プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥1,155¥1,155 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥1,155¥1,155 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥16¥16 税込
配送料 ¥257 5月29日-30日にお届け
発送元: 古本配達本舗 通常24時間以内に発送可能です。 販売者: 古本配達本舗 通常24時間以内に発送可能です。
¥16¥16 税込
配送料 ¥257 5月29日-30日にお届け
発送元: 古本配達本舗 通常24時間以内に発送可能です。
販売者: 古本配達本舗 通常24時間以内に発送可能です。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
理由 (新潮文庫) 文庫 – 2004/6/29
宮部 みゆき
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,155","priceAmount":1155.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,155","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"u1b%2B49RFmYlhRkP%2BTZG3SHO4DXs8op8ZS1BCF6vvTzjPT59if0bb42LB648QaxoMTVs%2FfKKS%2F6QGhBS%2FUaBu9e2pvBZOjTc3LzCX%2BX5IjN3OOQ56cfnj9x%2BLImfKl%2B4G","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥16","priceAmount":16.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"16","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"u1b%2B49RFmYlhRkP%2BTZG3SHO4DXs8op8ZFkZ9JZ0CBgTD2u2jmQ0ZL3AS5NpDVxXGSqYId0RGyEBD2KesW%2Bp4U81NE4J7EceEClkCWvCgEqJNqEYL7Af8VPxY5AMLHBS1Q%2Fw7l1zr2H3sFVpXKlmux%2FYfRUXyoHyNS6NNeCrCMHzEbyigQumV1A%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
事件はなぜ起こったか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか――。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室内には中年男女と老女の惨殺体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった……。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
- 本の長さ686ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/6/29
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101369232
- ISBN-13978-4101369235
よく一緒に購入されている商品
対象商品: 理由 (新潮文庫)
¥1,155¥1,155
最短で5月28日 火曜日のお届け予定です
残り11点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
出版社より
魔術はささやく | レベル7 | 返事はいらない | 龍は眠る | 本所深川ふしぎ草紙 | かまいたち | |
---|---|---|---|---|---|---|
カスタマーレビュー |
5つ星のうち3.8
121
|
5つ星のうち3.8
162
|
5つ星のうち4.0
56
|
5つ星のうち4.3
124
|
5つ星のうち4.3
127
|
5つ星のうち4.2
72
|
価格 | ¥935¥935 | ¥1,265¥1,265 | ¥737¥737 | ¥1,045¥1,045 | ¥737¥737 | ¥649¥649 |
