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流しのしたの骨 (新潮文庫) 文庫 – 1999/9/29
江國 香織
(著)
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いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな`小さな弟'律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。
- ISBN-104101339155
- ISBN-13978-4101339153
- 出版社新潮社
- 発売日1999/9/29
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ310ページ
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出版社より
きらきらひかる | こうばしい日々 | つめたいよるに | ホリー・ガーデン | 流しのしたの骨 | すいかの匂い | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥572¥572 | ¥572¥572 | ¥649¥649 | ¥693¥693 | ¥693¥693 | ¥605¥605 |
【新潮文庫】江國香織 作品 | 二人は全てを許し合って結婚した、筈だった……。妻はアル中、夫はホモ。セックスレスの奇妙な新婚夫婦を軸に描く、素敵な愛の物語。 | 恋に遊びに、ぼくはけっこう忙しい。11歳の男の子の日常を綴った表題作など、ピュアで素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。〈坪田譲治文学賞受賞〉 | 愛犬の死の翌日、一人の少年と巡り合った女の子の不思議な一日を描く「デューク」、デビュー作「桃子」など、21編を収録した短編集。 | 果歩と静枝は幼なじみ。二人はいつも一緒だった。30歳を目前にしたいまでも……。対照的な女性二人が織りなす、心洗われる長編小説。 | 夜の散歩が習慣の19歳の私と、タイプの違う二人の姉、小さな弟、家族想いの両親。少し奇妙な家族の半年を描く、静かで心地よい物語。 | バニラアイスの木べらの味、おはじきの音、すいかの匂い。無防備に心に織りこまれてしまった事ども。11人の少女の、夏の記憶の物語。 |
ぼくの小鳥ちゃん | 神様のボート | すみれの花の砂糖漬け | 東京タワー | 号泣する準備はできていた | ぬるい眠り | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥572¥572 | ¥649¥649 | ¥693¥693 | ¥825¥825 | ¥605¥605 | ¥737¥737 |
雪の朝、ぼくの部屋に鳥ちゃんが舞いこんだ。ぼくの彼女をちょっと意識している小鳥ちゃん。少し切なくて幸福な、冬の日々の物語。〈路傍の石文学賞受賞〉 | 消えたパパを待って、あたしとママはずっと旅がらす…。恋愛の静かな狂気に囚われた母と、その傍らで成長していく娘の遥かな物語。 | 大人になって得た自由とよろこび。けれど少女の頃と変わらぬ孤独とかなしみ。言葉によって勇ましく軽やかな、著者の初の詩集。 | 恋はするものじゃなくて、おちるもの──。いつか、きっと、突然に……。東京タワーが見える街で繰り広げられる狂おしい恋愛模様。 | 孤独を真正面から引き受け、女たちは少しでも前進しようと静かに歩き続ける。いつか号泣するとわかっていても。直木賞受賞短篇集。 | 恋人と別れた痛手に押し潰されそうだった。大学の夏休み、雛子は終わった恋を埋葬した。表題作など全9編を収録した文庫オリジナル。 |
雨はコーラがのめない | ウエハースの椅子 | がらくた | 雪だるまの雪子ちゃん | 犬とハモニカ | ちょうちんそで | |
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カスタマーレビュー |
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価格 | ¥605¥605 | ¥572¥572 | ¥693¥693 | ¥825¥825 | ¥605¥605 | ¥539¥539 |
