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善魂宿 (新潮文庫) 文庫 – 2004/11/28
坂東 真砂子
(著)
天鏡峠につらなる山襞に建つ合掌造りの一軒家。かつては大家族がいたこの家に、いまは母と息子だけが暮している。道に迷った旅人たちは、一夜の宿と引き換えに里の話を語り出す。彼岸に日金山に行けばあの世にいる人に会えると、若き日の恋心抱いて登る老女。願掛けのために蛭を食う北前船主の人生を語る仏壇売り──因習の中でも力強く生きる男女の性を浮かび上がらせる連作長編。
- 本の長さ311ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/11/28
- ISBN-104101323259
- ISBN-13978-4101323251
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/11/28)
- 発売日 : 2004/11/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 311ページ
- ISBN-10 : 4101323259
- ISBN-13 : 978-4101323251
- Amazon 売れ筋ランキング: - 666,886位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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昭和33(1958)年、高知県生まれ。奈良女子大学居住学科卒業後、イタリアに2年間留学、インテリアデザインを学ぶ。帰国後フリーライターとして働き つつ童話を発表、57年、第7回毎日童話新人賞優秀賞を受賞。平成6年「蛇鏡」「桃色浄土」が連続して直木賞候補に。8年「桜雨」で第3回島清恋愛文学賞 受賞。9年、「山妣」で第116回直木賞受賞。14年「曼荼羅道」で第15回柴田錬三郎賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 パライゾの寺 (ISBN-13:978-4167584030)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年6月13日に日本でレビュー済み
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この作家の手法の一つ、民俗学資料を材料にした作品。資料をそのまんま取り込んだ表現なので、作家の味付けによって小説が面白い というより、資料をドラマ仕立てで味わう作品と思います。民俗学資料を取り込む手法の作家として、北森鴻さんがいますが、比較してしまう。こちらの方が作家の味付け部分が多く、また深く、広い民俗学、歴史知識も反映した推理作品でこちらの方が好きだ。
2019年9月16日に日本でレビュー済み
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何やら難しげな漢字や方言が並ぶため少々読むのにキツイところが。ストーリーは大人向け日本昔話でしょうか。作者独特な結構エグい表現もあり好みは別れるのかなぁ。面白いと言えば面白い。お薦めかと言われれば悩みますね。
2005年1月15日に日本でレビュー済み
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この作品の主な舞台は母と息子だけが住む合掌造りの家で、飛騨白川村がモデルになっている。かつて白川村の合掌造りの家には20~40人もの人が住み、独特の家族制度を形成していたのだが、それが消滅してから久しい現在、その成立過程や実態がどのようなものだったのかは、よくわからないそうである。その大家族制の実態と消滅過程を、著者が想像力を駆使して書き上げたのがこの作品である。その制度は現代を生きる人にとってとうてい受け入れることの出来ないものであるが、可能性としては十分あり得ると思う。ただし、この作品の半分は旅人によってもたらされた別の地の話で、それ自体がおもしろいことも確かだが、私はもっとこの大家族制に重心を置いて、その中から生まれた様々なドラマで厚みを付けた方が良かったと思う。よって☆は4つ。
2003年4月26日に日本でレビュー済み
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2018年11月19日に日本でレビュー済み
歴史的なのか風俗なのか文化なのか、まとわりつくような絡みつくような田舎の事象が物語となっている 女性作家ならではの濃厚な文章で読後は心なしか疲労していた 坂東作品では一番好きかもしれない
