"用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。"1952年発刊の本書は、還暦を越えた著者の戦後復興期における【くどくて無駄だらけの旅】であって、翻って【快調で無駄のない文章】が『乗り鉄』だけでなく紀行文の名著として時代を超えて楽しませてくれます。
個人的には『ノラや』にて行方不明になった愛猫に号泣しまくる著者と出会ってから、ズブズブと他作品に手を出す中で『撮り鉄のバイブル的一冊』とも思われる本書を手にとりました。
さて、著者の魅力と言えば、猫好きで鉄オタで食いしん坊な愛されキャラ、人生後半における心の在り方、漱石の弟子としての夢幻小説の書き手など、読み手によって【それぞれに自由に語れるところ】だと思うのですが。
今回、本書を読みながら感じたのは"物語の語り手が読み手をミスリードさせたり幻惑してくる"近年ではカズオイシグロが得意とする【信頼できない語り手】また、ジョイスやウルフといった作家が有名な"人間の移りゆく意識を文章に組み込んだ"【意識の流れ】といった文学上の技法を巧みに織り込みつつ、一方で、カバー写真の入道コスプレかつ厳しい表情で、じわじわ、じわじわーと【忍び寄る笑い】を、つねに『はあ』と応える(キャラに設定された平山氏)『ヒマラヤ山系』とのコンビで仕掛けてくる著者の書き手としての周到で絶妙な旨さでした。
また、そんな事をさておいても。前述した有名な冒頭文に代表されるように、約70年前に本書が発刊された当時の戦後復興期の混乱と貧しさの中でも失われない、著者に代表される、登場する人物たちから全編を通して伝わってくる【明るさと、おおらかな自由さ】の魅力はどうだろうか。相変わらず、インスタ映えを目的にしたコスパ(コストパフォーマンス)の良い【効率的な生き方】が経済的に貧しくなるからこそ【情報として価値があり重宝され】日々大量に溢れかえる今の時代に対して、清々しい清涼さをもって本書は『無言の問いかけ』をしてくれているような読後感が私にはありました。
『乗り鉄』の方や鉄道ファンはもちろん"無駄だらけで無駄のない"紀行文の名著を探す誰かにもオススメ。
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第一阿房列車 (新潮文庫) 文庫 – 2003/4/24
内田 百けん
(著)
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この書を携え、用がなくても旅に出よ!
昭和27年刊行の究極の「テツ本」、
読書界の話題をさらった名著を、新字新かな遣いで復刊。
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」。
借金までして一等車に乗った百閒先生、
世間的な用事のない行程を「阿房列車」と名付け、
弟子の「ヒマラヤ山系」を共づれとして旅に出た。
珍道中のなかにも、戦後日本復興の動きと地方の良俗が描き出され、
先生と「ヒマラヤ山系」の軽妙洒脱な会話が彩りを添える。
目次より
特別阿房列車(東京・大阪)
区間阿房列車(国府津・御殿場線・沼津・由比・興津・静岡)
鹿児島阿房列車前章(尾ノ道・呉線・広島、博多)
鹿児島阿房列車後章(鹿児島・肥薩線・八代)
東北本線阿房列車(福島・盛岡・浅虫)
奥羽本線阿房列車前章(青森・秋田)
奥羽本線阿房列車後章(横手・横黒線・山形・仙山線・松島)
解説・伊藤整
「間のびする旅の極意」森まゆみ
内田百閒(ウチダ・ヒャッケン)
1889-1971年、本名・内田栄造。別号・百鬼園。岡山市に酒造家の一人息子として生れる。旧制六高を経て、東京大学独文科に入学。漱石門下の一員となり芥川龍之介、鈴木三重吉、小宮豊隆、森田草平らと親交を結ぶ。東大卒業後は陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学のドイツ語教授を歴任。1934(昭和9)年、法大を辞職して文筆家の生活に入った。初期の小説には『冥途』『旅順入城式』などの秀作があり、『百鬼園随筆』で独自の文学的世界を確立。俳諧的な風刺とユーモアの中に、人生の深遠をのぞかせる独特の作風を持つ。著作に『続百鬼園随筆』『百鬼園俳句帖』『御馳走帖』『ノラや』、小説『実説艸平記』『阿房列車』等がある。
昭和27年刊行の究極の「テツ本」、
読書界の話題をさらった名著を、新字新かな遣いで復刊。
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」。
借金までして一等車に乗った百閒先生、
世間的な用事のない行程を「阿房列車」と名付け、
弟子の「ヒマラヤ山系」を共づれとして旅に出た。
