夏目漱石でしたか「素人と玄人」の中で、「玄人(いわゆる専門家と言われる人たち)は木を見て森を見ない。
森の中の一本一本の木については驚くほど詳細に知ってはいるが、森についてはほとんど無知である。
森については素人と言われる人の方がはるかに良く知っている・・」と言うようなことを書いていた気がします。
江戸時代についても、その時々や特定の分野(享保の改革とか貨幣の改鋳など)についての書物は多いが、
江戸時代を通じての「全体の通史」と言うものは全く少ないのが現状です。
この本は「政治」「経済」「外交」「教育」「官僚制度」「風俗」などを全て込み込みで読ませてくれる誠にユニークな作品です。
これを読めば、なぜ江戸幕府が倒壊したのか、納得できるでしょう。(通説の盲点ですな)
と同時に、いわゆる「徳川埋蔵金」の有無についても良く判ると思います。
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将軍たちの金庫番 (新潮文庫 さ 65-1) 文庫 – 2008/9/30
佐藤 雅美
(著)
- 本の長さ322ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/9/30
- ISBN-104101360510
- ISBN-13978-4101360515
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2008/9/30)
- 発売日 : 2008/9/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 322ページ
- ISBN-10 : 4101360510
- ISBN-13 : 978-4101360515
- Amazon 売れ筋ランキング: - 680,235位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2009年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史小説家による江戸期財政通史。ただ資料の少ない世界のこと、金銀の通貨史、薩摩藩の財政逼迫、幕末開港に伴う通貨混乱、にフォーカスした経済読本の体裁になっている。
江戸時代は、中世的な封建制を政治的基礎にしながら集権的であり、商工業が発達しながら米穀のみ課税を続け、大型船舶をもちながら限定貿易という、経済史的に特殊で面白い時代だった。武士階級の消費が町民階級を育て、参勤交代が街道往来を活発化させ、金銀の改鋳でマネーサプライを拡大させたのだから、武士の堕落と儒教的な観点から批判される時代性も、マクロ経済で見れば政府部門がポンプ役となり経済成長を促したのだと評価が可能だ。
本書の初版は20年前。昔は江戸時代の歴史を政治史として、儒教的な道徳観から論じるのが主流だったが、時代を経て経済史にも光が当たるようになり、例えば井沢さんなんかも積極的に採り上げている。明治以降の西欧化は江戸時代の蓄積なしには考えられない。内容的には偏っているが、この分野に興味を持たせてくれる一冊。
江戸時代は、中世的な封建制を政治的基礎にしながら集権的であり、商工業が発達しながら米穀のみ課税を続け、大型船舶をもちながら限定貿易という、経済史的に特殊で面白い時代だった。武士階級の消費が町民階級を育て、参勤交代が街道往来を活発化させ、金銀の改鋳でマネーサプライを拡大させたのだから、武士の堕落と儒教的な観点から批判される時代性も、マクロ経済で見れば政府部門がポンプ役となり経済成長を促したのだと評価が可能だ。
本書の初版は20年前。昔は江戸時代の歴史を政治史として、儒教的な道徳観から論じるのが主流だったが、時代を経て経済史にも光が当たるようになり、例えば井沢さんなんかも積極的に採り上げている。明治以降の西欧化は江戸時代の蓄積なしには考えられない。内容的には偏っているが、この分野に興味を持たせてくれる一冊。
2008年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いまの歴史教科書に書いてあるかどうか知らないが、江戸幕府が瓦解した大きな理由に、開国のさいの金銀貨幣比価の差があったと、小学校の社会科で習った記憶がある。佐藤雅美氏、久方ぶりの幕末経済小説かと思い手に取ったら、ガックリ。これって20年近く前に読んだアレ(『江戸の税と通貨』)の改題かよと思いながら、結局、また最後まで読んでしまった。文句なく面白い。
すでに実質的に金本位制を採用していた徳川政府が、その貿易政策無策から、銀本位体制下にあった東洋水域での通商経験しか持たないタウンゼント・ハリスの傲慢さに捻じ伏せられてしまったという本書のコンセプトには、原著当時、かなり魅せられた覚えがある。この問題に関する書籍は、他にも折にふれ種々読合わせてみた覚えもあるが、たしかに本書は、この上なく問題の所在を適格に捉えており、現在でも少しも色褪せていない。
ただし、江戸時代経済の通史として見るとなると不満も残る。
