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香乱記〈4〉 (新潮文庫) 文庫 – 2006/4/25
宮城谷 昌光
(著)
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無辜の民をも殲滅する残虐無比の項羽と、陰謀と変節の梟雄劉邦。中国の人口を半減させたといわれる楚漢戦争が勃発した。緒戦こそ劉邦は項羽に敗れたものの、劉邦の壮大な包囲網に項羽は追いつめられていく。人民にその高潔英邁を尊崇された不撓の人、田横の正義さえも、漢軍の奔流に呑まれていく。著者をして「理想像」と言わしめた不屈の英雄を描く傑作、明鏡止水の第四巻、完結編。
- 本の長さ308ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/4/25
- 寸法10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- ISBN-10410144434X
- ISBN-13978-4101444345
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/4/25)
- 発売日 : 2006/4/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 308ページ
- ISBN-10 : 410144434X
- ISBN-13 : 978-4101444345
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 41,014位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1945(昭和20)年、愛知県生れ。早稲田大学第一文学部英文科卒。
出版社勤務等を経て1991(平成3)年、『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。1993年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞受賞。2000年、司馬遼太郎賞受賞。
『晏子』『玉人』『史記の風景』『楽毅』『侠骨記』『孟夏の太陽』『沈黙の王』『奇貨居くべし』『管仲』『香乱記』『三国志』『古城の風景』『戦国名臣列伝』『春秋名臣列伝』『風は山河より』『新 三河物語』等著書多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年9月24日に日本でレビュー済み
項羽と劉邦が主役の時代。
斉を再建した田氏三兄弟の話。
項羽や劉邦を第三者的に描いており、
視点が変われば善悪も変わるのだと
実感することができます。
主人公は、歴史の主役ではないために
その時、項羽や劉邦が何をしていたか
ということが併記されています。
そのため、主人公の影が薄くなることが
多く、作者の苦労がうかがえます。
斉を再建した田氏三兄弟の話。
項羽や劉邦を第三者的に描いており、
視点が変われば善悪も変わるのだと
実感することができます。
主人公は、歴史の主役ではないために
その時、項羽や劉邦が何をしていたか
ということが併記されています。
そのため、主人公の影が薄くなることが
多く、作者の苦労がうかがえます。
2020年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
楚漢争覇の時代と言うと、群雄割拠の時代と言うよりも、項羽と劉邦の一騎討ちで、その他大勢の小規模勢力を二陣営が多数派工作をするようなイメージかも知れない。
しかしこの物語の主人公、田横が属する斉は、この二陣営に対抗できうる第三極と言える群雄だった。
後に、この斉を併呑して天下三分の計を一時志向する、漢王朝創業三傑の一人、韓信勢力の前身がこの田氏の斉なので、取り扱い人物は非常にマイナーかも知れないが、項羽と劉邦に次ぐ勢力の興亡劇は非常にテーマとして興味をひきました。