珍道中のなかにも、戦後日本復興の動きと地方の良俗が描き出され、
先生と「ヒマラヤ山系」の軽妙洒脱な会話が彩りを添える。
目次より
特別阿房列車(東京・大阪)
区間阿房列車(国府津・御殿場線・沼津・由比・興津・静岡)
鹿児島阿房列車前章(尾ノ道・呉線・広島、博多)
鹿児島阿房列車後章(鹿児島・肥薩線・八代)
東北本線阿房列車(福島・盛岡・浅虫)
奥羽本線阿房列車前章(青森・秋田)
奥羽本線阿房列車後章(横手・横黒線・山形・仙山線・松島)
解説・伊藤整
「間のびする旅の極意」森まゆみ
内田百閒(ウチダ・ヒャッケン)
1889-1971年、本名・内田栄造。別号・百鬼園。岡山市に酒造家の一人息子として生れる。旧制六高を経て、東京大学独文科に入学。漱石門下の一員となり芥川龍之介、鈴木三重吉、小宮豊隆、森田草平らと親交を結ぶ。東大卒業後は陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学のドイツ語教授を歴任。1934(昭和9)年、法大を辞職して文筆家の生活に入った。初期の小説には『冥途』『旅順入城式』などの秀作があり、『百鬼園随筆』で独自の文学的世界を確立。俳諧的な風刺とユーモアの中に、人生の深遠をのぞかせる独特の作風を持つ。著作に『続百鬼園随筆』『百鬼園俳句帖』『御馳走帖』『ノラや』、小説『実説艸平記』『阿房列車』等がある。
- ISBN-104101356335
- ISBN-13978-4101356334
- 出版社新潮社
- 発売日2003/4/24
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ317ページ
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出版社より
第一阿房列車 | 第二阿房列車 | 第三阿房列車 | 百鬼園随筆 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.1
146
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5つ星のうち4.4
77
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5つ星のうち4.1
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価格 | ¥693¥693 | ¥649¥649 | ¥649¥649 | ¥781¥781 |
【新潮文庫】内田百閒 作品 | 「なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う」。借金をして一等車に乗った百閒先生と弟子の珍道中。 | 百閒先生の用のない旅は続く。弟子の「ヒマラヤ山系」を伴い日本全国を汽車で巡るシリーズ第二弾。付録・鉄道唱歌第一、第二集。 | 百閒先生の旅は佳境に入った。長崎、房総、四国、松江、興津に不知火と巡り、走行距離は総計1万キロ。名作随筆「阿房列車」完結篇。 | 昭和の随筆ブームの先駆けとなった内田百閒の代表作。軽妙洒脱な味わいを持つ古典的名著が、読みやすい新字新かな遣いで登場! |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2003/4/24)
- 発売日 : 2003/4/24
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 317ページ
- ISBN-10 : 4101356335
- ISBN-13 : 978-4101356334
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 19,832位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 52位日本文学(日記・書簡)
- - 54位ロシア・東欧文学研究
- - 455位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年7月13日に日本でレビュー済み
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2022年12月11日に日本でレビュー済み
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産経新聞で連載していた「令和阿房列車で行こう 鉄道開通150年記念」を読んで(紹介していた?)オリジナルに興味を持ち購入しました。
