グリコ・森永事件は、1984年~85年に起こった社長誘拐や毒物混入を含む非常に有名な企業恐喝事件です。
事件は警察の威信をかけた大捜査にもかかわらず、迷宮入りしました。
本書は、3億円事件のルポルタージュなどで有名な一橋文哉氏が、グリコ・森永事件のあらましから犯人像の推理、事件のその後までを、警察資料を含む多数の資料とインタビューや長期間の取材活動を通じて浮かび上がらせたものです。グリコ・森永事件の概要と怖さを知ることができる好著です。
犯人を誰とは書いていませんが、事件の背景に日本の闇が広がっていることが、緊迫感ある筆致で書かれています。
時効成立後、犯人から手紙が著者に届いたという話は、読んでいて本当に怖くなりました(自分が犯人であることを証明するため、手紙には江崎社長が誘拐中に犯人たちに録音されたテープが入っていたそうです)。
文庫版には「時効に捧ぐ」という文章が追加収録されています。
朝日文庫より出版されている『グリコ・森永事件』も併読すると、一層面白くなると思います。
しかし、犯人たちは一体誰だったんでしょうか...。
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闇に消えた怪人: グリコ・森永事件の真相 (新潮文庫 い 50-1) 文庫 – 2000/1/1
一橋 文哉
(著)
- 本の長さ469ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2000/1/1
- ISBN-10410142621X
- ISBN-13978-4101426211
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2000/1/1)
- 発売日 : 2000/1/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 469ページ
- ISBN-10 : 410142621X
- ISBN-13 : 978-4101426211
- Amazon 売れ筋ランキング: - 40,999位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月31日に日本でレビュー済み
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2021年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一橋さんの本は真意がどこまでかは置いといて、読みごたえがあります。グリ森に始まり、赤報隊、世田谷事件、オウムなど読んでまいりましたが、文章がうまいからか、私は結構引き込まれるものがあります。このグリ森事件は、今までに熱心に紐解いた読者なら周知の事実ですが、その事象をさらに踏み込んだところまで掘り下げて、実際にインタビューした状況を克明に記してあるので、くどいようですが真意は置いといて、すごく発見のある本でした。最後の方の「かい人二十一面相からの手紙」はドキッとしましたね。こういう手紙たくさん来るんですね。同封されていたテープは当時犯人が挑戦状とともに同封していたものですよね。よってこのテープは今となっては、犯人だけにあらず捜査関係者中心に出回っていてもおかしくないテープなので、即犯人であるという証拠にはならないような気がしますが、犯人であってほしいという期待感を抱かせてくれました。
私は一橋さんの本は大変好きなので、これからもグリ森事件の新事実などまとまりましたら、出版してほしいです。
私は一橋さんの本は大変好きなので、これからもグリ森事件の新事実などまとまりましたら、出版してほしいです。
2014年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一橋さんの本は好きでほとんど読んでいます。
この本も、まあまあ面白い本でした。
世田谷事件についての本が読みたいのですが。
期待しています。
この本も、まあまあ面白い本でした。
世田谷事件についての本が読みたいのですが。
期待しています。
2020年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
グリコ・森永事件を題材にした小説(『罪の声』)を読んだのを機にこの事件を
再確認するために読んだ。当時、関東地方の中学生だった私にとって
かなり記憶が曖昧になっている事件だったため、はじめて知った(忘れていた)
事実も多かった。上記の小説を読む前に、こちらを読むべきだったと感じた。
著者の作品は何冊も読んでいるので感じたことだが、いつものとおり事件の核心に
迫る勢いが無く、最後の終わり方はやや肩透かしを食らったようだった。
いつもように切れ味鋭く真実に迫る所までいかなかったように感じた。
恐らく、グリコの非協力的な姿勢(過去に犯人グループと何かあったのだろうか?)や
犯人グループに警察関係者が含まれていた?可能性があり「何らかの力」
が働いたことが要因なのかもしれない。
また、何より「Xを中心とした闇社会」との関わりが深かった為に著者が書けなかった
ということなのかもしれない。
関東在住の私はこの関西の「Xを中心とした闇社会」のことは想像もできないが、何らかの
事情があったのだろうか?と思わず勘ぐってしまった。
この事件は怨恨説や裏取引説や闇社会説等、色々な背景があり、本当に複雑な要素が
絡み合った事件だったのだろう。なのでこうして解決できなかったのだろう。
著者の『三億円事件』のように犯人に迫るようなすっきりした読後感はなく
作品名のように文字どおり犯人は「闇」に消えてしまったようだった。
いつものような歯切れの良さを感じなかったので★3個とした。
再確認するために読んだ。当時、関東地方の中学生だった私にとって