雨と私は、よく一緒に音楽を聴いて、二人だけのみちたりた時間を過ごす。愛犬と音楽に彩られた人気作家の日常を綴るエッセイ集。 | あなたに出会ったとき、私はもう恋をしていた。出会ったとき、あなたはすでに幸福な家庭を持っていた。恋することの絶望を描く傑作。 | 海外のリゾートで出会った45歳の柊子と15歳の美しい少女・美海。再会した東京で、夫を交え複雑に絡み合う人間関係を描く恋愛小説。〈島清恋愛文学賞受賞〉 | ある豪雪の日、雪子ちゃんは地上に舞い降りたのでした。野生の雪だるまは好奇心旺盛。「とけちゃう前に」大冒険。カラー銅版画収録。 | 恋をしても結婚しても、わたしたちは、孤独だ。川端賞受賞の表題作を始め、あたたかい淋しさに十全に満たされる、六つの旅路。〈川端康成文学賞受賞〉 | 雛子は「架空の妹」と生きる。隣人も息子も「現実の妹」も、遠ざけて──。それぞれの謎が繙かれ、織り成される、記者と愛の物語。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1999/9/29)
- 発売日 : 1999/9/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 310ページ
- ISBN-10 : 4101339155
- ISBN-13 : 978-4101339153
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 171,395位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年東京生まれ。1987年『草之丞の話』で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本 周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。「409ラドクリフ」(1989年フェミナ賞)、『こうばしい日々』(1991年産経 児童出版文化賞、1992年坪田譲治文学賞)、『きらきらひかる』(1992年紫式部文学賞)、『ぼくの小鳥ちゃん』(1999年路傍の石文学賞)、『が らくた』(2007年島清恋愛文学賞)など作品多数(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 真昼なのに昏い部屋 (ISBN-13:978-4062161053)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若い時に読んだ本を久し振りに読みました。描写の細やかさに触れ、数十年の時を経てもやはり好きな作品でした。私も、もし骨を隠すとしたら流しの下に隠そうと思います。
2016年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
注文してからすぐに届いて一揆読みでした。いろんな夫婦の形があるんだなぁ~と実感しました。
2014年4月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
娘に頼まれて購入だったので、中身はわかりません。文庫本もありましたが、こちらを購入しました。表紙がとてもきれいだった印象です。
2013年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
改めて読んでみて少し退屈、を感じました。でも、これがそうなのですけど。
2006年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すごく面白くってこの家族の雰囲気が大好きで
さらっと読み終わってしまった。
家族のことが書いてあるってことで
親近感が湧くに読んでて難しいことなんか一つもなかった。
こと子の周りは時間がゆったりしてて
独特で、でも変じゃない。
こと子の家族やボーイフレンドとか
全てほんわかしてて幸せな雰囲気が漂ってる気がする。
一番印象的なのが左利きと右利きのカップルに憧れて
左利きを練習すること子が健気でカワイイ。
さらっと読み終わってしまった。
家族のことが書いてあるってことで
親近感が湧くに読んでて難しいことなんか一つもなかった。
こと子の周りは時間がゆったりしてて
独特で、でも変じゃない。
こと子の家族やボーイフレンドとか
全てほんわかしてて幸せな雰囲気が漂ってる気がする。
一番印象的なのが左利きと右利きのカップルに憧れて
左利きを練習すること子が健気でカワイイ。
2020年7月24日に日本でレビュー済み
すごく大好きで何度も読み返しています。
こんなに繰り返し読む本はこれだけです。
特に何か大きなことがあるわけでなく、ただ淡々と主人公とその家族の日常が書かれています。
文章もとても落ち着いていて、でもその情景が浮かぶような綺麗な文で読みやすいです。
心を落ち着かせたい時に読んでます。
こんなに繰り返し読む本はこれだけです。
特に何か大きなことがあるわけでなく、ただ淡々と主人公とその家族の日常が書かれています。
文章もとても落ち着いていて、でもその情景が浮かぶような綺麗な文で読みやすいです。
心を落ち着かせたい時に読んでます。
2017年7月23日に日本でレビュー済み
