砲艦銀鼠号に引き続き椎名さんの独特の超常小説だったのですが、かつてのアドバードなどの時のようなテンポ良く話が進んでいく感じよりも、独特の単語、固有名詞がかなり多く感じ、読み進むテンポが失われてしまうような気がしました。
それでも武装島田倉庫、砲艦銀鼠号の世界観をバックにしているので、それらを読んだことがあれば、容易に入っていけるので、私は楽しめたと思います。初めて読む方には「?」かもしれませんが。
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銀天公社の偽月 (新潮文庫) 文庫 – 2009/10/28
椎名 誠
(著)
脂まじりの雨が降る街を、巨大でいびつな銀色の月が照らしだす。銀天公社の作業員が、この人工の月を浮かべるために、月に添って動くゴンドラで働いている。そこは知り玉が常に監視し、古式怪獣滑騙が咆哮する世界だ。過去なのか、未来なのか、それとも違う宇宙なのか? あなたかもしれない誰かの日常を、妖しい言葉で語る不思議な7編。シーナ的言語炸裂の朧夜脂雨的戦闘世界。
- 本の長さ195ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2009/10/28
- 寸法10.5 x 0.9 x 15 cm
- ISBN-104101448337
- ISBN-13978-4101448336
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2009/10/28)
- 発売日 : 2009/10/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 195ページ
- ISBN-10 : 4101448337
- ISBN-13 : 978-4101448336
- 寸法 : 10.5 x 0.9 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,047,050位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11,485位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1944(昭和19)年、東京生れ。東京写真大学中退。流通業界誌編集長を経て、作家、エッセイスト。「本の雑誌」編集長。『さらば国分寺書店のオババ』でデビューし、その後『アド・バード』(日本SF大賞)『武装島田倉庫』などのSF作品、『わしらは怪しい探検隊』シリーズなどの紀行エッセイ、『犬の系譜』(吉川英治文学新人賞)『哀愁の町に霧が降るのだ』『岳物語』『大きな約束』などの自伝的小説、『風のかなたのひみつ島』『全日本食えば食える図鑑』『海を見にいく』など旅と食の写真エッセイと著書多数。映画『白い馬』では、日本映画批評家大賞最優秀監督賞ほかを受賞している。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年6月19日に日本でレビュー済み
近年の椎名SF作品では個人的にナンバーワンだと思います。
この作品は他の椎名SFと比べて、熱帯夜のような陰鬱な閉塞感や感傷の入り込まないドライな展開といったハードボイルドな面が強く出ている気がします。(そんな中にも壮年夫婦のちょっとした描写や終戦後に生き残った生体兵器の物哀しさといった独特の叙情性やユーモア感覚があって、椎名誠だなあというかんじがしますが。)
私は特に、淡々として牧歌的にすら感じる話運びの中でふと暴力性が匂わされる冒頭二作にやられました。のほほんとしたおっさんだと思っていた職場の人とふとしたキッカケで話してみたら意外に鋭い目をされてドキっとする、みたいな感じがあります。
ただ、はじめて椎名SFに触れる方にはちょっと敷居が高いかもしれません。独自の世界観が濃厚に出た作品集ですし、閉塞感があってすいすい読めるわけではないので……。やはり少々厚いですが物語がよく動く『アド・バード』などの方がとっつきやすいと思います。
そういった意味で☆ひとつ減らしました。
この作品は他の椎名SFと比べて、熱帯夜のような陰鬱な閉塞感や感傷の入り込まないドライな展開といったハードボイルドな面が強く出ている気がします。(そんな中にも壮年夫婦のちょっとした描写や終戦後に生き残った生体兵器の物哀しさといった独特の叙情性やユーモア感覚があって、椎名誠だなあというかんじがしますが。)