【新潮文庫】宮部みゆき 作品 | それぞれ無関係に見えた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた。しかし知らず知らず事件の真相に迫っていく少年がいた。〈日本推理サスペンス大賞受賞〉 | レベル 7 まで行ったら戻れない。謎の言葉を残して失踪した少女を探すカウンセラーと記憶を失った男女の追跡行は……緊迫の四日間。 | 失恋から犯罪の片棒を担ぐにいたる微妙な女性心理を描く表題作など 6 編。日々の生活と幻想が交錯する東京の街と人を描く短編集。 | 雑誌記者の高坂は嵐の晩に、超常能力者と名乗る少年、慎司と出会った。それが全ての始まりだったのだ。やがて高坂の周囲に……。〈日本推理作家協会賞受賞〉 | 深川七不思議を題材に、下町の人情の機微とささやかな日々の哀歓をミステリー仕立てで描く 7 編。宮部みゆきワールド時代小説篇。〈吉川英治文学新人賞受賞〉 | 夜な夜な出没して江戸を恐怖に陥れる辻斬り”かまいたち”の正体に迫る町娘。サスペンス満点の表題作はじめ四編収録の時代短編集。 |
淋しい狩人 | 火車 | 幻色江戸ごよみ | 初ものがたり | ほのぼのお徒歩日記 | 堪忍箱 | |
---|---|---|---|---|---|---|
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.0
49
|
5つ星のうち4.1
708
|
5つ星のうち4.3
96
|
5つ星のうち4.6
32
|
5つ星のうち3.9
79
|
5つ星のうち4.2
64
|
価格 | ¥693¥693 | ¥1,210¥1,210 | ¥880¥880 | ¥649¥649 | ¥693¥693 | ¥693¥693 |
東京下町にある古書店、田辺書店を舞台に繰り広げられる様々な事件。店主のイワさんと孫の稔が謎を解いていく。連作短編集。 | 休職中の刑事、本間は遠縁の男性に頼まれ、失踪した婚約者の行方を捜すことに。だが女性の意外な正体が次第に明らかとなり……。〈山本周五郎賞受賞〉 | 江戸の市井を生きる人びとの哀歓と、᷿の怪異を四季の移り変わりと共にたどる。”時代小説作家”宮部みゆきが新境地を開いた 12 編。 | 鰹、白魚、柿、桜……。江戸の四季を彩る「初もの」がらみの謎また謎。さあ事件だ、われらが茂七親分──。連作時代ミステリー。 | 江戸を、日本を、国民作家が歩き、食べ、語り尽くす。著者初のエッセイ集『平成お徒歩日記』に書き下ろし一編を加えた新装完全版。 | 蓋を開けると災いが降りかかるという箱に、心ざわめかせ、呑み込まれていく人々──。人生の苦さ、切なさが沁みる時代小説八篇。 |
理由 | 荒神 | 模倣犯〔一〕~〔五〕 | あかんべえ〔上・下〕 | 孤宿の人〔上・下〕 | 英雄の書〔上・下〕 | |
---|---|---|---|---|---|---|
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.2
300
|
5つ星のうち4.3
162
|
5つ星のうち4.3
170
|
5つ星のうち3.9
75
|
5つ星のうち4.2
153
|
5つ星のうち3.7
81
|
価格 | ¥1,155¥1,155 | ¥1,100¥1,100 | ¥1,045¥1,045 | ¥649¥649 | ¥990¥990 | ¥781¥781 |
被害者だったはずの家族は、実は見ず知らずの他人同士だった……。斬新な手法で現代社会の悲劇を浮き彫りにした、新たなる古典!〈直木賞受賞〉 | 時は元禄、東北の小藩の山村が一夜にして壊滅した。二藩の思惑が交錯する地で起きた”厄災”とは。宮部みゆき時代小説の到達点。 | 邪悪な欲望のままに「女性狩り」を繰り返し、マス コミを愚弄して勝ち誇る怪物の正体は?著者の代 表作にして現代ミステリの金字塔!〈芸術選奨受賞〉 | 深川の「ふね屋」で起きた怪異騒動。なぜか娘のおりんにしか、亡者の姿は見えなかった。少女と亡者の交流に心温まる感動の時代長編。 | 藩内で毒死や凶事が相次ぎ、流罪となった幕府要人の祟りと噂された。お家騒動を背景に無垢な少女の魂の成長を描く感動の時代長編。 | 中学生の兄が同級生を刺して失踪。妹の友理子は、 ”英雄”に取り憑かれ罪を犯した兄を救うため、勇気を奮って大冒険の旅へと出た |
ソロモンの偽証 第Ⅰ部~第Ⅲ部 | 悲嘆の門〔上・中・〕 | この世の春〔上・中・下〕 | 小暮写眞館 Ⅰ~Ⅳ | |
---|---|---|---|---|
カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.0
113
|
5つ星のうち4.2
76
|
5つ星のうち4.2
219
|
5つ星のうち3.5
24
|
価格 | ¥880¥880 | ¥737¥737 | ¥693¥693 | ¥506¥506 |
クリスマス未明に転落死したひとりの中学生。彼の死は、自殺か、殺人か──。作家生活25 年の集大成、 現代ミステリーの最高峰。 | サイバー・パトロール会社「クマー」で働く三島孝太郎は、切断魔による猟奇殺人の調査を始めるが……。物語の根源を問う傑作長編。 | 藩主の強制隠居。彼は名君か。あるいは、殺人鬼か。北関東の小藩で起きた政変の奥底にある「闇」とは ……。作家生活30周年記念作 | 築三十三年の古びた写真館に住むことになった高校生、花菱英一。写真に秘められた物語を解き明かす、心温まる現代ミステリー。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/6/29)