鉄道には特別興味があるわけではないですが、筆者のユーモアセンス、頑固さ、弱気なところなど面白かったです。
夏目漱石の坊ちゃんなどに通じるところがあるように感じました。
続編もあるようなので購入したいと思います。
鉄道には特別興味があるわけではないですが、筆者のユーモアセンス、頑固さ、弱気なところなど面白かったです。
夏目漱石の坊ちゃんなどに通じるところがあるように感じました。
続編もあるようなので購入したいと思います。
2020年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
無事に届きました。問題ありません。
中身はこれから楽しみます。
中身はこれから楽しみます。
2023年9月24日に日本でレビュー済み
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読後感、分かりませんでした。魅力的な書き出しでしたが。
2020年5月31日に日本でレビュー済み
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大阪に向かう特別急行「はと」号で、「丹那隧道に這入る時、山系を促して展望車のデッキに出て見た、、、隧道の中の風は冷たいし、何となく物騒だから中に這入った。」同書P35
そうなんです。トンネル内は暗く冷たく風が強く音も大きく反響し、すべてが非日常で生理的にとても不気味なのです。「何となく物騒」は、展望車どころか窓を開けるのも難しい今、味わうのは難しくなりましたね。
そうなんです。トンネル内は暗く冷たく風が強く音も大きく反響し、すべてが非日常で生理的にとても不気味なのです。「何となく物騒」は、展望車どころか窓を開けるのも難しい今、味わうのは難しくなりましたね。
2019年5月27日に日本でレビュー済み
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最初はつまらなかった。退屈で途中何度か放り出しそうになった。
しかし読むのやめようかなと思い始めたころに、
そんなものはいらんと言ったゆでたまごをヒラヤマ山系が見てない隙に食べてしまうようなかわいらしさや、
温泉の熱湯でのやりとりなど、思わず噴き出してしまう場面がたびたびあり、結局最後まで読んでしまった。
ぼうっと読んでいるうちに、いつの間にか自分も阿房列車に同乗していた。
乗る汽車や行く方面が違うだけで列車に乗って何か食って飲んで泊まって、とやっていることは同じなので、
ドタバタがあるわけでもなく特別なにかしら事件がおきるわけでもないので、
スジだけ追って読んでいると退屈に感じるのは仕方ないかもしれません。
ゆったりとした気分で風景や会話するシーンを想像して読んでいれば、いつの間にか阿房列車に同乗しています。
しかし読むのやめようかなと思い始めたころに、
そんなものはいらんと言ったゆでたまごをヒラヤマ山系が見てない隙に食べてしまうようなかわいらしさや、
温泉の熱湯でのやりとりなど、思わず噴き出してしまう場面がたびたびあり、結局最後まで読んでしまった。
ぼうっと読んでいるうちに、いつの間にか自分も阿房列車に同乗していた。
乗る汽車や行く方面が違うだけで列車に乗って何か食って飲んで泊まって、とやっていることは同じなので、
ドタバタがあるわけでもなく特別なにかしら事件がおきるわけでもないので、
スジだけ追って読んでいると退屈に感じるのは仕方ないかもしれません。
ゆったりとした気分で風景や会話するシーンを想像して読んでいれば、いつの間にか阿房列車に同乗しています。
2020年9月10日に日本でレビュー済み
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これだけの書き手がいたことを知らずにいたことの不明を恥じる思いです。さほどに読んだことはなくとも、昭和の書き手でまずその名と書き味というか、その読み味というか、それらの点で全く知らない人物は、まずは存在しないだろうとと思っていたので、うろたえています。書き手の名前の読み方すらも知らなかったことが恥ずかしい。さすがの書き手である。たかが列車、鉄道にあらず、鉄道オタクのレベルにあらず。昔、ユーモア小説に佐々木邦があったが、今更、昭和の時代は素晴らしい書き手を要していたと改めて思う。ぜひにも多くの人に一読をお勧めしたい。
2019年1月11日に日本でレビュー済み
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もっと早く教えてよー!!57歳だよ?俺。百閒先生おもしろい!!やられたー!!でも死ぬまでに読めて良かったです。