江國香織の代表作として『落下する夕方』『東京タワー』『ウエハースの椅子』など、恋愛小説(ととらえられることが多いもの)が有名であるが、比較的マイナーな『流しのしたの骨』は、いわば隠れた名作である。
主人公こと子は何もしていない。高校を卒業した後、働いているわけでも、大学生でも浪人生でもない19歳である。こと子は二人の姉と、“小さな”弟、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族思いの父、の少し変わった6人の家族で暮らしている。両親は何もしないこと子を、少なくとも20歳になるまでは受け入れている。家族のメンバーがそれぞれ何かしらの事件を家に持って来はするが、晩秋から春までの平穏な生活が描かれている。
こと子は家庭以外の場に所属していないので、外部との接触がとても少ない。一人で夜の散歩をするのが趣味であり習慣である。高校時代については、「あんなところはもうたくさん」だといい、将来の目標もないため大学にも入学しなかった。唯一関わりを持っている家族以外の人間は、高校時代の友人に紹介された大学生のボーイフレンド「深町直人」である。
こと子は彼との関わりを通して成長していく。こと子はとにかく「変化」を嫌っていた。例を挙げると、長姉・そよを連れ戻しに来た夫・津下に対しこと子は露骨に警戒し、そよが離れて暮らすことを嫌がる。
また、「深町直人はずっと今のままの深町直人だった、と思う方が嬉しかった」というのもその一例である。今までの深町直人の変化を生け入れられずにいる。それは自分の家族、そして自分も変化していくことについても同じである。
しかし、このような姿勢は、誕生日を境に変わっていく。深町直人に20歳の抱負を尋ねられると、「前進すること。それから正しく生きること」と答える。
こと子は変化を見て見ぬ振りをやめ、「大人」について考える。
「家路を急ぐ人たち。みんなとても大人びて見える。歳をとればとるだけ大人になるのだと思っていた。そうして、大人になれば世の中はぐんと秩序立ってくるのだろうと。終電から降りてきた人たちと一緒に、私は大人のふりをしてさっさと歩く。でもうすうす気づいてはいるのだ。そよちゃんの落ち着きもしま子ちゃんの優しさも、大人になることで身についた資質では絶対にないことに。」
このように、こと子は大人がどのようなものであるか考え、自分に引き寄せて捉えることができるようになるのである。
最終章では、こと子の成長が読み手に直に伝わる。「思っていたほどひどいものじゃないみたいだから」と言い、大学に入ることを決意する。モラトリアムの延長のためではなく、今の生き方をやめ、次の段階に進むためである。家庭にもちょっとした変化が訪れ、また、こと子と深町直人の関係も少し変化した。
読んでいて気になるのはこの作品の、いわば「生気のなさ」である。これは読み手により「穏やかさ」だとも捉えられるが、「風変わり」とされるこの一家は、次姉を例外として基本的に感情の起伏が少ない。家庭という確かな場所があるからか、こと子は深町直人に対して、人間同士であれば少しは感じるはずの不安を感じるそぶりが全くない。
こと子の場合、喜怒哀楽の喜怒がほぼ無いことと、視点が19歳のこと子であると、読み手が感じられないことが、作品に通ずる「生気のなさ」の原因である。こと子は深町直人との関わりを通じて成長しているが、こと子の視点や考え方は作者の主張が強い。こと子は高校時代の同級生とその恋人が別れた時も、長姉と夫が離婚した時も、「別れはあまり不幸そうには見えない」という。そして、どうしてだろうね、と言った深町直人に「私たちが別れる時になればわかる」と悪意なく言った。そして言った途端にその言葉の具体性に気づいた。深町直人も、「そうだね」と笑うだけである。彼らは衝突や不安、嫉妬と無縁である。
このような登場人物たちの精神的な関わりの薄さは、先に述べたようにこと子の視点に作者の主張が強いからだと考えられる。19歳のこと子がどう感じるかよりも、作者が静かな作風にしようと、恣意的にこと子を動かしているように見える。一見あっさりとしているが、こだわりの強い文体、細かなエピソードの記述も、一見深そうで浅く、作品のうわべだけ飾っているように感じられる。先ほど述べたような淡白なこと子の言葉も、19歳の言葉というよりも、作者自身から放たれた言葉をそのまま使っているように感じられる。
しかし、この作品が訴えるものは、人がどうあろうと受け入れてくれる家族の話であり、これは非常に人間的で温かいものである。先に「生気がない」と述べた淡白な文体は、この主題の温かさを主張させすぎないための、江國香織の知性の表れとは考えられないか。落ち着いた文体から、ある一家の日常を淡々と描いた作品と捉えられがちではあるが、作品の中にあるそれぞれの家庭が持つ不思議さや、子供の成長といったテーマが含まれており、このような作者の体験に基づいたテーマが、江國氏の小説の魅力である。