- 発売日 : 2004/6/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 686ページ
- ISBN-10 : 4101369232
- ISBN-13 : 978-4101369235
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 95,202位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1960年生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業。
法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。
1992年 「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、 同年「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞。1993年 「火車」で第6回山本周五郎賞。1997年 「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞。1999年 「理由」で第120回直木賞。2001年 「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞 、 第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。2007年 「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞受賞。2008年 英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award 受賞。2022年 第70回菊池寛賞受賞。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年4月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これだけ多数の登場人物の思いを描いた作品は初めてでした。殺人現場が高層マンション故に発生する人間関係や競売物件の占有屋など現在でもあるのかもと思いました。宮部さんの作品は、いつも世間の課題を訴えていますね。
2023年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やや長すぎるという面は否めないが、よく調査され面白かった。
2023年12月31日に日本でレビュー済み
とても良かった。家父長制にしろなんにせよ、古き因習に、結局はたかだか一世代くらいしか隔てられてない我々がいかに縛られてるか。
またはやっと見つけた、抱きしめていたい新たな発明とさえいえるような名もない繋がりを邪魔してこようとするか。
朗読は田中哲司で、声が抑揚が、その間が良すぎて何度か寝落ちしたけど、なんとか最後まで辿り着けたときには静かなカタルシスが訪れた。またいつか近いうちに聴くと思う。
またはやっと見つけた、抱きしめていたい新たな発明とさえいえるような名もない繋がりを邪魔してこようとするか。
朗読は田中哲司で、声が抑揚が、その間が良すぎて何度か寝落ちしたけど、なんとか最後まで辿り着けたときには静かなカタルシスが訪れた。またいつか近いうちに聴くと思う。
2019年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
宮部氏の大ファンなのですが、これは宮部氏独特の心理描写と言うものがすっぽり抜けていて、インタビュー形式で読んでいて個人個人の細かな心情が伝わりにくかった。
競売という法律の穴場ばかりの説明で、そんなことは知りたくもない私には退屈であった。
本当に、名著が多い宮部氏の作品の中で、私はあまり好きではない
競売という法律の穴場ばかりの説明で、そんなことは知りたくもない私には退屈であった。
本当に、名著が多い宮部氏の作品の中で、私はあまり好きではない
2019年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私には宮部さんの小説を愛読している友人がおりますが、宮部さんの作品の感想を楽しそうに話すのを聞くことがあったため、私も宮部さんの作品に興味を持つことになりました。そして、数ある作品の内、先ずは第120回直木賞受賞作である本作を手に取ってみたのでした。そうしたところ、その友人が言う様に一気に読み進めてしまったのでした。とても興味深い内容の小説であったので、ご一読をお薦め致します。ただ、本書のご一読をお薦めするに当たって、本書を通読して感じたことを以下に記しておこうと思います(若干小説の内容に踏み込みますので、気になる方は、これより先には目を通さない様にして頂ければ幸いです)。
私としては、本書を通読している間、自分自身と世代が近い青少年の登場人物に自然と関心が向かっていきました。年齢順に書くと以下の様な感じです。
八代裕司:21歳(1975年生まれ。)
砂川毅:21歳(1975年生まれ。2019年時点44歳と推定)
石田直己:20歳(1976年生まれ。2019年時点43歳と推定)