その第四巻。前巻までは、陳勝・呉広の乱から世の中が乱れ、そこから興った楚や各地の諸勢力、それを鎮圧しようとする秦の章邯、という、秦末の状況を描きつつ、田横たち斉の動きが語られ、遂に大帝国秦が滅亡し、そこから反乱軍の強力な盟主となっていた項羽が覇王となり、斉は項羽の論功行賞を許さなかったために対立をして、いよいよ項羽と戦争か?という所までが描かれた。
項羽の稚拙な論功行賞は、斉の田氏一族の対立を引き起こし、斉は多くの民の犠牲を出して疲弊し、兄も失うことになってしまう。
何とか項羽を退けたものの、その結果、項羽と対立する劉邦が斉に魔の手を伸ばしてきて…
多くの作品では、劉邦は中国四百年の大帝国を創始した大人物として魅力的に描かれる事が多いが、この作品、特にこの巻では、礼儀知らずで陰険、貪欲な人物として扱われているのが興味深いです。
漢(韓信)が斉を攻める件は、色々な作品で取り上げられている話なので、重要な話として登場するのかと思いましたが、意外とあっさりと攻めて来られた印象です。
斉に和平交渉しに来たレキイキもあっさりしているので拍子抜けな印象でした。
韓信の侵攻で楚と同盟を結び、楚の竜旦と韓信の戦いも楚漢戦争では重要な天下分け目的な戦いの印象でしたが、こちらも呆気ない印象でしたね。
この漢侵攻で、田横を支えていた主だった武将が次々と死という名の退場をしてしまい、予言では田横が将来、王となると言うのは希望に満ちた予言のように思われて居ましたが、実際には悲しみに満ちた即位だったのが辛かったです。
しかしマイナーな群雄を扱ったこの作品で、田氏の活躍を知る事が出来、良かったです。
因みに、この作品で劉邦が悪者として扱われて居ますが、これは作者の宮城谷さんが劉邦の事を好きではないかららしい事が、後のインタビュー記事で明かされます。
しかし、そんな嫌いな劉邦ですが、結果400年も続く大帝国の初代ならば、やはり魅力的な人物では有るのだろうと思いなおし、改めて劉邦をちゃんと調べて、敢えて嫌いな劉邦を主人公にしようと思ったのが、その後執筆する「劉邦」だそうです。
ですので、この香乱記の劉邦と、劉邦の劉邦で読み比べてみるのも面白いかも知れません。
因みに、香乱記と劉邦は、共に毎日新聞で連載されていました。
しかしこの物語の主人公、田横が属する斉は、この二陣営に対抗できうる第三極と言える群雄だった。
後に、この斉を併呑して天下三分の計を一時志向する、漢王朝創業三傑の一人、韓信勢力の前身がこの田氏の斉なので、取り扱い人物は非常にマイナーかも知れないが、項羽と劉邦に次ぐ勢力の興亡劇は非常にテーマとして興味をひきました。
その第四巻。前巻までは、陳勝・呉広の乱から世の中が乱れ、そこから興った楚や各地の諸勢力、それを鎮圧しようとする秦の章邯、という、秦末の状況を描きつつ、田横たち斉の動きが語られ、遂に大帝国秦が滅亡し、そこから反乱軍の強力な盟主となっていた項羽が覇王となり、斉は項羽の論功行賞を許さなかったために対立をして、いよいよ項羽と戦争か?という所までが描かれた。
項羽の稚拙な論功行賞は、斉の田氏一族の対立を引き起こし、斉は多くの民の犠牲を出して疲弊し、兄も失うことになってしまう。
何とか項羽を退けたものの、その結果、項羽と対立する劉邦が斉に魔の手を伸ばしてきて…
多くの作品では、劉邦は中国四百年の大帝国を創始した大人物として魅力的に描かれる事が多いが、この作品、特にこの巻では、礼儀知らずで陰険、貪欲な人物として扱われているのが興味深いです。
漢(韓信)が斉を攻める件は、色々な作品で取り上げられている話なので、重要な話として登場するのかと思いましたが、意外とあっさりと攻めて来られた印象です。
斉に和平交渉しに来たレキイキもあっさりしているので拍子抜けな印象でした。
韓信の侵攻で楚と同盟を結び、楚の竜旦と韓信の戦いも楚漢戦争では重要な天下分け目的な戦いの印象でしたが、こちらも呆気ない印象でしたね。
この漢侵攻で、田横を支えていた主だった武将が次々と死という名の退場をしてしまい、予言では田横が将来、王となると言うのは希望に満ちた予言のように思われて居ましたが、実際には悲しみに満ちた即位だったのが辛かったです。