主人公こと子は何もしていない。高校を卒業した後、働いているわけでも、大学生でも浪人生でもない19歳である。こと子は二人の姉と、“小さな”弟、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族思いの父、の少し変わった6人の家族で暮らしている。両親は何もしないこと子を、少なくとも20歳になるまでは受け入れている。家族のメンバーがそれぞれ何かしらの事件を家に持って来はするが、晩秋から春までの平穏な生活が描かれている。
こと子は家庭以外の場に所属していないので、外部との接触がとても少ない。一人で夜の散歩をするのが趣味であり習慣である。高校時代については、「あんなところはもうたくさん」だといい、将来の目標もないため大学にも入学しなかった。唯一関わりを持っている家族以外の人間は、高校時代の友人に紹介された大学生のボーイフレンド「深町直人」である。
こと子は彼との関わりを通して成長していく。こと子はとにかく「変化」を嫌っていた。例を挙げると、長姉・そよを連れ戻しに来た夫・津下に対しこと子は露骨に警戒し、そよが離れて暮らすことを嫌がる。
また、「深町直人はずっと今のままの深町直人だった、と思う方が嬉しかった」というのもその一例である。今までの深町直人の変化を生け入れられずにいる。それは自分の家族、そして自分も変化していくことについても同じである。
しかし、このような姿勢は、誕生日を境に変わっていく。深町直人に20歳の抱負を尋ねられると、「前進すること。それから正しく生きること」と答える。
こと子は変化を見て見ぬ振りをやめ、「大人」について考える。
「家路を急ぐ人たち。みんなとても大人びて見える。歳をとればとるだけ大人になるのだと思っていた。そうして、大人になれば世の中はぐんと秩序立ってくるのだろうと。終電から降りてきた人たちと一緒に、私は大人のふりをしてさっさと歩く。でもうすうす気づいてはいるのだ。そよちゃんの落ち着きもしま子ちゃんの優しさも、大人になることで身についた資質では絶対にないことに。」
このように、こと子は大人がどのようなものであるか考え、自分に引き寄せて捉えることができるようになるのである。
最終章では、こと子の成長が読み手に直に伝わる。「思っていたほどひどいものじゃないみたいだから」と言い、大学に入ることを決意する。モラトリアムの延長のためではなく、今の生き方をやめ、次の段階に進むためである。家庭にもちょっとした変化が訪れ、また、こと子と深町直人の関係も少し変化した。
読んでいて気になるのはこの作品の、いわば「生気のなさ」である。これは読み手により「穏やかさ」だとも捉えられるが、「風変わり」とされるこの一家は、次姉を例外として基本的に感情の起伏が少ない。家庭という確かな場所があるからか、こと子は深町直人に対して、人間同士であれば少しは感じるはずの不安を感じるそぶりが全くない。
こと子の場合、喜怒哀楽の喜怒がほぼ無いことと、視点が19歳のこと子であると、読み手が感じられないことが、作品に通ずる「生気のなさ」の原因である。こと子は深町直人との関わりを通じて成長しているが、こと子の視点や考え方は作者の主張が強い。こと子は高校時代の同級生とその恋人が別れた時も、長姉と夫が離婚した時も、「別れはあまり不幸そうには見えない」という。そして、どうしてだろうね、と言った深町直人に「私たちが別れる時になればわかる」と悪意なく言った。そして言った途端にその言葉の具体性に気づいた。深町直人も、「そうだね」と笑うだけである。彼らは衝突や不安、嫉妬と無縁である。
このような登場人物たちの精神的な関わりの薄さは、先に述べたようにこと子の視点に作者の主張が強いからだと考えられる。19歳のこと子がどう感じるかよりも、作者が静かな作風にしようと、恣意的にこと子を動かしているように見える。一見あっさりとしているが、こだわりの強い文体、細かなエピソードの記述も、一見深そうで浅く、作品のうわべだけ飾っているように感じられる。先ほど述べたような淡白なこと子の言葉も、19歳の言葉というよりも、作者自身から放たれた言葉をそのまま使っているように感じられる。
しかし、この作品が訴えるものは、人がどうあろうと受け入れてくれる家族の話であり、これは非常に人間的で温かいものである。先に「生気がない」と述べた淡白な文体は、この主題の温かさを主張させすぎないための、江國香織の知性の表れとは考えられないか。落ち着いた文体から、ある一家の日常を淡々と描いた作品と捉えられがちではあるが、作品の中にあるそれぞれの家庭が持つ不思議さや、子供の成長といったテーマが含まれており、このような作者の体験に基づいたテーマが、江國氏の小説の魅力である。
2009年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
商品はすぐに手元に届きましたし、オーダーした本も美品だったので、とても信頼できる方から譲っていただけたこと、感謝しています。