宝井康隆:16歳(1980年生まれ。2019年時点39歳と推定)
小糸孝弘:14歳(1982年生まれ。2019年時点37歳と推定)
私が見る限り、これらの登場人物は、八代裕司を除いて、与えられた環境下で懸命にベストを尽くすという人達でした。言い換えると、与えられた環境そのものを大きなリスクを犯して変えようとはしていない人達ということになります。そのため、地に足がついている人達という印象を受けました。そして、実際のところ私の周囲でもこの様な人達はとても多い様に感じられました。
一方、これらの青少年の中で八代裕司だけは異なった性質を持っている様に見えました。どうも、八代裕司の異質感が半端無く感じられたのでした。しかし、なぜその様な違いがあるのかを考えようにも、八代裕司に関する情報が極端に欠落しているため、頭の中で少しモヤモヤしてしまいました。ただ、この情報の欠落は、多くのレビュアーの方々の指摘するところでもありますが、著者の宮部さんが敢えて意図的にそう設定されている様に思われました。そして、その背景には、読者にそんなモヤモヤを味わって欲しいという、宮部さんの思いがある様に感じられました。
しかし、このモヤモヤを感じている時、私にはある登場人物がふと思い出されました。それは521頁に登場するイーストタワー1320号室の住人であるB子さんでした(22歳。1974年生まれ。2019年時点45歳と推定)。B子さんは八代裕司や砂川毅の一つ年上に当たります。B子さんについては「周囲の大人社会から注目されて、チヤホヤされるのが嬉しくてしょうがないんです。」(529頁)という記述があります。実際、B子さんは世間がびっくりする様な証言を突然行うことによって、社会から注目を浴びるということに成功しました。しかし、その成功は非常に危なっかしいものでした。そして、大きなリスクを踏んでまで危なっかしい成功を収めようとする点において、B子さんは八代裕司に似ていると感じました。つまり、B子さんも八代裕司も、先に挙げた青少年の登場人物とは異なり、地に足が付いていない様に感じられたのでした。
しかしながら、B子さんと八代裕司との間には一つ大きく異なる点がある様にも思われました。それはB子さんにはそれまでにも(限られた範囲ではあれ)チヤホヤされてきたという成功体験がある一方で、八代裕司にはそれまで成功体験と言えるものが無い様に見えたところでした。つまり、B子さんはそれまでの成功体験を踏まえて、更なる成功のために大きなリスクを踏んだと言える一方で、八代裕司にはその様な成功体験を持ち合わせていないままに大きな掛けに出たと言える様に見えたのでした。そのため、八代裕司が実行したことは、私には、三振したことしかなく、そもそもボールをバットに当てたこともない人が、いきなりホームランを打とうと、なりふり構わずに振った凄まじいスイングの様なものに映りました。
その、八代裕司が狙ったホームランは(宝井綾子が信じていた様に)家族を志向したものなのかもしれませんし、(ウエストタワー2023号室の葛西美枝子が指摘した様に)お金だけを志向したものなのかもしれません。また、八代裕司自身がどの程度「理由」を自覚していたのは分かりません。しかしながら、いずれにしても、そのスイングは宝井綾子の言葉を借りれば、「憑き物につかれたような顔して」(593頁)振られた、凄まじいものだったのだと思います。そして、八代裕司は「バブル経済と共に誕生を約束され、その崩壊と共に産声をあげたことになる」(19頁)マンションの一室を舞台にして、それまでの人生を清算する様な凄まじいスイングをしたのだと感じました。そういうこともあり、私は、本書をバブル崩壊の影響を受けた人々を描いた小説であると捉えました(様々な問題を抱えた家族を描くことで、時代や地域を超えた家族の普遍性を問う小説と捉えることもできるとは思いますが)。
なお、上述の葛西美恵子の言葉に「若い人には、八代裕司の気持ち、判るんじゃないでしょうか」というものがあります(674頁)。しかし、私にはそうは思えません。むしろ若い人であればあるほど、八代裕司の気持ちが判らないものと思います。このことについては、例えば、593頁の、「八代裕司には無かったものが康隆にはあるからなのか、八代裕司が持っていたものを康隆は持っていないからなのか。どちらなのだろう。それも判らない。」という宝井康隆に関する記述が端的に示しています。つまり、宝井康隆にとっては、八代裕司は理解することなど「ほとんど不可能」(同頁)な存在なのです。これは、バブル崩壊直後に社会に出たと想定される(バブルの熱気をまとっている)B子さんや八代裕司とは異なり、バブル崩壊後ある程度の時間を経てから社会に出ることになる(バブルの熱気をまとっていない)宝井康隆にとって、下手にリスクを取るなどということはナンセンスであり、地に足着けて生きていくことが、唯一できることかつ当たり前のことであったためだと思います。よって、私には、宝井綾子が表現した八代裕司の「憑き物」も、このマンション同様に「バブル経済と共に誕生を約束され、その崩壊と共に産声をあげたことになる」のではないかと思いました。