しかしマイナーな群雄を扱ったこの作品で、田氏の活躍を知る事が出来、良かったです。
因みに、この作品で劉邦が悪者として扱われて居ますが、これは作者の宮城谷さんが劉邦の事を好きではないかららしい事が、後のインタビュー記事で明かされます。
しかし、そんな嫌いな劉邦ですが、結果400年も続く大帝国の初代ならば、やはり魅力的な人物では有るのだろうと思いなおし、改めて劉邦をちゃんと調べて、敢えて嫌いな劉邦を主人公にしようと思ったのが、その後執筆する「劉邦」だそうです。
ですので、この香乱記の劉邦と、劉邦の劉邦で読み比べてみるのも面白いかも知れません。
因みに、香乱記と劉邦は、共に毎日新聞で連載されていました。
2011年8月15日に日本でレビュー済み
田横は、武においても知においても、そして徳においても抜群な人物である。
しかし、人としての魅力は、武の化身である項羽や人を巧みに使った劉邦らに実は及ばなかったのではないだろうか。
田横本人があまりに見事な武術や行政力、そして哲学を持っているがゆえに超一流の人物が周囲に集まっていない。
その点、田舎の百姓出身の劉邦は自分自身の能力は大したことはなかったものの、簫何、張良、陳平、韓信ら数々の才能が集まっている。
また、品行方正な田横が斉国の復活を望んだのに対し、項羽や劉邦は天下統一という大きな野望を持っていたことも大きな違いである。
それが最終的な結果に大きな差を生んでいるように感じた。
とはいえ、諸葛孔明の出師の表にも描かれているという田横の最期は実に田横らしい見事な最期である。
しかし、人としての魅力は、武の化身である項羽や人を巧みに使った劉邦らに実は及ばなかったのではないだろうか。
田横本人があまりに見事な武術や行政力、そして哲学を持っているがゆえに超一流の人物が周囲に集まっていない。
その点、田舎の百姓出身の劉邦は自分自身の能力は大したことはなかったものの、簫何、張良、陳平、韓信ら数々の才能が集まっている。
また、品行方正な田横が斉国の復活を望んだのに対し、項羽や劉邦は天下統一という大きな野望を持っていたことも大きな違いである。
それが最終的な結果に大きな差を生んでいるように感じた。
とはいえ、諸葛孔明の出師の表にも描かれているという田横の最期は実に田横らしい見事な最期である。
2007年3月2日に日本でレビュー済み
まさに漢の中の漢なのだろう。田横は最後まで正義を貫くことで、国を守り抜いたと言えるだろう。死してなお生人を怯えさせることが出来る。諸葛亮孔明よりも前の話だ。この中では項羽も劉邦も脇役に過ぎないのだ。
2007年7月16日に日本でレビュー済み
宮城谷昌光さんは大きな作家、とおもいます。古代に想いをはせ、充分な歴史的資料がなくとも、その壮大な世界をおそらく歴史の登場人物と魂の交流までおこなって、現実の文学に体現してしまう、稀有なひとなのでしょう。
項羽と劉邦の時代、15年前、司馬遼太郎さんの名著をよんだとき、殺戮者と偽善者ばかりが勝利者となる史記の時代に、福音はなかったのか、とずっと頭にのこりました。
その答えがこの小説です。
田横という古代中国斉の国王の末裔が、一地方の、まっすぐで、ひたむきにいきる、爽快で、そして高潔な若き俊英としてひとびとの輿望をあつめ、始皇帝の秦でときをすごし、やがて再興した斉の最後の、そしておそらくこの国の太祖である太公望や、また春秋時代に覇者となった桓公におとらない最善最高の名君として、中国全土の人々の心に刻印される永久不滅の英雄となるのです。
終盤、漢帝国初代の皇帝となった劉邦が、田横にだけは一目も二目もおき、哀悼の意を表する史実が紹介されています。人間の格があまりにもちがいすぎる、と本能的にわかったのでしょう。そしてラストシーンは実話かどうかわからず宮城谷さんの田横へのおもいやりかもしれないが、涙なくして読めない、武人同志の美しい友情の一場面となっています。
これを読みまして、いきかたに反省させられ、またとてつもなく励まされました。
これは清潔に生き、ひとびとの賞賛をかちえたひとりの英雄をかたった、傑作中の傑作です。