元禄時代、あの勘定奉行・荻原重秀の金銀通貨改鋳政策を、馬鹿に持上げる経済学者を今でも見掛けるが、金属の地金に刻印を打って貨幣とする西ユーラシア型通貨史の常識でみるなら、この改鋳政策は新鮮な着想に思えるかも知れないが、東洋史を齧ったおぼえのあるサイドからみると、あらゆる時代に何度も繰返された陳腐な政策というにすぎない。中国史における魏晋南北朝の鵞銭、日本史の皇朝十二銭など、このような恣意的貨幣政策の失敗例を挙げるに暇はいらず、荻原は、たんに東洋史の通例(通弊?)に倣ったというべきだろう。
むしろ、江戸幕府が何故、紙幣を発行しなかったのか、そっちのほうが遥かに不思議ではないだろうか。マルコポーロが驚嘆したように、古くから東洋水域では紙幣が流通していたし、江戸時代、現に信用手形も発行され、藩札という紙幣も使われていて、すでに経験はタップリあったのに、である。この問題に取組んだ研究者も居ないわけではないが、歴史学者は経済を知らず、経済学者は歴史を知らないため、だいたい全部、まとを外してしまっている。
このへん、もうちょっと何とかならないものかしらね。
すでに実質的に金本位制を採用していた徳川政府が、その貿易政策無策から、銀本位体制下にあった東洋水域での通商経験しか持たないタウンゼント・ハリスの傲慢さに捻じ伏せられてしまったという本書のコンセプトには、原著当時、かなり魅せられた覚えがある。この問題に関する書籍は、他にも折にふれ種々読合わせてみた覚えもあるが、たしかに本書は、この上なく問題の所在を適格に捉えており、現在でも少しも色褪せていない。
ただし、江戸時代経済の通史として見るとなると不満も残る。
元禄時代、あの勘定奉行・荻原重秀の金銀通貨改鋳政策を、馬鹿に持上げる経済学者を今でも見掛けるが、金属の地金に刻印を打って貨幣とする西ユーラシア型通貨史の常識でみるなら、この改鋳政策は新鮮な着想に思えるかも知れないが、東洋史を齧ったおぼえのあるサイドからみると、あらゆる時代に何度も繰返された陳腐な政策というにすぎない。中国史における魏晋南北朝の鵞銭、日本史の皇朝十二銭など、このような恣意的貨幣政策の失敗例を挙げるに暇はいらず、荻原は、たんに東洋史の通例(通弊?)に倣ったというべきだろう。
むしろ、江戸幕府が何故、紙幣を発行しなかったのか、そっちのほうが遥かに不思議ではないだろうか。マルコポーロが驚嘆したように、古くから東洋水域では紙幣が流通していたし、江戸時代、現に信用手形も発行され、藩札という紙幣も使われていて、すでに経験はタップリあったのに、である。この問題に取組んだ研究者も居ないわけではないが、歴史学者は経済を知らず、経済学者は歴史を知らないため、だいたい全部、まとを外してしまっている。
このへん、もうちょっと何とかならないものかしらね。
2010年3月8日に日本でレビュー済み
本書は、1989年に「江戸の税と通貨」(太陽企画出版)として刊行され、1994年4月に「江戸の経済官僚」(徳間文庫)と改題・文庫化された本を再文庫化したもの。
江戸時代を通じて、(a)幕府や薩摩藩の収入源や財政状態はどうであったか、(b)貨幣制度はどうであったか、(c)貨幣改鋳によってどの程度の収入が幕府にあったか、(d)幕末の欧米列強との経済交渉はどんなふうであったか、(e)それぞれの施策や交渉に武士たちがどのようにかかわったか、などを記述している。
たいへん内容の濃い本であり、記述は多岐にわたる。
特に、江戸時代の貨幣について、後世の国々が金本位制から不換紙幣(金貨や銀貨との交換を前提としない信用貨幣)へと移っていった貨幣制度の変遷のさきがけをなすものという著者の考察には、「へえー」という感じがした。
また、幕府や薩摩藩の財政状態が時代とともに坂道をころがるように悪化していったこともよく理解できた。
その反面、本書はやや専門的であり、たとえば「金本位制って何?」という感じの読者にとってはハードルが高い本だと思います。
また、ためにはなりますが、やや記述が硬く、少したいくつと感じる人もいるのではないでようか。
江戸時代を通じて、(a)幕府や薩摩藩の収入源や財政状態はどうであったか、(b)貨幣制度はどうであったか、(c)貨幣改鋳によってどの程度の収入が幕府にあったか、(d)幕末の欧米列強との経済交渉はどんなふうであったか、(e)それぞれの施策や交渉に武士たちがどのようにかかわったか、などを記述している。
たいへん内容の濃い本であり、記述は多岐にわたる。
特に、江戸時代の貨幣について、後世の国々が金本位制から不換紙幣(金貨や銀貨との交換を前提としない信用貨幣)へと移っていった貨幣制度の変遷のさきがけをなすものという著者の考察には、「へえー」という感じがした。
また、幕府や薩摩藩の財政状態が時代とともに坂道をころがるように悪化していったこともよく理解できた。
その反面、本書はやや専門的であり、たとえば「金本位制って何?」という感じの読者にとってはハードルが高い本だと思います。
また、ためにはなりますが、やや記述が硬く、少したいくつと感じる人もいるのではないでようか。