以前から不思議に思っていた。
自分の暮らす場所を別の視点、特に高い場所から見下ろすと感じる不思議な気持ちをどう表現すればいいのかと。
「自分が今、どんなところにいるか、あんな高い場所から見下ろせるんだよ。それって幸せなことよ」
走るモノレールから自身が生活するアパートを見下ろす亮介に対し、涼子が言ったこの言葉で、そうか、自分が感じていた思いは「幸せ」という気持ちだったんだと妙に納得してしまいました。
吉田修一という作家は、普段何気なく、特に気にもかけずにいたような物事の細部を表現するのが本当に上手いです。
吉田修一の文体は、スラスラと読みやすいのだけれど後にしっかり残るものがある。
そういった文体を作りあげることは一見簡単そうに見えて非常に高度な技術が駆使されているのではないでしょうか。
吉田修一はこれまで多様な作品を書いてきていますが、本書は著者のそういったさりげない技術力が味わえる代表作の一つと言えるでしょう。
東京湾を挟むお台場と品川埠頭。
目の前に見えているからといって、決してそこが近い場所とは限らない。
私自身、お台場から品川埠頭方面をみたことはあっても、品川埠頭側からお台場をみたことはありません。
それでもその雰囲気がとてもリアルに伝わってきます。
肌感覚とでもいった感じでしょうか。
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東京湾景 (新潮文庫) 文庫 – 2006/6/28
吉田 修一
(著)
「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。品川埠頭の倉庫街で暮らし働く亮介が、携帯サイトの「涼子」と初めて出会った25歳の誕生日。嘘と隠し事で仕掛けあう互いのゲームの目論見は、突然に押し寄せた愛おしさにかき消え、二人は運命の恋に翻弄される。東京湾岸を恋人たちの聖地に変えた、最高にリアルでせつないラブストーリー。
- 本の長さ333ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/6/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101287511
- ISBN-13978-4101287515
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/6/28)
- 発売日 : 2006/6/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 333ページ
- ISBN-10 : 4101287511
- ISBN-13 : 978-4101287515
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 237,936位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1968年9月14日、長崎県生まれ。法政大学経営学部卒。
1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞を受賞。同作が第117回芥川賞候補となる。2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞を立て続けに受賞し、文壇の話題をさらう。2007年『悪人』で大佛次郎賞と毎日出版文化賞を受賞した。
他に『東京湾景』『長崎乱楽坂』『静かな爆弾』『元職員』『横道世之介』など著書多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年2月11日に日本でレビュー済み
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2017年2月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
詳細を書くと未読者の興味を削いでしまうので書きませんが、この小説の最後の言葉に尽きる気がします。
とても読みやすく、一気に読んでしまいました。
オススメです。
とても読みやすく、一気に読んでしまいました。
オススメです。
2016年12月1日に日本でレビュー済み
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展開は興味ぶかかったが、あまりワクワク感を感じなかったのでイマイチ
2014年4月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これが最初に読んだ吉田修一の作品でした。
カバーに惹かれて購入したのですが、たまに無性に読み返したくなるほど好きです。
どんどん読み進めたくなる物語で、一気に吉田修一の世界に魅了されてしまいました!
カバーに惹かれて購入したのですが、たまに無性に読み返したくなるほど好きです。
どんどん読み進めたくなる物語で、一気に吉田修一の世界に魅了されてしまいました!
2016年12月15日に日本でレビュー済み
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この作品を読んで、お台場やモノレールに乗りたくなりました。出逢いは様々だけど、出会い系でこんな深くなれるなんて、凄いな!他人事ながらのめり込んでいました。
2013年8月24日に日本でレビュー済み
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現代の若者と、華やかでなくブルーカラーのごく普通な世界での小説で共感を得ました。
2008年10月14日に日本でレビュー済み
うーん(-"-;)
ドラマは面白かった気がしたからドラマの配役を浮かべるも内容は、おぼろにしか覚えていなくて(汗)
引きつけられる部分は微塵にしか無く読み終わっ後には…(・・?) 伝えたかった事は特に感じられずインパクトの弱い作品だったかな↓↓↓
ドラマは配役が、よかっただけかも?(笑)
ドラマは面白かった気がしたからドラマの配役を浮かべるも内容は、おぼろにしか覚えていなくて(汗)
引きつけられる部分は微塵にしか無く読み終わっ後には…(・・?) 伝えたかった事は特に感じられずインパクトの弱い作品だったかな↓↓↓
ドラマは配役が、よかっただけかも?(笑)
2013年9月22日に日本でレビュー済み
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そのような時間をもらった。愛とか恋とかそういうことに体当たり出来たのか、出来なかったではないか。私は後悔に囚われた。