項羽と劉邦の時代、15年前、司馬遼太郎さんの名著をよんだとき、殺戮者と偽善者ばかりが勝利者となる史記の時代に、福音はなかったのか、とずっと頭にのこりました。
その答えがこの小説です。
田横という古代中国斉の国王の末裔が、一地方の、まっすぐで、ひたむきにいきる、爽快で、そして高潔な若き俊英としてひとびとの輿望をあつめ、始皇帝の秦でときをすごし、やがて再興した斉の最後の、そしておそらくこの国の太祖である太公望や、また春秋時代に覇者となった桓公におとらない最善最高の名君として、中国全土の人々の心に刻印される永久不滅の英雄となるのです。
終盤、漢帝国初代の皇帝となった劉邦が、田横にだけは一目も二目もおき、哀悼の意を表する史実が紹介されています。人間の格があまりにもちがいすぎる、と本能的にわかったのでしょう。そしてラストシーンは実話かどうかわからず宮城谷さんの田横へのおもいやりかもしれないが、涙なくして読めない、武人同志の美しい友情の一場面となっています。
これを読みまして、いきかたに反省させられ、またとてつもなく励まされました。
これは清潔に生き、ひとびとの賞賛をかちえたひとりの英雄をかたった、傑作中の傑作です。
2006年6月30日に日本でレビュー済み
楚漢戦争時代の英雄の一人、田横の物語。
勝者は敗者より優れている、という一般的な歴史観と違う視点で描いていく。その為か、この本を読んだ後には劉邦・項羽・韓信等のイメージが変わっていきます。
日本人は判官びいき的なところもあるし、その上、不屈を地でいく田横のような人間には魅かれていくと思います。
こういう例え方はいけないのかもしれませんが、日本の戦国時代の武将に例えると真田幸村かなぁという印象を持ちました。
とにかく魅力あふれる男の物語でした。死に方がまた凄まじい・・・。
勝者は敗者より優れている、という一般的な歴史観と違う視点で描いていく。その為か、この本を読んだ後には劉邦・項羽・韓信等のイメージが変わっていきます。
日本人は判官びいき的なところもあるし、その上、不屈を地でいく田横のような人間には魅かれていくと思います。
こういう例え方はいけないのかもしれませんが、日本の戦国時代の武将に例えると真田幸村かなぁという印象を持ちました。
とにかく魅力あふれる男の物語でした。死に方がまた凄まじい・・・。
2006年5月5日に日本でレビュー済み
秦の滅亡から漢王朝へという時代ということになると、項羽と劉邦の楚漢戦争に終始してしまい、鴻門の会といった場面くらいしか目に浮かばない。ところが、この「香乱記」を読むと、そんな単純なものではないことが良く解る。
この小説は、項羽、劉邦だけでなく、そこに田三兄弟の生き方、考え方を対比させる。もちろん、この他の人物の生き方も比較されているが。主人公田横は、「なるべく戦争はしたくない、戦争は無い方が良い」という領内の住民の立場に立った考え方をしている。その為に、実際、斉は一時期素晴らしい国になる。ところが、一人斉だけが平和を謳歌することは許されなかった。戦乱の世は、力の世界であり、権謀術策の世界だった。いかなる強者にも屈しない「不屈の精神」だけでは通用しなかった。これが平和な時代であったなら、この田横の考え方、姿勢は非常に大きな力となっただろう。
毎回のことながら、宮城谷昌光という作者の視点の大きさ、広さを感じる作品だった。この紀元前の世界の知識、経験は、現代に生かされなければいけないのだろう。
この小説は、項羽、劉邦だけでなく、そこに田三兄弟の生き方、考え方を対比させる。もちろん、この他の人物の生き方も比較されているが。主人公田横は、「なるべく戦争はしたくない、戦争は無い方が良い」という領内の住民の立場に立った考え方をしている。その為に、実際、斉は一時期素晴らしい国になる。ところが、一人斉だけが平和を謳歌することは許されなかった。戦乱の世は、力の世界であり、権謀術策の世界だった。いかなる強者にも屈しない「不屈の精神」だけでは通用しなかった。これが平和な時代であったなら、この田横の考え方、姿勢は非常に大きな力となっただろう。
毎回のことながら、宮城谷昌光という作者の視点の大きさ、広さを感じる作品だった。この紀元前の世界の知識、経験は、現代に生かされなければいけないのだろう。