ただ、一つ気になるのは、上述の小糸孝弘が「僕も、おばさんたちを殺すようになってたのかなって思う」(675頁)と言っていることです。私は先ほど小糸孝弘は、与えられた環境下で懸命にベストを尽くそうとする地に足がついた人物と表現しました。地に足がついているはずの小糸孝弘のような人物が酷い抑圧を受けて、地に足がしっかりついているが故に踏ん張りきれず、環境に押しつぶされてしまった場合、暴発する危険性があるのではと思いました。そして、その種の暴発は、自身が適応できなかった環境を、ただひたすら否定するものであり、それ以外の目的を持たないものになるのではないかとも思いました。つまり、八代裕司には1千万円という極めて具体的な目的があった一方で、小糸孝弘が暴発する際はその様な目的もなく、ただひたすら環境を否定する様な暴発になるのではないかと思ったのでした。おそらく、客観的には小糸孝弘の暴発の方が、八代裕司のスイングよりも不可解なものになるのではないかとも思いました。
私は、日本人が受けたバブル崩壊の影響は、精神面でも経済面でも、未だに強く残っているものと思っています。そのため、バブルの崩壊について思いを馳せることはとても重要なことと考えています。例えば、本書には「例の住専」(296頁)という言葉が出てきますが、そう聞いてもピンとこない方々が今後増えていくものと思います。そんなこともあり、本書を読むことはとても有益と思います。しかも、本書の「8 執行妨害」(292-305頁)では、わざわざ弁護士による占有屋の解説がなされてあったりしますので、非常に読者想いな面もあると思います。また、本書には筋に関係ない細かい記述が多いという指摘も多々あるものの、それらの細かい記述は登場する様々な家族についての描写部分であり、それはそれで興味深いものです(個人的には、宝井綾子と宝井康隆の姉弟による会話部分が特に印象に残っています)。本書のご一読をお薦め致します。
私としては、本書を通読している間、自分自身と世代が近い青少年の登場人物に自然と関心が向かっていきました。年齢順に書くと以下の様な感じです。
八代裕司:21歳(1975年生まれ。)
砂川毅:21歳(1975年生まれ。2019年時点44歳と推定)
石田直己:20歳(1976年生まれ。2019年時点43歳と推定)
宝井康隆:16歳(1980年生まれ。2019年時点39歳と推定)
小糸孝弘:14歳(1982年生まれ。2019年時点37歳と推定)
私が見る限り、これらの登場人物は、八代裕司を除いて、与えられた環境下で懸命にベストを尽くすという人達でした。言い換えると、与えられた環境そのものを大きなリスクを犯して変えようとはしていない人達ということになります。そのため、地に足がついている人達という印象を受けました。そして、実際のところ私の周囲でもこの様な人達はとても多い様に感じられました。
一方、これらの青少年の中で八代裕司だけは異なった性質を持っている様に見えました。どうも、八代裕司の異質感が半端無く感じられたのでした。しかし、なぜその様な違いがあるのかを考えようにも、八代裕司に関する情報が極端に欠落しているため、頭の中で少しモヤモヤしてしまいました。ただ、この情報の欠落は、多くのレビュアーの方々の指摘するところでもありますが、著者の宮部さんが敢えて意図的にそう設定されている様に思われました。そして、その背景には、読者にそんなモヤモヤを味わって欲しいという、宮部さんの思いがある様に感じられました。
しかし、このモヤモヤを感じている時、私にはある登場人物がふと思い出されました。それは521頁に登場するイーストタワー1320号室の住人であるB子さんでした(22歳。1974年生まれ。2019年時点45歳と推定)。B子さんは八代裕司や砂川毅の一つ年上に当たります。B子さんについては「周囲の大人社会から注目されて、チヤホヤされるのが嬉しくてしょうがないんです。」(529頁)という記述があります。実際、B子さんは世間がびっくりする様な証言を突然行うことによって、社会から注目を浴びるということに成功しました。しかし、その成功は非常に危なっかしいものでした。そして、大きなリスクを踏んでまで危なっかしい成功を収めようとする点において、B子さんは八代裕司に似ていると感じました。つまり、B子さんも八代裕司も、先に挙げた青少年の登場人物とは異なり、地に足が付いていない様に感じられたのでした。
しかしながら、B子さんと八代裕司との間には一つ大きく異なる点がある様にも思われました。それはB子さんにはそれまでにも(限られた範囲ではあれ)チヤホヤされてきたという成功体験がある一方で、八代裕司にはそれまで成功体験と言えるものが無い様に見えたところでした。つまり、B子さんはそれまでの成功体験を踏まえて、更なる成功のために大きなリスクを踏んだと言える一方で、八代裕司にはその様な成功体験を持ち合わせていないままに大きな掛けに出たと言える様に見えたのでした。そのため、八代裕司が実行したことは、私には、三振したことしかなく、そもそもボールをバットに当てたこともない人が、いきなりホームランを打とうと、なりふり構わずに振った凄まじいスイングの様なものに映りました。