2002年5月14日に日本でレビュー済み
飛騨の山奥,下界からは雲海を抜けないと,たどりつくこともできない隠れ里が舞台。時は,おそらく明治のはじめ頃。ちぬと永吉の親子は,ふたりで合掌造りの家でひっそり暮らしていた。時折,道に迷って隠れ里に入り込んでくる旅人に一飯の宿を供しながら,囲炉裏端で旅人の話をきくというスタイルの短編集。
第1話から5話まではこのスタイルで語れるが,最後の6話だけ,この家の主のちぬが語り部となり,親子2人でこの里に暮らす理由が明らかにされる。
「白川郷の合掌造りの家には,20~40人くらいの家族が共に住んでいて,独特の家族制度を形成していた」という民俗学的史実に基づいて著者が発想したのがこの小説だという。この家族制度の仕組みが読んでいておもしろかった。結婚という制度は無く,基本的に通い婚で母親のもとで子どもは育てられる。家の主人(御亭)は長男が,嬶(かか)は長女が引き継ぎ,主人と嬶は婚姻関係ではなく,兄妹となる。母系の家系制度だったようだ。ただし実際の白川郷の合掌造りの家系制度は生き証人がいなく,実際にようだったかはわからないらしい。
3話の「盆嬶(ぼんかか)」の話も,年頃の男女がくじ引きで決められ共に盆の3日間をすごす慣わしが題材。真夏の太陽の下,男女入り混じって半裸で相撲をとったり,男女の交わりがあっけらかんと描かれていてよかった。
第1話から5話まではこのスタイルで語れるが,最後の6話だけ,この家の主のちぬが語り部となり,親子2人でこの里に暮らす理由が明らかにされる。
「白川郷の合掌造りの家には,20~40人くらいの家族が共に住んでいて,独特の家族制度を形成していた」という民俗学的史実に基づいて著者が発想したのがこの小説だという。この家族制度の仕組みが読んでいておもしろかった。結婚という制度は無く,基本的に通い婚で母親のもとで子どもは育てられる。家の主人(御亭)は長男が,嬶(かか)は長女が引き継ぎ,主人と嬶は婚姻関係ではなく,兄妹となる。母系の家系制度だったようだ。ただし実際の白川郷の合掌造りの家系制度は生き証人がいなく,実際にようだったかはわからないらしい。
3話の「盆嬶(ぼんかか)」の話も,年頃の男女がくじ引きで決められ共に盆の3日間をすごす慣わしが題材。真夏の太陽の下,男女入り混じって半裸で相撲をとったり,男女の交わりがあっけらかんと描かれていてよかった。
2011年2月24日に日本でレビュー済み
坂東眞砂子氏の小説はずいぶんたくさん読んだけれど、中でも本書が最も好きな作品。
独特の家族制度を形成していた大家族の男女が、近代の訪れとともに、一人また一人と去ってゆき、そして最後に残った母と息子。
二人が住む山の中の合掌造りの家は、かつて大勢の男女でにぎわっていたころの残滓が色濃く残り、その拭い去ることのできない寂寥感が、下界と山上と分かつ霧のようにこの古く大きな家を覆っている。
時折、迷い込んでくる旅人たちが語る懐かしくも淡い性愛の思い出は、この家を覆いつくす寂寞の中でこそ、ひときわ鮮やかに輝く。
合掌造り、大家族制度、山、そして寂寞とエロス。これらが見事に結びついた傑作だと思う。
独特の家族制度を形成していた大家族の男女が、近代の訪れとともに、一人また一人と去ってゆき、そして最後に残った母と息子。
二人が住む山の中の合掌造りの家は、かつて大勢の男女でにぎわっていたころの残滓が色濃く残り、その拭い去ることのできない寂寥感が、下界と山上と分かつ霧のようにこの古く大きな家を覆っている。
時折、迷い込んでくる旅人たちが語る懐かしくも淡い性愛の思い出は、この家を覆いつくす寂寞の中でこそ、ひときわ鮮やかに輝く。
合掌造り、大家族制度、山、そして寂寞とエロス。これらが見事に結びついた傑作だと思う。
2009年12月10日に日本でレビュー済み
謎めいた山奥の、まだ年若い母とその息子だけが住む旧家。偶然そこを訪れた旅人たちが、親子に語った4篇の昔話。堺、越後、伊豆、加賀と、旅人たちの地元はさまざまです。
やがて、かつて村に住んでいたという古老から、四つの屋敷を住まいとして、おおぜいの男女が原始共産制のような、そして母系の共同体をなしていた昔の村の姿が語られます。
さらに、それに触発されたかのように、母が今にいたるまでの村の推移を話します。飛騨白川郷の合掌造りに住んでいた大家族が、たったの二人になってしまうまでの物悲しい話です。家族のあり方を問うような記述が印象深いです。
やがて、かつて村に住んでいたという古老から、四つの屋敷を住まいとして、おおぜいの男女が原始共産制のような、そして母系の共同体をなしていた昔の村の姿が語られます。
さらに、それに触発されたかのように、母が今にいたるまでの村の推移を話します。飛騨白川郷の合掌造りに住んでいた大家族が、たったの二人になってしまうまでの物悲しい話です。家族のあり方を問うような記述が印象深いです。