私は特に、淡々として牧歌的にすら感じる話運びの中でふと暴力性が匂わされる冒頭二作にやられました。のほほんとしたおっさんだと思っていた職場の人とふとしたキッカケで話してみたら意外に鋭い目をされてドキっとする、みたいな感じがあります。
ただ、はじめて椎名SFに触れる方にはちょっと敷居が高いかもしれません。独自の世界観が濃厚に出た作品集ですし、閉塞感があってすいすい読めるわけではないので……。やはり少々厚いですが物語がよく動く『アド・バード』などの方がとっつきやすいと思います。
そういった意味で☆ひとつ減らしました。
2009年12月16日に日本でレビュー済み
解らない。出てくるもの、現象、いろいろなものが初めて聞く名前で登場する。新語?がいきなり出てくると「何だ?これは」ということになり、混乱してしまう。しかし、字面からなんとなくそのもののイメージ、色、形、面妖なる佇まいがそこはかとなく漂ってくる。そして読み進めるうちに、我々読者はいつしかシーナ・ワールドを彷徨っている。
で、この本の評価なのですが、微妙・・・です。ただ一つ言えるのは「この小説は他国語に翻訳できない」ということ。何とかなりそうなのは漢字という表意文字を持つ中国語のみ。他の言語への翻訳は不可能だろう。小説が読者に何かを伝えるものだとするならば、翻訳不能ということは小説であるための必要条件を満たしていないのではと疑問を感ずる。この小説は例えるならば「抽象画」のような小説で、良いと思えば良いのだが、感性が合わなければ最悪という評価になる。理解するより感ずる小説なのだ。
シーナさんのSF小説(いや超常小説といった方が適切か)は『アド・バード』『武装島田倉庫』『水域』『雨がやんだら』『ねじのかいてん』『胃袋を買いに。』『地下生活者』『中国の鳥人』そして本書と読んできたが、これほど異様な世界を持つ椎名氏と「怪しい探検隊シリーズ」その他ハートウォームなエッセイを書くシーナさんが同居することが驚異である。一つの頭の中にこのように異質な世界が同居するのはおそらく天才か狂人ということだろう。私はシーナさんのエッセイの熱烈な支持者であり、シーナさんを狂人扱いすることなど絶対にできない。怪しいといえば怪しいのだが、シーナさんは天才だと私は言いたい。
で、この本の評価なのですが、微妙・・・です。ただ一つ言えるのは「この小説は他国語に翻訳できない」ということ。何とかなりそうなのは漢字という表意文字を持つ中国語のみ。他の言語への翻訳は不可能だろう。小説が読者に何かを伝えるものだとするならば、翻訳不能ということは小説であるための必要条件を満たしていないのではと疑問を感ずる。この小説は例えるならば「抽象画」のような小説で、良いと思えば良いのだが、感性が合わなければ最悪という評価になる。理解するより感ずる小説なのだ。
シーナさんのSF小説(いや超常小説といった方が適切か)は『アド・バード』『武装島田倉庫』『水域』『雨がやんだら』『ねじのかいてん』『胃袋を買いに。』『地下生活者』『中国の鳥人』そして本書と読んできたが、これほど異様な世界を持つ椎名氏と「怪しい探検隊シリーズ」その他ハートウォームなエッセイを書くシーナさんが同居することが驚異である。一つの頭の中にこのように異質な世界が同居するのはおそらく天才か狂人ということだろう。私はシーナさんのエッセイの熱烈な支持者であり、シーナさんを狂人扱いすることなど絶対にできない。怪しいといえば怪しいのだが、シーナさんは天才だと私は言いたい。
2011年12月26日に日本でレビュー済み
大好きな武装島田倉庫の世界だ。ひとつひとつの話の登場人物や場所や時間が繋がっていそうで関係のなさそうなもどかしいところもたまらない。こういう小説を書くときの椎名誠は天才だと思う。もっともっとこの世界のことをたくさん書いて、トーノタダシや他のみんなが、そしてこの世界がどんな風になっていくのか教えてほしい。
2007年3月4日に日本でレビュー済み
濃密な語感に満ちたねっとりとした文体(読みにくいけれど、それが豊穣さを醸し出す)で近未来の退廃した世界が描かれた作品集。近作「砲艦銀鼠号」(集英社)のあまりの淡白さにシーナも寄る年波には勝てぬのかと切なくなったが、冒頭10行ぐらいを読んだらSF3部作のあの「シーナワールド」がどわんとカムバックしており感涙。一篇一篇がとても短く、もっと長々とずぶずぶ読み耽っていたいと思うのは贅沢な気持ちなのだろうか。「武装島田倉庫」(新潮社)でキラリとした印象を残す灰汁が登場する「水上歩行機」は作者から読者へのプレゼントだと思って味わい深く読んだ。近日文庫化される「走る男」(朝日新聞社)以降新作長篇SF小説にとんとお目にかかっていないが、本書を読むと久しぶりに「アド・バード」(集英社)のような骨太作品をむしょうに読みたくなってしようがない。