかくここまで書いたのなら達彦と健一郎の「その後」をきちんと描いてほしかったが、それでも十分に満足できる作品だった。
特に天知達彦の主張は一貫性があってよかった。自分の預金残高の残金を正直にホームページ上で報告したり、自分に不利になる祖父の不祥事についても包み隠さず正直に報告する姿勢は非常に共感できた。また、「政治の質を政治家に問うことも必要だが、まずは国民の政治を見つめる質を問うことが必要だ。国民は一票という大切な権利を持ってるにも関わらず、信頼できる候補者がいないという理由で行動を起こさない。それでは日本の政治は何も変わらない。選挙は、国民が票という形で意思表示をする唯一の機会だから自ら行動を起こしてほしい」という、国民が政治を変えていくという考え方も賛同できた。
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ダイスをころがせ!〈下〉 (新潮文庫) 文庫 – 2005/4/24
真保 裕一
(著)
駒井健一郎は、達彦とともに天知家の過去との対決を迫られる。一方、地元政財界の絡んだ不透明な土地売買が、彼の社を辞めた原因と繋がっていたことが判る。事件はなおも続く、だが選挙は待ってくれない。遂に、十二日間の決戦が始まった! ポスター、選挙カー。何事につけとんでゆく金に悩みつつも、俺たちは手づくりの選挙を貫く――。青春小説の新たなかたちが、ここにある。
- 本の長さ390ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/4/24
- ISBN-104101270252
- ISBN-13978-4101270258
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/4/24)
- 発売日 : 2005/4/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 390ページ
- ISBN-10 : 4101270252
- ISBN-13 : 978-4101270258
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,267,129位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1961年生まれ。91年『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。96年『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年『奪取』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞をW受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『ブルー・ゴールド』(ISBN-10:402250787X)が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年12月28日に日本でレビュー済み
いよいよ立候補、そして選挙運動。
新人への嫌がらせや、妨害、果ては放火に至るまでとめどない。
しかしこの嫌がらせなどは意外な人物の仕業だった。
選挙運動と並行して土地問題の疑惑追及はなかなか核心にたどり着けなかったが、最終日に市長の親族であることを突き止め盛り上がりが一段と増す。
選挙結果は作品で述べられていないのが中途半端なのかわざと避けたのかは不明。
一般文学通算1793作品目の感想。2016/12/28 16:50
新人への嫌がらせや、妨害、果ては放火に至るまでとめどない。
しかしこの嫌がらせなどは意外な人物の仕業だった。
選挙運動と並行して土地問題の疑惑追及はなかなか核心にたどり着けなかったが、最終日に市長の親族であることを突き止め盛り上がりが一段と増す。
選挙結果は作品で述べられていないのが中途半端なのかわざと避けたのかは不明。
一般文学通算1793作品目の感想。2016/12/28 16:50
2007年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
途中までは面白かった。政治への後半にかけての盛り上がりや、政治にかかわる恋愛、家族もようの語り口や進め方など。
だが、最後の終わり方はなんだろうか。読者への裏切りとしか感じない。
物語には起承転結があって、読み進めてくうちに最後を想像しながら読むのが小説の楽しみ方のひとつである。
この物語には最後の最も大切な「結」がない。選挙結果にしても、人間模様にしてもすべてがあいまいなまま終わるのだ。
どんな物語であっても、最後は最も大切で、白黒つけてしまうと一気に陳腐といってはおかしいかもしれないが、ありきたり感、あぁやっぱりね、という感じが出てしまうものであるが、それを避けるために作者は最後をあいまいにしたり、時に主要人物の死という形で終わるとこがある。ただ、この作品に関してはそれは読者への最大の裏切りだと思う。
たとえばこの物語が短編であるならば、それでもいいかもしれない。しかし、上下巻という長い物語を、読者は何時間も、あるいは何日もかけて読むのである。それでこの終わり方は納得できなくて当然だろう。
こんなに後味が悪い物語もめずらしい。
だが、最後の終わり方はなんだろうか。読者への裏切りとしか感じない。
物語には起承転結があって、読み進めてくうちに最後を想像しながら読むのが小説の楽しみ方のひとつである。
この物語には最後の最も大切な「結」がない。選挙結果にしても、人間模様にしてもすべてがあいまいなまま終わるのだ。
どんな物語であっても、最後は最も大切で、白黒つけてしまうと一気に陳腐といってはおかしいかもしれないが、ありきたり感、あぁやっぱりね、という感じが出てしまうものであるが、それを避けるために作者は最後をあいまいにしたり、時に主要人物の死という形で終わるとこがある。ただ、この作品に関してはそれは読者への最大の裏切りだと思う。
たとえばこの物語が短編であるならば、それでもいいかもしれない。しかし、上下巻という長い物語を、読者は何時間も、あるいは何日もかけて読むのである。それでこの終わり方は納得できなくて当然だろう。
こんなに後味が悪い物語もめずらしい。
2010年9月1日に日本でレビュー済み
賛否の分かれるところではあると思いますが、
結末は何もはっきりしないまま。
選挙で勝ったのか負けたのか。
それぞれの結婚、仕事、この先は??
最後に一抹の物足りなさを感じたものの、
結論じみたものを全部書いてしまうと、
ハッピーエンドにしてもそうならないにしても
なんかうそ臭く思えてきそう。
そうしたリスクを考えたら、
結末はぼやかした形にしたのは
ある意味では正解だったのかもしれないと思った。
それが気に食わないという人は多いと思いますが、
はっきり結末を書けばそれはそれで気に食わない、
という人も出てくる。
この本のテーマは選挙で勝ったか負けたのかではないのだから、
プロセスで終わっても私はいいと思います。
結末は何もはっきりしないまま。
選挙で勝ったのか負けたのか。
それぞれの結婚、仕事、この先は??
最後に一抹の物足りなさを感じたものの、
結論じみたものを全部書いてしまうと、
ハッピーエンドにしてもそうならないにしても
なんかうそ臭く思えてきそう。
そうしたリスクを考えたら、
結末はぼやかした形にしたのは
ある意味では正解だったのかもしれないと思った。
それが気に食わないという人は多いと思いますが、
はっきり結末を書けばそれはそれで気に食わない、
という人も出てくる。
この本のテーマは選挙で勝ったか負けたのかではないのだから、
プロセスで終わっても私はいいと思います。
2007年6月10日に日本でレビュー済み
上巻にぐいぐい引き込まれ、下巻も最後までハラハラさせられつつ、感情移入しつつ読みましたが、最後のこの終わり方には疑問を感じます。入り組んだ人間関係も、選挙結果もそのまま置きざりにされて、ぱたっと話が終わるのです。ものすごく楽しみながら上下巻読んで、これで終わり?と思わざるを得ません。最後以外は圧巻の内容だったのに大いに残念。
2005年7月26日に日本でレビュー済み
この本は上巻の続きです。選挙出馬をするライバルの家の過去との対決、さらには主人公が会社を辞めた原因が地元の財政界と繋がっていることもわかる。ポスターや選挙カーな妨害は続くのですがそれらにひるまず選挙戦を続けるのは素晴らしいです。お勧めです!