かなり記憶が曖昧になっている事件だったため、はじめて知った(忘れていた)
事実も多かった。上記の小説を読む前に、こちらを読むべきだったと感じた。
著者の作品は何冊も読んでいるので感じたことだが、いつものとおり事件の核心に
迫る勢いが無く、最後の終わり方はやや肩透かしを食らったようだった。
いつもように切れ味鋭く真実に迫る所までいかなかったように感じた。
恐らく、グリコの非協力的な姿勢(過去に犯人グループと何かあったのだろうか?)や
犯人グループに警察関係者が含まれていた?可能性があり「何らかの力」
が働いたことが要因なのかもしれない。
また、何より「Xを中心とした闇社会」との関わりが深かった為に著者が書けなかった
ということなのかもしれない。
関東在住の私はこの関西の「Xを中心とした闇社会」のことは想像もできないが、何らかの
事情があったのだろうか?と思わず勘ぐってしまった。
この事件は怨恨説や裏取引説や闇社会説等、色々な背景があり、本当に複雑な要素が
絡み合った事件だったのだろう。なのでこうして解決できなかったのだろう。
著者の『三億円事件』のように犯人に迫るようなすっきりした読後感はなく
作品名のように文字どおり犯人は「闇」に消えてしまったようだった。
いつものような歯切れの良さを感じなかったので★3個とした。
2015年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
それにしても一橋の取材力は超人的ですが、更にそれを読み物として構成するパワーには舌を巻きます。「三億円事件」でも強く感じましたが、ノンフィクションとしての的確な語り口(文体)に加え、その日本語としての文法的な正確さには驚かされます。こういうところも決して手を抜かいところが、ややもすれば突飛で奇抜にもなりかねない推測に、ある種のリアリティーを与えるのでしょうね。
2015年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1984年から翌年にかけて世間を恐怖に陥れたグリコ森永事件。新聞記者の目で見た推理にはみるべきものがありました。
2019年11月10日に日本でレビュー済み
バブル前夜の1984年に発生し、1年以上にわたって世の中を騒然とさせたグリコ・森永事件。同事件は、推理小説顔負けの大胆不敵な犯行手口や人をくった内容の犯行声明文、「キツネ目の男」に象徴される不気味な犯人像、青酸入り菓子を使って一般市民をも人質にする凶悪さと卑劣さなどから、当時の日本人の耳目を釘付けにした。
また大企業の社長から小学校の男の子に及ぶ多彩な登場人物、企業という表社会と「闇の紳士たち」が跋扈する裏社会との因縁が複雑に入り組み、その上、左翼運動の残像や同和問題の影などがちらつく、この事件の謎多き背景は、知性と凶悪性、大胆さと細心さを併せ持つ犯人像とも相まって、作家たちの創作意欲を刺激し、高村薫の『レディ・ジョーカー』や塩田武士の『罪の声』という名作を生んだ。
本書は、10年以上の取材を重ねて、グリコ・森永事件の真相に肉迫した渾身の力作である。この後、一橋氏は、三億円事件、世田谷一家殺人事件、餃子の王将事件と、一連の未解決事件に関する著書を発表していくが、本書はその原点となったものである。
本書とともに、NHK スペシャル『未解決事件ーグリコ・森永事件』や、本書でM氏として登場する宮崎学氏の『突破者』を併せて参照すると、別の角度からの視点も多少加わって、より楽しめるだろう。
また大企業の社長から小学校の男の子に及ぶ多彩な登場人物、企業という表社会と「闇の紳士たち」が跋扈する裏社会との因縁が複雑に入り組み、その上、左翼運動の残像や同和問題の影などがちらつく、この事件の謎多き背景は、知性と凶悪性、大胆さと細心さを併せ持つ犯人像とも相まって、作家たちの創作意欲を刺激し、高村薫の『レディ・ジョーカー』や塩田武士の『罪の声』という名作を生んだ。
本書は、10年以上の取材を重ねて、グリコ・森永事件の真相に肉迫した渾身の力作である。この後、一橋氏は、三億円事件、世田谷一家殺人事件、餃子の王将事件と、一連の未解決事件に関する著書を発表していくが、本書はその原点となったものである。
本書とともに、NHK スペシャル『未解決事件ーグリコ・森永事件』や、本書でM氏として登場する宮崎学氏の『突破者』を併せて参照すると、別の角度からの視点も多少加わって、より楽しめるだろう。
2018年2月8日に日本でレビュー済み
実行犯は江崎社長や家族をよく知っており警察にも情報提供者を持っていたようである。 犯人グループは6月突然休戦宣言を出した。 その2か月後B元組長の銀行口座に被害企業から3億円の振り込みがあった。 その該当企業はすべてを否認するが誰が匿名で3億円を振り込むか。 裏取引があったとみなされる。 遺品や遺物、犯行声明を多量に関係者に送りつけながら一人の逮捕にも至らなかったという。 模倣犯は多数その後現れたがほとんど逮捕されている。 なぜこの怪人21面相グループだけ逃げおおせたのか。 江崎社長もアベックも3人組に襲われ声を聞いていたはずである。 元従業員か下請けか。 声から判別できなかったのか。 監禁場所からの江崎社長の逃亡も不可解である。 身代金を払ったのではないか。 著者は許永中のコリア・コネクションにも言及しているがこの事件はグリコの会社を解雇されたり下請けを切られたりした人々の怨恨によるものではないか。 著者は時効後20日して犯人から手紙を受け取る。 そこには全共闘世代の左翼運動に対する絶望がつづられていた。 主犯は誰もが驚く人物だという。 パロデーで社会風刺をしたのだという。 捜査は政界からの強い圧力で打ち切られたという。 警察をあほ、バカ、間抜けと嘲弄する犯人にやんやの大喝采を送ったのは国民であった。 犯罪者に共鳴を感じるという不思議な事件であった。