その、八代裕司が狙ったホームランは(宝井綾子が信じていた様に)家族を志向したものなのかもしれませんし、(ウエストタワー2023号室の葛西美枝子が指摘した様に)お金だけを志向したものなのかもしれません。また、八代裕司自身がどの程度「理由」を自覚していたのは分かりません。しかしながら、いずれにしても、そのスイングは宝井綾子の言葉を借りれば、「憑き物につかれたような顔して」(593頁)振られた、凄まじいものだったのだと思います。そして、八代裕司は「バブル経済と共に誕生を約束され、その崩壊と共に産声をあげたことになる」(19頁)マンションの一室を舞台にして、それまでの人生を清算する様な凄まじいスイングをしたのだと感じました。そういうこともあり、私は、本書をバブル崩壊の影響を受けた人々を描いた小説であると捉えました(様々な問題を抱えた家族を描くことで、時代や地域を超えた家族の普遍性を問う小説と捉えることもできるとは思いますが)。
なお、上述の葛西美恵子の言葉に「若い人には、八代裕司の気持ち、判るんじゃないでしょうか」というものがあります(674頁)。しかし、私にはそうは思えません。むしろ若い人であればあるほど、八代裕司の気持ちが判らないものと思います。このことについては、例えば、593頁の、「八代裕司には無かったものが康隆にはあるからなのか、八代裕司が持っていたものを康隆は持っていないからなのか。どちらなのだろう。それも判らない。」という宝井康隆に関する記述が端的に示しています。つまり、宝井康隆にとっては、八代裕司は理解することなど「ほとんど不可能」(同頁)な存在なのです。これは、バブル崩壊直後に社会に出たと想定される(バブルの熱気をまとっている)B子さんや八代裕司とは異なり、バブル崩壊後ある程度の時間を経てから社会に出ることになる(バブルの熱気をまとっていない)宝井康隆にとって、下手にリスクを取るなどということはナンセンスであり、地に足着けて生きていくことが、唯一できることかつ当たり前のことであったためだと思います。よって、私には、宝井綾子が表現した八代裕司の「憑き物」も、このマンション同様に「バブル経済と共に誕生を約束され、その崩壊と共に産声をあげたことになる」のではないかと思いました。
ただ、一つ気になるのは、上述の小糸孝弘が「僕も、おばさんたちを殺すようになってたのかなって思う」(675頁)と言っていることです。私は先ほど小糸孝弘は、与えられた環境下で懸命にベストを尽くそうとする地に足がついた人物と表現しました。地に足がついているはずの小糸孝弘のような人物が酷い抑圧を受けて、地に足がしっかりついているが故に踏ん張りきれず、環境に押しつぶされてしまった場合、暴発する危険性があるのではと思いました。そして、その種の暴発は、自身が適応できなかった環境を、ただひたすら否定するものであり、それ以外の目的を持たないものになるのではないかとも思いました。つまり、八代裕司には1千万円という極めて具体的な目的があった一方で、小糸孝弘が暴発する際はその様な目的もなく、ただひたすら環境を否定する様な暴発になるのではないかと思ったのでした。おそらく、客観的には小糸孝弘の暴発の方が、八代裕司のスイングよりも不可解なものになるのではないかとも思いました。
私は、日本人が受けたバブル崩壊の影響は、精神面でも経済面でも、未だに強く残っているものと思っています。そのため、バブルの崩壊について思いを馳せることはとても重要なことと考えています。例えば、本書には「例の住専」(296頁)という言葉が出てきますが、そう聞いてもピンとこない方々が今後増えていくものと思います。そんなこともあり、本書を読むことはとても有益と思います。しかも、本書の「8 執行妨害」(292-305頁)では、わざわざ弁護士による占有屋の解説がなされてあったりしますので、非常に読者想いな面もあると思います。また、本書には筋に関係ない細かい記述が多いという指摘も多々あるものの、それらの細かい記述は登場する様々な家族についての描写部分であり、それはそれで興味深いものです(個人的には、宝井綾子と宝井康隆の姉弟による会話部分が特に印象に残っています)。本書のご一読をお薦め致します。
2020年8月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オールタイムミステリランキングの上位に挙げられていることから、ようやく手を出
しましたが、ミステリテイストの文学作品といったところでしょうか。
新聞の連載小説で紙面文字数の都合もあり、かなり内容に濃淡があって、本筋と関係
ないところまで膨らませて語られているところは、どうしても冗長と感じてしまいます。
「ひとつの事件には遠近含めて様々な人間模様がある」ことがテーマなのでしょうが、
ミステリにカテゴライズして読んだ場合は★2個が精々だと思います。正直期待はずれ
でした。
しましたが、ミステリテイストの文学作品といったところでしょうか。
新聞の連載小説で紙面文字数の都合もあり、かなり内容に濃淡があって、本筋と関係
ないところまで膨らませて語られているところは、どうしても冗長と感じてしまいます。
「ひとつの事件には遠近含めて様々な人間模様がある」ことがテーマなのでしょうが、
ミステリにカテゴライズして読んだ場合は★2個が精々だと思います。正直期待はずれ
でした。
2020年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大満足ですね。